2019年09月26日

バビロンまでは何光年? 道満晴明 (秋田書店)



鬼才道満晴明先生の新作。
チリになった地球で宇宙人に拾われた少年。彼は記憶を失っていた。そして地球人の種を絶やさぬために宇宙のあちこちで交雑し子孫を残そうとする1回6pのショートエロギャグ。

2回めに記憶は戻るし、7回目に別に種を残すだけなら性転換すればいいんじゃない?って女になったりもするし。その後1回交代で男になったり女になったりするし、半分を過ぎたあたりからは全然ちがう顔がみえはじめてくるし。

読んでて「あれ、これって、アレじゃ?」という疑問を持ったらその答えはカバーをめくったらばっちり「うしし、これがいいたいんでしょ?」って見透かされたのがでてきたので悔しいので言及しない。

ラストあたりの壮大な感じはかなりすごい。ハードSFだよね。

それでいて6pショートという軽さとエロとギャグは忘れないし。ありていに「いつもの」道満晴明の良作のひとつやなと。というか、そうか、男が主人公のマンガってかなり久しぶりじゃないか?だからエロやギャグに勢いがあるのかな。

アニメ化してもいいくらいきっちりとした作品。ただアニメ化したら「彼方のアストラ」みたいに偏狭な方にみつかっていろいろいわれるのかな。

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というかそもそもこういうセリフがある以上、OVAでも難しそうではあるよね。しかも絶対に省略できない超重要なシーンでこれだからなあ。

いつものようにとてもよかった。定期的に長くずっとすごくてすごいひとだ。

追記
Twitterで情報をいただきました。タイトルは「バビロンまでは何マイル?」というマザーグースのひとつからとってるようです。同タイトルの川原泉さんのマンガもありましたね。なるほど。

How many miles to Babylon?
Three score miles and ten.
Can I get there by candle-light?
Yes, and back again..
If your heels are nimble and your toes are light,
You may get there by candle-light.



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2019年09月14日

僕の心のヤバイやつ(2)桜井のりお (秋田書店)






2巻ですね。「みつどもえ」の作者による中学生ラブコメ。

陰キャな男子中学生が、同じクラスのモデルをやっている超スタイルの超美人さんとなぜか毎日放課後図書館で出会ってお菓子を食べたりするようになるヤーツ(もうハライチのひとも長いことこのフレーズを使ってなさそうではあるよな)。

よくあり、ずっとブーム中のシチュエーションラブコメのような「ガワ」でありながら、そことは一線を画しているのが本作。彼と彼女と両方とも駆け引きをしてないし、たまになにかをしようとしても失敗していること。

これ、性別のどっちかが「被ドキドキ」で、どっちかが「加ドキドキ」ってのがセオリーなんですね。

「からかい上手の高木さん」では高木さんにより西片が「被ドキドキ」。「事情を知らない転校生がグイグイくる」では転校生にグイグイこられて西村さんは「被ドキドキ」。


駆け引きをしているというと夢はないんだけど、そういうシステムで展開してはいるしそれだからこそ読者は安心してみていられるし、それだからこそぎゃくにいうと量産できるし、その結果さいきんちょっと飽和気味に感じる(おれ調べ)のですし。

本作は、どちらもウブで、歩み寄ろうとしたり警戒したりの、一定の距離感を保ってる感じがいい。もうちょっとくだけていうと男子も女子も中学生特有の間抜けさと下手さを兼ね備えてるのがいい。いちおう男のほうがオロオロ度合いが高いのだけど、相手の美少女も中身がけっこうポンコツなのがいい。自身の美貌をあまり自覚したり武器として使おうと思ってない感じがいい。そこがとてもいい。

2巻では、クライマックスに、主人公が、その子を肉欲でみてて本当に好きじゃないのではないかと。好きな女子を自慰のオカズにできない話ですね。これの解決法はエモかった。お互いの好意がぶつかりあってるけど不器用な世界。

なかでも個人的に好きなのはファストフード店で偶然出くわす話。男側のあるあるがせつないくらい。ああいうことするよね。そして自意識ほかが邪魔をして先に進めなくなる感じ。実はいまだに不得意だわ。

この中学生特有の不器用さと青臭さとお互い様感がとてもいい。ちょっと「次」を感じる。そういや、「2019年次にくるマンガ大賞5位」っすわ。

僕の心のヤバイやつ https://twitter.com/i/moments/1123142178996228096

Twitterで頻繁にコミックに収録してるのしてないのを更新しており、非常になじみがあるなかに、満を持して発売された2巻で、見飽きた感じになるのかと思ったけどそうでもなかった。



posted by すけきょう at 21:46| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月07日

Dr.STONE 12 Boichi/稲垣 理一郎 (集英社)





アニメ化が好調ですね。12巻。
おれの立ち位置は、アニメになる前に漫画喫茶でスマホを作るエピソードの手前までたどりつき、アニメがはじまってバコンとハマった娘さんが一気に揃えたのを読んで、なおかつ12巻ということです。

あるとき謎の石化現象が起こり、人間は石化してしまいます。そして3700年のときを経て、ひとりの天才が復活します。主人公です。科学のあらゆる知識を吸収した少年センクウ。本作の主人公です。

そして「科学のチカラ」で仲間を作ります。敵も作り出してしまいます。

と、丁々発止のやり取りの末に、センクウはたくさんの仲間とともに平和を取り戻します。そして科学のチカラで大発展を目指すところ、作り出した「スマホ」から謎のメッセージを受信。受信先は海の向こう。じゃあ、海を渡る大きな船を作ろうじゃないかと。

12巻では船出をします。目的地は宝箱のある宝島です。無人島のはずなのにひとがいます。そして、、、

最大の敵との決着がついて、造船編は「**が足りない→**を作った」の繰り返しで、なるほど、科学は地道な継続にあるというのがわかる。だけど、まあ、一気に読んだのもあって飽きてきたなあこの流れと思ってたけど船出したらすげえことになったのよ。おお、おもしろい。やっぱりおもしろい。


ところでこのまっすぐ科学を抱きしめながら困難を乗り越えて前に進むってマンガを21世紀の、令和に生きる少年がみるのが圧倒的に正しくてエモい。
おれはこれを読んで胸を熱くしている現在の小学生に対して「あなたは絶対に正しい」と胸が熱くなる。




で、このマンガよ。「生理ちゃん」でブレイクされた小山健氏のマンガに熱くなる少年を世代ごとに描いてるマンガです。この令和の少年がKindleで読んでるのこそDr.STONEというのがもうこの作者は本当にタダモノじゃないなと。

いや、すばらしいマンガ。正しく「少年ジャンプ」で少年が読むべきマンガ。まあ、「ゆらぎ荘の幽奈さん」も正しいんだけど。

そして半世紀少年のおれが読んでも胸アツ。四半世紀少女のマイドーターも胸アツでみてる。アニメも胸アツ。OPも買おうか思うくらい。

ほんと、「滾るぜ」。少年も無意味に大学受験でも出てこない漢字を読めるし書けるようになってしまうよなあ。

また、これがジャンルとしてSFであることもしびれる。かなり純然としたSF。「彼方のアストラ」もそうだけどSFがまた復権の兆しがあるよなあ。そこも胸アツ。

作画のBoichi氏もSFを描くことができててうれしいと、なんどもカバー見返しのあいさつに書いてるとおり、本当にうれしそうに描いてる。絵がのびのびされてる。

いやあ幸せなマンガじゃ。

(えーといっきに11冊読んでの12巻ではあるのでちょっとキャラが混線しかかってるが、なに、鬼滅の刃よりはわかるか)



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2019年08月19日

古見さんは、コミュ症です。(14)オダ トモヒト (小学館)







14巻。まだまだつづく夏休み編。長いよねー。学園マンガということを忘れそうな勢い。

コミュ症の古見さんが友達100人作るべく奮闘する学園ギャグマンガ。

1年生から2年生になり、質は変わった。大きな要因は万場木留美子だ。マンバメイクで登場した新キャラ。古見さんと只野くんの友達グループに入り、そのメンバーでの活躍が多くなる。
1年では友達を作るべく、毎回、クセのある友達との新しい交友がメインでしたが、2巻では無理して新たな友達をつくることはなく何人かの友達での行事を楽しむというスタンスが多くなっている。海に泳ぎに行ったりな。

それでいて、只野くんと万場木さんとの2人での「いい話」を毎巻1回は挿入するようになってきている。
自信がないのを悟らせないようにマンバメイクをしている万場木さんにとっては少しづつ気になる存在ではあるんだけど、只野くんはいっしょにいやすいしいろいろと優しくしてもらってはいるが「必要以上に近づくな」というスタンスではいる。

それでいて古見さんにとってすでに只野くんは気になる存在を超え、友達というラインを超えている。

この三角関係が14巻ではかなりなところに行き着いた。

お祭りにいく。そして万場木さんと只野くんがふたりでいちゃいちゃしているところを多数の知り合いに目撃される。そして14巻の最後に「あれはどういうことだ?」とそれぞれ「尋問」される。そこがクライマックスであり、14巻での万場木x只野のラブコメシーンになっている。

13巻の万場木さんのあたりから思ってたんだよ。彼女は「なつかないイヌだな」と。

しっぽはブンブン振っているのに近づこうとしたら怒鳴ったり吠えたりするイヌ。まあ、イヌのしっぽをふるのはゴキゲンというより興奮してるからのリアクションなんだけど。万場木さんの只野くんへの態度はまさにこれ。それはこっちにはわかってるからそうなんだけどね。

いっぽうで古見さんは「なつくネコ」。ツンとしてクールな佇まいですが気がつくととなりにいる。ちょっと触れんばかりの距離にいつもぴったりいる。そうするのがアタリマエみたいにいるからまわりもつい受け入れてしまうし只野くんはときおり「女」を感じてしまうが(そりゃあ絶世の美少女ですから)、基本は普通にそこにいる存在となっている。大勢でいてもふたりきりでいても同じ距離で同じ位置にいる。
みんなと集まってて、誰が古見さんのとなりに座る?ってなってもアタリマエのように只野くんの隣に座るとみんな「そりゃあそうか」ってやっかみながらもみとめてしまう感。だから「なつくネコ」ね。

本来なら「なつくイヌ」に「なつかないネコ」なんだよね。この両名は逆なんだよ。
「なつくネコ」は物語ではある(現実でもある)。だけど、「なつかないイヌ」はあんまりみかけない。ツンデレってのも基本「なつかないネコ」だからなあ。

そういった意味じゃ万場木さんはかなり希少なキャラ。それが2年編での本作の最大の功績かなと。そりゃあクローズアップして書きたくなるしね。単純にこういうコロコロ表情が変わるし、毎回髪型がちがう女の子(コレも珍しい)ってのも貴重だしな。

この「なつかないイヌ」がカワイイってのはわりに大げさかもだけどマンガ史に残る功績かもしれん。

そしてその三角関係の言及がはじまったのが14巻ですよ。うむ。ネタバレになるから多くは書かないがこれを抱えて15巻新学期に向かうのねとは思った。

これがいわゆるTwitter4Pラブコメでは到達できない熟成させたラブコメっすよ。育ったキャラがそれぞれの思いを持つわけっすよ。それ読者が「ほお」と楽しむ。これはまあ長年のファンならではの味わいですよね。

それとは別にギャグマンガとしての機能も十分に発揮させております。とくに只野くんの妹編での安定したギャグ度数の高さ。。最近ある植物図鑑的なやつ、今回は田舎での遊びを丁寧に描いてました。あとはキャラ図鑑。久しぶりのキャラも大勢登場。かつ、新しいメンバーも。高校生にもなって河原でエロ本を探す話とかすごかった。そらもうオビであだち充氏もホメるわけっすよ。

すばらしいや。個人的にはもう万場木さんのほうが好きだなと思うし、彼女にはぜひいいひとみつけてほしいわ(片居くんがそうなりそうだけど)。

(アニメ化のときは上理さんの叔母と上理さんはあえての一人二役でおながいしゃす(アニメ化したとしてもいつ放映だよ))
(あと「なつかないイヌ」ネタは13巻から書きたかったんだけど13巻の予告に14巻ではこの三角関係のネタがあるかと思ったので14巻まで待ったのでした)





posted by すけきょう at 13:05| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月17日

乙女文藝ハッカソン(1)(2)(3) 山田 しいた (講談社)











作者によるツイッター1話貼り付けのパターンで「これはなんだ?」とはまってすぐに2巻まで揃えて3巻はリアルタイムで完結ということになっております。全3巻。

[乙女文藝ハッカソン - 山田しいた / 第1話 文藝沼 | コミックDAYS]

女子大学生がチームを組んでハッカソンにチャレンジする話。

文芸ハッカソンとはなんぞや? ハッカー+マラソン=ハッカソンね。

5人1チームで24時間でコードを書くのがハッカソンでその文芸版。5万文字の小説を即興で1本作り上げるというコンテスト。

3巻まででメンバーを組んでハッカソンに参加して戦うまでの話。

なにがすごいって物語のバリエーションとその分析。そりゃまあ戦う人物の数だけ物語の骨子だけでも必要になるからね。なおかつその物語の優劣をかなり「理系」に判断している。そこがまた新鮮。なるほど、物語の優劣ってきちんとあるもんなんだなと。そこが1番よかったところ。

また「物語」の見本市のような構造だからか、本編のストーリーが一筋縄ではいかないのがおもしろい。3巻での展開と着地点がまた。
広そうでそうでもないところがいい。これは当初の構想通りなのかしら。実質5人(もっといえばもっと少ない)が進行していく感じ。

ただまあ絵のこなれ具合はそれほどでもないかなあ。随所に「かわいい」と「すごい」はあるけど。とくにクライマックス以降。



うむ。ここではベタに「山田しいた先生の次回作にご期待」しますと。









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開口一番!(1)町田 翠 (小学館)




おれの家の半径100mを舞台に描かれた(って衝撃がおれには1番だった)「ようことよしなに」の作者による最新巻。今作はおれの住んでいるところと関係ないな。

落語マンガ。学校でお調子者お笑い担当が進路まで吉本(って名前じゃないけど)を目指したけど土壇場でみた寄席がおもしろくて落語家を目指す。

半分くらいで弟子入りするまで、後半は弟子入りライフ。その顛末を落語で一席ぶちながら紹介するという体裁。

前作「ようことよしなに」より全ステイタスでのレベルアップが最大の特徴。画力も物語も構成もキャラもすべて底上げされている。

ただまあスムーズ故に王道一直線であり単調になってるけどね。でも、王道ってそんなもんだし。

あとなんていうかな、じっとりしてるカッコ悪さというかな。それは「ようことよしなに」からなのでそれはもう作者の味なんだろうけどさ。

本作でも高校時代お笑い得意キャラだけど、実はまわりでうざがられてる。そしてそれを目撃したりする。
あとすがりつく母親を引きずりながら師匠の家に戻ったりとか。
じっとりべっとりの青春だよなあ。

カッコ悪さと恥ずかしさと。とにかく汗のべったりした感じがマンガにはよく表れてる。

がんばれ同郷って気持ちはいまだにあるけどがっつり本格的な漫画家になりつつあるなあとも。




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マコちゃん絵日記(13)うさくん (茜新社)




最終巻。
小3のマコちゃんが繰り広げるほのぼの日常マンガ。だいぶ昭和よりのドタバタ。
うむ。連載していた「LO」という意識高い系成年コミック雑誌と心中する勢いで続くかと思ってたよ。

ただ最終巻だけあってすべてがもう「これでもか」の怒涛の名作群。アンドいろいろなエピソードが決着編。極めてエモエモエモ。

12巻(あるいは11巻だっけ?)あたりからはじまったマコちゃんがお父さんのやってるぬいぐるみ屋をやってみようかなって試行錯誤するエピソードが素敵だね。「こころをこめてぬいぐるみを縫う」ってなあ。ラストエピソードもそれだよ。さすが主人公。

あと、主人公がほぼ関係ない、家族が片親の子を連れた遊園地の話がとてもいい。片親でいつも遊びにやれない子を連れて行く。楽しんでる我が子と親友、そして楽しんでるよその子らも含め母親が「みんな… 幸せであってほしい…」とひとりごちるのは掲載誌のことも考えると、とってもいいセリフだよ。みんなしあわせであってほしいよ。

なんといっても1番のお気に入りキャラクターである副担任の長豪近先生も解決したのがよかったよね。彼女とっても小さいから、生徒になめられないように意図的にロボのような機械的な態度をとるけど、それとは別にどことなくクールなところあるなあとも思った。

終わるのが惜しい。マンガ内のキャラも作者もマンガのあとも幸せになってほしいものでした。しかし、うさくんう氏は伊集院光氏でいうところの「深夜の馬鹿力」にあたるものが終わって次はどうなるんでしょうか。




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赫のグリモア(1)(2) A-10 (講談社 )








1巻からみかけてはいたのよね。でも、作者のA-10が「あの」A-10先生とは思わなかったのよ。寡作だけど出すと必ず心に爪痕を残すマンガを描くあのA-10先生とは。とくに「GIRL?NEXT DOORの1話には脳天に電撃の衝撃。

参照:
[なまのまんこの破壊力〜げんしけん二代目5巻&more〜: ポトチャリコミック]
[GIRL?NEXT DOOR | ワニマガジン社]

表紙絵も「そのころ」とちがうし、A-10先生がマガジン?講談社?と思ってたんだけど、2巻発売時に衝動におされて買ったらビンゴ。マジかと。

女子中学生が曾祖母からの遺産を受け継ぐ。廃墟のお屋敷の隠し部屋には魔導書(グリモア)である「赤ずきん」がいる。そしておれと契約しろそうすれば助けてやると。

んー!ベタ! まあ1巻の手が出なかったのはA-10先生であろうとなかろうと「どうせ」そういうベタなやつなんだろ?って。まあ、成年コミック描いてたやつが一念発起してそれこそNEXT DOOR目指してやって玉砕するってあるあるじゃない。ベタじゃない。あるあるじゃない。話も異世界ものの前は掃いて捨てるほどあった話風じゃない?と。

ところがそうじゃないからここを書いているわけだ。

1話からベタな進行でありつつ横紙破りのオンパレード。そこでもうノックアウト。そして表紙はともかく中の絵は紛れもないA-10先生のそれで。

あかずきんは契約を破棄しようとだまくらかそうとする、そしてそれを上回る予想外の方法で解決。

なおかつ全編に漂う斜め上からの「痛み」描写ね。展開もそうだけど、ここでこの「痛いやつ?」って感じがくる。身体描写でも精神のほうでもくる。

そして毎回の引きも異様に強い。「え、次どうなるの?」「え?そうなるの?」って。

これはベタではない! すごく強いマンガだ!と。

1巻では衝撃のつづれ織りであっけにとられたけど2巻はいきなりエモい。

それでいて2巻でも同様でありながら、同様にベタに進行していく。これがすごい。横紙破りの「破れ方」を丁寧にコントロールしている。当たり前っちゃ当たり前だけど、それを逸脱して、後半苦しくなるマンガって実は存外に多い。まあ、ドラゴンボールとか? ONE PIECEとか? 作った設定、意表をつく展開にしたいがために後々苦しくなっていくところか(それをさらなる意表をつく展開で乗り切り乗り切り長期展開ってパターンも多いけどそれは博打すぎるそして失敗は多すぎる)

たとえば「すごい」ということをあらゆる見せ方をする。2巻ではどら焼きを食べるシーン。これがエモい。なぜかは読んでいただくとわかるが「すごさ」を表現するのにどら焼きを食べるのね。

そして1巻からパワーアップしたクライマックス何秒かのあいだに事態が飲み込めないくらいの「いろいろ」おこる畳み掛けの巻またぎの引き。

2巻の終わり7pすごい。

ということでエロがないA-10先生の漫画もすごいなあと。



posted by すけきょう at 12:58| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

心臓 奥田亜紀子 (リイド社)




読み終えて最初に思ったのが「さよなら平成」と。

6年ぶりの単行本だそうです。おれにははじめてです。書店にて「呼ばれ」ました。こういうことがあるので書店で本たちの声に耳をかたむけるのは大事なのです。

5本の短編に大橋裕之氏との合作ショートショートな「DREAM INTO DREAM」がインターミッションのように収録。

アフタヌーン系の雑誌におもに発表されておられる感じで、それはいま、奥付をみて知ったのだけどいわれてみればそれっぽいなと思ったりちょっと違うなと思ったり。

余命宣告されたJKの表題作「心臓」

親友とそのDV彼氏との変な関係の「ニューハワイ」

寝たきりの双子の姉と妹の恋愛の「神様」など。

昭和より地続きの「平成」を想う。それは最新作である「るすばん」にとっても顕著だけど、平成というのは日常にPCやデジタルが本格的に入り込んではいるけど、溶け込む最初であり最後の時代だったなと。昭和だと完全な異物であるPCをはじめとするデジタルガジェットが日常に溶け込んでいく過程こそが平成だったのかしらと。

「るすばん」でマンガを描いている彼女は「スクリーントーンとはなんだろう?」と思いつつ点々を描くことでで再現しようとする。逆に令和以降はスクリーントーンの使用頻度は極力下がるだろう。いまや液タブで描くほうが主流げな感じあるし。
そんな昭和と令和の狭間に存在する平成。文化その他モロモロ。その総決算のように思えた。そう考えるとギャグ要素の強い大橋裕之氏との共作の数々もいかにも「それ」に思えたりしてくる。

偶然かどうかともかく本作に出てくる小物はこの先消えゆく感じのものが多い。黒電話、ファミコン、ブックオフ、有線のイヤホン、和室に誂えた木で組んである外枠の和テイストの蛍光灯のシェード、ねるねるねるね等々。本作にガラケーはあるけどスマホは出てきてないしね。

引き合いに出すのもなんだけど、今年読んだ中ではもっとも「令和」な感じをもった「ヒョウヒョウ/ネルノダイスキ」とは好対照であり、この2冊で2019年令和元年はかなりセットになっているように思えた。これまでのマンガとこの先のマンガのセット。

参照:[ひょうひょう ネルノダイスキ (アタシ社): ポトチャリコミック]

それぞれの作者が新しいや古いってことじゃなくてそれぞれの作品、今回の場合は本作が「平成」を指してたわけでね。奥田亜紀子氏の次回作は令和を先取りするものかもしれない。
でも、平成は終わったという思いはこの作品で強く感じた。ニューハワイのDV男も平成が生んだ化け物のような気もするしな。

そう考えると書店によって新刊のマンガを眺め「これおもしろそう」とジャケ買いする機会も減っていきそうだよな。書店で紙の本を買ってきてネットに感想を挙げる。そしてネットで買ってもらう。これも非常に平成ですね。令和もそれがつづく感じはしないね。

ポトチャリコミックなんてのもね。






posted by すけきょう at 12:47| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

やんちゃギャルの安城さん 4 加藤 雄一 (少年画報社)




グルメマンガと同様の現象が起こってるなあと令和に入ったくらいから感じはじめた。
ラブコメに飽きてきたなと。

ラブコメはずっと続くのかと思ってた。だけど、ああいう特殊設定による関係が縮まりも遠ざかりもしない生ぬるい日常が延々と続く系のラブコメは急に飽きてきた。ぶっちゃけると「からかい上手の高木さん」の一連に飽きを感じていた。アニメも原作も。それはクオリティが高く「おもしろさ」という観点から非の打ち所がないことから導き出されたものなんすけどね。

単なるこちらの飽きか一過性のものか。ともかく。

理由は分析できる。Twitterだ。タイムラインを眺めていると毎日たくさんの数の4pの部品のような美味しいところだけ凝縮したマンガが流れてくることだ。かつてはギャグではあったけど現在はラブコメが主流になった。サルビアのつぼみの蜜のようにちょろっとあるラブコメのエキスを毎日のようになめてりゃラブコメ耐性もできようもんだ。それでもまあ飽きないもんだなと思ってたけど甘かったな。飽きたわ。
またTwitterマンガ家の4pマンガはかなり拙いものが多い。ラブコメ系統のものと啓蒙や告発系のものはちょっとしたテンプレがあるしいうても4pなのでパターンをつかみやすい。そのキモ描写だけならそんなに難しいことはない。その甘いところ以外をおもしろくしてキモまで飽きさせずに誘導するほうが100億倍むずかしいんで。
でも、そのラブコメのパターンはでも大事なパターンでもある。あえていうところの「普通のマンガ」でも使われるところだから。そこを大挙んしてこするわけだからそりゃラブコメでのドキドキする感じは摩耗するわね。

本作はやんちゃギャルの安城さんが陰キャボーイの瀬戸くんといちゃいちゃするマンガ。

本作もその大事な美味しい蜜のところは使われる。
本作はでも相変わらずいい。丁寧な描写に徹しているし、なおかつ丁寧に変化をさせている。丁寧に「蜜」の前後も描かれている。

いや、とどのつまりが好みに帰結するのかとも思う。

4巻はいやに安城さんほかのデフォルメ描写が進行した気がしないでもないが、そのおかげでより生き生きした感じは出た。そして相変わらず関係性は変化していくしふたりはどんどんいい感じになっていく。陰キャボーイがやんちゃガールにデートを誘ったよ。

このマンガの特徴である女性がくっつくいてくる(文字通りの意味)のって単純に気持ちがいいんだよね。その感じがすごく良く出ている。しかも柔らかい一方じゃなくて硬いところ(骨とか頭とか)の感じもあるなあと。
そういうところは4pのテンプレラブコメじゃなかなか描けないところ。
ここいらが成年コミックエロからそうだけどラブコメでもある、「リアル」の取り入れ具合の妙だよな。ドリアルでもあかんしドファンタジーでもあかん。その狭間での調節具合いな。本作は絶妙。おれ感覚ではね。他の人だとまたちがう感覚があるとは思う。

ただまあ次はどうなるかって危うさはある。結論。現在のラブコメのスタイルは飽きつつある(おれ感覚)ってことで。
グルメはもう完全にふるいわけが終わり、異世界ものも年末ごろは「昔はやったよね」っていわるんだろうなあ。
ラブコメはねえ、、、、(新味が入ったら盛り返しそうな気はするんだけどね)



posted by すけきょう at 12:18| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする