2017年09月20日

酔うと化け物になる父がつらい 菊池 真理子 (秋田書店書籍扱いコミックス)


WEBで発表されて話題になっていたもの。
酒乱の父親に振り回された半生を描いた自伝コミック。エッセイコミックとか酒飲みエッセイではないわな。
本作で描きたかったのは酒飲みの家族あるあるじゃなくて、私は酒飲みの父親がいたおかげでこういう人生でしたってことだけだよな。そこが潔い。Amazonのレビューに酒飲みの家族に苦しめられている読者に向けてのなにかがあったらよかったですなんてのがあったけど、作者はそういうのはここで描く気がしなかったんだろうなと。それはわかるような気がする。

酒に弱いがあの当時の「男」として無理に飲まされていく内に酒乱となる父。
母親が宗教に狂った挙句に自殺するという1話からしてピーク。そしてまわりのひとは誰もその苦しみを理解してもらえず、あまつさえも父親が酒に「逃げ」ているのは幼い作者たちが原因のようなことまでいう「友達」がいるという。

リアルゆえにこの「地獄」になれていくから徐々に主人公は酒乱の父親を「常態」として飲み込んでいき、話が酒乱の彼氏にシフトしていくのが興味深い。これがなかなかのクズだけど、あれだけ酒飲みを嫌ってたのにつきあい婚約までしたのは酒飲みのクズというあたりのリアルさ。

そして後半は父親の死。

すべてにたいして矛盾ばかりなのだけどよくわかる。父親の死に涙。あれだけムカついてた父の「友達」に感謝など。身内の死ってそういうことなんだよなあと思う。おれはここまでものわかりよくなかったけどなあと。

そう、本作、いろいろと思い出したり思い当たったりすることが多いんだよな。

うちとこも麻雀やってたなあとか、「友達」がクソみたいなことばかりいってたなあとか。それでいて、おれもいつかはこういう感じのオヤジになっていくんだろうかなとか。

いろいろと振り絞って描いておられるその気概は素晴らしいと思うけど、なんだかとっちらかったものになっている。それも含めてリアルではあるんだけどね。
だからこそズシンとくるものがありますし、それは後でくることもありますので、読んでおかれることをオススメしておきます。

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2017年09月19日

クミカのミカク 4 小野中彰大 (徳間書店 リュウコミックス)


異星人が行き来するようになった地球で異星人も普通に会社で働いている職場のグルメマンガ。主人公のクミカさんは「食べること」を地球に来てから覚えた。空気を吸うだけで栄養を補給できたから。

ということでハンバーグやうどんなんかを「これは好きな味だ」なんて感激して食べるという図式でした。

過去形です。なぜならもはや4巻にもなって、クミカさんもすっかり地球で「食事」に慣れていってますから。それでもはじめての食事を美味しい美味しい食べてますが。

そしてこれはグルメマンガ全体にも通じることなんですよね。
「ダンジョン飯」が顕著ですが、グルメマンガ全体の頭打ち感に反応して徐々に形態を変化させていってます。本作も毎回クミカさんが新メニューを食べては感心するという図式ばかりではなくなりいろいろなパターンになってきてます。そしてメインに据えられるようになったのは、クミカさんを好きな会社の同僚との恋の行方ですね。

各キャラの描き分けもキャラの立ち方もバッチリなので問題はないし、この先どう転がるのだろう。クミカさんとの結婚がゴールって感じはしてるけどな。




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2017年09月18日

恋愛ラボ(13) 宮原るり(芳文社 まんがタイムコミックス)


13巻。中学生恋愛がどんどこ進展していきます。異存はないです。
クリスマスに男女でいちゃいちゃを中学生のうちから覚えてたらロクなもんになれませんよ。
そいでこれは最終的にどこまでいくんでしょう。妊娠中絶あたりまででしょうか。このノリでそこまでいったら神のマンガになるでしょうが、まあ常識的にムリだわな。
クオリティは抜群ですけど、発展ということでいうと、「僕らはみんな河合荘」よりは打ち止め感も漂ってますね。さてどうなる。



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2017年09月17日

デザイナー 渋井直人の休日 渋谷 直角 宝島社

デザイナー 渋井直人の休日
Posted with Amakuri at 2017.9.10
渋谷 直角
宝島社

今度映画もやる「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」の作者による最新作。
おされデザイナーで独身50代の渋井直人さんのあまりシブくないかっこ悪い日々を描いた作品。

おされで女の子が抱かれたいってうるさいから今度パーティーきてよっていそいそといったら同じカッコしてる野郎ばかりがいて愕然としたり。

デザインをパクったのがバレて、もめてたら擁護をしてくれる人(これはオマージュです的な)がTwitterでいて黙って応援してたらボッコボコになってアカウント削除になってしおしおになったり。

乃木坂46にハマって写真集を手に取ってるところを悪からず思ってた仕事先の女性にみつかって、開き直れってすげえカミングアウトして余計に傷口広げたりとか。

うん、つまり、失敗のマンガなんだよ。ネットでたまにみかけるマンガやドラマで失敗する場面をみると痛みを覚えるって種族にはキツイかもしれない。そしておれは本作でその気持ちがちょっとわかった。

都内でおされデザイナーなんて「かっこいい」のカタマリじゃない。DJも趣味でやってるんだよ?それがほんとしょうもないことくだらないことで悩んで失敗して凹んでるってオチのマンガが延々と続くのよ。

構造としては「孤独のグルメ」の原作者久住昌之氏と泉晴紀氏のユニット泉昌之氏の「食の軍師」の本郷をはじめて失敗するキャラが出てくるマンガを鬼のように手がけられておるけど、その派生とはいえます。ただ、その舞台がかぎりなくオサレなデザイナーやら出版やらDJやら音楽業界やらだということです。
これがおもいのほか重く感じる。
いまさらそういうことにコンプレックスやら嫉妬や羨望を感じるということではないけど、有名デザイナーってのはたどり着いたオシャレ族のかなりな上層部と思えるのよね。そういう方のせせこましい考えとかかっこ悪い失敗とかはなんかとってももにょる。
そして気がつく。失敗したことは確かだけど、前提がオシャレだと。インスタで知り合った20代の女性とデートとか、DJで自分の好きな音楽に食いついてくる可愛い子とか、ジャケットをデザインしたアーティストのインストアライブのあとに楽屋に呼んでもらえるとかな。
嗚呼それなのにそれなのにと。
後半彼女もできるしな。

とにかく複雑な気分になるマンガだわ。


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2017年09月16日

異種族レビュアーズ masha (KADOKAWAドラゴンコミックスエイジ ま 7-1-1)


鬼才天原帝国氏の「貞操逆転世界」につづく原作モノ。これも天原帝国氏による原作は読んだことあるな。
RPGなファンタジー世界における風俗レビューマンガ。
たとえばエルフは長命で500歳を超えるのもざらにいる。でも、見た目は10代20代の美少女にしか見えない。でも、まあ、年増も年増ってマニアックな風俗になるから安い。よって人間には最高なところで点数は9点(10点満点中ね)
ところが人間以外の種族には「マナ」が腐ってるのがみてとれるから2点とか。おふくろより年上とやれるかって。だから人間の50歳代のほうが最高。若いから。でも、人間にはババアなので2点。
そういうマンガよ。要領はわかったでしょ。

で、「貞操逆転世界」同様いちおう少年誌枠みたいなところでの連載なのでプレイ描写はナシ。そのあとのレビューとその前の入店時のやりとりでお察しって状態。天原帝国氏のはプレイも描いてたな。
ただ、その世界の風俗の小ネタが満載でそれがいちいち楽しい。
フェアリーの店でやるときは、チンポの勃起時のサイズをはかるやりてババアがいるとかな(大きいのは入らないから)。
最高にすげえなと思ったのは火竜の店な。全身に火をまとってる竜の娘の店。当然のことながらセックスはできないので、彼女で焼肉を焼いて食べるという。でもって、ウリはウインナーをねえ。うん。

と、ココまで読んでふと思ったのよ。これは異世界ものだし、グルメものだなと。ダンジョン飯と根本は同じじゃん?ダンジョンのモンスターを食べる話。ダブルミーニングの「食べる」な。

巻末おまけマンガがまた気がきいてるしこここそが天原帝国氏の真骨頂といえるので雑誌よりコミックで買いましょう。巻末のネタでわかったけど、消しが薄いみたいし(そんなエロはないですが、コミックは雑誌とちがいおっぱいをちゃんと描いてる模様)


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2017年09月15日

隣町のカタストロフ(2) 菅原 敬太(双葉社アクションコミックス)


「地変天異」が起こった街のオムニバスパニックドラマ2巻。
引力が逆になってすべてのものが天に吸い込まれていく状態。そこで必死で生きていこうとする人々を描く。
ときには読み切りで、ときには連続ものでって、いって、まさかグランドホテル的につながっていくとは思わなかった。そりゃあわりあいと狭い地域でそういうことが起こってるんだから生き残り同士が出会うのは不思議じゃないわな。でも、まさかなキャラがまさかなところでつながってまさかなまさかとか非常にまさかだった。

長く続かないと思うがどういうラストを迎えるのだろう。現時点では想像もつかない。


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2017年09月14日

なんでここに先生が!?(2) >蘇募ロウ(講談社 ヤンマガKCスペシャル)


1巻は1巻じゃなかったんだよな。単巻扱いでな。「このマンガがすごい!WEB」なんかにランクインしてて「へぇ」と思って買ったらエロくてよかったなと。そしてまさかの2巻。あれ?1巻のヒロイン先生ってこんな感じだっけかなーって思ってたら、まさかのキャラ入替えの2巻という荒業。もとの2人も出演するけど。
女教師と男子生徒が不本意ながら組んず解れつして不本意ながら女教師が性器部に刺激を与えられてイッてしまうという構造です。
あとがきによると前のキャラを入替えたのは前のキャラは描ききったからだそうで、いわれてみればこの構造がワンパターンで続くのならキャラを変えるほうが合理的だわな。

2巻は硬派男子生徒と小さいほんわか系女教師がいろいろなところでくんずほぐれつすると。1巻はいわゆるラブコメ定番の平凡な男子高校生と表面上をキリッとしておかないと地が出て生徒になめられるからって怖がられてる先生でしたかね。

流れるプールで溺れて浮き輪の空気が抜けたからあわてて空気を入れないと、でも、メガネがなくてぼんやりしかみえない、あれが空気を入れるところだなって思いきりくわえたらそれは私の乳首ですありがとうございます。って感じのラッキーにもほどがありおまえらたいがいにしておけよスケベが連発するわけです。

わりと本当にそれだけで、1巻で終わったのは賢明だったけど、描画に男子のチンチンを刺激するマジックがこめられていたための続刊ということでなるほどしょうがないわなそれならばとおれも異存はない。こういうので変にストーリーにこるのもおかしいしな。

ただ、おれ最近わりに成年コミック的なものがあまり読めなくなっているのでややトゥーマッチです。脂っこいものはマンガもきつくなっているお年頃でした。


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2017年09月13日

ストレンジ・ファニー・ラブ チョーヒカル(祥伝社 フィールコミックス)


最初に書いておくと、9月の「このマンガがすごい!WEB」のランキング投稿募集がきたら1位で投稿します。最高です。

構造としては単純。藤子・F・不二雄的なSFにラブコメ要素が混ざっている。

うれしいと浮かんでしまう体質の少女が一目惚れする話「ヒコウ少女」
浮気したために別れた彼女のことを忘れたいからタイムワープして告白を中止する「タイムワープで」
背中に硬い鱗がはえている美少女の苦悩「不純恋愛」
など7編にあとがきマンガがまたオチがついてて話としても非常にいいので1編で8編。ハズレ無し。最高です。

表紙にもなってる「トーカの日」なんてすげえよ。生理の期間は女子は透明になってしまう世界の話。みたことないネタだな。でも、生物学で考えると生理期間はみえないほうがいろいろな面で有利ではあるよな。で、その設定でラブコメ。心を閉ざしているメガネ地味女子がトーカ(透過)中にメガネをこわしたからイケメン同級生と手をつなぎながら帰る話。甘酸っぱいのよね。つまり自分はトーカ中もそうじゃないときもクラスで透明な存在みたいなな。
そこらへんの(あえてこの表現)「浅さ」が非常にいい湯加減なんだよな。深くしたり細かくするだけがSFじゃないしよくできるってわけじゃないんだよな。そこらへん考証や設定を細かくしてもおもしろくならないからいい意味で割り切っている。

ということで、描いたものが実写する筆で死んだ彼女を蘇らせる「一筆一筆撫でるように」はボロボロ泣きました。

弱点があります。表紙はいい表紙だけど中身がわかりづらい。くわえてオビのコピーがさらにわかりづらい。それはすげえ勿体無いと思う。

先月1位で投稿した「大きい犬」とか、その前に1位で投稿した「好奇心は女子高生を殺す」とかと同じ並びではあるので、そういう内容を反映した表紙とオビのコピーがよかったように思える。わりに表紙の絵と中の通常絵は違うし。

それが惜しい。だからすごく声高に言うわ。本作最高だって。ラブコメ短編としてもSF短編としてもええど(どっちかというとSF寄りかね)


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2017年09月12日

1日外出録ハンチョウ(2) 上原 求, 新井 和也, 福本 伸行(講談社 ヤンマガKCスペシャル)

1日外出録ハンチョウ(2) (ヤンマガKCスペシャル)
Posted with Amakuri at 2017.9.7
上原 求, 新井 和也, 福本 伸行
講談社

変化球の妙を楽しむ2巻ではあるな。
「カイジ」のスピンオフ、地下チンチロの回の班長が主人公のスピンオフ。月1の外出日をいかにしてエンジョイするかというグルメ主体のおっさんの「おひとりさま」マンガ。
そのベースを1巻でそこそこみせてからどこまで変化球を打ってみようかってのが今回かな。複数人のもあるし本編ばりのコンゲーム(騙し合い)もありの切り口やギャグもすごく凝ってた。
なんつーか、ロックアルバムで言うとお手本のようなセカンドアルバムだな。衝撃のファーストアルバムのノリをうまく活かしつつ新味をくわえ飽きさせずこんな引き出しもあるよとのアピール。
手練れだ。
ただ、圧倒的な既視感。なぜなら「トネガワ」がもうあるからね。どこをどうしたってある種のパターンは生まれるし、お約束をいくつか踏襲しないと成立しないのがスピンオフの宿命でその縛りは実はトネガワより多いからけっこう厄介なんだよね。
かといってワンパターンのよさみたいなものは実はあまり求められてないという。だからいろいろとしんどいんだよね。

でもまあ最後からひとつ前のの肉魔神との戦いの話はおまけのイラストまで含めてすげえおもしろかった。そして最後のプックプクノテッラテラも。前回の引き(つまり今回の頭ね)がいまいちだったのでそれを考えると3巻もちゃんとおもしろい布石になってるので安心した。

このマンガ(とトネガワ)の存在ってかなり大きいとは思うんだよな。スピンオフの概念をひっくり返してるからな。実際、マンネリと長期化がひどい本編を軽やかに超えてるからな。



posted by すけきょう at 12:00| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月11日

別式(2) TAGRO (講談社 モーニングコミックス)


「変ゼミ」がやっぱりどうにもすきになれないのであまり本作も乗り気ではなかったのですが2巻になっておもしろさが急上昇です。
別式とよばれる女剣士たちを描いた作品。江戸時代と現代をおもしろリンクさせ、江戸の女子会的なおもしろいのってノリにみせかけて重くて太めのストーリーも着実に歩を進めているあたりの巧さ。
予想以上に話がいい。ちょっと悲劇しかみえてこないラストですし、おれの嫌いなオープニングはクライマックスってやつでしてねえ。あれがどうつながるんかって。
ハーレム状況で男が空気で、女性陣の葛藤をメインに描くってのも新しい構造のような気はするんですよね(女性マンガにはありそうだけど)。

あとアニメ化をねらってるかのようなポップな雰囲気もステキ。グロいところは思いきりグロいけどな。でもポップ。ポップはもともとのTAGRO氏の芸風でもあるがよりポップ。


posted by すけきょう at 23:21| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする