2020年10月01日

ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜 瀬野反人 (KADOKAWA)







電子書籍で買いました。1巻が安かったかなんかで試し読みしたんですよね。

これが1巻1ページ目ですっかり目的を描ききるんですよね。
師事している言語学コミュニケーション学の博士がぎっくり腰で動けなくなるから、主人公が博士の引き継ぎをしていわゆる魔界に学術調査するという話。
そういうことを簡潔にシャープに手早く処理してあとは内容をお楽しみくださいという姿勢はとても好みだし、「むむむ作者やるな」と感動したのです。

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ワーウルフの村に行き、人間とのハーフの少女ススキと知り合い、ともに各国を巡る旅に出る。そして各地で出会ういわゆる魔獣、モンスター、亜人、なんでもいいんですが、彼らの言語学やコミュニケーション手段を探りつつも旅を続ける。

すごい設定ですよね。やっていることは、たとえばジャングルなどの未開の地の部族との交流や彼らの言語を探るという、1970年代から今に至るまで手を変え品を変え放映されていたTV紀行ドキュメンタリー風でありつつも(いやもっともっと昔の紀行文とか。宣教師が未開の地に訪れる的な)、それがモンスターだったりするので、彼らの奇天烈な文化を学んだり推測したりコミュニケーションを模索するというマンガになります。
全ての設定が素晴らしく有機的に結びついており、「見てきたんかい」ってディティールの細かさや実際の言語学やコミュニケーション学のたしかな知識の下敷きも相まって、すごく知的好奇心を充たしてくれる。なおかつ、各キャラ描画がとてもいい感じ。

たとえば、ワーウルフは嗅覚が発達しているので口と耳にたよらなくても臭いをかぎ合うことである程度がわかるのでことさらに喋らなくてもいい。
たとえば、スライムは聴診器のようなもので話を聞いて会話をする。振動をカラダで感じることで言語や感情を理解する。
などなど。

3巻が白眉なんですよ。

旅立ってきた村で冬ごもりをする。あらゆる種族がいっしょに冬をやり過ごす。それぞれがそれぞれの価値基準や意味をもって動く。それぞれが勝手に集めたものを持っていく。対価なのかよくわからないものを置いていく。廃墟に住むことができるようにしたと思ったら勝手に他の種族も入り込んだりする。それらを理解しようとしたり、わからないけど尊重しようと思ったり。
いっしょに長年冬ごもりしていた、老ケンタウルス。ある夜、目が覚めたらいっしょに住んでいたもので死んだ老ケンタウルスが家の外に放置されていた。彼らは合理的に動くんだなあと思っていたけど、自分にはわからない嗅覚により、彼の死を感知して外に出す。そして外の吹雪が止んだので葬儀をする。そして彼らの肉をみんなで食べる。

これこそが共存ってことなんだよなあと。異種間コミュニケーションということだなと。別のマンガのアニメのEDのタイトルですが。

ギスギスしたSNSを醸す面々にみならってほしいものだと。「みんなそれぞれちがうんだ」と。マンホールに宇崎ちゃんの絵があったくらいで自分の性を愚弄されたとかトンチキなことを思わなくてもいいんですよ。あ、思うのはいいんだけど、それを表明することはないんですよ。
そういうことを学んだ気がします。

異世界モノとして極北と思います。かなり高度なことをしつつもエンタメに昇華して各キャラがかわいいという。難しいことをされておられる。この作品の行きつく先はどうなるのかとも思いますが、本作が提示した異世界モノへの新しい道は評価したい。


ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜 コミック 1-3巻セット - 瀬野反人
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2020年09月30日

竜女戦記 都留 泰作 平凡社





有無をいわせない。そういう種類の作品があるじゃないですか。好き嫌いとかそういうジャンルをぶっ飛ばした存在。それは本作と。

異世界ファンタジー。指輪物語やゲーム・オブ・スローンズとかの長大で重厚なダークファンタジーのクロニクルなやつ。ただし、舞台が和風。つまりは時代劇。

主人公の「たか」は日本髪を結った主婦で、ちょんまげを結った侍を夫に持ちます。その「たか」が天下をとる話です。「主婦が天下を取る物語」と。

1巻は天下を取る契約をかわして2巻からいよいよ急転直下の展開です。ファンタジー丸出しになっていきますが天下取りの物語にもなっていく。しかも3国に別れてる国のそれぞれの思惑が混ざりはじめる。主人公「たか」はどうやって天下取りの手がかりをつかんでいくのか。

奇天烈な展開やディティールに日本みたいで日本でない西洋人が考えついた例のアレみたいなどこかを想起。
そしてそれこそがいわゆるRPG以降の中世異世界の架空の国々を思い出す。あれも国を特定できないですよね。
「天空の城ラピュタ」が欧米人にイマイチウケないのと似ているかも。あれは「欧米」のいいところをチャンポンで取り込んでいるからだとか。それをかなり意図的にやっている様子。
なるほど、西洋風があるなら和風があったっていいじゃないかというシンプルなところからはじまったのかもしれないけど、それを実現させるまでにボーダイな知識とセンスを持ち込んでじっくりと組み上げている。どうしても史実に沿いたくなるじゃないですか。どうしても日本史のなにかになぞらえたくなるじゃないですか?それを絶妙な舵取りで「処理」している。よくある跡目争いや国盗りゲームなどを現実のそれに半端にリンクさせたりしないあたりのストイックさがいいかなと。

それでいて、エロもグロもナンセンスもギャグもファンタジーも「人間」もふんだんに盛り込まれている。広大なスケールも矮小な人心も丁寧に丁寧に描いている。

有無をいわせない娯楽を正面切ってぶつけてきている。

好き嫌いでいうと異世界もファンタジーも時代劇も政治的な謀略なども好きではないです。ただ有無をいわせられない。「おもしろい」とは思う。というかこれをおもしろいと思えないはずがないじゃないか。おれはそこまで自分の価値機運も好き嫌いにもゼッタイの自信はない。それがおれのいいところとすら思ってる。

ともかく。

そういうマンガです。2020年読むひとを圧倒させるマンガはこれです。ありがとうございます。3巻が楽しみです。今のうちに読んどけ読んどけ。

竜女戦記 コミック 1-2巻セット - 都留泰作
竜女戦記 コミック 1-2巻セット - 都留泰作
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2020年09月28日

美人女上司滝沢さん 4 やんBARU (ドラゴンコミックスエイジ) -



長いことマンガを買っている人生です。
1巻を買った以上は最終巻まで読み切る。定期購読の雑誌は隅から隅まで読むってのにも疲れてきた年頃です。コミックは1冊買い忘れたら「もういいや」だし、漫画雑誌は長らく購読してません。
だから、ポトチャリコミックにおいても「最高傑作!」とか「次巻が待ち遠しい!」なんて書いておきながらもうずっと買わないで存在も忘れているマンガは多いです。無責任ということに心は痛みますが、その痛みよりフトコロの痛みのほうが苦しいのでしょうがないのです。

マンガを買わない理由というのはいくつか具体的なものがあります。「つまらない」「つづきが気にならなくなった」「読み進むのがしんどい」などなど。
その逆は理由も逆になりますかね。「おもしろい」「つづきが気になる」「読み進むのが楽」と。

だいたい最近の目安は4巻かもしれませんね。そこまででフェイドアウトするのはする。

本作は4巻が出てるのを知らなくて「あわてて」注文するくらいでした。

おもしろかった。

タイトルのとおり美人上司の滝沢さんとその美人っぷりにドギマギする新入社員の武田くんとのドキドキラブコメ4コマとなっております。

いい大人のわりに初々しいラブラブな感じにじれったくなったのも今は昔の話。そのぬるま湯と進行しそうでしない「かったるい」展開が超好み。
気分によるとその「かったるい」が裏目に出ることもあるのですが4巻は大丈夫でした。楽しく読むことができました。新キャラもいい具合。コメディ要員の部長も登場シーンは限られてましたがおさえるところではきっちりおさえてありまして、大安定の4巻でした。

単行本では毎話描き下ろしでアイキャッチのようなカットが入ってます。これがずっとセクハラめいた、破廉恥なカッコを滝沢さんにさせていたものですが、今回はそれも含めてだいぶギラギラした脂が抜けた感じがありますね。おれがそう感じているだけの可能性もありますが。実際水着やエッチいカッコは相変わらずですが滝沢さんがちょっとなれている感じがあってそれがいいかなと。4巻ものあいだセクハラにあってなれるってのもなんだけどまあ水着くらいいいかってなった開き直りがね。

そして前記のマンガを買い続ける理由。途中で止める理由の大きなものに「なんとなく」ってのもあるなあと思ったり。元も子もないですが。でも「なんとなく」は侮れませんよ。いつかそれに適当な言葉がつくことがあるかもしれません。

美人女上司滝沢さん 4 (ドラゴンコミックスエイジ) - やんBARU
美人女上司滝沢さん 4 (ドラゴンコミックスエイジ) - やんBARUやんBARU KADOKAWA


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2020年09月11日

明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 ふせでぃ (文藝春秋)



セックス充になれない人生だった。だからセックス充がうらやましい。
でも、セックス充もいろいろと大変かもしれないぞとはSNSや各種メディアから学んだ。少し未だ疑っているが。

本作もそうだ。


大人の男女が
二人で会うと
お酒を飲むか
Hをするしか
選択肢がない



ですって! 聞きました奥さん?

セフレさんとエッチしてのセリフです。セフレのセリフ。

本作の主人公さんは平凡なOLさんで平凡なセフレがいる感じです。セフレ以上に好きなのにむこうはセフレだろうし、下手なことをいったらセフレの関係すら壊れるかもしれないので黙ってる感じです。

幸せかどうか自問自答する。元カレのことも考える。そしてセフレのことも考えると。

うむ。セックス充だよなあ。セックスのあいだは楽しいしかれが一緒にいてくれるのはうれしいと。

セックス充じゃないからよくわからないけどそれでも足りないなにかを探してる感じは欲深いと思いつつもそんなもんだろうなと。

普段遣いの孤独? 承認欲求の底に穴が開いててずっと漏れている状態?

焼き肉バイキングでたらふく肉を食って幸せなのにカレーも食べたいと思うような感じ?

NOTセックス充にはピッタリはわからないんだ。

台風のシーンがあった。台風にひとりでいる主人公にセフレがたずねてくれる話。台風の描写自体はともかくとして台風のあとの描写がとってもいい感じであった。
正直なところ、この題材で作風で、このキャラ絵描画はしっくりこない。その他の作画もかなり頑張ってるが発展途上にはあると思う。ただ、上記の台風のあとの描写にはすごい可能性を感じる。主人公の心情を表しつつ、あまり他ではみない台風一過表現。だからあらゆるところを突破するような気はするんだ。

うん。

明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 (文春e-book) - ふせでぃ
明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。 (文春e-book) - ふせでぃ

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2020年08月12日

神クズ☆アイドル 3巻 いそふらぼん 肘樹 一迅社








[次にくるマンガ大賞 2020]

これの2019年コミック部門で3位です。

楽して儲かるってきいてるけどかったるいのでアイドルを止めたがってる主人公に、17歳にして交通事故で死んだこの世に未練(もっとアイドルやっていきたかった)伝説の超アイドルの幽霊と出会う。そして憑依してもらって楽ちんアイドル人生を目指すというお話。

2020年6月に3巻でました。2巻までで1部完ってことになってますが人気御礼につき再開しているらしいです。おれは3巻まとめてドンとおすすめされて読んだので。



(これもいずれ取り上げます)

「女の園の星」といい、本作といい、いま、ギャグマンガは女性向けが断然リードしている印象があります。

本作、ギャグとして笑えるのですが、それ以外も終始ニヤニヤしてしまうチカラがあります。だから、ずっと笑いながら読んで、ときたま「わはは」と声を出して笑うのです。すなわち、ずっと楽しいマンガといえます。

登場人物は案外と少なく、多くは幽霊のアイドルとやる気のないアイドルとのかけあいと、相方のアイドルとのかけあい。そのあと適切にほかキャラ。
これらキャラがまた適切でキャラが立っています。なおかつ女性マンガにありがちのキャラを増やし過ぎの渋滞はないし、絵柄自体もどことなく「陸軍中納予備校」や「県立地球防衛軍」の安永航一郎氏をホーフツをさせるような(いま見比べたら全然似てないが、感覚として)メリハリのきかせたわかりやすくも親しみやすい絵柄もあいまって、少女漫画に苦手意識を持ってる方でも読みやすい。
新キャラも2巻で現役トップアイドル。3巻では幽霊アイドルと同じグループにいたけど活動休止してたアイドルなど、適切な場所に適切でおもしろいキャラ投入。
話もアイドルの成長物語に沿って、いろいろなイベントをはさみつつおもしろおかしく存在していく。

といってもトップくらいにいいのは、このアイドルの熱狂的なファンらですね。3人常連がいて彼女らのやりとりというか妄想トークが最高すぎてたまらない。声を出して笑いにいたる起爆剤は彼女らの活躍にあるといってもいいです。

3巻までずーっとニヘラニヘラときおりギャハハと楽しく読むことができました。

特筆すべき点。
1巻は紙の本で2巻3巻は電子書籍で読みました。この2巻3巻は電子書籍特典がついてるのも相まってか、「読んでも読んでも終わらない」現象があってすごいです。本編のあとのボーナスステージがどえらいんですよね。描き下ろし番外編やら4コマやらあとがきやら3巻ではトリビュートまである。これのボリュームがどえらい。というか、こういうのの特典のトリビュートでこんな楽しめたのねえな。

とてもよかったです。いっきに読んでいっきに好きになったわ。

これ娘にオススメされたんですが、娘のオススメ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」「アクタージュ」「かげきしょうじょ」という。なんかわかりやすいでしょ。その流れでこれです。







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2020年07月28日

ゼッタイ良縁! くくり博士は めとらせたい 1 大沢 ういち 少年画報社





ジャケ買い大事。とくに書店でビビビときたものを買うのは絶対大事。この本のようなアタリがあるから。最高だよこれ。

エロマンガ。そしてマッドサイエンティストモノ。マッドサイエンティストは女性。ああ、まあ、くくり博士がそれか。

彼女が出会って即合体をみたくてあらゆる技術で良縁の相手を選び、それをテレポートで連れてくる。
最大のポイントは「それが現代に存在しない場合、他の時代から連れてくる」ということです。
出会って2秒で合体がみたいために技術を無駄遣いする。この設定で大勝利です。そしてこれこそマンガの持つフリーダムです。

1話は1990年代のボディコン女性。2話は未来忍者(くノ一)。3話はスパルタカス時代のムキムキ剣闘士(対象が女性)。

それぞれひねった展開でありながらもセックスして気持ちよくてハッピーエンドというキモは外さない。
絵柄も上々。セックスのバリエーションも短いページ数ながら考えられてるしな。アンモラルやインモラルはないっす。

そして4話。ネタバレになるから書きませんが、これで長編映画ができそうな話。みんな考えてありそうでない話。それは最後のページのようなぶっ飛ばし方ができないからだろうな。なおかつぶっ飛ばすヒト(ぶっちゃけくくり博士)がいるのでこのマンガの設定で3話まで積み重ねてないとできない話でもある。だから全部すばらしい。これ、描き下ろしだろう毎話の1pの後日談も含めて4話は本気ですばらしい。時間モノとしても傑作。

そして謎を含ませて次巻へつづく。うむ、申し分のないみごとな1巻。

長く続くのかはわからんけど2巻はでてほしいな。



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2020年07月08日

僕の心のヤバイやつ 3 桜井のりお (秋田書店)




3巻を読んで思ったのが「山田が気持ち悪い」ということです。市川じゃないですよ。山田のほうです。読モで中学生とは思えないボディでかわいくてたまにテレビも出て映画の出演も決まってる山田ですよ。

市川クンは中2病をこじらせてるわかりやすい中2です。彼は中2と非モテとコミュ症をこじらせて、クラスで1番目立つ存在である山田を殺そうなんて思ってました。でも、いろいろあって1巻で気がつきました。「おれは山田が好きなんだ」って。
で、本作は市川の心の声のみ読み取ることができるのですが、みた限りだと、2巻ではどうやら山田も市川のことが好きになっているみたいです。どこかはっきりとしたものがないのがリアルですが、図書館でおやつを食べるのがバレそうになり手を掴んだ前後とかかね。

真理なんですが、好き同士であっても、恋人でも、結婚していても、親子でも、その愛情は等しくなることはありません。
同じ10点満点の10点同士になるのは一瞬はあるかもしれませんが、それは徐々にずれていくのではないかと思うのですね。つきあわないともっとその数値はいろいろとちがいます。

市川は何点かわからないですが山田が好きです。ただ、向こうが好きであるはずがないと思ってます。その点では中2らしいけど賢明でもある感じ。

ところが山田はそうはしなかった。気づいてからずっともう自分の「好き」を止められない。で、どんどんギュウギュウと距離を詰めてきてる。それに市川は戸惑うばかり。なぜなら自分を好いてくれているわけがないと思ってるから。というか、思い込みたがっているから。でも、最新作(4巻収録するだろう)で、「気持ちが伝わりそうで怖い」なんて思ったりもしてる。

この山田が必死ですごい圧なんですよね。それにおされて思わず「気持ち悪い」という感想を持ってしまったわけです。
つまり、その山田の圧が伝わってくる筆力ってことなんですね。

実にここのところ、2人とも中学生でいろいろと未熟なのに手探りで不格好で気持ち悪い、しかし、ピュアな熱があるところがすばらしいのですよ。2巻のときも書きましたが。
そして、1巻2巻3巻とそれぞれの熱量を繊細な注意を払ってコントロールされてるなと確信しました。巻ごとのそれぞれのそれぞれに対する思いの点数がちがうなと。これ実際問題適当な感じありますよね。まあ、ちょっとアンフェアではありますが、作者のTwitterによるショートコミックでの「僕ヤバまとめ」はそこらへんの熱量がけっこうまちまちです。

[僕の心のヤバイやつ / Twitter]

これだとショートとかギャグを優先してるからその熱量にわりにムラがあるのでよくわかるんだよね。

それがどんな作品であれ、作者による多少のコントロールがあるので、年齢とは合ってない手練れ感があったりしますよね。また、そのほうが効果的なんですよね。対比によって、より片方が幼い感じを演出しやすくなって。つまり、マンガをコントロールしやすいから。本作はその逆です。どうなるか先が読めない。そらもう熱々のデレデレではあります。ただ、それだけにとどまらないかもしれないという不安定さがあるんですよね。もちろん、ベテランの作者のことですから、きちんとコントロールしたうえでの不安定さを演出しているし、そもそも、この2人が別れるとかそういう衝撃展開を期待して読んでいるひとは誰もいないのでまったく意味のないj杞憂ではあるんです。純粋に「このふたりはどうなるんだろう?」というハラハラがいいアクセントと緊張感になってあるんだなと。
実際、そこまで穿った読み方をしなくても、イチャイチャしやがってええ!でもいいんですよね。でも、その差こそが「このマンガはなんかちがう」の重要な味付けになっているんだと思うのですよ。
たぶんに、それは、新作のたびにTwitterほかでバズることでもわかるような気はします。



あと、これこそはと思ってた特装版はやっぱなー。ああいうの本来、東京三世社や成年コミックのおまけコーナーに「単行本発売おめでとう」で書くものでさあ。小冊子で別料金でやる必要はあまりないなあとの思いは強固になりました。




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2020年06月15日

藤カラー ZERRY藤尾 (クリベロンコミックス/リイド社) 年コミック

ZERRY藤尾名義の成年コミックとしては4年ぶり。その前の「いろつき」は10年ぶり(その前は幻冬舎から出た「COME TOGETHER」になるのか)。そしてその間は「山田穣」名義で「がらくたストリート」等を執筆されてます。とはいえトータルでも寡作とはされてますよね。大ファンではあります。

とはいえ、最近の成年コミックはとにかく高い。本作もオールカラーで1760円です。だから前作「いろつき」も買ってなかったです。おれはオールカラーコミックにいい感情はないから。「高い、薄い、読み応えがない(見応えはあるね)」だから。
そういうことで本作も買う気はなかったのですが、たまたまみていたFANZAで電子書籍版の「いろつき」が半額で売っていたから、それでも880円どうかなあと思いつつも、給付金10万あるからと気が大きくなったので買ったら、まあ、うん、最新作もお買い上げと相成った次第なのです。

本書の内容は折りたたんでおきます。このためにFANZAのアフィリエイトも申請して登録して仕込みました。というのも、本書の電子書籍版はFANZA限定の4pマンガが描き下ろしで。これがまたいいんだよ。だから、ぜひ、FANZA版で買いましょう。その中身には触れませんが、「おお、こうきたか」ってかなりニヤニヤできる内容です。

書籍版を買うのが1番いい(というか現在すごくほしい)んですが、次はFANZA版かなと。

(で、まあ、蛇足なんですが、これ、楽天もアマゾンもアフィつけられないんだよね。なんでだろう?アマゾンKindleのほうは本作の単話をバラで売ってるけどさ)

参照:

[「がらくたストリート」1巻 山田穣(幻冬舎コミックス) : ポトチャリコミック]
(ボーナストラックとして過去のおれが書いたZERRY藤尾全成年コミック感想文付き)
追記あり
posted by すけきょう at 20:58| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月12日

チェンソーマン 7 藤本 タツキ (集英社)




順調に巻を重ねていることも、人気があることも、週刊少年ジャンプで連載されていることも、そして娘が興味をもったので読ませろってバックナンバーを集めさせたこともすべていまだに信じられない。
そんなことでいえば、「鬼滅の刃」が狂った売れ方をしていることも、もっといえば「ONE PIECE」もそうだ。もっと前もそうだ。おれが本当の少年だった年齢で少年ジャンプを読んでいた頃から、ジャンプのマンガには納得のいかないものが多い。どうしてこれがイケると思ったのかわからない。
でも、わからないからこそおもしろいんだと。

デビルハンターのデンジはチェンソーマンとして活躍してます。そのチェンソーマンを殺そうと世界各国から敵がやってきてバトルロワイヤルがはじまったのが7巻です。

前作の「ファイヤパンチ」もそうですが、藤本作品は世界がずっと不安定です。根本からグラグラのあまり誰にもコントロールできません。だから、全員がそれぞれの「おれルール」で動いております。それゆえに全てのキャラが無軌道にみえるし無秩序に振る舞ってます。むしろ秩序を求めるひとから死んでいくというシステムこそが唯一の秩序と思えるくらいです。
おのれの欲求に従い、めちゃくちゃやっているひとがなんかがんばってる。でも、それを上回るめちゃくちゃが世界を覆っていて、なんの意味もなく死や残酷やグロやエロが訪れるのです。

それがとてつもなく痛快であるが不安でもある。どこかで辻褄を合わせて「安心」したいのだけどそれを藤本タツキ氏は許してくれない。デンジもパワーも各キャラもみんな無軌道に行動して、あっさり死んだり殺したりする。そして物語自体もどこに向かい、どうなるのかも見失いそうになる。
もちろん、マンガ家はマンガにおける神としてコントロールしている。でも、本作は、「え、大丈夫かな?」とは思ってしまう不安定さがある。それがすげえよな。

「BURUTUS」のマンガ特集で言及されていたけど、7巻では榎本俊二氏の「斬り介とジョニー四百九十九人斬り」のオマージュがありました。10年前のマンガっすね。すばらしく効果的でしたし、それを週刊少年ジャンプで令和にぶちかますところですよ。作者は神として「チェンソーマン」世界に混乱と混沌とその他を起こし続けているわけですよ。

あといいたいのはパワーがかわいいなと。(読者のキャラ人気投票でも1位だったのでライバルは多いな)

[「斬り介とジョニー四百九十九人斬り」榎本俊二(講談社): ポトチャリコミック]





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2020年06月09日

ぼくたちは勉強ができない 17 筒井 大志 集英社



マルチエンディングを採用したラブコメのひとつめが終わりました。

5人の女性にホレられる主人公。それらとそれぞれ結ばれます。そのうちのひとりと結ばれた最終巻でした。次から別のひとと結ばれるエンディングがはじまります。

これさ、発表されたときにネットでたいそう話題になったよ。賛否両論らしい。独自ということでもないらしいんだけど。
同時期に5つ子の娘とする恋愛マンガはひとりに決めて終わったことの影響なんかもあったのかしら。

でも、そういう「些細な」ことをぶっ飛ばすかのような王道の大団円が17巻にはある。筒井氏はシンプルにマンガが上手いと思いましたよ。え、これ、マルチエンディングする余地があるの?これが「正史」じゃねえの?って。ほかの子のエンディングなんてただの蛇足になるんじゃないの?って思ったり。

そして、この作者だから大丈夫とも思った。それくらい見事だった。これまでもそうだけど、きちんとケリのついた17巻もそう。王道や1発めだけあってきっちりとした正面的な展開。そして終わってみればほかのも堂々とした納得いくエンディングなのは確信してても大丈夫だろうとも。

ラブコメで、ハーレム展開の場合、1番の問題は、魅力的なメンバーがひとり以外ふられるんだよな。そこらへんどうするんかと思ったけど、そこも見事だった。全員の「思い」を丁寧に拾った。
そして次はまたそれぞれの「思い」を拾うのだろうな。


ほかも楽しみだ。あと作者の本作の次の展開も。



posted by すけきょう at 00:05| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする