2019年12月25日

赫のグリモア(3)A-10 (講談社)



待望の3巻。デタラメにおもしろかったな。
すごくざっくりしたネタバレ気味な3巻のあらすじを書くと、ラスボスとのバトル体験版。初回お試し版。ラスボスの強さの片鱗を見せつけるためにちょっと手合わせをする序盤ではお約束のパターン。

本作のすごさは展開自体は丁寧に基本なんですがそのテンションと精度と迫力を高めるだけ高めてみせるところ。
これって主人公が打撃系で結局のところすごいパワーで蹴散らすみたいなノリを思い出します。これも基本ですよね。強さをわかりやすく表現できますもんね。

魔法戦でありながら銃撃戦(剣戟もある)、あらゆるアイデアをぶちこんでいる。とてもゲーム的でありながらマンガ、映画、その他のエッセンスをありったけ詰め込んでいる。カートゥーンのキャラが旅行に行くときに無理矢理にトランクにモノを詰め込むがごとくトランクの上に座り込んでフタを閉める感じ。

それでいて3巻の2/3の戦いで全員が全力じゃない。つまりは「おためし戦」になったってところがすごい。でも全力なんだよ。全力で全力を出してない状況を生み出して、その時点での全力で死闘を繰り広げてるけど全力じゃないんだよな。なにいってんの?
そしてそれらすべてのタガを外して描いてる。

つまり、すごい「基本」なのよ。

なおかつ3巻までがグランドプロローグではあるよな。敵が登場して目的が登場して各キャラが立ち位置を決めて本格的にはじまるという。

体内の血が湧きますよ。とても読みましょう。



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2019年12月24日

モブ子の恋 6 田村茜 (ノース・スターズ・ピクチャーズ)


モブキャラとしてを自覚してるので信子って本名をモブ子と自称している女性が主人公。
ただバイト先で好きな人と出会いそして付き合いました。
それ以降は、進展度合いをジワーッと描いてます。

とはいえ、もう手をつないだまでクリアしたからあとはドロドロの肉体関係と結婚にむけての展開と思ってたけど、おれがあまかった。プラトニック道を甘く見てた。あるいは、「忘れて」いた。おれも一応は通ってた道ではあるんだった。

6巻では下の名前で呼び合うってことでした。それをあんなエモくやられるとはなあ。まあ、そのあと両親と顔合わせとかな。ちょっと順序がちがうけど、なんていうかきちんと過程をふまえてはいるよね。それをどう捉えるかだね。

モブ子サンの彼氏さんが先の話をするいこと(今度**に行こうとか)に感動する。彼氏はそういう次につなげる約束をしていないと不安に
なるから「次」や「今度」につなげる。モブ子さんはそれに感動する。ここらへん上手いよねえ。結婚してもおれそれ考えていたなあとか。
そういう細かい視点を丁寧に描くのなあ。うまいよ。

しかし、最終的に向かうのは成年コミックな感じもあるしなあ。それはこのマンガにはすこぶる似つかわしくない。だから難しい。だからみものではありますね。



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2019年12月19日

シライサン ?オカルト女子高生の青い春? 乙一/崇山 祟 (扶桑社)


乙一氏が原作で映画化され監督もされる同名作品のコミカライズ。小説はもう発売されてますが読んでません。映画はまだ公開されてません(観に行くつもりではいます)。そういう環境で読んだコミカライズの感想となります。

ホラーオカルト大好きな女子高生が日課の地元の古本屋通いでみつけた地元の伝承が記されている民俗学の本を読む。それによると異様に目の大きい女がいた。彼女の名前を知ると呪われてしまう。そしてついその話をしてしまい、怪異現象がはじまるという。名前はタイトルのとおりです。

ストーリーはいわゆるJホラーの典型スタイルではあるかなと思われます。

参照:ほぼ日刊イトイ新聞 - オリタくんのJホラーソムリエ https://www.1101.com/j_horror/

作者の前作[恐怖の口が目女 崇山祟(リイド社 LEED Cafe comics): ポトチャリコミック]は貸本マンガのホラーを意識しておられたようでしたが、本作ではJホラーの感じが非常によく出てるなあと(いうほどみてはいないのですが)。コンビニでのシーンの「らしさ」とかすごくよかった。

後半のドガチャカぶりは、原作や映画じゃねえんだろうなあと思いながらも、「口が目女」のエスカレーションっぷりを想起してニヤニヤしながら読みました。またラストの「どないやねん」って主人公のセリフとか。そこらへんのトートツさも貸本ホラーだましいが見受けられてよかった。
結果として見事な換骨奪胎かなあと(前記のとおりあくまで予想です)。

と、そうなると俄然原作や映画も気になっていくのですよ。映画だけでもどうかなあと。こわい映画がこわいんだよねえ。

そして1番の特徴は表紙にもなっているトリコさんのかわいさですよ。あらすじにある序盤の本を読んでいるシーンがまた圧巻でさ。超おもしろい本を読んで静かに興奮してる読書好きをすごく丁寧に描いてていい。そういった意味じゃ序盤がもうクライマックスです。

ということでホラー好き、ホラー好き少女好き、メガネ少女好き、バカマンガ好きにはとってもおすすめでありますよ。映画前に読んでおいて映画や原作みてからまたみるととってもいい感じだと確信してます。そういった意味じゃおれラッキーです。








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2019年12月11日

古見さんは、コミュ症です。(15)オダ トモヒト (小学館)



毎巻よく書くことがあるなあと思いますが。やっぱり1番すきなマンガですから。まだ熱は冷めることはないのです。
15巻では大型新キャラの潔癖症同級生が登場しての生徒会選挙を軸として、大爆笑パートになった只野妹と古見弟のネタがまた大型新キャラで、笑いが止まらない状態。なんで、名前をみんなが正しくいわないっってだけなのに笑いが止まらないのだろう。(読み返したらまた大笑いだ。このマンガで最大のツボかもしれない)

そいでもって最大の問題は表紙なんだわ。なんだこの不穏な雰囲気の表紙。

表紙をめくった中表紙ではかなり意図的になっている。話としては新キャラのクライマックスのシーンをみている中心人物3人。そう3人なんだよね。古見さんはタイトルにもなっているしいるのは当然だし、ほかのメンバーが映ってる表紙もある。でも、15巻はちょっとちがうじゃん。
只野くんと万場木さんの真ん中にいある古見さん。そして古見さんの手を仲介して只野くんと万場木さんが手をつないでいるかのように見える。んんん〜?これはなにを示唆してるんだ?



と、思ってみると14巻の表紙も只野くんと万場木さんは花火をみて感動してるけど古見さんだけちがうものをみている。

んんん?

そしてここしばらくでつづいている万場木さんと只野くんのいい話編。ついに15巻では完全に万場木さんが自分の気持に気がついてしまった。
うむ。変なドキドキがある。そりゃまあ先に進まないとダメって感じはあるけどさ。3人とも幸せになってほしいからと。

次巻は2月でーす。


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2019年12月09日

イジらないで、長瀞さん(6)ナナシ (講談社)


なんかすごくよかったぞ6巻。長いトンネルを抜けてバーっと明るいオモテに出た感じ。
とはいってもこれまで奥に引っ込んでいたわけでもないしつまらなかったわけじゃない。
ずっといってるけどpixiv連載時のときと1巻のインパクトをずっと追い求めててぬるくなったことになれなかったの。それが6巻では完全に脱却した。最高だったおもしろかった。

5巻から初引きであり、美術部の存亡を賭けての勝負。舞台は文化祭。
やっぱ学園マンガで、文化祭をうまく使えないとダメよね。たとえば、最近のでおれが読んで感銘を受けたので言うというとエモエモの塊でクライマックス中のクライマックスに持ってきた「かぐや様は告らせたい」。最後につながるであろう謎を提示しつつこれまでの各キャラ総出演の連鎖の最高峰だった「ぼくたちは勉強ができない」。あとこれもその時点での最高傑作を提示してなおかつそれから右上がりによくなったメイド喫茶をやった「古見さんはコミュ症」とか、名作ばかりやんか。というか、逆か。名作は学園祭で必ずそのピークを用意する。そう考えるとマンガにおいての学園祭文化祭というイベントは最重要だね。運動会、遠足、修学旅行、冬休み、夏休み、数々のイベントがあるなか、やっぱり特別な仕掛けを込められるんだなと。

本作はその展開、新キャラの部長さん、長瀞さんはじめ各キャラが大活躍しつつも、愛らしくてかなり純度が高い「楽しさ」が充満してて読んでニヤニヤが止まらない。しかも泣ける。そして泣こうと思ったら驚愕のオチが待ってたし。「えええー」って絶妙の間だった。アレにやられた。

ニヤニヤが止まらないでいうと長瀞さんがずっとかまってた美術部の陰キャも才能が開花しつつあり、長瀞さんもずっとニヤニヤしてる。またいい顔してるんだよ。ほんと、長瀞さんの顔だよな。顔描写の豊かさすごさでいうとちょっと群を抜いて際立ってる。「ここぞ」っていう顔の当意即妙なジャストな感じ。

大爆発の6巻でした。



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2019年12月08日

吾峠呼世晴短編集 吾峠 呼世晴 (集英社)



今年はまあおそろしいくらいのいきおいで「鬼滅の刃」が売れましたね。命を削って作った原作を命を削ってアニメ会社がアニメ化すると恐ろしいくらいの相乗効果が起こるってことですね。アニメは最近恐ろしい。

とそういうことで実は長いこと放置していた短編集。17巻と同時発売しました。18巻が発売される手前に「鬼滅」不足で手にとって読んだのでした。そして思い出したわ。

そういわれてみれば「鬼滅の刃」ってけったいなマンガだったなあと。

鬼滅の刃 10 吾峠 呼世晴(集英社ジャンプコミックス): ポトチャリコミック http://sukekyo.seesaa.net/article/457744775.html?1520505284

お嬢様が大人買いでいっきに9巻まで揃えたのを読んで10巻はおれが買ったなんてありますが、そこでも言及してますが、3巻までは非常に不思議な手触りのあるマンガです。
それを思い出したのが本作です。あたりまえですね。鬼滅の連載前に描かれたものですから。

鬼滅の刃のベースとなった「過狩り狩り」からはじまり全4作。

異形の戦いがあり、これらの作品のすべてが鬼滅の刃にリンクしてるし一部キャラも重複している。鬼滅の刃のそれぞれの作品の最初の一滴のようなエッセンスに溢れていて、とても興味深い。

それでいていい意味のこなれてない荒削り。鬼滅での加工がない、ストレートな混ぜモノなしの原酒ですね。すばらしいです。非常に読み応えあります。いっときの青林堂の「ガロ」やいっときのコミックビームに載ってるようなにおい。

そう考えると、前記の10巻までの鬼滅の刃を読んでいたときも、「なんでこんな変なマンガが人気なのかよくわからない」そういうノリはいまだにあるよね。

久しぶりに「へんなマンガ」を読むことができておもしろかった。鬼滅の刃の現在のノリとは随分ちがうけど根底に流れる同一人物の影を思いつつみるとおもしろい。

んま、そもそもでいうと、吾峠呼世晴って変なペンネームだよなあ。「ごとうげこよはる」だもんな。でも、いまGoogle 日本語入力で一発変換できる。そういうことだよ。



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2019年11月25日

「このマンガがすごい」に去年一昨年原稿依頼がきてたけど今年はこなかったのでしゃあねえから依頼されたと想定した原稿を書く(2019年ベスト5)



オトコ編かオンナ編を選び(宝島社で制定されてる)、そこでベスト5を選びTwitter程度の文字数でコメント。巻数指定はできなくて何巻であろうと1作品で勘定する。それでだいぶモメてリテイクが多かったりしました。あとオトコ編を選んだわり「その作品はオンナ編です」ってのも多かったな。「魔法はつづく」とか「口が目女」なんかはオンナ編だったので落ちましたよ去年。書き忘れてましたがおれはオトコ編をチョイスしました。それで1作はオンナ編のもねじ込める。だから「魔法はつづく」をねじ込めました。

[恐怖の口が目女 崇山祟(リイド社 LEED Cafe comics): ポトチャリコミック]

[魔法はつづく オガツ カヅオ(リイド社 LEED Cafe comics): ポトチャリコミック]

なおギャラは5,000円分の図書カードでした。


余談はともかくはじめまーす。(リンク先は本作での感想文です)


オトコ編(ということにはこだわらず5作品)

1位: [ひょうひょう ネルノダイスキ (アタシ社): ポトチャリコミック]

2位:[心臓 奥田亜紀子 (リイド社): ポトチャリコミック]

3位:[恋煮込み愛つゆだく大盛り にくまん子 (KADOKAWA): ポトチャリコミック]

4位:[SPY×FAMILY 1 遠藤 達哉 (集英社): ポトチャリコミック]

5位:[僕の心のヤバイやつ(2)桜井のりお (秋田書店): ポトチャリコミック]

1.令和をもっとも感じる作品。新しさは近年1番感じられる。2.平成を総決算する作品。平成の空気を見事に保存されてる。将来貴重な資料になる。3.今年はにくまん子イヤーだった。出した3作ともすばらしい。とくに「よよの渦」のヤバさ。4.新しさと王道のバランス。5.飽和してきたラブコメに鮮烈な一撃。SNSの使い方も絶妙。



こんな感じでしょうか。次回は依頼がくるといーなー。2019年版は発表されたベスト5のうち3作が入ってたのに。



来年もいいマンガに出会えるといいですね。本家は12月くらいに出ますね。おれは買わないがみんな買おう!


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2019年11月22日

文庫 筒井漫画瀆本ふたたび VA.(実業之日本社)




2019年8月に発売された筒井漫画瀆本の続編であり、2010年発売の文藝春秋版を基底に、筒井康隆氏みずからの作品を3作収録しております。
参加マンガ家は以下。略称敬、じゃなくて敬称略で。

◆明智抄「幸福ですか?」
◆いがらしみきお「北極王」
◆伊藤伸平「五郎八航空」
◆折原みと「サチコちゃん」
◆雷門獅篭「落語・伝票あらそい」
◆菊池直恵「熊の木本線」
◆鈴木みそ「あるいは酒でいっぱいの海」
◆大地丙太郎「発明後のパターン」
◆高橋葉介「ラッパを吹く弟」
◆田亀源五郎「恋とは何でしょう」(『男たちのかいた絵』より)
◆竹本健治「スペードの女王」
◆萩原玲二「弁天さま」
◆畑中純「遠い座敷」
◆みずしな孝之「フェミニズム殺人事件のようなもの」
◆Moo. 念平「うちゅうを どんどん どこまでも」

にとり・みき「わが良き狼」は文庫1作に収録で除外。
くわえて「たぬきの方程式」「傷ついたのは誰の心」「客」の筒井作品を巻末収録。

前作である漫画瀆本のオリジナルが1995年で今回は2010年。この15年でのマンガの移り変わりでしょうか。筒井作品はわりあいとして古いものが選ばれており原作のマンガ化での洗練さというか変遷が鮮明となっておりそこが見どころのひとつにはなってますね。

それぞれのマンガのチョイス、自身の作風に合わせてのもあり、意外なチョイスもある。そのどれも共通するのはマンガとして成立しているというか帳尻を合わせている。完成度が高いというと微妙な表現になるし、よりおもしろくなるというとこれまた齟齬が生じる気もする。ちょっと面映いものいいではあるが「よくできている」と。ここが差なのかと思った。

小説からマンガへのメディアを移すことはどんどん洗練性がましています。そういう中で、本作は選ばれている作品は短編をおもにしておりますが、それでも漏らしてしまったりする内容を絵と内容とマンガならではの描写と処理などでうまく補完しております。その技術がまずおもしろいなあと。そこらへん研究すると筒井原作、1と2で卒論書けますよ。

ま、学生じゃないので淡々と感想書いていきまーす。

いがらし北極星、大地発明後の、マンガ家からのイメージ解釈のおもしろさ。雷門伝票やみずしなフェミニズムの4コマというホームフィールドでの落とし具合。大地氏と竹本健治氏それぞれの異業種でのマンガも、前作の清水ミチコ氏のような破天荒さはなく「マンガ」してるなと。

個人的におどろいたのは菊池熊の木本線です。

菊池直恵氏は「鉄子の旅」というアニメ化もされた鉄道ルポマンガでその流れで鉄道が出てくる本作も抜擢されたんだろうと思っておりましたが物語の再現度、描画、とくに家に列車が入り込むシーンなどはすばらしくて、ちょっと驚きました。「鉄子の旅」では同乗者のエキセントリックなキャラである横見氏にフォーカスを合わせていてあまり列車や景色描写をしてなかったような記憶があったから。

[むしろウツなので結婚かと - 菊池直恵/城伊景季 / 第9話 何してるの!! | コミックDAYS]

この最新作ではときおりバズったりと話題になっており「なるほどな」という逆発見があったりしました。

萩原弁天も絢爛豪華なイメージ。作者は「パプリカ」という長編のコミカライズも行っており、のちに今敏監督による劇場アニメ化も果たされているが、そのアニメ版のノリを経由したかのような弁天さはよかった。軽いバカ話の原作をブラッシュアップしてネオン装飾を施したことでよりバカをました。

ほかには田亀恋とは〜や畑中遠い座敷、伊藤五郎八空港の、適材適所としかいいようのない作品。これまた自作くらいの力量と熱量で仕上げてオラれてますよね。とくに畑中純さんすげえわ。

筒井3作品では1で蛭子能収氏がマンガを担当した「傷ついたのは誰の心」の作者本人による漫画化が興味深い。同じ作者でも解釈がちがうよなあ。蛭子氏もかなり忠実なコミカライズをしていることがわかるよなあとか。マジで筒井康隆氏マンガうまいよなあとか。

正直なところすでにして現在では少し古めな作品や印象はあります。だからこそ今また3はいいかな!というかぜひ読みたい!誰がどんな作品をどんな風に料理して3にするか。とても興味がある。



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2019年11月14日

性的な宇崎ちゃん 〜宇崎ちゃんは遊びたい!の読み方










うざい後輩宇崎ちゃんが先輩にちょっかいを出してるマンガ。
献血ポスターの問題で悪名が轟いてしまった令和元年です。その原因のほぼすべては宇崎ちゃんのおっぱいです。
最初反対派が「奇乳」などというくらいの大きさではあります(すぐにこれは「スジが悪い」と気づいて撤回しましたが)。
そのほかのすべてはあの乳における嫌悪からの後付の理屈ですね。

あの乳をみて「性的」と思うのは実は正しいリアクションではあります。マンガ内でも重要なポイントになっています。広義では「性的」であることはまちがいないです。なんていうかアイコンとしての爆乳なんですよね。性的喚起を促すためのアイコン。
ただし、
そう「ただし」がつきます。

物語の骨子は先に書いたとおり、ボッチ気質の先輩になにかとからむうざい後輩の宇崎ちゃんです。
この骨子だけだと実は宇崎ちゃんが男でも成立する話ではあります。友情物語にもエロコメにもラブコメにもできますし。まあ、BLにもできます。

ただ、あの乳だからこそ成立するのがこのマンガのキモなのです。

ラブコメでおなじみの朴念仁のニブチン主人公は、あの乳によって女性ということを否が応でも意識するようにできてます。でも、それは広義での「性的」といえばそうだけどレベルでいうとせいぜいで「読者サービス」です。目を引くアイキャッチ的な。
実際、読者側のビジュアルも助かるけどね(それが問題を生み出したのでもありますが)。

おっぱいが大きかったらそこに性的なものが生まれるのは必然ではあるけど、上記のとおり、宇崎ちゃんのおっぱいは、そうでもしておかないと先輩は宇崎ちゃんをただの男の後輩として扱うだろうし、実際多くの場合そう扱っている。そこに「すげえおっぱい」というアクセントが生じることにより「彼女は女」という軽い「ジャブ」が入ることでときおり意識する瞬間が生まれる。それにより淡い恋心もふわっと起こる。

この「ジャブ」が重要なのですね。むしろ、ツルペタの宇崎ちゃんだったら、宇崎ちゃんを「女性」と意識した瞬間に成年コミックに突入するじゃないですか。そうなるとただの先輩後輩から恋人になり肉欲の日々です。ラブコメというジャンルとして成立しなくなるし、そもそもマンガとして成立しにくくなる、もっとあからさまなことをいえばマンガとしてはつまらなくなる。

もっといえばあのおっぱいのためにマンガが「性的になりすぎる」のを抑制する効果を果たしているわけです。おっぱいのお色気でそれ以上のお色気展開を阻止してるのです。
現実ではどうなのかはわかりませんが、ラブコメ世界では大きすぎるおっぱいは往々にしてそれ以上の進行にブレーキをかける役割「も」果たすことがある。抑制たる乳。寸止めたる乳。クッションたる乳。もちろんアクセルにもなりますがそこはそれ。

そういうデリケートな読解力(要経験値)が必要なマンガなので献血のポスターにしたのは微妙な判断ではありました。
マンガでの宇崎ちゃんが好きだから担当はポスターに採用したわけで、それはつまり、宇崎ちゃんの魅力を理解した上でやってるから、それを読み取れない方々の「性的」という浅いレベルでの指摘は寝耳に水だろうなあと。そして宇崎ちゃんの魅力をわかってもらえなくて残念だったろうし、そういうラブコメのお約束は思った以上に浸透されてないし理解されなかったんだなと。そこに怒りも悲しみも感じました。

正直なところ以前の「ゆらぎ荘の幽奈さん」や「のうりん」に関しては本編の内容を知らなかったのでなんともいえないところがありました。その分、「むこう」の言い分も逆にちょっとわかったりするが、原作を読んでいる宇崎ちゃんの言いがかりはかなりオーバーに思いました。
ということはつまり幽奈さんやのうりんもその可能性が大だし、実際、そのあと「幽奈さん」はアニメ化されたりマンガを1巻読んでみたかぎりではとてもいいジェントルでフェミな主人公だよなとは思う。マンガの影響を受けたのならむしろ男子たちは立派なフェミニストになるんじゃないかと思えるくらい。宇崎ちゃん問題から派生してジャンプにフェミなマンガを載せろという意見もありましたが幽奈さん読んでろよと。十分かどうかはともかく女性に優しく接する子供に育つ可能性は大きいです。

つまりいいたいことは、宇崎ちゃんを「ちゃんと」読め!と。マンガを「ちゃんと」読め!と。

そういうことで宇崎ちゃんはあのポスターだけではわからない魅力にあふれるマンガではあるのでぜひお試しください。マンガの「読解力」を鍛えてください。






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2019年09月26日

バビロンまでは何光年? 道満晴明 (秋田書店)



鬼才道満晴明先生の新作。
チリになった地球で宇宙人に拾われた少年。彼は記憶を失っていた。そして地球人の種を絶やさぬために宇宙のあちこちで交雑し子孫を残そうとする1回6pのショートエロギャグ。

2回めに記憶は戻るし、7回目に別に種を残すだけなら性転換すればいいんじゃない?って女になったりもするし。その後1回交代で男になったり女になったりするし、半分を過ぎたあたりからは全然ちがう顔がみえはじめてくるし。

読んでて「あれ、これって、アレじゃ?」という疑問を持ったらその答えはカバーをめくったらばっちり「うしし、これがいいたいんでしょ?」って見透かされたのがでてきたので悔しいので言及しない。

ラストあたりの壮大な感じはかなりすごい。ハードSFだよね。

それでいて6pショートという軽さとエロとギャグは忘れないし。ありていに「いつもの」道満晴明の良作のひとつやなと。というか、そうか、男が主人公のマンガってかなり久しぶりじゃないか?だからエロやギャグに勢いがあるのかな。

アニメ化してもいいくらいきっちりとした作品。ただアニメ化したら「彼方のアストラ」みたいに偏狭な方にみつかっていろいろいわれるのかな。

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というかそもそもこういうセリフがある以上、OVAでも難しそうではあるよね。しかも絶対に省略できない超重要なシーンでこれだからなあ。

いつものようにとてもよかった。定期的に長くずっとすごくてすごいひとだ。

追記
Twitterで情報をいただきました。タイトルは「バビロンまでは何マイル?」というマザーグースのひとつからとってるようです。同タイトルの川原泉さんのマンガもありましたね。なるほど。

How many miles to Babylon?
Three score miles and ten.
Can I get there by candle-light?
Yes, and back again..
If your heels are nimble and your toes are light,
You may get there by candle-light.



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