2025年10月24日

完結しました 断腸亭にちじょう ガンプ 小学館

断腸亭にちじょう(4)【電子書籍】[ ガンプ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
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断腸亭にちじょう(5)【電子書籍】[ ガンプ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
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断腸亭にちじょう(6)【電子書籍】[ ガンプ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
断腸亭にちじょう(6)【電子書籍】[ ガンプ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

完結しましたよ、全6巻。
マンガ家が突然のガン宣告。しかもステージ4。さてどうなる?マンガです。

断腸亭にちじょう ガンプ 小学館: ポトチャリコミック http://sukekyo.seesaa.net/article/502134535.html

元も子もないことを言えばガンになった作者がガンのことをマンガにしてて「完結」しているということです。
2019年にがんが発覚した断腸亭にちじょうは、2019年に断腸してにちじょうへと向かうのです。
寛解ってやつですね。めでたい話です。

そしてその状態じゃないとこんな名作は描けないわけですね。なぜか?マンガを描くに当たってのHPとMPって必要だからです。必要十分な状態で描かれたと推測します。

上記の感想文リンクでは3巻まででした。がんを宣告された絶望と世界への怨嗟がすごく描かれていて「がん」になった心境を掘り下げられてました。

4〜6巻でもそれがすごく変わってるわけではないし、6巻までで、手術、抗がん剤、放射線と3大がん治療を制覇された作者が「クソッたれ」っておっしゃってたような、「闘病」は続くし、それは多分にマンガ内の期間が終わったあとの現実時間の「いま」もそうじゃないかなあと思われます。

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ただ、「明るく」なった気はします。写真用語でいうと露出が高くなった気はする。コントラスト?ハイライト?わからないけど。
絵面もそうですが、内容もテンポやノリも。治療の見通し?出口が見えたから?よくはわかりませんし、もしかしてそれらも計算されての演出なのかもしれません。すごいマンガ家なので。
6巻通して読むとこれはラブストーリーだったのだと気がついてあわてて読み直してみると、本作はずっと一緒に暮らしているサテコさんへのラブレターであり、愛の話だったんだなと思い知らされます。

がん患者が隣に爆誕して不安と心配とともにすごしてくれる彼女のすばらしさがどんどんどんどんと蓄積していって、6巻で「離婚しよう」と切り出す。

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このあとのサテコさんの答えにもう!
でも、この「もう!」には全米が泣いた的な感動的シンプルなものばかりでもないのです。
おれはサテコさんの立場でした。おれの奥さんががん患者でした。
そしてサテコさんみたいにはなれなかった。
サテコさんの心情に踏み込んだ、どっちのモノローグも適当に混ぜ込んでくる成年コミック的なお手軽なやつじゃないので、サテコさんがなにを考えてるのかわかりません。でも、少なくとも物語の主人公(作者)が「いろいろ」と考えられてたことや渦巻いて蠢いて出たり引っ込んだりする感情を同じ時間身近で受け止めていたり自身も感じて考えていたことはまちがいないわけです。
その末のサテコさんの回答、そして、さらにとどめのシーン。
ああ、尊いラブストーリーだ。

手塚治虫文化賞「新生賞」受賞!『断腸亭にちじょう』の新刊が発売!! | 株式会社小学館のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002162.000013640.html

このお祝いイラストがサテコさんとのツーショットも当然なのだねえと。

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そしてそれは「にちじょう」としてまだ続いている。

なんと尊い。

羨ましい。だが後ろめたい。おれはいまも反省ばかりしてます。あのときどうしてああできなかったのかとか。ああいえなかったのかと。ふいに思い起こされます。
そんなメソメソ野郎の個人的な事情を抜きにしても本作はすばらしいものです。
伴侶がいるという奇跡を考えます。
全6巻の闘病記をエンターテインメントととしてまとめてしまった作品を前におれがいえることは「次回作期待してます」だけだなあと思いました。




そして!

こんな素晴らしい作品の4-6巻は電書だけなのですね。紙の本が出ていない。ぜひとも紙の本で全6巻出してください。そうしたら予約して6冊買います。(おれ電書で買ってたんですよ)

編集の方!昨今の厳しい(らしい)出版事情のなか、電書でも出していただけたことはとても感謝ではありますが、ナニトゾ!紙の本もお願いします。

ナニトゾ!

断腸亭にちじょう(4) (サンデーうぇぶりコミックス) - ガンプ
断腸亭にちじょう(4) (サンデーうぇぶりコミックス) - ガンプ
断腸亭にちじょう(5) (サンデーうぇぶりコミックス) - ガンプ
断腸亭にちじょう(5) (サンデーうぇぶりコミックス) - ガンプ
断腸亭にちじょう(6) (サンデーうぇぶりコミックス) - ガンプ
断腸亭にちじょう(6) (サンデーうぇぶりコミックス) - ガンプ
posted by すけきょう sukekyo at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月15日

死ぬまでバズってろ!! ふせでぃ (文藝春秋社)

死ぬまでバズってろ!! 1 [ ふせでぃ ] - 楽天ブックス
死ぬまでバズってろ!! 1 [ ふせでぃ ] - 楽天ブックス
死ぬまでバズってろ!!2 [ ふせでぃ ] - 楽天ブックス
死ぬまでバズってろ!!2 [ ふせでぃ ] - 楽天ブックス

献本。
全2巻。
ドラマ化!

死ぬまでバズってろ!! | ドラマ特区 | MBS 毎日放送
https://www.mbs.jp/shinubuzz/

東京底辺フリーターの底辺YTUBERがバイト明けの愚痴を配信しているときにひき逃げに出くわして配信する。そして一躍注目される。
そいで話題になることで承認欲求モンスターになり登録者数を増やすことをすべての最優先に突き進んでいく話。

主人公がかなりめちゃくちゃやる。バズのために命がけでモラルもなんもかんもぶっ飛ばしてアクセル全開です。
そうなると感情移入とかしにくくなるしドン引きする行動も多いんですが、いろいろな立場の人を巻き込んでなおかつマイペースでグイグイといく。なかなか見かけないタイプ。

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そしてそのエスカレートぶりはかなりなところまで到達する。うん、だから、ぶっちゃけ実写ドラマ化でどこまでやるんだろ?ってところまでけっこうすごいことになるよ。

明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 ふせでぃ (文藝春秋): ポトチャリコミック http://sukekyo.seesaa.net/article/477333256.html

5年前の作品。台風一過のシーンがとってもいい感じだったけど、本作はそれを超えるシーンが多いし、1巻と2巻でも作画が変わるくらい進化していってるなあ。

よく、絵と話が合致してないとちぐはぐなモノになってしまうと考えてます。高橋源一郎氏も小説家はおもしろい話しを書くだけでいいけど、マンガ家は絵と話が必要だから大変だと書かれております。

本作は絵に見合った話です。しかも、背景も含めてあまり定規を利用してないフリーハンドで描かれております。ビル街とか緊迫するアクションシーン(これがすごい)をガリガリと描ききってます。破滅型で爆破型の主人公とその活躍を余すことなく描ききってます。迫力あるし、フリーハンドっぽい絵でのアクションシーンはわけのわからない迫力があります。
バイクに乗ってビル街を疾走なんて実際描くと目が回る大変さだろうなあと思ったりします。

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このすごい絵をみたものだからドラマはこれに追いつくことができるのか?と思ったりしました。

全2巻すっきりはっきり駆け抜けて後味もいいのでドラマとも併用して楽しみましょう!

死ぬまでバズってろ!! 1 (Seasons) - ふせでぃ
死ぬまでバズってろ!! 1 (Seasons) - ふせでぃ
posted by すけきょう sukekyo at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月13日

初老の娘と老母と老猫 松本英子 朝日新聞出版

初老の娘と老母と老猫 再同居物語1 [ 松本英子 ] - 楽天ブックス
初老の娘と老母と老猫 再同居物語1 [ 松本英子 ] - 楽天ブックス
初老の娘と老母と老猫 再同居物語2 (Nemuki+コミックス) [ 松本英子 ] - 楽天ブックス
初老の娘と老母と老猫 再同居物語2 (Nemuki+コミックス) [ 松本英子 ] - 楽天ブックス
2025年は老いや死についてのマンガをたくさん読んだような気がします。
気がするとしたのは覚えてないからです。これもまた老い。
実際老いています。かなりひどめの大病で半年入院して退院したために老いにブーストがかかりました。
なお、入退院してた2023年は闘病マンガをようけ読んでいました。
いまの自分に即したものってなにかと集まる説。

全2巻。
「謎のあの店」「荒呼吸」「49歳、秘湯ひとり旅」などのお出かけ系エッセイコミックが得意の作者が23年ぶりに老母と老猫の住んでいる実家で暮らすというエッセイコミックです。NOTお出かけ、あるいは別の意味の「お出かけ」とはいえるのかもしれません。

それは「老い」がつきまとう人生の送り方。老いを生きるという旅というかお出かけ。
ってね。

本作、老い、そして「死」がとても身近。80歳の母と52歳の作者。なにかと体調が不安な母、作者も自身の老いを自覚する瞬間が増える。猫マンガも描かれてる作者だが、本作での老猫はあまりエピソードに出てきませんが猫も老いてます。

全2巻。2巻の終わりころともなると、母が83歳、作者が55歳となります。月刊連載で2021年から2025年まで。

1巻はタイトルとここまでの概要から想像できるものとあまり遜色がないです。編集の煽り文句である「共感の嵐」「わかりみが深い」等等。「老い」あるあるが多数。
ただ、徐々にでもあるが2巻からさらに「死」あるあるがグググと入り込んできてその説得力がすごいんだよね。

2巻冒頭から初のつづきでふたりの喧嘩がはじまる。やかんで湯を沸かしてるガスコンロの火が強いのがいやという母の訴え。些細なことだけど、長年親子をやってると「些細」な不満は限りなく積立られてひと財産になっていく。そして「もう一緒に暮らせないから私はホームに入る」と母が宣言する。
んまあ、「些細」ないざこざが頻発するのはそれが些細だからで、ホームに入る云々もよくあることでまたいつもの生活に戻るのですが、そのループは徐々に弱まっていくんだよね。
ネタバレ書きますが、初老も老母も老猫もどうにかなるわけではないです。マンガの間では。
ただ、全員が平等に老いていき不調が出てくる。
そしてその先には抗いようのない「死」が待っている。
この「死」のムードがマンガ中にあふれているのが2巻です。体裁は1巻同様、老いあるあるの風でいて、老い=死って事実がどんどんの腹の底に重く硬く育っていき「下」へと引っ張っていかれる感じはどんなホラーマンガより怖いよ。あと100年は生きようと思っているんだけどやっぱり死ぬのは怖いよな。

最終話、大晦日。年越しそばを茹でるのを失敗する。生そばを茹でるのは大晦日くらいで去年も失敗した。来年は忘れずにうまく茹でよう! 来年?
と、去年もそう思ったときに、「いま」どうなっているだろう?と想像していたことを思い出す。そして「来年」もそう思えますようにと。
こんな終わりです。
すっかりネタバラシしました。
でも、大丈夫です。あなたが思ってる何倍も胸にきます。素晴らしい描写です。ネタバレでも安心できると思います。
そしてあなたも「死あるある」にふれいろいろ思ってください。

って〆るつもりだったけど、これって自分が普通に死が近いから余計に身にしみてるだけで、まだまだ元気な方には上記のほがらかずっこけ老老エッセイコミックなのかもしれないよなあと。
そういう方はぜひ紙で買って(電書だと埋もれてしまうから)寝かせて置かれるといいですよ。で、人類平等の老いやニアデスになったときに読む直されるといいかもしれません。

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初老の娘と老母と老猫 再同居物語(1) (Nemuki+コミックス) - 松本 英子
初老の娘と老母と老猫 再同居物語(1) (Nemuki+コミックス) - 松本 英子
初老の娘と老母と老猫 再同居物語(2) (Nemuki+コミックス) - 松本英子
初老の娘と老母と老猫 再同居物語(2) (Nemuki+コミックス) - 松本英子
posted by すけきょう sukekyo at 18:41| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月12日

父を怒らせたい おかくーこ 小学館

父を怒らせたい(1)【電子書籍】[ おかくーこ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
父を怒らせたい(1)【電子書籍】[ おかくーこ ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

暴君で毒親な大嫌いな父が末期がんになり余命宣告まで告げられ、酸素吸入器をつけて家にいる。些細なことで狂ったように怒っていた父ががんになりどんどん大人しく小さくなっていく。
そんな父に主人公はまた在りし日の怒る姿を見たいと思うようになり、父に怒られていたことをあれこれ試していく。
そういうあらすじで全3巻。

3巻の生前葬がクライマックスとなり、生前葬のために奔走することではからずも父の足跡をたどるというダンドリとなっております。

絵の魅力。
やさしいタッチなれどディテイールが細かくしっかりしててこだわりが随所にある。
たとえば主人公の幼馴染?の酒屋のたまきが遊んでるゲームがなにかわかったりな。スイッチのTVモードだとブレスオブザワイルドやってて携帯モードだとBrotetoやってるなとか。質感のある家具や家、グレードもわかるね。
随所に「どうだ!」ってバンとくる風景もすごい。
舞台は大阪っぽい。関西弁の地域。大阪な感じはすごいある。
リアリティとマンガ的な記号とエフェクトのブレンド具合がいちいち魅力。椅子のメーカーが特定されそうなくらいなのにおひさまはざっと丸に放射みたいな。そこらへんの匙加減。自身の世界をモノにされている。
「この絵だからこそ」って決まり具合がとても気持ちいい。絵と話のシンデレラフィット(知らん言葉で使ってみたけど合ってますか)。
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当然、キャラもこだわっています。
主人公の複雑な思いとその半年の波乱の生活で変わる気持ち。ずっと献身的にひょうひょうと父親の面倒をみてきた母親。父に嫌気がさして10年実家に寄り付かなかった姉や、まだ存命だった父の両親とか。
名前すらない主人公の仕事先の先輩なんかの設定も細かくありそうに思える。なかなか「食えない」キャラが立った言動を見せる。善人の悪も悪人の善もぼんやりした感じでいい。悪人らしい悪人はいないんだけど。

人の生死って崇高なことを語るでもなく、エモエモに泣き泣きの展開をするでもなく、でも、それでも、じわじわと「感動」は蓄積してはいきますが、それもドーンと爆発させるでなく、ってか、ことさらに、でも、うん、父は死んでいくのよ。

ま、ここらへんはね。おれも両親や奥さんががんで死んでるからね。ただ、こんな面倒みなかったなあってことに負い目を感じるくらい物語の母親も主人公も面倒みてるなあ。えらいわ。
男の子は面倒みないって本作にもあったけどそういうことなのかなあと。

主人公が生理の日なのに彼氏に求めてこられて「こいつとのセックスハマってないのになあ」と思いつつも嫌われたくない一心で応じて、ハマってないうまくいってないのを父親の病気のせいにするってシーン。
ずっとひょうひょうと主人公や姉に対応しつつ父親の面倒もみてた母親が唯一くらい涙ぐむシーンがとても刺さったな。

あと、生前葬が終わってからがとてもいい。物語のとどめの見開きも。

あんまりおもしろいのでKindleにあったエッセコミックも買って読んだ。こっちもおもしろい。

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次回作を期待しつつ待望しつつ切望してます。

父を怒らせたい(3) (ビッグコミックス) - おかくーこ
父を怒らせたい(3) (ビッグコミックス) - おかくーこ

にんげんのくらし 1 エッセイ風ストーリ漫画 - おかくーこ
にんげんのくらし 1 エッセイ風ストーリ漫画 - おかくーこ

くらしのひとこま 1 〜1Pエッセイ漫画まとめ〜 - おかくーこ
くらしのひとこま 1 〜1Pエッセイ漫画まとめ〜 - おかくーこ
posted by すけきょう sukekyo at 09:53| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月11日

緑の予感たち 千葉ミドリ トーチコミックス

緑の予感たち(1巻) (トーチコミックス) [ 千葉 ミドリ ] - 楽天ブックス
緑の予感たち(1巻) (トーチコミックス) [ 千葉 ミドリ ] - 楽天ブックス

短編です。でも1巻です。短編シリーズってことなんです。毎話読み切りの短編オムニバスの作りになっております。

夢がテーマなのかしら?


忘れられ
ない夢、
頭の奥に
焼きつく
景色。



帯より。
端的ですね。

解像度が高くて解像度が低い夢についてよく描けてる短編が4本(+2本)収録されています。
夢といってもいろいろあるじゃないですか?すごくストーリー仕立てになってるものとか、断片的なエピソードが辻褄の合わないままつながっていったり、自身はそうなってるって納得してるが不条理でしかない状況、そういう解像度の低い夢としかいいようのない「夢あるある」のあれこれを明確ですごい作画で解像度高く描かれております。

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みんな肌触りのちがう夢ってのがまたすごいんだよね。夢っぽいマンガや映像ってつくるひとは多いけど作風はわりあいと固定されてる事が多い。でも、本作の4本は全部ちがうけど全部「夢」なんだよね。この技術や感性にしびれるのです。

夢でカッパの理髪店にいて髪を切られる夢をみる。その話をしたら「その店を知っている」と電車に乗り継いで目指す「カッパの理髪店」
職業時間飛行士と書いた謎の男が温泉旅館に2週間泊り込んでひたすらゲームコーナーのゲームを遊んでいる「未来の星の下」
バザーの前日、出品する商品の整理をして準備をしている親に混ざっていると、とてもおもしろい絵本をみつけて絶対にほしいと思っていたのに盗まれる「あちほ、どこにいるの?」
小学校で囁かれる都市伝説。生徒の靴を盗み木の上からぶら下げる妖怪。その噂に翻弄される教師「靴去る」

黒田硫黄氏を連想させる筆で描いたと思しき(わからないですあやふやです)画風を基底としながらも、それぞれの話に合っている絵として丁寧にチューンされており、作品ごとに与える印象が全然ちがうし、その感じがまた「夢」の「リアル」さを際立たせている。

話も起承転結がはっきりくっきりしてる方の「カッパの理髪店」「未来の星の下」に、ワケのわからないにもバリエーションってものがあるって気づかされる「あちほ、どこにいるの?」「靴去る」と各話読後「?」と「ワーオ」が混在するカオスっぷりがまた夢の感じ。

加えて同人で発表された掌編2本も夢の感触。

翻って主語が大きくなりますが、マンガってすげえなあという感想になってしまう。
2025年いろいろと短編集(2025年発売じゃないものも含む)を読ませていただきましたし、名作だらけの中で、とりわけ印象深かった1作が本作です。

「未来の星の下」をwebで読んでいて、鮮やかでいいしラストページ最高だったなあと思ってて、「そうとは知らず」本書を手にしてたのです。前記の通り作風画風が作品ごとにちがいますからね。表紙からそれと気づかなくて、本書は本書で「おもしろそうだ」ってカンで手に取っていたのです。
だからサプライズ+オトクでした。

しかも1巻だから2巻も出る!とてもうれしいですね。

https://to-ti.in/story/midori_kappa

「カッパの理髪店」を読むことができます。

ワンタンワンがかわいいです。ワンタンワンと言うよりシューマイワンな気もしますが。

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緑の予感たち (1) (トーチコミックス) - 千葉ミドリ
緑の予感たち (1) (トーチコミックス) - 千葉ミドリ
posted by すけきょう sukekyo at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月10日

ホイホ・ホイホイホ ほしつ ムービーナーズ

ホイホ・ホイホイホ(1) (ムービーナーズ) [ ほしつ ] - 楽天ブックス
ホイホ・ホイホイホ(1) (ムービーナーズ) [ ほしつ ] - 楽天ブックス
あたくしは生きるにあたり1番大事なものは笑いと思っております。
ただ長く生きるほど笑えないことばかりでどんどん笑わなくなっていくななんて発見もあったりしつつ最近はあまり笑っていません。
マンガでもテレビでもネットでも。
とくに笑わせることを至上目的にしてるギャグマンガ自体で笑えなくなり気味なのでギャグマンガが好きなものには辛い日々です。
あるいはそれはあたくしの感性が鈍く硬く小さくなったから笑えなくなったのかもしれないと思いはじめてきていますが、人間は自分のことをタナにあげてしまう生き物のなので(もしかして生き物全般がそうなのかもしれない)世界が悪いと思いこんでいます。草間リチャード敬太がいま全力で「ひき肉です!」をしたらあるいは!

