2020年12月27日

犬釘を撃て! 伊図透 (双葉社)


たぶん、「本の雑誌」の影響。あるいは、そこ経由で知っただろう内藤陳さんの影響でハードボイルドというジャンルの小説を読み出していた。
正直なところ激ハマりするにはおれはお子様だったのですが、たとえば、「深夜プラス1」とか「死にゆくものへの祈り」なんてのの荒れ地に寒い風が吹きすさぶような心象風景はずっと覚えている。

本作を読み久しぶりにおれの中にあるハードボイルドを思った。ああ、こうだったと。

架空の国(まあロシアとか)の大陸を横断する線路を作っていく男たちの物語。

枕木
鉄軌
犬釘

この毎日。タイトルの犬釘というのは鉄軌を枕木に固定するための釘ですね。あれ犬釘っていうんですね。
主人公は、この作業に不正があるのではと派遣されるスパイ。そして主任のケニティが怪しいと睨む。

2部制になっており、1部と2部ではだいぶ趣がちがうけど、これが両方、ほぼ女性キャラが出てない鉄と油となにもない荒野と寒波のなかの男のギラギラした欲望が行き交う。

作者は前から気になってるけど、表紙からは中の絵が伺いしれない表紙ばかりなんだよな。まあ、小説のハードカバー的とはいえるのだけど、マンガ家の場合は、ちょっと二の足を踏むよね。
今回のはわりに絵が伺えるな。白っぽいけどシャープな線で、ありとあらゆることをきっちり描いている。そしてクライマックスの盛り上がりはちょっとすごい迫力ある描画。でも、なんていうかな、ハリウッド的ではない盛り上がり方があるな。

んー、東欧圏の大幅な予算をかけてハリウッドに対抗しようとした2時間30分の超大作「エンターテインメント作品」のようじゃ。

1冊でえげつない満足感があります。鉄道に関して別の興味がわきますね。考えてみれば鉄道はひとつづつ線路を敷いているひとがいるから走ることができるんだし、逆に考えると、野原にそのまま敷いてる線路の鉄なんてのは宝の山が落ちてるのといっしょなんだよな(そういう窃盗団も登場する)。そこでのせめぎあいってのは知らない世界だし、みなが知らないハードボイルドがあるという。
ディック・フランシスって作家は競馬をネタにしていくつものハードボイルドの名作を書いてる方がいらっしゃいますが鉄道も題材になるんだろうなという発見が。

冬に読むと効きますよ。

犬釘を撃て! (アクションコミックス) - 伊図透
犬釘を撃て! (アクションコミックス) - 伊図透
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好奇心は女子高生を殺す(2)高橋聖一 (小学館)

好奇心は女子高生を殺す(2) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一
好奇心は女子高生を殺す(2) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一

電書は買い抜けもないしダブリもないし発売日0時に読むことができるし場所もとらないので便利だけど、書店で手に取ること以上にその本の価値が分かる方法はない。
それこそ、WEBで1話や1巻まるごと読むよりシュリンク包装で書店で現物をみたほうがわかることや伝わることが多い。「多い気がする」って書こうとして、いや、これは断定しておこうと思った。
あとまあ評価も紙の本と電書で読むのとちがうからなあ。

たぶん、紙の本で読むのが正しいとは今も思う。

とはいえ、

[好奇心は女子高生を殺す 1 高橋 聖一 (小学館 サンデーうぇぶりSSC): ポトチャリコミック]

この1巻のつづきである2巻が電書でしか出ないなんて思わないじゃないですか。すごくびっくりしましたよ。だって1巻大名作だからね。
でもって、2巻は買いますよそりゃ。だから、1巻は紙で2巻は電書って気持ちの悪いことになりましたよ。

だけど、おもしろいのよねえ。よって2巻出してくれてそれはありがとう以外ないよなあと。出ないままウヤムヤになるマンガが多いことは年輪を重ねているし知ってますから。なお、2巻発売は本人のツイッターで知りました。

あかね子と柚原さんのJK2人が活躍する少し不思議(SF)な1話完結の物語は2巻で完結しました。

2巻後半には1巻2巻のアイテムやキャラを使いつつ物語はギューッとした収束に向かいまして、あらゆる伏線を回収して、ついにはタイトルも回収して終わります。
好奇心は女子高生を殺すのです。すばらしいメッセージです。綺麗に綺麗に終わります。まるで最初から全2巻だったといわんばかりのきれいな終わり方。

作者の次回作は読みたいなあ、ものすごく。そして揃えるためにも1巻も電書で買おうかなーって思ったり。


好奇心は女子高生を殺す(1) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一
好奇心は女子高生を殺す(1) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一
好奇心は女子高生を殺す(2) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一
好奇心は女子高生を殺す(2) (サンデーうぇぶりコミックス) - 高橋聖一



posted by すけきょう at 01:21| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月05日

鬼滅の刃 23 吾峠 呼世晴 集英社


鬼滅の刃が終わった。23巻最高だった。書店でアホみたいに売ってたけどあれはすぐに売り切れるな。感動をありがとう。

って、Twitterか!

ということで、文字を読むのがめんどくさいTwitter以降の世代は上記感想で。では、以降はテキストサイト以前向けに。

正直なところ、トータルでマンガのデキはそこそこという感じではある。特大のまぐれ当たりとも思う。話も構成もキャラもときおりどうなのよこれ?って思う描画も(デフォルメやモブのテキトーさとか)。
ただ、最終巻がとっても最終巻だった。これで文句のない終わり方だった。そこが1番新しい。最終巻を読んだひとの多くが「これできちんとケリがついた」と感じただろう。それでも続編をみたいと思うひともいるだろうが、多くは納得して「いい最終巻だった」と納得いくことができるような気がする。おれはここしばらくで最高最上の長編マンガの最終巻だったと思う。

あ、今回、あらすじとか省略してますよ。いいでしょ? 2020年を日本で生きていたひとにとって、「鬼滅の刃」とはそんな存在だし。読んでいるひとはとっくにわかってるし、タイトルを知ってるにも関わらず興味を持たないひとは、そもそもこの文章を読まないだろうし。

と、推測してさらにネタバレ上等となります。全23冊読んできてください。

上記のようにマンガとしては「そこそこ」のデキです。ただ、作者の魂の削りぐあいが半端ない。それは「ONE PIECE」でも感じられる。ありったけを放出してる。いまできるスキルの105%を常に出して週刊連載に臨んでいる。1球入魂というよく耳にするフレーズをあらためて感じ入る。週刊少年ジャプという世界最高のマンガ誌においてトップを走るにはそれくらいは「アタリマエ」なのだろうね。

そこそこのデキだけど丁寧に丁寧に想いを込めた魂にはみんなに届いていた。それこそが小学生を中心にココロをつかんだのではないかと。その事実に胸アツです。これだけ選択肢がある様々な娯楽のなかにあって21世紀生まれにも紙にペン(かはわからんけど)で描かれたのですよ。

まあ、もうちょっと現実的なこというとアニメの鬼のような完成度が前提としてあるんですけどね。アニメはいまも込みでテレビで放映されたものとしてはS級のエンターテイメントです。映画も。これがたぶん日本映画で1位になんの遜色もないです(みました)。うん、信者みたいですね。
好きになりすぎると信者になるのでそこらへんの客観的な判断って難しいですよね。でもまあ信者でもいいです。実際、23冊読んでみろと。

そして最終巻です。これで吾峠呼世晴の全放出という感じはありました。話としては「みんなで協力してラスボスをやっつけた」です。これが完膚なきまでに「ちゃんと」やっつけたわけです。
ラスボスは形態変化ありますし、死んだと思ったけど実は、、、って展開もあります。登場キャラ全員が、それこそ敵全員も、モブも全員が全力を出してます。そういうのがみんな伝わるのでこの最終決戦。とくに最終巻は異様なグルーヴと盛り上がりがあります。それを1冊で畳み掛けます。すごい畳み掛けです。

実をいうと、22巻までは「さほど」でもなかったんですよね。やっぱアニメがすごいから人気になったんだろうなと。アニメは本当凄まじいデキと思う。毎週一瞬も気を抜かずにみてたもんな。だから「それ」なのかなと。

でもちがうよな。最終巻の畳み掛けと、これでもかこれでもかのダメ押し。それは本作連載分もそうだけど、オビにある「描き下ろし39p」もそう。これが正真正銘の全力39pだという。えーと、2020年初頭にあった「100日後に死ぬワニ」がdisられる原因となった「描き下ろし」のダメダメなやつと真逆の。あれで評判を下げたのと真逆でこれでかなり評判を上げるんじゃないかしら。

それで後日談というか子孫たちによる現代編がまた。ここで実は鬼舞辻無惨が生きていたなんで平成までの悪い悪習もなくスパッと終わったし(ま、現在はね)。この潔さが令和って感じよ。

本作できちんとささった小学生は幸せだと思う。ちゃんと「おもしろい」をばっちり受信できたわけだしと。これを最良と受け止めると、ムダに長続きするマンガ、各キャラが信号機のように死んだり生き返ったりするとかな。こういうのは「おもしろい」から外れるものとして認識されるわけだ。すごくいいことだと思う。

スタンスを告げるためにもあらためて断言しておこう。「長いマンガ」はダメ。少なくとも「1番おもしろい」ではない。それを小学生以下、いろいろひとが思い知ったことがとにかく痛快。これまでのマンガのセオリーである「人気があったらできるだけ続けよう」が誰にも文句をつけられない状態でぶち壊されてるのがいいんだよね。すごくパンクや。誰にってことでもないけどざまーみろっては思う。
(とはいえ、現状では少数派ではあるんだけどね。だけど世間に知らしめた功績は計り知れない)

もうひとつふと気がついたこと。最初からチェックしたわけでもないんだけど、本作、少なくとも手元にある19巻からはそうだけど、本作、タイトル以外、本編に見開きっていっさいないなと。
これもまた、電書に向けての配慮なのか、そういうスタイルなのかわからんけど、ちょうど見開きがガンガン使用されはじめた1970年代後半からマンガを読んでいるものとしては趣深い。
いろいろと変革のタイミングだったのかなと。やりすぎ都市伝説の関暁夫さんみたいなこと書いてますが。
見開きの効果というのはいろいろありますが、定番の効果としてはここで決めるってシーンで使われますよね。でも、そういうのがなくても迫力があるし脳内で補完ができますもんね。
なんたって映画よりマンガのほうが迫力があるという意見もみかけたくらいで。
文字だけの小説とちがい想像する余地がないからとマンガは軽んじられてきた。小説→挿絵入り→絵物語→絵本→マンガですかね。その理屈でいうと、すべて見開きのマンガを描くと迫力100倍ではないかと思ってましたが、そうはなってません。似たようなマンガはありましたしいま具体的なタイトルをあげようともしましたが単純に知名度も低くなったと思われるので省略します。毎回100p連載とかいって2ページおきに見開きを描いてたので急速に飽きられました。100pあるのに5分で読み終え内容がかけらもアタマに残らないシロモノでした。
本作のみならず見開きの効果はまだかなり有効ではあるかと思われますが、鬼滅の刃の効果で以後どうなるかとも。
最終巻は、最終決戦は、全ページ見開きでもおかしくないくらい見せ場が続いてますが、それで長引かせることを「是」としない作者の心意気はしびれますわ。

しみじみと空前絶後のマンガだと思います。マンガ史に残る「まぐれ当たり」だと思います。本作くらい魂を削っているマンガは過去たくさんあります。1球入魂で燃え尽きたマンガ家もたくさんいます。
何回も同じこと書きますが、その削った魂が100%、あるいは1000%でも100000%でもいいけど届いた読者がたくさんいたことです。これが「まぐれ当たり」ってことです。ここまでみんなに「おもしろい」ってしっかり万人に「同時に」受け止めてもらえたマンガということでは空前絶後です。それのほぼすべての評価は「魂の削り具合」ですよ。そこそこのデキを魂を込めて1000000%にしてるってことです。そういう結論にします。トータルで空前絶後になるかはわかりません。それはこの先歴史とアニメのデキが決めることじゃないかしら。

あと、小学生のココロをつかんだっていってるけど、小学生の数って減ってるんですよ?少子化ってやつです。聞いたことあるでしょ? 小学生が火付け役ってことじゃいろいろと解せない現象ではあります。
つまり、小学生と小学生のハートを持ってるひとが飛びついたと。がっちり受け止めたと。しかも男女とも。

と、まあ、素直にマンガをストレートにおもしろがって受け止めてもらえているって感じがするマンガであることがうれしいんですよね。しかも、あらゆる点で特異なところがあります。作者の長編デビューってのも功を奏しているところが多いかと。ベテランはこういうマンガをこういう描き方できないでしょう。それはONE PIECEの作者もいっしょですが、もっと「うまく」やってのけました。この「うまさ」は本当いろいろな解釈がありますが、うまくやりました。もちろんONE PIECEのほうでうまいところも多いですし、ジャンプ(だけじゃなく他)の各人気マンガのほうがうまいし、結果的には正解ではありますし、セオリーではあります。でも、それをぶっ飛ばしてこれです。

この先、最終回がアニメ化されるまではつきあいたいなとは思ってます。まあ、アニメのクオリティが落ちなければってことですが。

(あと最終巻で甘露寺さんのファンになりました。彼女よかったわ)

鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックス) - 吾峠 呼世晴
鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックス) - 吾峠 呼世晴
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2020年11月20日

異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物 - 光永康則, いのまる (少年画報社)






異世界ものです。銃オタクの引きこもりが改造銃の暴発で死にました。転生しデスクオークってテディベアっぽいモフモフな小動物になりました。
転生にあたり神様にチートを付与されました。銃のない剣と魔法の世界で銃を扱えるチートです。2キロ先から狙撃するわけです。そしてボインの女戦士をバディとするわけですよ。
すばらしい設定です。さすが「時間停止勇者」の光永さんの原作です。無駄を省いたシャープでクールでエロで斬新な設定です。
しかも、その設定がずっと活きてます。
遠くからどんな敵でもヘッドショットできるのですが、そこに、デスクオークというぬいぐるみ体型や徹底的に非力なことが枷になっている。女戦士はモフモフ好きだし清潔なので頻繁に入浴シーンもあるという。しかも、モフモフなオークだからエロエロになるわけでもない一線を守る感じ。
1巻の終わりでは女格闘家も現れて2人してエロエロで強強です。なおかつ2巻終わりにまた女性キャラが登場するという。

いのまる氏の作画も申し分ない。シックスパックでバキバキの腹筋にちょいとかたそうな女戦士(格闘家)ボインをうまく描いておりますし、やわやわなお姫様おっぱいとの描き分けもすばらしいし、敵の男やモンスターもばっちり。「玉キック」からの安定のコンビです。

[玉キック 1 いのまる 光永康則(少年画報社 ヤングキングコミックス): ポトチャリコミック]

こちらと設定は似てますがおれは本作のほうが好きかな。

異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物(2) - 光永康則, いのまる
異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物(2) - 光永康則, いのまる
異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物(1) - 光永康則, いのまる
異世界狙撃手は女戦士のモフモフ愛玩動物(1) - 光永康則, いのまる
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2020年11月17日

サバエとヤッたら終わる 早坂 啓吾 (新潮社)






サークルでいっしょのガサツで酒飲みでちゃらんぽらんなサバエさんですが、ボインでエッチでウマが合う。だけど、彼女とやってしまうと、憧れの桜井さんとの芽がつぶれてしまうので我慢するのですってギャグマンガ。

ま、読んでるひとほぼ全員が「やればいいのに」と思いながらも、ウザカワというよりウザエロなサバエさんとのやりとりを愛でるという具合で。

作者は「ゆとりやくざ」などの集英社で連載されている作品集もありますが、Amazon Kindleのインディーズマンガというカテゴリーで無料のマンガを多く発表されております。

[Amazon.co.jp 早坂啓吾 ]

とくに「ツッこんで お願いだから私にツッこんで!!」は他作品が4コマ形態なのに比べて、サバエ〜と同じコマ展開なので読みやすいです。ニュアンスも近いし。

[1話 ツッこんで お願いだから私にツッこんで!! | 早坂啓吾 | 青年マンガ | Kindleストア | Amazon]

この作品はそうですが、サバエのほうは写真背景も含めて書き込みが細かいですが、そのぶん、逆に雑に映るという、よくいえば「過渡期」。さらによくいえば「味がある」描画となっています。それとは別軸で2巻では飛躍的にサバエがかわいくなっております。ほんとサバエにのみ特化して画力向上してるので余計目立ちます。結果、ますますタイトルと設定がぶれて、「いや、サバエとやればいいじゃん」と思わずにいられないという。とくにAVでよくあるシチュエーションネタとかいいよなあ。試着室ではじめて店員に尋ねられて顔だけ出して応対するとかそういうの。

しかし、部屋に入れて2人でAVみて、向こうが乗り気になってギャグで腕ひしぎ十字固めとかしておっぱいやまたが腕にあたってる状況で平気でいるなよ!って変な寸止めでもやもやするな。

[家性婦とシタ1: 家政婦 | 早坂啓吾 | 青年マンガ | Kindleストア | Amazon]

やってるほうはこっちの無料マンガにたくさんありますわ。

しかし、サバエさんのネタ、番外編としてあらゆるバリエーションをつっこんでるので、もうこのネタは使えないよなあと思いつつ、3巻も楽しみに待ってます。

サバエとヤッたら終わる 2巻【電子特典コラボグラビア付き】: バンチコミックス - 早坂啓吾
サバエとヤッたら終わる 2巻【電子特典コラボグラビア付き】: バンチコミックス - 早坂啓吾サバエとヤッたら終わる 1巻: バンチコミックス - 早坂啓吾
サバエとヤッたら終わる 1巻: バンチコミックス - 早坂啓吾

1話 ツッこんで お願いだから私にツッこんで!! - 早坂啓吾
1話 ツッこんで お願いだから私にツッこんで!! - 早坂啓吾家性婦とシタ1: 家政婦 - 早坂啓吾
家性婦とシタ1: 家政婦 - 早坂啓吾
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葬送のフリーレン 山田 鐘人/アベ ツカサ 小学館





現在(2020年11月17日)2巻まで。12月には3巻が出る模様。週刊少年サンデー連載中。

中世RPGの世界。今だと異世界のほうが通りがいいですか。10年かけて勇者一行(4人)は魔王をやっつけて平和をもたらした。
そして50年後。みんなと再会します。「人間」はすっかり老いぼれている。でも、主人公フリーレンは長命であるエルフ族だから見かけは変わりがないわけです。
1話で勇者は「老衰」で死にます。「そこ」からはじまる物語。

1話が名短編そのもので。はじまり終わる感じに他がいらないように思うほどの完成度。でも、人生と同じで範囲指定でカット&ペーストした物語の「前」もあるし「後ろ」もあるわけです。本作はそういうものだと思ってました。

勇者たちにとって、そして彼女にとって、10年の勇者一行による魔王退治の物語は一生残るものだったのですね。あるひとにとっての戦争のように。つまりは戦後に戦争についてずっと語ってるひとがいらっしゃるじゃないですか。そういう感じでもありますね。

本作は各キャラが深く描かれていることで、とくにフリーレンはすごい。長命であること、魔法使いなことが関係あるのか死生観を筆頭にいろいろな価値観がちがう。それなのになんともいえない呑気さがある。それがほぼフリーレンの個性ってことなんだろうなあ。
この終わったあとの物語と「葬送」というタイトルが示すような抒情をベースとして静か。それに上記の呑気。だから黄昏の世界でほのぼのと進む系の物語かと思ってたんだよね。それこそ「ヨコハマ買い出し紀行」の異世界版みたいな。それが2巻の後半から急転直下の展開。

うむ。一筋縄でいかないのはなんとなく予想してたけどけっこうな展開だなあ。

3巻以降どうなるんだろう。


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2020年10月01日

ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜 瀬野反人 (KADOKAWA)







電子書籍で買いました。1巻が安かったかなんかで試し読みしたんですよね。

これが1巻1ページ目ですっかり目的を描ききるんですよね。
師事している言語学コミュニケーション学の博士がぎっくり腰で動けなくなるから、主人公が博士の引き継ぎをしていわゆる魔界に学術調査するという話。
そういうことを簡潔にシャープに手早く処理してあとは内容をお楽しみくださいという姿勢はとても好みだし、「むむむ作者やるな」と感動したのです。

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ワーウルフの村に行き、人間とのハーフの少女ススキと知り合い、ともに各国を巡る旅に出る。そして各地で出会ういわゆる魔獣、モンスター、亜人、なんでもいいんですが、彼らの言語学やコミュニケーション手段を探りつつも旅を続ける。

すごい設定ですよね。やっていることは、たとえばジャングルなどの未開の地の部族との交流や彼らの言語を探るという、1970年代から今に至るまで手を変え品を変え放映されていたTV紀行ドキュメンタリー風でありつつも(いやもっともっと昔の紀行文とか。宣教師が未開の地に訪れる的な)、それがモンスターだったりするので、彼らの奇天烈な文化を学んだり推測したりコミュニケーションを模索するというマンガになります。
全ての設定が素晴らしく有機的に結びついており、「見てきたんかい」ってディティールの細かさや実際の言語学やコミュニケーション学のたしかな知識の下敷きも相まって、すごく知的好奇心を充たしてくれる。なおかつ、各キャラ描画がとてもいい感じ。

たとえば、ワーウルフは嗅覚が発達しているので口と耳にたよらなくても臭いをかぎ合うことである程度がわかるのでことさらに喋らなくてもいい。
たとえば、スライムは聴診器のようなもので話を聞いて会話をする。振動をカラダで感じることで言語や感情を理解する。
などなど。

3巻が白眉なんですよ。

旅立ってきた村で冬ごもりをする。あらゆる種族がいっしょに冬をやり過ごす。それぞれがそれぞれの価値基準や意味をもって動く。それぞれが勝手に集めたものを持っていく。対価なのかよくわからないものを置いていく。廃墟に住むことができるようにしたと思ったら勝手に他の種族も入り込んだりする。それらを理解しようとしたり、わからないけど尊重しようと思ったり。
いっしょに長年冬ごもりしていた、老ケンタウルス。ある夜、目が覚めたらいっしょに住んでいたもので死んだ老ケンタウルスが家の外に放置されていた。彼らは合理的に動くんだなあと思っていたけど、自分にはわからない嗅覚により、彼の死を感知して外に出す。そして外の吹雪が止んだので葬儀をする。そして彼らの肉をみんなで食べる。

これこそが共存ってことなんだよなあと。異種間コミュニケーションということだなと。別のマンガのアニメのEDのタイトルですが。

ギスギスしたSNSを醸す面々にみならってほしいものだと。「みんなそれぞれちがうんだ」と。マンホールに宇崎ちゃんの絵があったくらいで自分の性を愚弄されたとかトンチキなことを思わなくてもいいんですよ。あ、思うのはいいんだけど、それを表明することはないんですよ。
そういうことを学んだ気がします。

異世界モノとして極北と思います。かなり高度なことをしつつもエンタメに昇華して各キャラがかわいいという。難しいことをされておられる。この作品の行きつく先はどうなるのかとも思いますが、本作が提示した異世界モノへの新しい道は評価したい。


ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜 コミック 1-3巻セット - 瀬野反人
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2020年09月30日

竜女戦記 都留 泰作 平凡社





有無をいわせない。そういう種類の作品があるじゃないですか。好き嫌いとか苦手なジャンルとかをぶっ飛ばした存在。それは本作と。

異世界ファンタジー。指輪物語やゲーム・オブ・スローンズとかの長大で重厚なダークファンタジーのクロニクルなやつ。ただし、舞台が和風。つまりは時代劇。

主人公の「たか」は日本髪を結った主婦で、ちょんまげを結った侍を夫に持ちます。その「たか」が天下をとる話です。「主婦が天下を取る物語」なのです。

1巻は天下を取る契約をかわして2巻からいよいよ急転直下の展開です。ファンタジー丸出しになっていきますが天下取りの物語にもなっていく。しかも3国に分かれている国のそれぞれの思惑が混ざりはじめる。主人公「たか」はどうやって天下取りの手がかりをつかんでいくのか。

奇天烈な展開やディティールに日本みたいで日本でない西洋人が考えついたあちこちのアジアが混ざり込んでいるおなじみのアレみたいな世界観。
それはいわゆるRPG以降の中世異世界の架空の国々をも思い出す。あれも国を特定できないですよね。
「天空の城ラピュタ」が欧米人にイマイチウケないのと似ているかも。あれは「欧米」のいいところをチャンポンで取り込んでいるからだとか。
それをかなり意図的にやっている様子。
なるほど、西洋風があるなら和風があったっていいじゃないかというシンプルなところからはじまったのかもしれないけど、それを実現させるまでにボーダイな知識とセンスを持ち込んでじっくりと組み上げている。どうしても史実に沿いたくなるじゃないですか。どうしても日本史のなにかになぞらえたくなるじゃないですか?それを絶妙な舵取りで「処理」している。よくある跡目争いや国盗りゲームなどを現実のそれに半端にリンクさせたりしないあたりのストイックさがいいかなと。

それでいて、エロもグロもナンセンスもギャグもファンタジーも「人間」もふんだんに盛り込まれている。広大なスケールも矮小な人心も丁寧に丁寧に描いている。

有無をいわせない娯楽を正面切ってぶつけてきている。

好き嫌いでいうと異世界もファンタジーも時代劇も政治的な謀略なども好物ではないです。ただ有無をいわせられない。「おもしろい」が溢れている。というかこれがつまらないはずないじゃないか。おれはそこまで自分の価値機運も好き嫌いにもゼッタイの自信はない。それがおれのいいところとすら思ってる。

ともかく。

そういうマンガです。2020年読むひとを圧倒させるマンガはこれです。ありがとうございます。3巻が楽しみです。今のうちに読んどけ読んどけ。

竜女戦記 コミック 1-2巻セット - 都留泰作
竜女戦記 コミック 1-2巻セット - 都留泰作
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2020年09月28日

美人女上司滝沢さん 4 やんBARU (ドラゴンコミックスエイジ) -



長いことマンガを買っている人生です。
1巻を買った以上は最終巻まで読み切る。定期購読の雑誌は隅から隅まで読むってのにも疲れてきた年頃です。コミックは1冊買い忘れたら「もういいや」だし、漫画雑誌は長らく購読してません。
だから、ポトチャリコミックにおいても「最高傑作!」とか「次巻が待ち遠しい!」なんて書いておきながらもうずっと買わないで存在も忘れているマンガは多いです。無責任ということに心は痛みますが、その痛みよりフトコロの痛みのほうが苦しいのでしょうがないのです。

マンガを買わない理由というのはいくつか具体的なものがあります。「つまらない」「つづきが気にならなくなった」「読み進むのがしんどい」などなど。
その逆は理由も逆になりますかね。「おもしろい」「つづきが気になる」「読み進むのが楽」と。

だいたい最近の目安は4巻かもしれませんね。そこまででフェイドアウトするのはする。

本作は4巻が出てるのを知らなくて「あわてて」注文するくらいでした。

おもしろかった。

タイトルのとおり美人上司の滝沢さんとその美人っぷりにドギマギする新入社員の武田くんとのドキドキラブコメ4コマとなっております。

いい大人のわりに初々しいラブラブな感じにじれったくなったのも今は昔の話。そのぬるま湯と進行しそうでしない「かったるい」展開が超好み。
気分によるとその「かったるい」が裏目に出ることもあるのですが4巻は大丈夫でした。楽しく読むことができました。新キャラもいい具合。コメディ要員の部長も登場シーンは限られてましたがおさえるところではきっちりおさえてありまして、大安定の4巻でした。

単行本では毎話描き下ろしでアイキャッチのようなカットが入ってます。これがずっとセクハラめいた、破廉恥なカッコを滝沢さんにさせていたものですが、今回はそれも含めてだいぶギラギラした脂が抜けた感じがありますね。おれがそう感じているだけの可能性もありますが。実際水着やエッチいカッコは相変わらずですが滝沢さんがちょっとなれている感じがあってそれがいいかなと。4巻ものあいだセクハラにあってなれるってのもなんだけどまあ水着くらいいいかってなった開き直りがね。

そして前記のマンガを買い続ける理由。途中で止める理由の大きなものに「なんとなく」ってのもあるなあと思ったり。元も子もないですが。でも「なんとなく」は侮れませんよ。いつかそれに適当な言葉がつくことがあるかもしれません。

美人女上司滝沢さん 4 (ドラゴンコミックスエイジ) - やんBARU
美人女上司滝沢さん 4 (ドラゴンコミックスエイジ) - やんBARUやんBARU KADOKAWA


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2020年09月11日

明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 ふせでぃ (文藝春秋)



セックス充になれない人生だった。だからセックス充がうらやましい。
でも、セックス充もいろいろと大変かもしれないぞとはSNSや各種メディアから学んだ。少し未だ疑っているが。

本作もそうだ。


大人の男女が
二人で会うと
お酒を飲むか
Hをするしか
選択肢がない



ですって! 聞きました奥さん?

セフレさんとエッチしてのセリフです。セフレのセリフ。

本作の主人公さんは平凡なOLさんで平凡なセフレがいる感じです。セフレ以上に好きなのにむこうはセフレだろうし、下手なことをいったらセフレの関係すら壊れるかもしれないので黙ってる感じです。

幸せかどうか自問自答する。元カレのことも考える。そしてセフレのことも考えると。

うむ。セックス充だよなあ。セックスのあいだは楽しいしかれが一緒にいてくれるのはうれしいと。

セックス充じゃないからよくわからないけどそれでも足りないなにかを探してる感じは欲深いと思いつつもそんなもんだろうなと。

普段遣いの孤独? 承認欲求の底に穴が開いててずっと漏れている状態?

焼き肉バイキングでたらふく肉を食って幸せなのにカレーも食べたいと思うような感じ?

NOTセックス充にはピッタリはわからないんだ。

台風のシーンがあった。台風にひとりでいる主人公にセフレがたずねてくれる話。台風の描写自体はともかくとして台風のあとの描写がとってもいい感じであった。
正直なところ、この題材で作風で、このキャラ絵描画はしっくりこない。その他の作画もかなり頑張ってるが発展途上にはあると思う。ただ、上記の台風のあとの描写にはすごい可能性を感じる。主人公の心情を表しつつ、あまり他ではみない台風一過表現。だからあらゆるところを突破するような気はするんだ。

うん。

明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 (文春e-book) - ふせでぃ
明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 (文春e-book) - ふせでぃ

posted by すけきょう at 13:34| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする