2019年11月16日

パコちゃんまとめ 多中準 (Twitter連載)


https://twitter.com/darekanobetua/status/1177393288703143936

Twitterで誰かのリツイートで知ったものです。

出会い系で会った男とのセックスの模様を描いてます。1回1ページから2ページ。
エロいの?というか、フォーカスしてるのは出会い系でセックスをしに群がってくる男のほうだからね。男がどうしたこうしたってのが列挙されてるわけです。

・手マンが雑で痛いだけ
・パンスト等を持ってきて履いてプレイして

とかいう、定番っぽい「あるある」から、

・最中にパコちゃんにメガネかけて「こっちのほうがいいです」とか、
・いきなりスマホでパコちゃんの性器を撮ってみせたり、スマホを借りて自分の陰茎を撮ったのを渡して「待ち受けにしていいよ」といってみたり、
・口内発射されてティッシュがなくて焦って、「いまコンビニで買ってくるから待ってて」といわれたり(飲んだそうです)、

などなどの、そりゃもう実体験じゃないと描けないリアルさが充満してて、その迫力に気圧されてエロを感じる。
そう「リアル」ってエロなんだよねー。だからファンタジー100%のファンタジーエロマンガにもリアルって必要だしそこのどれをどれくらい取り入れるかってのは、エロマンガにおいてかなり大事。
吾妻ひでおさんが作ったセオリー、人間以外とのセックスの場合、片方は人間(あるいは人間タイプ)にするべきとか、やっぱりどこかにリアルが大事なんだからね。そしてそれこそがセンスです。あと相性かな。

出会い系でやりとりして、はじめて会って即セックスしてなおかつ金銭の授受が発生してないという状況でのふたりの距離感や関係性がとても興味深い。
身体は近いどころかマイナスになるくらい(チンチンが入ってリするから)のものなのに敬語で受け答えしたり、かと思ったら男が無闇にオラオラになる感じとか、お酒飲みながら優しく愚痴をきいてくれてたと思ったら次の瞬間欲情して襲いかかってくるとか。通常の恋人関係でもないし風俗でもない特殊なシチュエーションと距離感あるよなあと。その空気描写がとってもいい。これこそがこのマンガのワンアンドオンリーのところ。いわば「間合い」ってことになるのかね。

パコちゃんがぶつけてくる性欲に合わせて受け止めてあげる感じとか「へーやっぱそうなるのかなー」とかそっちのほうの「あるある」が新鮮というか、パコちゃんはかなりやさしくないかな?合わせすぎじゃね? と思ったりする。そういう関係でもそんないいなりにならないような気がするんだけどなあ。ちがうかね? だから、出会い系のセックスあるあるというより「パコちゃんあるある」なのかなーとか。

それとも無闇に逆らうとむこうがしらけたり逆上するからさからわないってのがパターンなのかなーっとか。

あと、性欲に振り回されてテンパってる感じのを男に「ワッショイワッショイ」と合わせつつもどこか冷静なパコちゃんの視線がいい。
そりゃもうプレイ中では絶賛お祭り中なんだろうし、快楽の受け渡しをしてるのであるが、どこか奥にあって冷静に観察してる第三者視点もある。
それを「おもしろ」として書いてはいるが、ことさらにバカにしてるではなく、そこで起こる滑稽を愛でている女神視点までいうといいすぎかもしれんけどさ、なんかそういう大きな大きな視点での愛。これは人間愛ってことになるんかね?それを感じられる気はする。
でもそれはおれがなんかいろいろ複雑な感情に飲み込まれてるからかも知れないので保留。
あわよくばパコちゃんとって下心とか、童貞気質満点だから充満してるリアルエロ空気に「セックス酔い」してるからとかさ。そこいら冷静になれないからかもしれない。そういう不思議な熱があるのよねー。
(あ、念の為に書いておくと純粋に絵のちからで「それ」を期待されると詐欺ってことになる。ただ、描写(とくにエロ描写)はデッサンが完璧だからとかそれだけじゃないからね)

体型やプレイの内容はともかく、こういうときにパコちゃん、つまり、作者自身のアへ顔の処理って難しいよなーって思った。自分のやってきたことだしさ。そのときどんな顔してるかはわからないしな。
基本「ー」目か、ガラスの仮面的な白目処理になるんだけど、それになんとなくのテレがあるのかなーって。それがまたいいんだよね。思い切りテンプレなアヘ顔を描かれるよりリアルかなと。後半はけっこう描かれててそれがかわいくてエロくもあるんだけど、初期の方の(けっこう量あるから)、どういう顔にしようか?ってちょっとした迷いがあるのもおもしろくてリアル。

しみじみと性欲に振り回されてる男って滑稽だけど、それらに合わせてるパコちゃんも違うベクトルではあるけど性欲に振り回されてるなあとも。
人間ってなんだろう性欲ってなんだろうセックスってなんだろう?出会い系サイトってどうだろうと哲学的なのとシモネタの両輪をくるくるまわしながら考えました。

じごはん!!まとめ
多中準
https://twitter.com/i/moments/1195383922579755008

パコちゃんのひとはステディなひととじごはんってラブホのルームサービスメシの連載もはじめてますがこっちのほうはまったり路線だし、ステディなひととの距離感や雰囲気がちがってて(そのシーン描写はあまりないけど)、「パコちゃんまとめ」での緊張感はまた特殊なもんなんだなあとあらためて思います。ラブホのメシってかなりニッチないいところついてるよねー。

こういうおもしろいマンガをただで読ませてもらってとてもありがたかったのでTwitterマンガはもう時代遅れでクソだとかはいわないことにしようと思いました。
(いやでも売れてきて「金にしよう」と思うとクソ化する現象なんだろうなあ)



posted by すけきょう at 01:26| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月14日

性的な宇崎ちゃん 〜宇崎ちゃんは遊びたい!の読み方










うざい後輩宇崎ちゃんが先輩にちょっかいを出してるマンガ。
献血ポスターの問題で悪名が轟いてしまった令和元年です。その原因のほぼすべては宇崎ちゃんのおっぱいです。
最初反対派が「奇乳」などというくらいの大きさではあります。
そのほかのすべてはあの乳における嫌悪からの後付の理屈ですね。

あの乳をみて「性的」と思うのは実は正しいリアクションではあります。マンガ内でも重要なポイントになっています。広義では「性的」であることはまちがいないです。なんていうかアイコンとしての爆乳なんですよね。性的喚起を促すためのアイコン。
ただし。
そう「ただし」がつきます。

物語の骨子は先に書いたとおり、ぼっち気質の先輩になにかとからむうざい後輩の宇崎ちゃんです。
この骨子だけだと実は宇崎ちゃんが男でも成立する話ではあります。ラブコメにもできますし。まあ、BLにもできます。
ただ、あの乳だからこそ成立するのがこのマンガのキモなのです。
ラブコメでおなじみの朴念仁のニブチン主人公は、あの乳によって女性ということを否が応でも意識するようにできてます。でも、それは広義での「性的」といえばそうだけどレベルでいうと読者サービスという感じとなるのです。目を引くアイキャッチ的な。
実際、読者側のビジュアルも助かるけどね(それが問題を生み出したのでもありますが)。

おっぱいが大きかったらそこに性的なものが生まれるのは必然ではあるけど、上記のとおり、宇崎ちゃんのおっぱいは、そうでもしておかないと先輩は宇崎ちゃんをただの男の後輩として扱うだろうし、実際多くの場合そう扱っている。そこに「すげえおっぱい」というアクセントが生じることにより「彼女は女」という軽い「ジャブ」が入ることで意識する瞬間が生まれる。それにより淡い恋心もふわっと起こる。

この「ジャブ」が重要なのですね。むしろ、ツルペタの宇崎ちゃんだったら、宇崎ちゃんを「女性」と意識した瞬間に成年コミックに突入するじゃないですか。そうなるとただの先輩後輩から恋人になり肉欲の日々です。ラブコメというジャンルとして成立しなくなるし、そもそもマンガとして成立しにくくなる、もっとあからさまなことをいえばマンガとしてはつまらなくなる。

もっといえばあのおっぱいのためにマンガが「性的になりすぎる」のを抑制する効果を果たしているわけです。おっぱいのお色気でそれ以上のお色気展開を阻止してるのです。
現実ではどうなのかはわかりませんが、ラブコメ世界では大きすぎるおっぱいは往々にしてそれ以上の進行にブレーキをかける役割「も」果たすことがある。寸止めたる乳。クッションたる乳。もちろんアクセルにもなりますがそこはそれ。

そういうデリケートな読解力(要経験値)が必要なマンガなので献血のポスターにしたのは微妙な判断ではありました。
当然マンガでの宇崎ちゃんが好きだから担当はポスターに採用したわけで、それはつまり、宇崎ちゃんの魅力を理解した上でやってるから、それを読み取れない方々の「性的」という浅いレベルでの指摘は寝耳に水だろうなあと。そして宇崎ちゃんの魅力をわかってもらえなくて残念だったし、そういうラブコメのお約束は思った以上に浸透されてないし理解されなかったんだなと。そこに怒りも悲しみも感じました。

正直なところ以前の「ゆらぎ荘の幽奈さん」や「のうりん」に関しては本編の内容を知らなかったのでなんともいえないところがあったので「むこう」の言い分も逆にちょっとわかったりするが、原作を読んでいる宇崎ちゃんの言いがかりはオーバーに思える。
ということはつまり幽奈さんやのうりんもその可能性が大だし、実際、そのあと「幽奈さん」はアニメ化されたりマンガを1巻読んでみたかぎりではとてもいいジェントルでフェミな主人公だよなとは思う。「影響」を受けたのならむしろ男子たちは立派なフェミニストになるんじゃないかと思えるくらい。宇崎ちゃん問題から派生してジャンプにフェミなマンガを載せろという意見もありましたが幽奈さん読んでろよと。

あと宇崎ちゃんを「ちゃんと」読め!と。

そういうことで宇崎ちゃんはあのポスターだけではわからない魅力にあふれるマンガではあるのでぜひお試しください。おっぱいがクッションになっての初々しいラブコメを堪能できますよ。






posted by すけきょう at 13:40| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月26日

バビロンまでは何光年? 道満晴明 (秋田書店)



鬼才道満晴明先生の新作。
チリになった地球で宇宙人に拾われた少年。彼は記憶を失っていた。そして地球人の種を絶やさぬために宇宙のあちこちで交雑し子孫を残そうとする1回6pのショートエロギャグ。

2回めに記憶は戻るし、7回目に別に種を残すだけなら性転換すればいいんじゃない?って女になったりもするし。その後1回交代で男になったり女になったりするし、半分を過ぎたあたりからは全然ちがう顔がみえはじめてくるし。

読んでて「あれ、これって、アレじゃ?」という疑問を持ったらその答えはカバーをめくったらばっちり「うしし、これがいいたいんでしょ?」って見透かされたのがでてきたので悔しいので言及しない。

ラストあたりの壮大な感じはかなりすごい。ハードSFだよね。

それでいて6pショートという軽さとエロとギャグは忘れないし。ありていに「いつもの」道満晴明の良作のひとつやなと。というか、そうか、男が主人公のマンガってかなり久しぶりじゃないか?だからエロやギャグに勢いがあるのかな。

アニメ化してもいいくらいきっちりとした作品。ただアニメ化したら「彼方のアストラ」みたいに偏狭な方にみつかっていろいろいわれるのかな。

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というかそもそもこういうセリフがある以上、OVAでも難しそうではあるよね。しかも絶対に省略できない超重要なシーンでこれだからなあ。

いつものようにとてもよかった。定期的に長くずっとすごくてすごいひとだ。

追記
Twitterで情報をいただきました。タイトルは「バビロンまでは何マイル?」というマザーグースのひとつからとってるようです。同タイトルの川原泉さんのマンガもありましたね。なるほど。

How many miles to Babylon?
Three score miles and ten.
Can I get there by candle-light?
Yes, and back again..
If your heels are nimble and your toes are light,
You may get there by candle-light.



posted by すけきょう at 20:21| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月14日

僕の心のヤバイやつ(2)桜井のりお (秋田書店)






2巻ですね。「みつどもえ」の作者による中学生ラブコメ。

陰キャな男子中学生が、同じクラスのモデルをやっている超スタイルの超美人さんとなぜか毎日放課後図書館で出会ってお菓子を食べたりするようになるヤーツ(もうハライチのひとも長いことこのフレーズを使ってなさそうではあるよな)。

よくあり、ずっとブーム中のシチュエーションラブコメのような「ガワ」でありながら、そことは一線を画しているのが本作。彼と彼女と両方とも駆け引きをしてないし、たまになにかをしようとしても失敗していること。

これ、性別のどっちかが「被ドキドキ」で、どっちかが「加ドキドキ」ってのがセオリーなんですね。

「からかい上手の高木さん」では高木さんにより西片が「被ドキドキ」。「事情を知らない転校生がグイグイくる」では転校生にグイグイこられて西村さんは「被ドキドキ」。


駆け引きをしているというと夢はないんだけど、そういうシステムで展開してはいるしそれだからこそ読者は安心してみていられるし、それだからこそぎゃくにいうと量産できるし、その結果さいきんちょっと飽和気味に感じる(おれ調べ)のですし。

本作は、どちらもウブで、歩み寄ろうとしたり警戒したりの、一定の距離感を保ってる感じがいい。もうちょっとくだけていうと男子も女子も中学生特有の間抜けさと下手さを兼ね備えてるのがいい。いちおう男のほうがオロオロ度合いが高いのだけど、相手の美少女も中身がけっこうポンコツなのがいい。自身の美貌をあまり自覚したり武器として使おうと思ってない感じがいい。そこがとてもいい。

2巻では、クライマックスに、主人公が、その子を肉欲でみてて本当に好きじゃないのではないかと。好きな女子を自慰のオカズにできない話ですね。これの解決法はエモかった。お互いの好意がぶつかりあってるけど不器用な世界。

なかでも個人的に好きなのはファストフード店で偶然出くわす話。男側のあるあるがせつないくらい。ああいうことするよね。そして自意識ほかが邪魔をして先に進めなくなる感じ。実はいまだに不得意だわ。

この中学生特有の不器用さと青臭さとお互い様感がとてもいい。ちょっと「次」を感じる。そういや、「2019年次にくるマンガ大賞5位」っすわ。

僕の心のヤバイやつ https://twitter.com/i/moments/1123142178996228096

Twitterで頻繁にコミックに収録してるのしてないのを更新しており、非常になじみがあるなかに、満を持して発売された2巻で、見飽きた感じになるのかと思ったけどそうでもなかった。



posted by すけきょう at 21:46| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月07日

Dr.STONE 12 Boichi/稲垣 理一郎 (集英社)





アニメ化が好調ですね。12巻。
おれの立ち位置は、アニメになる前に漫画喫茶でスマホを作るエピソードの手前までたどりつき、アニメがはじまってバコンとハマった娘さんが一気に揃えたのを読んで、なおかつ12巻ということです。

あるとき謎の石化現象が起こり、人間は石化してしまいます。そして3700年のときを経て、ひとりの天才が復活します。主人公です。科学のあらゆる知識を吸収した少年センクウ。本作の主人公です。

そして「科学のチカラ」で仲間を作ります。敵も作り出してしまいます。

と、丁々発止のやり取りの末に、センクウはたくさんの仲間とともに平和を取り戻します。そして科学のチカラで大発展を目指すところ、作り出した「スマホ」から謎のメッセージを受信。受信先は海の向こう。じゃあ、海を渡る大きな船を作ろうじゃないかと。

12巻では船出をします。目的地は宝箱のある宝島です。無人島のはずなのにひとがいます。そして、、、

最大の敵との決着がついて、造船編は「**が足りない→**を作った」の繰り返しで、なるほど、科学は地道な継続にあるというのがわかる。だけど、まあ、一気に読んだのもあって飽きてきたなあこの流れと思ってたけど船出したらすげえことになったのよ。おお、おもしろい。やっぱりおもしろい。


ところでこのまっすぐ科学を抱きしめながら困難を乗り越えて前に進むってマンガを21世紀の、令和に生きる少年がみるのが圧倒的に正しくてエモい。
おれはこれを読んで胸を熱くしている現在の小学生に対して「あなたは絶対に正しい」と胸が熱くなる。




で、このマンガよ。「生理ちゃん」でブレイクされた小山健氏のマンガに熱くなる少年を世代ごとに描いてるマンガです。この令和の少年がKindleで読んでるのこそDr.STONEというのがもうこの作者は本当にタダモノじゃないなと。

いや、すばらしいマンガ。正しく「少年ジャンプ」で少年が読むべきマンガ。まあ、「ゆらぎ荘の幽奈さん」も正しいんだけど。

そして半世紀少年のおれが読んでも胸アツ。四半世紀少女のマイドーターも胸アツでみてる。アニメも胸アツ。OPも買おうか思うくらい。

ほんと、「滾るぜ」。少年も無意味に大学受験でも出てこない漢字を読めるし書けるようになってしまうよなあ。

また、これがジャンルとしてSFであることもしびれる。かなり純然としたSF。「彼方のアストラ」もそうだけどSFがまた復権の兆しがあるよなあ。そこも胸アツ。

作画のBoichi氏もSFを描くことができててうれしいと、なんどもカバー見返しのあいさつに書いてるとおり、本当にうれしそうに描いてる。絵がのびのびされてる。

いやあ幸せなマンガじゃ。

(えーといっきに11冊読んでの12巻ではあるのでちょっとキャラが混線しかかってるが、なに、鬼滅の刃よりはわかるか)



posted by すけきょう at 02:41| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月19日

古見さんは、コミュ症です。(14)オダ トモヒト (小学館)







14巻。まだまだつづく夏休み編。長いよねー。学園マンガということを忘れそうな勢い。

コミュ症の古見さんが友達100人作るべく奮闘する学園ギャグマンガ。

1年生から2年生になり、質は変わった。大きな要因は万場木留美子だ。マンバメイクで登場した新キャラ。古見さんと只野くんの友達グループに入り、そのメンバーでの活躍が多くなる。
1年では友達を作るべく、毎回、クセのある友達との新しい交友がメインでしたが、2巻では無理して新たな友達をつくることはなく何人かの友達での行事を楽しむというスタンスが多くなっている。海に泳ぎに行ったりな。

それでいて、只野くんと万場木さんとの2人での「いい話」を毎巻1回は挿入するようになってきている。
自信がないのを悟らせないようにマンバメイクをしている万場木さんにとっては少しづつ気になる存在ではあるんだけど、只野くんはいっしょにいやすいしいろいろと優しくしてもらってはいるが「必要以上に近づくな」というスタンスではいる。

それでいて古見さんにとってすでに只野くんは気になる存在を超え、友達というラインを超えている。

この三角関係が14巻ではかなりなところに行き着いた。

お祭りにいく。そして万場木さんと只野くんがふたりでいちゃいちゃしているところを多数の知り合いに目撃される。そして14巻の最後に「あれはどういうことだ?」とそれぞれ「尋問」される。そこがクライマックスであり、14巻での万場木x只野のラブコメシーンになっている。

13巻の万場木さんのあたりから思ってたんだよ。彼女は「なつかないイヌだな」と。

しっぽはブンブン振っているのに近づこうとしたら怒鳴ったり吠えたりするイヌ。まあ、イヌのしっぽをふるのはゴキゲンというより興奮してるからのリアクションなんだけど。万場木さんの只野くんへの態度はまさにこれ。それはこっちにはわかってるからそうなんだけどね。

いっぽうで古見さんは「なつくネコ」。ツンとしてクールな佇まいですが気がつくととなりにいる。ちょっと触れんばかりの距離にいつもぴったりいる。そうするのがアタリマエみたいにいるからまわりもつい受け入れてしまうし只野くんはときおり「女」を感じてしまうが(そりゃあ絶世の美少女ですから)、基本は普通にそこにいる存在となっている。大勢でいてもふたりきりでいても同じ距離で同じ位置にいる。
みんなと集まってて、誰が古見さんのとなりに座る?ってなってもアタリマエのように只野くんの隣に座るとみんな「そりゃあそうか」ってやっかみながらもみとめてしまう感。だから「なつくネコ」ね。

本来なら「なつくイヌ」に「なつかないネコ」なんだよね。この両名は逆なんだよ。
「なつくネコ」は物語ではある(現実でもある)。だけど、「なつかないイヌ」はあんまりみかけない。ツンデレってのも基本「なつかないネコ」だからなあ。

そういった意味じゃ万場木さんはかなり希少なキャラ。それが2年編での本作の最大の功績かなと。そりゃあクローズアップして書きたくなるしね。単純にこういうコロコロ表情が変わるし、毎回髪型がちがう女の子(コレも珍しい)ってのも貴重だしな。

この「なつかないイヌ」がカワイイってのはわりに大げさかもだけどマンガ史に残る功績かもしれん。

そしてその三角関係の言及がはじまったのが14巻ですよ。うむ。ネタバレになるから多くは書かないがこれを抱えて15巻新学期に向かうのねとは思った。

これがいわゆるTwitter4Pラブコメでは到達できない熟成させたラブコメっすよ。育ったキャラがそれぞれの思いを持つわけっすよ。それ読者が「ほお」と楽しむ。これはまあ長年のファンならではの味わいですよね。

それとは別にギャグマンガとしての機能も十分に発揮させております。とくに只野くんの妹編での安定したギャグ度数の高さ。。最近ある植物図鑑的なやつ、今回は田舎での遊びを丁寧に描いてました。あとはキャラ図鑑。久しぶりのキャラも大勢登場。かつ、新しいメンバーも。高校生にもなって河原でエロ本を探す話とかすごかった。そらもうオビであだち充氏もホメるわけっすよ。

すばらしいや。個人的にはもう万場木さんのほうが好きだなと思うし、彼女にはぜひいいひとみつけてほしいわ(片居くんがそうなりそうだけど)。

(アニメ化のときは上理さんの叔母と上理さんはあえての一人二役でおながいしゃす(アニメ化したとしてもいつ放映だよ))
(あと「なつかないイヌ」ネタは13巻から書きたかったんだけど13巻の予告に14巻ではこの三角関係のネタがあるかと思ったので14巻まで待ったのでした)





posted by すけきょう at 13:05| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月17日

乙女文藝ハッカソン(1)(2)(3) 山田 しいた (講談社)











作者によるツイッター1話貼り付けのパターンで「これはなんだ?」とはまってすぐに2巻まで揃えて3巻はリアルタイムで完結ということになっております。全3巻。

[乙女文藝ハッカソン - 山田しいた / 第1話 文藝沼 | コミックDAYS]

女子大学生がチームを組んでハッカソンにチャレンジする話。

文芸ハッカソンとはなんぞや? ハッカー+マラソン=ハッカソンね。

5人1チームで24時間でコードを書くのがハッカソンでその文芸版。5万文字の小説を即興で1本作り上げるというコンテスト。

3巻まででメンバーを組んでハッカソンに参加して戦うまでの話。

なにがすごいって物語のバリエーションとその分析。そりゃまあ戦う人物の数だけ物語の骨子だけでも必要になるからね。なおかつその物語の優劣をかなり「理系」に判断している。そこがまた新鮮。なるほど、物語の優劣ってきちんとあるもんなんだなと。そこが1番よかったところ。

また「物語」の見本市のような構造だからか、本編のストーリーが一筋縄ではいかないのがおもしろい。3巻での展開と着地点がまた。
広そうでそうでもないところがいい。これは当初の構想通りなのかしら。実質5人(もっといえばもっと少ない)が進行していく感じ。

ただまあ絵のこなれ具合はそれほどでもないかなあ。随所に「かわいい」と「すごい」はあるけど。とくにクライマックス以降。



うむ。ここではベタに「山田しいた先生の次回作にご期待」しますと。









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開口一番!(1)町田 翠 (小学館)




おれの家の半径100mを舞台に描かれた(って衝撃がおれには1番だった)「ようことよしなに」の作者による最新巻。今作はおれの住んでいるところと関係ないな。

落語マンガ。学校でお調子者お笑い担当が進路まで吉本(って名前じゃないけど)を目指したけど土壇場でみた寄席がおもしろくて落語家を目指す。

半分くらいで弟子入りするまで、後半は弟子入りライフ。その顛末を落語で一席ぶちながら紹介するという体裁。

前作「ようことよしなに」より全ステイタスでのレベルアップが最大の特徴。画力も物語も構成もキャラもすべて底上げされている。

ただまあスムーズ故に王道一直線であり単調になってるけどね。でも、王道ってそんなもんだし。

あとなんていうかな、じっとりしてるカッコ悪さというかな。それは「ようことよしなに」からなのでそれはもう作者の味なんだろうけどさ。

本作でも高校時代お笑い得意キャラだけど、実はまわりでうざがられてる。そしてそれを目撃したりする。
あとすがりつく母親を引きずりながら師匠の家に戻ったりとか。
じっとりべっとりの青春だよなあ。

カッコ悪さと恥ずかしさと。とにかく汗のべったりした感じがマンガにはよく表れてる。

がんばれ同郷って気持ちはいまだにあるけどがっつり本格的な漫画家になりつつあるなあとも。




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マコちゃん絵日記(13)うさくん (茜新社)




最終巻。
小3のマコちゃんが繰り広げるほのぼの日常マンガ。だいぶ昭和よりのドタバタ。
うむ。連載していた「LO」という意識高い系成年コミック雑誌と心中する勢いで続くかと思ってたよ。

ただ最終巻だけあってすべてがもう「これでもか」の怒涛の名作群。アンドいろいろなエピソードが決着編。極めてエモエモエモ。

12巻(あるいは11巻だっけ?)あたりからはじまったマコちゃんがお父さんのやってるぬいぐるみ屋をやってみようかなって試行錯誤するエピソードが素敵だね。「こころをこめてぬいぐるみを縫う」ってなあ。ラストエピソードもそれだよ。さすが主人公。

あと、主人公がほぼ関係ない、家族が片親の子を連れた遊園地の話がとてもいい。片親でいつも遊びにやれない子を連れて行く。楽しんでる我が子と親友、そして楽しんでるよその子らも含め母親が「みんな… 幸せであってほしい…」とひとりごちるのは掲載誌のことも考えると、とってもいいセリフだよ。みんなしあわせであってほしいよ。

なんといっても1番のお気に入りキャラクターである副担任の長豪近先生も解決したのがよかったよね。彼女とっても小さいから、生徒になめられないように意図的にロボのような機械的な態度をとるけど、それとは別にどことなくクールなところあるなあとも思った。

終わるのが惜しい。マンガ内のキャラも作者もマンガのあとも幸せになってほしいものでした。しかし、うさくんう氏は伊集院光氏でいうところの「深夜の馬鹿力」にあたるものが終わって次はどうなるんでしょうか。




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赫のグリモア(1)(2) A-10 (講談社 )








1巻からみかけてはいたのよね。でも、作者のA-10が「あの」A-10先生とは思わなかったのよ。寡作だけど出すと必ず心に爪痕を残すマンガを描くあのA-10先生とは。とくに「GIRL?NEXT DOORの1話には脳天に電撃の衝撃。

参照:
[なまのまんこの破壊力〜げんしけん二代目5巻&more〜: ポトチャリコミック]
[GIRL?NEXT DOOR | ワニマガジン社]

表紙絵も「そのころ」とちがうし、A-10先生がマガジン?講談社?と思ってたんだけど、2巻発売時に衝動におされて買ったらビンゴ。マジかと。

女子中学生が曾祖母からの遺産を受け継ぐ。廃墟のお屋敷の隠し部屋には魔導書(グリモア)である「赤ずきん」がいる。そしておれと契約しろそうすれば助けてやると。

んー!ベタ! まあ1巻の手が出なかったのはA-10先生であろうとなかろうと「どうせ」そういうベタなやつなんだろ?って。まあ、成年コミック描いてたやつが一念発起してそれこそNEXT DOOR目指してやって玉砕するってあるあるじゃない。ベタじゃない。あるあるじゃない。話も異世界ものの前は掃いて捨てるほどあった話風じゃない?と。

ところがそうじゃないからここを書いているわけだ。

1話からベタな進行でありつつ横紙破りのオンパレード。そこでもうノックアウト。そして表紙はともかく中の絵は紛れもないA-10先生のそれで。

あかずきんは契約を破棄しようとだまくらかそうとする、そしてそれを上回る予想外の方法で解決。

なおかつ全編に漂う斜め上からの「痛み」描写ね。展開もそうだけど、ここでこの「痛いやつ?」って感じがくる。身体描写でも精神のほうでもくる。

そして毎回の引きも異様に強い。「え、次どうなるの?」「え?そうなるの?」って。

これはベタではない! すごく強いマンガだ!と。

1巻では衝撃のつづれ織りであっけにとられたけど2巻はいきなりエモい。

それでいて2巻でも同様でありながら、同様にベタに進行していく。これがすごい。横紙破りの「破れ方」を丁寧にコントロールしている。当たり前っちゃ当たり前だけど、それを逸脱して、後半苦しくなるマンガって実は存外に多い。まあ、ドラゴンボールとか? ONE PIECEとか? 作った設定、意表をつく展開にしたいがために後々苦しくなっていくところか(それをさらなる意表をつく展開で乗り切り乗り切り長期展開ってパターンも多いけどそれは博打すぎるそして失敗は多すぎる)

たとえば「すごい」ということをあらゆる見せ方をする。2巻ではどら焼きを食べるシーン。これがエモい。なぜかは読んでいただくとわかるが「すごさ」を表現するのにどら焼きを食べるのね。

そして1巻からパワーアップしたクライマックス何秒かのあいだに事態が飲み込めないくらいの「いろいろ」おこる畳み掛けの巻またぎの引き。

2巻の終わり7pすごい。

ということでエロがないA-10先生の漫画もすごいなあと。



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