2017年05月27日

ハミングバード・ベイビーズ 1 朔田 浩美 (集英社 ヤングジャンプコミックス)


「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」の久住氏原作の新作グルメマンガ。作画の方も少女漫画系のベテランさん。こなれたカワイイ絵です。
コンサートで出会ったアラサー女子2人。ギタリストとドラマー。2人で組んでユニットをやることになる。それにラブ要素をからめたストリーラインと、基本2人で、「いい仕事」する酒屋でガンガン飲み食いして「あー最高」ってなるマンガ。
・久住氏がバンドを長年やっておられる方というのはドラマ版「孤独のグルメ」なんかでご存知の方も多いとは思うのだけど、バンドのライブや練習のあとの打ち上げ飯だよねつまり。
・なんというかいつもの飯というより「ハレの日」にちょっとスペシャルなものをみんなと楽しく腹に入れたいって感じのモノがメイン(その真逆もあるけど)で下戸なんだけど美味しそうに見える。

「花のズボラ飯」でもそう思ったけど、久住氏の「女子言葉」は独特だわ。あまり無理せずに書いておられるとは思うけど、作画が戸惑うようなセリフが多い。端的に「そんなこというか?」って。宇能鴻一郎氏をはじめ官能小説の大家の若い娘言葉的な。
それが味わいにはなってるね。ただ、好き嫌いは「孤独のグルメ」とか「食の軍師」のときより明確に分かれそうな気もするけど。

「うまさのループ 停止は不可能 ピーマンだめ押し トーゼンおかわり とっまっらっなっE!」
「大吉!! このジャンク味 ザッツ・オキナワ! スパムがどんギマリしてて ヤバイ!」

こんなの。また音楽がかなり重要な要素になってるマンガなのでセリフがリズミカル。

それを作画の方がちゃんとモノにされてるね。だいたいがグルメマンガがこんなに隆盛なのは、かわいいキャラと、写真取り込みでもなんでもいいからうまそうな料理を描くことができれば8割方完成ではあるからなんだよね。それに1アイデア入ったら完成。ここしばらくの参入のハードルが低いマンガだよ。
本作は上記の1アイデアね。でも、その1アイデアがかなりの「愛デア」なのよ。すなわち演奏シーンとかライブ後のダルい感じとかすごく上手く描けているなあと。これは久住さんどうお感じなんだろうなあ。

ただ、おれもバンドやってライブとか何回かやったけどこんなフレンドリーなのなかったけどなああ。演奏中ずっと袖で控えてる次のバンドに悪口いわれてたりとか(身内がそばにいて聞いてたのよ)。


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2017年05月25日

仕事場のちょっと奥までよろしいですか? 佐藤 ジュンコ ポプラ社


仙台在住のイラストレーターでルポライターな佐藤氏がルポする大人の「はたらくおじさん」なマンガ。
おれの購入動機は仙台在住の伊坂幸太郎氏といがらしみきお氏の仕事場訪問があることです。
仕事場拝見といっても妹尾河童氏のような繊細で詳細な鳥瞰図を描くような画風ではないし背景もちょっとだけなので仕事場より仕事そのものを本人にたずねて佐藤氏のおもしろかったことをいろいろとマンガ化する感じ。
ほかにはスナックのママとかこけし職人とかイラストレーター、グラフィックデザイナーとか。
作者わりと正直な人のようでノッてるときとノッてないといったらなんだけど描きにくい回がはっきりしてておもしろい。それは話をする人の情報量や人柄も関係ありそうだけど。
最大の特徴はボールペンで書いているという絵ですかね。フェルトの刺繍のような独特の質感があってこれは紙の本じゃないとわからない感じだなあと思いました。
いがらしみきお氏のクマガイ氏との出会いの話や、伊坂幸太郎氏の仕事の進め方とかおもしろかった。

ただ1200円は高い。読み応えはあるけど。


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2017年05月24日

踏切時間(2) 里好 (双葉社 アクションコミックス(月刊アクション)


踏切の遮断機が降りている間のオムニバスショートストーリー。
1巻は楽しかった。楽しかったけど「まあいいか」ってあまり深く考えてなかったので2巻はどうしようか悩んでいたけど、2巻が1巻を上回る傑作でしたよ。

1話めの「SNS兄妹」からいきなり新機軸。外で兄と話していると恥ずかしいので踏切を待っている間ずっとラインで話している兄妹の話。アニメ「月がきれい」でもうまく使っているけど、スタンプがいい感じにアクセントになるんだよね。それは実際もそうだけど創作でもいい感じ。
あとはゴスロリだったり重耳(三国志)だったり。上記のSNS兄妹もそうだけどスマホを上手く使ったりもしてるね。
前もあったっけ? 最後の2話連続エピソードも良かった。そもそも踏切とはA地点からB地点に移動する間に線路があるために存在するもので、A地点B地点とも待っている人がいる。その2人で話を作ることができるわけです。

ということでかなりおもしろくなったので3巻も期待です。あと、「SNS兄妹」は双葉社のほかの雑誌で独立させて連載すればいいんじゃないかな? そっちのほうがわかりやすく人気が出そうだわ。



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2017年05月23日

空挺ドラゴンズ(2) 桑原 太矩 (講談社アフタヌーンKC)


2巻もすばらしかった。あんまりすばらしいので2巻はどうしようかと思っていたんだ。
最近、重厚長大な作品、アニメでいえばジブリのような作品を前にするとひるむようになってきたんだ。脂っこい食べ物を好まなくなったのと同様、マンガも安定して大河なおもしろさが保証されているようなものは「別にいいかな」って反応を示すようになってきた。

ドラゴンがいる世界。そしてそれを狩って生活している人がいる世界。その狩人集団を描いております。
飛行船のような飛行艇でドラゴンを捕まえては街で売って生活する。

本作がすばらしい理由は大小を上手く描いていること。

大きなドラゴンも、街の人々の暮らしも、その縮尺をたしかにきっちりと描いている。地面も空も描いている。マクロもミクロも描いている。こういうのできそうでできないんだよね。
2巻は飛行艇で働く少年と娼館の客を取る前の娘の淡い恋と、捕まえたけど逃げ出した超巨大ドラゴンの捕物帖が同時進行する。
スケールの大きいマンガではありますが料理も美味しそう。すべてに神が宿るくらい細かく描かれており「みてきたんか」感が満載です。

読んでしまえば「読んでよかったな」とは思うんですよ。龍の肉のカツレツ食べたい。



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2017年05月22日

モキュメンタリーズ 1巻 百名 哲 (KADOKAWA ハルタコミックス)


モキュメンタリー、フェイク・ドキュメンタリーともいうけど(厳密にはちがいがあるんだっけか)、ドキュメンタリーを撮ってるってていで創作を描くという手法。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」が有名ですね。日本だと「放送禁止」シリーズとか。
ホラーが多いような気がするけど、4話収録されている本作にはいまのところホラーはありません。

架空のマンガ家、百野哲を主役とすえ、実際にカメラをまわしているという回もありますが、フェイク・コミックエッセイといった感じで展開する。

4話はバラエティに富んでおり、
・あるAVだけを延々と落札している男と接触して話を聞く
・アイドルのライブまで歩いて行くという「儀式」に同行する
・自分探しにバングラデシュの人里離れた漁村に放置される
・海軍カレーに対抗していた陸軍ナポリタンがあった

といった布陣。
向き不向きでいうと最初の話が1番おもしろかったな。そして最後のはいろいろと無理があったような。

パッと思いつくのは島田虎之介氏「ラストワルツ」かな。テイストとかちがうけど、とくに前半の聞いてきたような法螺話感が共通点を感じる。

本作はシマトラ作品と比較するならストレートなマンガ表現と起承転結を踏まえたまっすぐな話作りな分読みやすい。それにモキュメンタリーというワンクッション挟んでいる感じ。

たいへんおもしろかった。2巻も期待します。1話のような謎解きがあるのがええですね。


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2017年05月21日

おばけ道 小野寺 浩二 (少年画報社 ヤングキングコミックス)


「ソレミテ」の続編。「ソレミテ」はすごいマンガだった。
幽霊をみようってことでマンガ家の小野寺浩二氏と「それ町」でおなじみの石黒正数氏と編集をつれて心霊スポットを巡るルポマンガ。
3巻にわたって続いて結論として幽霊なんかいないってことになる。つまり、3巻分、ずっと夜の心霊スポットでウェーイでもなくてわりと常識のある大人がみにいって「なにもいない」って帰ってくるという「なにもない」マンガを描き続けてきたわけです。画期的といえばこれほど画期的なものはない。なにもない空間から「ネタ」を錬金してたわけだからな。

で、続編は、前作の反省からはじまる。幽霊をみてないのはつまり我々に霊感がないからだと。だから霊感をつけるために修行しようと。で、滝に打たれてはESPカードで結果をみて、少年画報社のパーティーにいっては各マンガ家さんにESPカードを試してもらったりとか。
今回はちゃんとネタがあるわけです。グーンと描きやすくなったんじゃないでしょうか。
でもだからってあきらかに前作よりおもしろくなったかというとそんなでもないのがマンガのおもしろいところですね。

つまらなくなったわけではありません。相変わらずのやり取りですし。こういう内輪受けで盛り上がる系って雑誌にひとつは必要ですし、そういう「編集が出てくる内輪受け系エッセイコミック」のなかではかなりレベル高いんじゃないかと思います。


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2017年05月20日

ゾンビ少年と殺人鬼少女 1 田村ゆうき (秋田書店少年 チャンピオン・コミックス)


ゾンビの少年が殺人鬼の少女に切り刻まれるギャグ。
昭和のギャグマンガのような容赦のない切り刻みっぷりでスゴイとは思う。
だいたい公園が舞台で2人しか登場しない。そこにゾンビ少年が住んでいる。そこに少女が放課後やってきていっしょにいるという図式。
たとえば、キャッチボールをしよう。あ、ボール忘れたって、少年の心臓を取り出してボール代わりにするとかそういうネタ。
ただ、それはスプラッタってことじゃなくて、どちらかとエロにウエイトをおいていて、切り刻んでるときの少女が恍惚としたアヘ顔をしていたり、手ブラって切り取った手を胸につけてみたりとかそういう方向。

あらゆる点で非常に丁寧です。エロシーンはエロいしそこそこリアリティのあるスプラッタだしで。だから昭和ギャグチックとはいえ、いろいろなところは21世紀仕様ではあります。

いろいろと細かい設定や小技を仕込んでいるみたいだけどそれが功を奏すことはあるのかなと思ったり。そうして展開することに勝算があるのかしらんとか。


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2017年05月19日

隣町のカタストロフ(1) 菅原 敬太 (双葉社 アクションコミックス)


「走馬灯株式会社」や「鉄民」の作者の新作。
天変地異じゃなくて「地変天異」が起こる。そのときに人はどうするかと。
ぶっちゃけると重力が逆転するのね。空にあらゆるものが吸い込まれる。
そこで人はどうするか?というオムニバス。
と、1巻ではそうだけど1巻の終わりくらいから様相が変わっていくのでどう転ぶかわからない。
その日付時間やかなり地域性があるところとか、911とか311を連想するし、アメリカドラマのアンダー・ザ・ドーム的なところもあるね。
しかも、「いい話」がないのがおもしろい。高校のときに野球部だったけどしくじったためにニートになった男に「それ」が起こって向かいの家に住んでいる幼馴染で初恋の相手が助けを呼びかけて必死に助けたら、怪我してる彼氏も助けてとかな。

アメリカドラマ風ではあるけど、きちんと終わりそうなのがアメリカドラマとちがうところっぽいのでそこは期待。


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2017年05月18日

宝くじで40億当たったんだけど異世界に移住する 1 今井ムジイ (KADOKAWA MFC)


異世界モノ専門の雑誌が作られるくらいある昨今ですが、宝くじで40億円当たって寄付だなんだうるさいから人のいないところにいったらその家が異世界に通じていた。そして村はビンボーでヤバイ。だから、宝くじの資金とホームセンターでなんとかするって話。
おれはもっとこうなんていうか、ゾンビが現れてホムセンに立てこもっていろいろな道具を工夫して撃退する的な話を想像していたけど、しごく現実的に展開するのな。カマやらクワをアホほど買ってはリヤカーで運んで村に持っていく。なんとなれば業者にたのんで揚水水車を作らせてパーツごとに持っていって組み上げたりとか。栄養ドリンクを飲ませたりとか。
んー。いや、ま、現実的に考えればそうなんだろうけどなんかそこは思ってたのとちがって残念。

あと、主人公がこんなにまで献身的になるモチベーションとして村の女の子がかわいくてエロいってのがあるけど、大変にいいにくいですがその描写だいぶ足りないです。かわいくもエロくもないね。これは作画の責任。ほかのところがバッチリなのにまたどうして。しかも、鞘当の町のお嬢様と描き分けはできてるのに同じ感。

異世界モノは難しいっすね。いっときのグルメマンガやストーリー4コマ、エッセイコミックのような芋洗い状態で玉石混交。



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2017年05月17日

空電ノイズの姫君 (1) 冬目 景 (幻冬舎コミックス バーズコミックス)


ギタリストの父親を持ってギター上手な女子高生とミステリアスな美人の同級生の友情を軸に進んでいくあまりキャッキャウフフしてない「けいおん」。

これがあまり読んでいるわけでもないけど冬目景氏の作品ではいまのところもっとも楽しい。

ベタなキャラ配置で、バンドに誘われてるギターJKさんがボーカルに美人JKさんを誘って、ベースで天然だけど猪突猛進な男を取り合うとかそういう展開?って気はする。そしてそれを避けたとしてもベタではあるし。

ただ、それがどうしたっていうんだよ! とは。

本作、もっともいいところは、きちんとギター弾いてる音が聞こえるところです。上記ひきあいにだした「けいおん!」はまったくそういうのなかったから。太くてうるさいエレキがギャンギャン鳴ってます。そこがいい。

ということで主人公の癖っ毛の「長くつ下のピッピ」みたいっていわれた子がとってもいいわ。相方の21世紀の「吉祥天女/吉田秋生」みたいな子も。



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