いやまあ戯言にしては長くなった。

本作ギャグマンガでとてもおもしろく何度も声を出して笑いました。もうそれだけでノーベル平和賞です。

JKの昆布川さんは突然超能力を使えるようになります。そして友達2人とトリオでドタバタほがらかギャグマンガライフを繰り広げるというシンプルなあらすじになっております。

3話の部活動勧誘あたりから急加速がついてきます。こんな部活動誰も思いつかないって奇天烈な部活に勧誘されるんですよね。

「なんでもあり」っていい言葉ですよね。マンガにこそふさわしい言葉です。毎話超能力がちがうしシチュエーションもちがいます。JK3人組が出てくるのはいっしょです。
ギャグ未満の日常系クスクスマンガってジャンルあるじゃないですか。女性しか出てこないマンガ。それはそれでおもしろいし需要があるのですが、そのジャンルがあったからこそギャグマンガは衰退していき、皮肉なことにそれがあるからギャグマンガは命を繋いでいたと言えるのかなとも思うのです。
女性の可愛らしさによって繋いでた時期があるんですよね。死語になりましたが、萌えですね。萌えマンガ。懐かしいですね。
萌えマンガといえばJK。JKといえば萌マンガって、JK3人出しておいてこんな「なんでもあり」な純ギャグにできるなって素晴らしさありますね。昭和ギャグなんですよね。しかも、平成よりちょっと前の。そこらへんの「なんでもあり」がいい。令和にチューンされてはいます。

それでいて7話がまたちょっとその日常系JKマンガらしさもあったりして巻の終わりを彩るにふさわしいちょいほんわかがあったりな。

なおかつコミックおまけの描き下ろし2本立てがまた最高という。最後にドーンと笑いました。

よくできたゲラゲラ笑えるギャグマンガです。お笑いの価値観や基準があいまいで毎分毎秒移ろいで行く昨今で、笑うより不謹慎だのなんだので目くじら立てる阿呆が多い昨今です。でも、だからこそ、笑いが貴重だし、なんとなれば笑いこそがその突破口になると思うのですよね。というか突破してくれって祈念すらしています。

と、そういうことをこのマンガやお笑いに託すのはちがうのですが、でも、笑えたのでありがたい。また笑いたい。そういうことを考えました。
(笑いのツボや価値観はひとそれぞれだからあくまで「おれの場合」ってこともいちおう書いておきます)


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ホイホ・ホイホイホ1 (ムービーナーズ) - ほしつ
ホイホ・ホイホイホ1 (ムービーナーズ) - ほしつ
posted by すけきょう sukekyo at 20:47| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月09日

サレ妻漫画家の旦捨離戦記  楠桂 大洋図書

サレ妻漫画家の旦捨離戦記(5)【電子書籍】[ 楠桂 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
サレ妻漫画家の旦捨離戦記(5)【電子書籍】[ 楠桂 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

マンガ家楠木桂氏がエライ思いして結婚して出産して幸せに暮らせていると思っていたけど、そのダンナは愛人と15年W不倫し続けていたってのを暴露した話。

9巻で完結。単話売りで1話あたり20ページちょっとで9巻。だから紙版の単行本換算で1巻分くらいかね。1巻110円なのでお値段も紙版1冊くらい。

悪意しかないダンナや愛人や義母などの描画(とくに愛人の描画が)、客観的な事実を並べつつも、どこまでいっても主観視点(それはしょうがないけど)なんだけど、不倫ってことはまちがいないからね。そりゃボロクソ描く「権利」はあるわけだって感じ。

ただまあ描きたくなる気分がわかるくらい地獄でさ。
それを「ぶちまけてやる」ってイキオイで描いてるのでかなり明け透け。これを読んでいるあなたの想像の10倍以上明け透け。リベンジポルノであるリベンジコミックとなります。

多分に正しくあったことなんだろうが、旦那がまあすごい。不倫され、それが発覚したあとにもいろいろあるから(子供のこととか)、一緒に住んでいるときの感じとか。
そのときの作者の取り乱し様とかまあ明け透けだし、それを「ちゃんと」描いてるのがまたすごい。
「そういうの」に特化したエッセイコミックはあまり読んでないけど、日常エッセイコミックを長らく描いてる人気マンガ家はどういうわけかけっこう離婚している。日常を描くから報告はしてしまう。でも、そこらへんはぼやかした描き方が多いです。
それはまあ、どうしても露悪的なことだし、どうしても思い出したくないことだし、マンガ化するってことはかなりな労力と気力が必要だしね。本作もその理由で「連載」というカタチになってました。

不育症戦記〜生きた赤ちゃん抱けるまで〜【電子書籍】[ 楠桂 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
不育症戦記〜生きた赤ちゃん抱けるまで〜【電子書籍】[ 楠桂 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

「不育症」の作者が「どうしても2人目がほしい」とトライにトライを重ねて30代をほぼ妊娠しながら悲しみにくれて、ついに40歳で、2度の死産から子どもを授かったという感動(ん?そうかって思うところも多いが)話の「続編」って考えるとまた凄まじいんよね。
そして、その作品の終盤あたりから不倫がはじまっていたってことも。そう考えるとこのハッピーエンドの手前から旦那はすでにあちこちでおかしいってわかるのがまた。

この話で1番気持ち悪いのがダンナの友達がみんなして不倫を隠して庇って擁護してたこと。本当に気持ち悪い関係だ。
とくに、愛妻家の仲間を巻き込むのは悪いって愛人とのことを唯一教えてなかった仲間が、離婚のドタバタでそれを知ったとき「おれはこれからは旦那の味方をしてしまう(なぜなら友達だから)」と作者に言ってのけるあたり。
いやまあ考えてみれば作者は旦那の妻で「知り合い」でしかないが、旦那は大事な集まり(釣りと外車友の会だって)の大事な友達だからしゃあないとはいえるけど、そういうことを妻(作者)に言ってのけるかね?とは。

しかも、さらに地獄なところは、愛人はその集まりのひとりともさらに関係を持ったりしてるのね。
おれはこういうタイプの友情に触れたことがないからわからないんだけど、その関係に頭がおかしくなりそうだ。
ただ旦那もその関係を非常に大事にしてるみたくて、離婚届に名前を書いたのも、そうしないと仲間全員を不倫の擁護をしたって訴えるって作者が脅したからという。
んー、気持ち悪い熱い絆で結ばれた友情。

そしてそういうことを「ちゃんと」描いてある地獄。

それも含め、作者も含め、この世界の人間関係が気持ち悪いしかない(ま、子ども以外→子どもの言動も「ちゃんと」描いてるんだよ)。
おわかりだろうと思うが「描ききって」る作者もそうとうどうかしてる。
不倫はダメだね。戦争の次くらい疲れるし消耗するな。
そういうことがかなりわかる。ここしばらく読んだどんな話より心に粘りつく後味の悪さがある。ぐったりするよ。
そういう意味で名作。

そして作者の名前を画像検索すると旦那との2ショットで15年不倫マンの顔がわかってしまうというトドメまである。

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サレ妻漫画家の旦捨離戦記(1) (女たちのリアル) - 楠桂
サレ妻漫画家の旦捨離戦記(1) (女たちのリアル) - 楠桂
posted by すけきょう sukekyo at 18:06| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年10月08日

ROCA コンプリート いしいひさいち 徳間書店

ROCA コンプリート (ジブリコミックス) [ いしいひさいち ] - 楽天ブックス
ROCA コンプリート (ジブリコミックス) [ いしいひさいち ] - 楽天ブックス

いいですよ

感想文で紹介文だとこれに帰結するところを手を変え品を変えするしかないのですが、それは創作者も同じですね。結局、いい作品を作るって方に向かって模索するしかない。しかもデビューから筆を折るまで。

新聞4コマ内のシリーズ連載みたいなカタチで作品ははじまります。
その後、同人にまとめたものが反響を生み、コンスタントに2作発表されて、3作を分厚い1冊にまとめメジャー出版社から出ました。
音楽みたいな話です。インディーズ活動から出していた作品集を集めて満を持してメジャーからと。

本作がおもしろいのは作者があとがきでもお書きになられてるように、ひとつの話、田舎のJKロカがファドというポルトガルの民族民謡の歌い手としてメジャーになっていく。このひとつの区間のひとつのストーリーから、無限にエピソードを汲み出し続けていることです。
コンプリートと銘打った本を出されたあとも「新作」が発表されております。

新しいです。
あの、クールでドライでシニカルでニヒルでスチャラカで4コママンガのフロンティアないしいひさいち氏がメロいのを描いてるということがすでにして新しいですが、ロカと柴島さんの親友でもない百合でもない親分子分でもない家族でもない言語化できない関係性がとりわけ素晴らしいです。
リアルさも内包していながらいかにもマンガ的なそれぞれのキャラもどこから生まれ落ちたのかと思います。
人見知りがすごいロカがファドというあまり知られてない、そして聴くとインパクトしか無い力強い歌声の持ち主で。街1番の姉御肌のような長身、美人、喧嘩っ早い、柴島。その組み合わせ。そしてなんかあると柴島の後ろに隠れる感じ。

そして、逆SFとでもいえるタイムループと考えるとすごく新しいかなとも思います。
ある区間の出来事。毎回繰り返し起こる。それを改変させるために奮闘するってタイムループの話がよくありますよね。
本作は前記の通り、決められた区間のふたりを繰り返しパッチワークのように、スケッチ(モンティ・パイソンとかでいうところのスケッチ)のように描いております。でも、「同じ」話に帰結します。彼女らはそれを知らずに奮闘して汗かいて泣いて笑って怒ってその区間の終了にたどり着きます。
スジがわかっている話でもおもしろいってのともちょっと違うんですよね。それぞれのエピソードは新作ですから。それだと永久に同じキャラが同じ「瞬間」を過ごす新聞4コマと同じようでありますが、それぞれの3本に分けられた作品は、同じ話をちゃんと時間を沿って終着地まで進んでいくんですよね。
高校生のロカがファドを街角で歌い、評判となり、プロとなり、名声を獲得していくというストーリーが展開していき、その流れから新エピソードができていくのです。ラストまで。
期間だけ繰り返し描くってスタイルは新しいしストイックだなあと思うんですよね。

多くは語りませんがそれが切ないんですよ。でも基本はユカイ4コマなんですよ。どこよりもちゃんと起承転結です。それなのに起承転結のどこからでも「切ない」を切り出してくる。

シンプルな少なめの線で描かれてるのになによりも雄弁と。いしひさいち氏ってあのタブチくんとかおじゃまんが山田くん(ホーホケキョとなりの山田くん)のだろ?って思ってると驚きでひっくり返ります。
4コマスタイルではない「金色に光る海」はとくに絵のすごさがわかりやすくてすごいです。

そして1番すごいのは「まえがき」と「あとがき」です。ここに1番いしいひさいち氏らしさを感じました。

いいですよ

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ROCA コンプリート (ジブリコミックス) - いしいひさいち
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2025年10月07日

その着せ替え人形は恋をする 福田晋一 ヤングガンガンコミックス

その着せ替え人形は恋をする(15)(完) (ヤングガンガンコミックス) [ 福田晋一 ] - 楽天ブックス
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【楽天ブックス限定全巻購入特典】その着せ替え人形は恋をする 12(完全生産限定版)【Blu-ray】(オリジナルTシャツ+描き下ろし海夢イラスト2Lキャラファインマット2枚セット) [ 福田晋一 ] - 楽天ブックス
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15巻で完結しております。
ギャルでクラスカースト上位の喜多川海夢(きたがわまりん以下まりん)さんは実はオタクでコスプレイヤーを目指してました。そいで雛人形職人を目指しているカースト下位のなんでもない男が人形の衣装も作っているということでコスプレ衣装を作るようになる。
そいでもってまりんさんのほうから好かれて、そんな自分なんて恐れ多いって思ってた主人公とも両思いになりめでたしめでたしとタイトルを回収します。

タイトルはダブルミーニングなんだなあ。

本作での登場人物はそれぞれ「好きなもの」について葛藤する。好きなものの中心にあるのはコスプレですが、それぞれ「好きなもの」に対して「好きでいていいのか」「恋をしていていいのか」と葛藤します。
主人公五条くんは祖父の影響で雛人形を作ることに一生懸命ですが幼少期にそのことを馬鹿にされたためにそのことをひた隠しにしてなおかつ学校つきあいも抑えめにしております。でも、まりんさんと出会うことでいろいろと世界が広がり世界が変わっていくのです。
ただ、終盤はそのまりんさんのおかげでまた落ち込むことになるんですよね。

まりんさんも五条くんの超絶技巧と持って生まれた美貌と「好き」でコスプレ界でドワーってなりますが、その状況を「私の「好き」とはちがう」なんて悩んだりもするんですね。

他メンバーもそれぞれにコスプレ他の自身の「好き」にまつわるいろいろな悩みや問題を抱えております。でもそれぞれが「好き」を貫き通すことで突き進んでいくのです。

かように「好き」に没頭して極めようと研鑽することはかくも尊い作業であることをこれでもかこれでもかと手を変え品を変え角度を変え切り口を変えキャラを変え描いております。

追加していくキャラが全員それってなんかすごかったですね。キャラとして主人公ヒロインの恋の鞘当てという役割が全くいないのはわかってましたが、みんな苦労してコスプレという趣味に恋しているってキャラなのは考えてみるとなかなかなことと思ったりします。なんかほとんど宗教のようです。
推し文化や尊いって、昨今の「オタク」がそれと同義語になってますが、おれの思ってる「オタク」ってそれとはちがう気がするんですがまあ同義語ですよね。
この盲目的に崇拝する感じ。自虐をこめての「保存、普段遣い、布教配布」って3セット揃えるとかがある瞬間から推し度合いをアピールするためのものになった瞬間に、「それって「オタク」ではない」とは思ってますがまあれはそれで。業界も儲かるし、それを軸に売り出したり商売にしてるもんね。否定したらダメなところです。
そういう「オタク」とはなんぞや、推しとか「好き」とはなんぞやと、改めて考えたりするのですね。

そのテーマとは別に14巻での怒涛の告白大会がまたマンガ史の残るくらいのインパクト。最近の男性向けの恋愛モノのたっぷりの尺をとっての告白大会ってトレンドですが、そのなかであっても感動よりインパクトを優先させてるので余計に心に残りました。
そのメインふたりの大団円後の展開もおもしろかったです。
ヒロインのまりんさん本当「いい女」ですね。

余談タイム
アニメのデキが本当にいい。すげえ正直なところ2期放映分にあたるところは上記の理由で原作がだるかった。コスプレが尊いってのはわかったけどくどいし多いし長いと思ってたんだよね。
ガラスの仮面あたりからそうだけど、読者にテーマを繰り返し再認識させることは大事だけど同時にまたか(だるいんだけど)ってなるって両刃現象。
着せ恋もその現象に陥ってるし、アニメの2期にあたるところって本作に限らず全般的にそういうところにありがちですよね。他キャラを掘って地固めし直す時期というか。
ただ着せ恋の2期はそこらへん原作に無いファクターを追加したり整理したり声優の演技によりキャラをグググと立たせ、よりわかりやすく明確になったわ。それでおれも原作を再確認して「そうか」といろいろ気がついたのでした。
アニメも3期はやるんですよね。楽しみにしております。14巻から15巻の怒涛の展開をアニメでどうするか。そっちのほうは原作のインパクトがすごいですがアニメでどう演出するのかと。いまから楽しみにしてます。

1期のED好きだったんだわ。


その着せ替え人形は恋をする 15巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス) - 福田晋一
その着せ替え人形は恋をする 15巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス) - 福田晋一
その着せ替え人形は恋をする Season 2 TVアニメ公式ファンブック 嬉しすぎてブチ上げよいちょ! - 福田晋一
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2025年10月06日

ショーハショーテン 浅倉秋成’&小畑健 (集英社)

ショーハショーテン! 11 (ジャンプコミックス) [ 小畑 健 ] - 楽天ブックス
ショーハショーテン! 11 (ジャンプコミックス) [ 小畑 健 ] - 楽天ブックス
松本人志氏が映画を撮っていたとき、M-1を題材とした映画を作って欲しいなと思っていた。
松本人志氏なら1からM-1に出演する架空の芸人全員のキャラやネタを作り上げて、映画内にこれまでみたことない10組の新ネタの漫才を作り出しそれを映画にできるんじゃないか?と。というか、そんな映画おもしろいのかわかりませんが、作ることができるのは松本人志氏しかいないと思ってました。

本作はそういうことをしております。

11巻で完結しました。お笑いが好きでコンビを結成して笑−1(わらわん)ってお笑い賞レースの高校生版に出場して優勝を目指すという作品です。
登場するコンビのネタをだいたい全部描写してます。なんらかの「元ネタ」はあるって話ですが(あまりわからないし、いわれてもそうかあ?ってくらいアレンジしてありそう)、コツコツと各キャラとそのネタを作り上げて、バックボーンを語りつつも漫才自体もちゃんとおもしろく描いております。

原作は浅倉秋成氏。「六人の嘘つきな大学生」や「俺ではない炎上」など原作小説が立て続けに映画化している勢いがすごい作家。
くわえて2025年のキングオブコントの決勝に出場していたレインボーのジャンボたかお氏とお笑い甲子園に出場経験があったりします。

作画は小畑健氏。「ヒカルの碁」「DEATHNOTE」「バクマン。」などを描いておられるいわずとしれた有名ジャンプマンガ家。

小畑健氏の絵は「超絶うまい」って大前提がありながらも作品ごとに絵柄や作風を変えており、いつも最新作が「1番うまい」って状態のジャストオンリー鬼と思われますが、本作の絵がまたちょっと他作家より抜きん出ております。つかまあもっと書くと、おれはいま世界で1番マンガの絵がうまいひとと思います。

漫才をマンガにする。しかもネタに合ったキャラを創造し、ネタをマンガで読み笑えるようにする。それは原作もそうだけど作画のほうがより強い責任があると思われます。

本作においてちゃんと漫才を、ジャンプらしいバトル漫画として成立させているのは見事です。
とくにキャラ漫才と呼ばれている。漫才のネタの妙よりファニーな人間がファニーな動きをするキャラを描くことで起こる笑いなんてのは原作がどれだけ文字を重ねても描ききれないところがあります。そこをそれもう見事に描ききっております。
精緻なだけならAIなんかに任せておけってことだけど、マンガらしくデフォルメさせておいてなおかつリアルでもあり、それぞれをマンガとしてなじませる技術は、やっぱり世界で1番です。

全11巻。ここでこう終わるのかって感じもありますが、描ききってますね。

と、もう1点で世界一なところを。

マンガ、とくに少年マンガでエロを喚起させるのを目的としてないマンガにおけるおっぱい描画ってそれでしか得られないサムシングがあるという内容です。

物語のスジと関係ないところにおっぱいがあるという状態。これはリアルでもそういうところあるけど、「あ、おっぱいだ」って瞬間。そこにドキドキが発生する。そこにおっぱいは必要ないしお呼びでないけどそこにあるおっぱいはおっぱいなので目を奪われる。
現実にも起こり得る現象ですが、現実よりもマンガのそこにあるおっぱいは「エロ目的でない」ならば健全です。それをエロとか「いいもの(あるいは悪いもの)」と読み取るのは人間の業です。そしてそれがマンガの魔法でもあるのです。
少年マンガのそれはとくに強い魔法が発生します。
青年マンガや成年マンガはエロを連想させたり演出させるため、少女マンガは美を演出するためにおっぱいがあります。でも、少年マンガにはおっぱいは本来なら関係がないです。でも、おっぱいはあります。作者はなぜ描いたのでしょう?様々な理由があります。マンガ内に描いてある「線」には全て理由があるからです。だからマンガ家が描くのです。
マンガのおっぱいなんてたんなる曲線です。それは「女」であることを意図してるかもしれません。大きいおっぱいの持ち主であることを意図してるかもしれません。体型であったりエロスであったりいろいろです。
でも、少年はそこに「あ、おっぱいだ」と思いドキッとする。なぜドキッとするかというとおっぱいだからです。
だから、いいのです。
ということを改めて考えさせられるのです。ナイスおっぱい!おっぱいには魔法がある!
ショーハショーテンの主人公の世話役のおっぱいはとくに「健全」です。だからより純な気持ちで「あ、おっぱいだ!」と思うのです。

おまえはなにを言ってるんだ?ここまで書いて冷静になりました。でも、まあ、おっぱいはね、目に残るよね。しゃあないよね。マンガを読むってつまりマンガのおっぱいを目に残すってことでもあるから(ちがう)。
それを久しぶりに感じてます。少年のような澄んだ目で「おっぱいだ!」と思いました。

両者の次回作を楽しみにしております。小畑健氏のマンガの進化をとくに楽しみにしております。

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ショーハショーテン! 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) - 浅倉秋成, 小畑健
ショーハショーテン! 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) - 浅倉秋成, 小畑健
posted by すけきょう sukekyo at 16:42| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする