2025年04月20日

これ描いて死ね とよ田 みのる (小学館)

これ描いて死ね(7) (ゲッサン少年サンデーコミックス) [ とよ田 みのる ] - 楽天ブックス
これ描いて死ね(7) (ゲッサン少年サンデーコミックス) [ とよ田 みのる ] - 楽天ブックス

最新巻7巻。
7巻が毎話涙涙で、疲れるほど泣けるので、「あれ?おもしろいのはわかってたけど(いつでも読み返すことができるところに置いてある)、こんなおもしろかったっけ?」ってビビってしまう。おれはおれの涙があてにならないことが知ってるから、どんなもんじゃ?と1巻から読み返してみたところ、1巻からめちゃくちゃおもしろいことに気がついたし、7巻もまたおもしろかったし、なにもブレがなかったので、おれがボケてただけでした。
めでたしめでたし。

で、書きたいことが90%書けたのであとは余談を書いていきまーす。

TVアニメ決定(日本テレビ)&第70回小学館漫画賞受賞の祝祝巻が7巻です。おめでとうございます。アニメ化楽しみ!
7巻あとがきにあったけどアニメ化って3年前から動くんだね。だから、3巻のマンガ大賞2023年大賞受賞あたりから動いていたのかなーとか。

あらすじー
東京の島、伊豆大島に住んでいるマンガ好きJKらがマンガを描いていく話。仲間と一緒に切磋琢磨していく、マンガ描きマンガです。

本作は主人公が愛してやまないが作品を出さないマンガ家が新作を発売するからってコミティアに参加するところから始まるのよね。それが主人公の教諭兼漫画研究部顧問だったのです。
読み返して、おれも孫ができてから初のコミティアに行った原動力は思い返すと本作だったなあと思いだした。(ま、帰ってから入院だったし、体調最悪だったからもう1回くらいリベンジはしたいと誓ってるが、さて)

7巻も何回目かのコミティアがキーとなっている。コミティア(と東京旅行)がキーではあるんだけど、毎回切り口がちがうんよね。でも、感動はいっしょなんだよね。でも、7巻は特別きたんだよね。

6巻までも7巻でも、創作の業に囚われてるマンガ描きの鬼が切磋琢磨し悩んで笑って喜んで怒ってズタボロになったり輝いたりしている話ではあるんだけど、その漫画研究部にあって唯一描いていない赤福にフォーカスが合ってた回がひときわ刺さったんだとな。
マンガ読みの業とファンの業とその「義務」と「責任」みたいなもの(自信ないからカギカッコで閉じました)を描いていてそれがとても沁みした。
おれも創作の業に取り憑かれることはなかったが、マンガを読むことくらいしかまともにやってることない人生だからなあ。アニメ化も決めてないし。
ま、こういうところで感想書いて20年とかになってるからまあまあマンガを読んでいるし語っていると思ったからこの赤福ってキャラと彼女をわきで解説しているキャラの回にしびれたんだな。
思えば彼女は1巻からマンガを読むってことでの才能があった。小出しにあったけど、「赤福すげえな」ってのは彼女のパーソナルなところが担っていたために、ナイスキャラって扱いだったのが、彼女の持つ才能「マンガ読み」が開花したのです。

「これ描いて死ね」って本作のタイトルであるがコンセプトでもあるわけよ。
毎巻末に先生の過去編が語られてます。これが7巻で終わりまでたどり着きました。終わり、すなわち「現在」です。
先生は元マンガ家だけど「これ描いて死」んだわけです。かんたんに言うならば。だからこそ教え子にはこれ描いて死ねってほどのめりこむなとして自戒と教師の責務として伝えてます。

でも、ずっと教え子らは創作の沼に潜っていきます。それも先生は字の通り先に生きてきた、同じ道を辿ってきた先達としてわかっています。そして、読者代表として身近に彼女らの創作熱にやられてる赤福も無事でいられるわけはない。だがコメディリリーフとしてのほほんとしたキャラとして収まっていたわけです。が、実は熱いマンガ愛があるんだなって感じがよかったのよね。

あと表紙にもなっているナナちゃんの過去と謎多き「現在」も描かれていた。巻末の過去編も彼女にフォーカスもあってた。彼女もマンガの熱に飲み込まれていたんだな。しかもきちんと伏線があった。ナナちゃんが毎回コミティアにいってること、新作を発表し続けてることを知っていたからこそ、1巻で筆を折ったはずの担任先生も新作をコミティアで発表したわけです。
教え子らもそう、そして大人らもそう、赤福もそう。登場キャラ全員そう。それぞれのマンガ愛とマンガとの関わり合いと熱にほだされまくりの涙まくりだったのですね。
それは読者もそう。
つまり、

マンガはいいよねえ。

ってことです。

あとまあ5巻から登場した新キャラ麗さんもいい絡み具合だなあ。けいおん!なんかでおなじみのひとりだけ入部する後輩キャラなんだけど、うまく使ってるなあと。
7巻は赤福以外のマンガ描きキャラの「孤独」が描かれているのがまたいいよな。みんなそれぞれに大小や種類はちがえどもマンガと向き合うことでの孤独があり、それがまたいいコントラストを生み出してるわ。麗さんの主人公グループとはまたちがった孤独も描かれていたのがとてもよかった。

でもって描画。もうわりとデビュー時からずっと絵が変わってないように思ってたけど、本作だって1巻からだいぶ変わってるし、7巻がまた変わったなあと思った。

とくに7巻冒頭のもうひとりの主人公手島零に実験的とも思えるくらいいろいろな表情をさせててそれがまた絶品。

作者のとよ田氏もとくSNSで描いてましたが、マンガ家はプロでもアマでもベテランでもルーキーでも「かわいく描けた」といってイラストをアップしてますが、それってやっぱりかなり重要なことなんだなとあらためて思ったりしました。7巻はお得意の並列描画が多かったのです。そこでのそれぞれの喜怒哀楽で収まらない複雑な表情がまたすごくて。たとえば3組が同時にコミティアで編集に持ち込みシーン。その繊細な機微を表情で魅せていた。すげえ!って。
そいでそれに負けないくらい、舞台である王島の風景がもまたキレキレで。点景として王島、心象風景として王島、彼女らをやさしく見守っている王島。モデルとなった大島のガイド表紙も彼女らが描いてあるそうで。アニメ化前に聖地が決まっているのもいい話ですね。

だからね、なんというか、どんどんスキがなくておもしろくなっていって、なんか「売れるマンガ」になっていってるなあと。

ちょうど7巻でも売れるマンガ売れないマンガって話が出てきてますが、「マンガのラジオ」って1ヶ月にわたってひとりのマンガ家に長時間話しを聞くってポッドキャストで、とよ田みのる氏が売れるマンガを目指すってことを仰ってたんですよね。前作「金剛寺さんは面倒臭い」では実験をやりたおした反動だったらしいです。
その、なんていうか「売れる」力に磨きがかかってきた。マンガ家にはそんな時期や作品があるような気がします。手癖とこれまでの蓄積できたのとちうがう燃料とエンジンに切り替える瞬間。
それは1作のヒットマンガ内でもあって、どこからこうって指摘するのは難しい複雑な層状のものだと思いますが、本作は最初からそうでしたが、5巻あたりからギアが上がって、さらに毎巻いろいろなところから「売れる化」している気がします。

「売れる」って響きがあまり良くないかな。マンガの売れるって、つまり、「おもしろい」と思うひとが増えるってこと、つまり、刺さるってこと、つまり、広範囲に攻撃効果が届くってこと、つまり、本作に即して言うならば、「これ読んで死ね」ってひとがますます増えていってるなあって。

いやあだから、7巻の感想は「ああ、死んだ死んだ」でもいいんかなあと。

これ描いて死ね(7) (ゲッサン少年サンデーコミックス) - とよ田みのる
これ描いて死ね(7) (ゲッサン少年サンデーコミックス) - とよ田みのる
posted by すけきょう sukekyo at 08:36| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月22日

絶対死なないステラ姫 光永康則 大高稲(講談社)

絶対死なないステラ姫(2) (シリウスKC) [ 光永 康則 ] - 楽天ブックス
絶対死なないステラ姫(2) (シリウスKC) [ 光永 康則 ] - 楽天ブックス

最新2巻まで。

異世界転生モノは基本は出オチではある。

主人公が死んだ→転生した→〇〇になった→□□というルールのもと異世界に生きる

この〇〇と□□のバリエーションのちがいだけといってもいいかもしれない。

そしてそのバリエーションがちがえども連載がつづくにしたがって一定のパターンに収束し展開していく。
元も子もないこというと、おおよそあまたある全ての長編物語というものはそうやって展開していくのだけれども、異世界は〇〇と□□のパターンがちがうけど、あとの展開のバリエーションは少ない方とは思う。もちろんおれの観察範囲内でのこと。
ツカミの〇〇と□□とそのあとのバリエーションで最終的に何人かの素敵なキャラを読者に認識してもらえばわりと完成。上手く転がっていくとアニメ化おめでとうと。
そんなかんたんではないこともわかるのですが、話数が進むと、@主人公が強くなり、A敵が強くなり、B仲間が増えるって3つの要素は必ずあるし、その仲間にかなり高い確率で可愛い女性はいらっしゃるわけです。ほら、いくらかこのパターンに則った話は思いついたでしょ?
ヤンキー喧嘩マンガでもラブコメでも退魔マンガでも似たようなもんだけどさ。

なにがいいたいのかというと、このマンガもこのパターンに則っているし大きく逸脱していないのに、なぜ他よりおもしろいのだろう?って謎があると。

本作。王様が死んだ。生前の遺言でひとり娘のステラ姫が跡をとり王になれと残す。後妻の連れ子姉弟はそんなことはさせまいと、姫の暗殺を試みるも、なぜかことごとく失敗する。

第1話 絶対転生しない@
https://comic-days.com/episode/2550912964546522818

1話の前半までの無料分です。同じく無料のAをそのまま読んでいただくとネタバラシみたいなことになっております。
目を通しておいてください。1話は77Pもありますねえ。

読みましたね?ネタバラシします。

今回転生した先は姫の寄生虫だったのですね。でもいくつかの特殊能力をもったスーパー寄生虫。
腸内に巣食って姫様の排泄物を食べて生きていて、姫様を毒殺しようとしたら毒物を自ら飲み込んで排泄してしまう。
刺客が現れ物理的に攻撃しようとしたら体外に出て(どこから?わかるだろ?)、対処するわけだ。
1巻の終わりでは、テロ組織を雇い火を点けて襲いかかる。2巻ではそのつづきのラスボスバトルと。

もういっこ異世界転生モノのお約束があったな。主人公が強いってこと。異世界に転生して「最初から」強い主人公の話を5作品挙げろっていわれたらわりかしかんたんでしょ?というか逆が難問でしょ?
果たして本作もスーパー寄生虫だからチート級の能力を持っている。

さて、強い主人公の物語をおもしろくするのに必要なことってなんでしょう?
いくつかの答えはあると思いますが、定番は、主人公の行動に制約をかけることです。そして絶えずピンチを用意すると。2巻はそれです。
これがでたらめに上手いのが光永作品なのですね。謎が解けた。
物語を作るのならこれをお手本にしろと強くいいたくなるくらい物語が強いです。

物語が強い?

そうです。
以下ネタバレ丸出しの解説書きます。ここまで読んで面白そうと思ったら買われるといいと思います。
あ、その前に。
本作光永氏は原作です。そして作画のほうにも言及を。
光永氏の作画にはないシズル感があります。ウエッティな人物描画というか。光永氏の絵ってさっぱりドライなタイプですもんね。血描写だけウエッティですが。
まー、端的に、ステラ姫が可愛いね。これは重要なことですね。
自分が謀略によって絶えず殺されそうなことを知らない。そして知ってからでもその純粋な心のステラ姫は犯人である彼らを殺さないようにいうのです。そういう姫をすばらしく可憐に描いておられます。
2巻では姫のデフォルメ絵がふんだんにあり、それがまたかわいい。ここらへんは光永氏の絵からは得られないものですね。ありがたいありがたい。
もちろん光永原作であるからハードなアクションシーンや、グロテスクなシーンもてんこ盛りですがそこらへんもバッチリです。シンプルに言うとサイコーってことです。

で、物語が強いってことです。

異世界転生のテンプレに沿ってます。上記にあったことにあてはめます。

死んだ→転生した→寄生虫になった→彼の能力で彼も宿主も無敵であるが宿主(ステラ姫)の意思に従って嫌がることをしないというルールのもと異世界に生きる

まずこれにあてはめました。それから展開しました。

宿主(以下姫)は、跡目争いに巻き込まれてます。暗殺しようと次から次へとトラブルが舞い込みます。真犯人である義姉弟を倒さない限りトラブルはい終わらない。(ひょっとしてその後もつづく?)
これはつまり、姫が城から出なくていいということになります。トラブルはずっと城内にいながらにつづくからです。

荒唐無稽とリアリティのバランスですね。姫が外界に大冒険ってのは、城内の敵を全滅させるくらい(この話はコレで終わるはず)荒唐無稽でありえないってことになるんですよね。

謀略戦というのも城内という狭いステージには向いている。それは寄生虫の特性や戦い方にも合っている。
それでいて、姫の心優しさが枷になっている。真犯人は姉弟ってわかっているのに殺しはまかりならんということでさらなるピンチを巻き起こしたりする。
姫の身体をコントロールすることができるのだから、勝手に動かせばいいんだけど、ストレスにより体調不良になると寄生虫も文字通りの死活問題になる。
だから主人公は姫様の意向に従い慎重に大胆に行動しなくてはならなくなる。
2巻の白眉であるエクソシスト(寄生虫入り)との戦いがまたすごい。同名の有名映画のパロディになってる。しかも見張ってる人が多いので周りに戦いをバレないように行わなければならないって限定戦なんですね。
そして宿主同士の戦いの優劣がまた設定に立ち戻るという。設定が隅々まで活かされてる。
なおかつそれが次の展開への布石になる。
完璧です。
異世界転生してなんでも使えるスマホを手にしたりイオンでなんでも通販でもいいですが、「異世界転生」「無敵」ってカードの最低限の荒唐無稽の他には純粋な話のおもしろさとキャラの魅力が出ないと、せっかくの異世界転生が台無しになるんですね。

光永氏のもうひとつの異世界転生モノである「時間停止勇者」もどうかしているおもしろさを持続したままつづいております。現在18巻。

時間停止勇者(1)光永 康則 (講談社): ポトチャリコミック http://sukekyo.seesaa.net/article/473686598.html

だから、ステラ姫が長期化してもずっとおもしろいことはわかります。だから、これを読んだあなたは勝ち確のマンガを2冊買えばずっと楽しいわけです。エロいの絶許マンで時間停止勇者はムリーって方も本作は大丈夫よ。まあグロはあるけど。
(でも、エロってことだとこっちのほうが上級者向けでいろいろ内在はしてるけどな)

絶対死なないステラ姫(1) (シリウスコミックス) - 光永康則, 大高稲
絶対死なないステラ姫(1) (シリウスコミックス) - 光永康則, 大高稲
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2025年02月23日

あさってのニュース 北村みなみ (筑摩書房)

あさってのニュース (単行本) [ 北村 みなみ ] - 楽天ブックス
あさってのニュース (単行本) [ 北村 みなみ ] - 楽天ブックス
1回3p〜5pのSF時事ショートマンガ。イラストレーター・アニメーション作家でもある氏によって紡がれております。

かわいらしい絵に合った話も、ちょっとビターすぎる話も、本当にあさってにありそうな話も、あさってどころじゃない先のも、昨日になりかかってるのもある。1回のページ数が少ないのでどこか未来に実際にあった出来事をスナップ写真で切り取ってきたかのようなシャープな手触りもあります。

たとえば、AIが発達した社会。デスクワークは完全に取って代わられて、グラフィックデザイナーだった主人公はAiではデキない仕事をしている。みんなに尊敬される引っ越し業者をしている。

たとえばAIの恋人。いまのに飽きたのでちがう恋人を選んだ。

メタバースの世界でアイドルをやってる。アバターに生殖機能ができ、妊娠してしまったのでクビになる。

完全に人間が設計したスマートシティ。虫も害獣もいないし年中快適な気候。でも、人間は退屈だから街を捨て廃墟化する。

宇宙に舞台を移した壮大なのもある。切り口も多彩のSFショートショート詰め合わせセットです。

「あした」くらいはみることもできるでしょうけど「あさって」の未来はどうかなあと思う。火の鳥の血でも飲んでいれば別だけど。
でも、ひとが考えたり感情を動かしたりすることは変わらないんだなあと思った。

絵がかわいいのにリアル。未来のメカも雄大な風景もひとも動物もかわいいのにリアル。もともとネットに流れてきた絵にひかれて買ってみたのですが、予想以上に絵も話もかわいくてリアルでファンタジーでハード。

『あさってのニュース』北村 みなみ | 筑摩書房 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480816962/
(OPが読めます)

あさってのニュース (単行本) - 北村 みなみ
あさってのニュース (単行本) - 北村 みなみ
posted by すけきょう sukekyo at 12:07| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月22日

ゆるり愛しのひとり旅 おづまりこ(文藝春秋)

ゆるり愛しのひとり旅/おづまりこ【3000円以上送料無料】 - bookfan 1号店 楽天市場店
ゆるり愛しのひとり旅/おづまりこ【3000円以上送料無料】 - bookfan 1号店 楽天市場店
献本
タイトルの通りの旅エッセイコミックです。「ゆるりより道ひとり旅」の続編になるんでしょうかね。前作は関西在住の作者の近辺のひとり旅が多かったですが、今回は遠距離になってますね。続編でスケールアップ!セオリーです。でも「ゆるり」です。

尾道に、札幌に、倉敷など。奈良や神戸もいっておられます。

80ページ以上描き下ろしでオールカラーです。

最大の特徴は「愛」でしょう。好きなことを好きな風にやる!そのためのひとり旅という大前提で、旅前にテーマを決めて、それだけを好きなだけ満喫すると。

たとえば、尾道では「レモン」。札幌では「六花亭」。倉敷では「マスキングテープ」。神戸では「パン」とか。これらに「愛」がつまってます。楽しかった美味しかったおもしろかった、それすなわち愛おしかったと。

寄り道などもありますが、テーマがはっきりしているので、毎回切り口がピシッと固まっており、そのテーマに沿った「ゆるり」されておられる感じ。だから、旅だけど、店だけとか、食事だけとかにグググとフォーカスしていて、作者の絵の世界に溶け込んでいく感じがしていいです。「るるぶ」的には使えないですが、超個人的な愛ある旅になっており、新鮮で楽しいんですよね。

絵がやっぱり唯一無二ですね。かわいくてホッとするイラストレイテッドな絵柄でありつつ、食べ物にかける愛(描写)がすごくてそれがやっぱり見どころではありますね。問答無用で美味そうなんだよね。かと思えばコンビニおにぎりで済ましたりもしてるし。
唯一の登場キャラともいえる作者(他はゲストとかモブですね)がまたいい感じで旅をまわしているんだよね。

また、倉敷だの尾道だの札幌だのいちいちおれも行きたいところばかりってのがねえ。尾道はおれだったらイカフライ食べる旅に出るなあとか。

あと、家に帰って自分のためだけに買ったお土産をあけるシーンってのも他の旅マンガにありそうでないところでいいですね。
その発展形として日帰りで神戸で13個のパンを買ったあと、ひとりで食べる日々なんかもマンガにしていますね。パンを食べ終えるまでが旅ってことなんスね。

第9話 奈良でカフェ旅 その3 | ゆるり より道ひとり旅 https://crea.bunshun.jp/articles/-/52503

読むことがデキます。大量描き下ろしだしそれがまたいいのでおもしろかったらお買い求めされるといいですよ。

ゆるり 愛しのひとり旅 (文春e-book) - おづまりこ
ゆるり 愛しのひとり旅 (文春e-book) - おづまりこ
posted by すけきょう sukekyo at 11:41| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月17日

人間一生図巻  いがらしみきお (双葉社)

人間一生図巻 [ いがらしみきお ] - 楽天ブックス
人間一生図巻 [ いがらしみきお ] - 楽天ブックス

すごい本を読みたがってる皆さん、お待たせいたしました。すごい本ですよ。
1回8ページ読み切り20人。架空の人物が生まれて死ぬまでの一生を描いていくという作品です。
あとがきに全て余すことなく書いてありまして、それ以外に書くことがなくなるのですが、元ネタというか出発点は山田風太郎氏の「人間臨終図巻」だそうです。本作をコミカライズできないかと思っていたところがスタートです。

人間臨終図巻(1)新装版 (徳間文庫) [ 山田風太郎 ] - 楽天ブックス
人間臨終図巻(1)新装版 (徳間文庫) [ 山田風太郎 ] - 楽天ブックス

歴史上の有名人が臨終になった年齢順に並べてある作品です。実は相当売れてる有名本です。おれも文庫と電書で持ってます。

追読人間臨終図巻 芸術家編【電子書籍】[ 山田風太郎 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
追読人間臨終図巻 芸術家編【電子書籍】[ 山田風太郎 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア

構想だけあってしばらく置いていたら、すでにコミカライズされていたので断念したそうです。
こちらのほうは人間臨終図巻の「感想文」みたいな感じで1人1pで死に様につっこんだりボケたりしてて人間臨終図巻を読んでいたらおもしろい副読本ではあります。ファンブックって誰のなににファン?って疑問はありますが。楽しく読みませていただきました。

いがらしみきお氏が人間臨終図巻をコミカライズされた場合、どうされるのかなという興味はありますが、人間臨終図巻を起点として描かれた本作はそういうこととは全く別にすごい作品となっております。

世界中の時代も性別も人種も毎回いろいろなひとの命が尽きるまでの顛末を8ページで語っています。
「人間臨終図巻」も各年齢で亡くなった有名人の死の間際を列挙したものになっておりますが、本作も「ひとが生まれ、どういう行動をして、どう死んだか」を1回8ページというテンポで次々とはじまって終わってしているのです。だからショートショートのスピードで毎話大河ドラマが押し寄せてきて、1回の情報量に圧倒されて次の話の前にオーバーヒートになっていまいます。それで頭クラクラになりおなかいっぱいになるんですよ。

ほら、ワタシっていがらしみきおの大ファンじゃないですかあ?(知らんがな)

それぞれの人間の生き様に氏のキャリア全部のエッセンスがまんべんなく散りばめられていて、それこそ「根暗トピア」の最初期の過激な4コマを描いていたころから、「ぼのぼの」「かむろば村へ」などの有名作、「Sink」や「ガンジョリ」なんかのホラー、老人老後を描いた「のぼるくんたち」なんかもそうかな。もちろんエッセイなどにも顕著に現れてます。氏の思想、死生観といったものや、芸風作風も色濃く反映されております。それこそいがらし氏の一生を煮染めて抽出したような濃さに頭がくらくらしてきます。

第1回「鈴木広美 0歳」 / 人間一生図巻 - いがらしみきお | webアクション https://comic-action.com/episode/13933686331793023816

3回分まで読むことができます。この最初の3作がわりに全体のトーンを物語っているような気がします。
読んでいただくのが手っ取り早いし、この3作のネタバラシ的な内容紹介になりますので一旦上記リンクから3作に目を通していただけるとサイワイです。

鈴木広美は、生まれた瞬間に死んでいた。死産だったわけです。彼女から話がはじまります。

2話、ディウグは300万年前の人間です。彼は言葉を発明します。「誰かに見られているような気がした」という誰かが言葉を伝えるのです。この感じは「I【アイ】」や「誰でもないところからの眺め」などを連想しますね。おお、この感じ!いがらし風の神描写!って感動しました。

3話、これが全作品でもとりわけ好きです。ホラーとギャグと感動ネタって本当紙一重なんですね。それを十分理解して紙一重を描き分けてるのがやはりすばらしいです。

絵がいいんですよね。鉛筆ラフ画に水墨で色合いをつけてるような感じがおとぎ話的にもなるしどことなくふわっとした読み感(そんな言葉ないですね)になる。いつものカチっとした画だとちょっと生々しく感じそうなのを避けている。

多様性なんて言葉がありますが、その真の意味って本作になる。彼も人間、彼女も人間。そして全て等しく死は訪れる。そして等しく、なにかは残る。「多様性」って言葉にそれ以上もそれ以下もないんだなと。

思えば、死ってのは人類が発生してからずっと「ドラマ」として最大のものとして存在するんだなとしみじみと思う。死んで終わる。つまり誰もが「終わる」ことはできるのだなあと。

なるべく長生きしてこういうすごいものに接し続けたいなという凡庸な〆で。

人間一生図巻 - いがらしみきお
人間一生図巻 - いがらしみきお
posted by すけきょう sukekyo at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月10日

エルフとバイクと帝国地理調査員と 磯本つよし (少年画報社)

エルフとバイクと帝国地理調査員と 1 (YKコミックス) [ 磯本 つよし ] - 楽天ブックス
エルフとバイクと帝国地理調査員と 1 (YKコミックス) [ 磯本 つよし ] - 楽天ブックス
エルフとバイクと帝国地理調査員と 2 (YKコミックス) [ 磯本 つよし ] - 楽天ブックス
エルフとバイクと帝国地理調査員と 2 (YKコミックス) [ 磯本 つよし ] - 楽天ブックス

マンガ読めてない問題。
もうゲームは30年もので寝かせてるのが多くて、小説や本もそれくらいのがあるかな。CDやレコード(プレイヤーが本の山に埋まってるんや)もあるけど、マンガは!と思ってたけど、最近は全く駄目です。2年間のモラトリアム期間を持ってしても、積みが解消されるかと思ったけど全くダメです。むしろ倍増倍増です。
こうなると、なにがいやっておもしろいマンガを適切なタイミングでインプットすることができないんですよね。こんな僻地の感想場でも、「旬」を大事にしたいんだよね。本作もまたそのひとつなのです。

だいぶ前に買ったはいいけど読めてなくて1巻を読んだらすごくおもしろくて、取り急ぎ2巻を買ったらこれまたおもしろくて、感動してたら2巻巻末に3巻は2025年の春に出るとのアナウンス。
だから「旬」なのです。タイミングが合いました。おもしろいのでいまのうちに2冊どうですか?という主旨の文章となります。

タイトル通りなんですよね。中世ファンタジーな世界観で、モンスターが跳梁跋扈し、魔法がある世界に、バイク乗りのエルフとジープ乗りの相棒(彼は何者だ?)と2人で帝国地理調査員として各地にある道標を探す冒険活劇です。この上ないシンプルで明確なタイトルで、その通りの内容です。

バイクアクション、戦闘、魔法、ドタバタ、そして表紙のエルフさんのおっぱいも出る(不可抗力で出るときも多々あります。だいたいは自発的)。
これらが毎回「ちゃんと」あって、1話完結で次回につづく。

律儀、って言葉を最初に思い浮かびました。こんなに毎回律儀に幕の内スタミナ弁当大盛りをきれいにパッケージして「ああ今回もおもしろかった」と大満足する。しかも、熟練の腕を持つシェフがこだわり食材を見事に調理だわ。古代遺跡も、ファンタジー設定描写も、モンスターも、バイクシーンも、キャラたちも、おっぱいも。チリバツのグーです。
1回24p完璧に満足させる絶対的な娯楽仕様。掲載ペースみると隔月連載みたいですね。さもありなん。それくらい精緻に丁寧になんの手抜きもなく完璧に作り上げられています。それぞれに工夫に工夫を凝らしてある。ページコストが高いんですよ。それはパラパラと眺めてもすぐにわかりますよ。

エロくて興奮も、アクションに興奮もある。ただ、それにのみ100%チューンされているところにはちょいと及ばない。そんな感じ。幕の内な感じ。
作者はこれらが「好き」なのでしょうしね。バイクとメガネとガールが。それが毎話100%伝わってきますし、だからこそ生き生きと動いて活躍しているのだと思います。

2巻ではさらにアクションもバイクもキャラもおっぱいも増量になってきて、お値段据え置きって感じです。やっぱりおれはこういう誠実に丁寧におもしろさを提供しているマンガがとても大事だし愛おしいし、「ここにおもしろいマンガがある!」と声高めにいいたいのです。そうじゃない世の中はいやです。と、そんな大げさなことじゃなくても、雑誌に載ってて「今回もおもしろかった」という軽さもあるしね。ほんといいマンガ。出会えてよかった。

買いましょう、読みましょう。楽しみましょう。


エデン コミック 全2巻セット - NETFLIX, 磯本つよし
エデン コミック 全2巻セット - NETFLIX, 磯本つよし

エデン
Netflixオリジナルのアニメシリーズ全4話を、コミカライズされたもの。磯本つよし氏が全2巻にして手掛けております。
これがまた、忠実にコミカライズされており、マンガならではのアレンジが施されており、なんともいえない「磯本節(潮の香り?)」がしていいです。CGの洋風な動かしすぎのアニメとちがい、そりゃ、マンガは静止画だから当たり前ですが、それでもテンポやノリがちがっていい意味で相互相乗効果があると思います。おれはコミックを先にみてからアニメの方をみましたが、新鮮でした。

そういうことだから(どういうことだから?)、ネトフリは今度はZ指定にして(おっぱいでるからね)エルフと〜をアニメ化しましょう。そうしましょう。2026年配信しましょう。最低でもエデンと同等のクオリティで。

エルフとバイクと帝国地理調査員と コミック 1-2巻セット (少年画報社) - 磯本つよし
エルフとバイクと帝国地理調査員と コミック 1-2巻セット (少年画報社) - 磯本つよし
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2025年02月09日

物の怪オンパレード 九日ゆう (小学館)

物の怪オンパレード(1) (サンデーうぇぶりコミックス) [ 九日 ゆう ] - 楽天ブックス
物の怪オンパレード(1) (サンデーうぇぶりコミックス) [ 九日 ゆう ] - 楽天ブックス
献本です。
幼いときから、たくさんの物の怪がみえる少年。そのためにみんなに嘘つき呼ばわりされたりいじめられたりしてる。だから、こんな閉塞的な田舎から出て東京に行く!って思って東京の高校に推薦入学の願書も出して通ったけど、見えることで懐いてくれる物の怪たちには言いにくい。でも知られてしまった。学校の内申が悪くなったら東京に行けなくなるんじゃないか?って失敗するようにいたずらをしはじめる。そのうちにそれがちょっと一線を超えて少年はブチギレる。「おまえらと会いたくないから東京に行くんだ!」って言ってしまう。その日から物の怪は全員姿を消す。そのまま卒業間近。いつも少年をいじめていた不良が別れる前にもう1回ぶん殴るってときに妖怪は姿を現して不良を追っ払う。そして仲直り。感動。

https://www.sunday-webry.com/episode/2550912964542290095

1話のあらすじの途中までです。表紙のカラーも見ることができますね。単行本じゃモノクロですし。

上記で3話まですっかり読むことができるのでネタバレもなにもないんだけど、少年が上京するので物の怪たちもいっしょに東京に行くのですね。全員引っ越し。

これにはかなり意表をつかれた。
「よし、おれは田舎に残っておまえらと過ごすよ」エンドになるハートフル短編読み切りの定番ストーリーじゃないですか。しかしそうならなかった。
そうなると、この意表をついた次の展開がどうなるか?って気になるじゃないですか。

はたして2話からが本番なんですよね。
東京にはひとがたくさんいる。同じくらい物の怪もいる。そのなかにあり、仲間の物の怪にたよりつつも少年が成長していくという感じなんでしょうかね。

20人の物の怪とともに育ち、慕われたり、ときに守られている。少年はひとにも物の怪にも分け隔てなく優しい。しかも、それが「仲間」だけじゃなくて、初めて会うひとにも物の怪にも分け隔てない。かつて田舎の同級生に物の怪が見えるばかりにハブにされたりいじめられたりしているし、対人恐怖症の気は多々あるけども、それでも困っていたら勇気を振り絞って助ける。デキたナイスボーイです。
20体の少年側の物の怪も、東京の物の怪もキャラが立っていて性格までうかがえるし、完全に見分けがつく。それでいてキュート。少年以外には見ることができない物の怪をクッキリハッキリ見ることができるってなんだか改めておもしろいです。

描画もすごい。毎回それらの妖怪をキッチリ描き込んでいる。まあ手間だろうに、毎回レギュラー物の怪は全員描き込んであるんじゃないかな。しかも複数コマで。すごい。背景もモブも丁寧に描いてある。

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こういうレベルで毎回小さいコマにまで物の怪を丁寧に描き込んであります。すごいです。

彼にとって物の怪という存在はなんだろうか?って根源的な謎もありますが、アパート一室に、ガシャドクロから座敷わらし(とそれぞれ明記されてはいないですけどね)やらなんやらかんやらが20人近くいて、孤独を感じるものなのか?って謎はありますが、まあ、少年はいろいろなことに孤独を感じて親に電話をかけたりもする。そりゃあ、東京もどこに行くにもなにをするのもヒトを見ることになりますもんね。ヒトが多いから孤独じゃないだろうやって理屈と同じことなんでしょうか。

このワチャワチャ妖怪のいるドタバタゆかいコメディの体裁の奥にひとと(あと物の怪とも)の関わり方ってテーマが底にひたひたと流れている作りになっている。

物の怪たちは妖怪にちょっと詳しいひとならすらすらと名前が出てきそうな有名な、もっと言い方を変えたら定番な方々ばかりです。少年もわかりやすい純朴な田舎の子。
一方、東京の物の怪は見たことない、逆を言うと作者オリジナル?って感じのが多い。
一方で、少年がいた田舎は地名もあやふやで「そこそこの田舎」ってのが分かる程度の描写だったけど、東京にきたら浅草寺だの実在する名前になっていく。東京の物の怪のほうが出自由来がしっかりしている(今のところ)のでどこかリアルで新しい感じ。この少年や物の怪の定番でテンプレな感じとのギャップがいいです。

それは少年の立場でもあるのね。前記の通り、どことなくファンタジーな世界に住んでいる少年が東京という「リアル」の洗礼を受けて、どう変わっていくかとかね。

と、これだけ「受け」が広くて、1巻4話収録のどれもこれもバラエティ・バリエーションに富んでハイクオリティできっちり描かれており、今後、どういう展開でもありえそうだなとは思われるチカラは感じられる。だが、その展開からの、「どうなっていくの?」ってのがなにか提示されているといいんじゃないかなとは思いました。
たとえば、「鬼滅の刃」なら鬼舞辻無惨を退治すること。「古見さんは、コミュ症です。」なら古見さんが友達100人できること。「どろろ」なら呪いで奪われた身体のパーツを取り戻すために妖怪と戦う等の「どうなっていく」かみたいなもの。

主人公の成長を描くっていえばそれだけど、もっとわかりやすくて甘い「芯」というか。ミッションクリアのためのミッションというかね。
それはテキトーなものかもしれない。前記の例で言えば鬼滅と古見さんは目的を達成したけど、どろろは打ち切りだったから身体のパーツを全部取り戻さないまま話がおわってるし。テキトーなもんです。

でも、何らかの指針みたいなものがないと要素やおかずばかり増えても、弁当箱に満漢全席が詰め込まれていく状態でどこかでなにかがあふれていって「もったいない」かなあと。本作は丁寧に丁寧に魂を込めて紡がれているから余計にそう思ってしまいます。
たぶん、バトルマンガにする気はないんだろうし、誰かが死ぬとか消える(物の怪とか)とかシリアスすぎる展開にならないだろうし、「指針っていわれましても」ってことなのかなあっては思うけどさ。

あ、何度か読み返して気がつきました。
本作のテーマは「高校デビュー」なのかなと。新しい自分に生まれ変わるって意味での高校デビュー。
高校に入学し、田舎の知り合いと別れ、ひとりで暮らし、東京に住む。いろいろなデビューがありますね。それを友達で仲間の妖怪とワチャワチャ賑やかにやっていく。そして新しいなにかや関係が生まれていく。そういう話ではありますかね。おれが勘ぐりすぎただけかもしれません。その可能性大。

そういった意味じゃ高校編がスタートした4話からが真の本番なのかな。

2巻も期待してます。

物の怪オンパレード(1) (サンデーうぇぶりコミックス) - 九日ゆう
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posted by すけきょう sukekyo at 09:15| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月05日

このエロマンガがすごい(性嗜好全振り編)

エロマンガについて語るのは難しい。
なぜなら、エロマンガを読んで「いい」と思うには2種類の方向性があるからだ。
ひとつは、チンチンが勃つ、すなわち興奮するという点だ。マンマンが濡れるでも同じだ(以降はこういうレベルの下品な文章が続くと思っていただきたい)。
もうひとつは、それ以外だ。絵が綺麗、話がおもしろい、キャラがいい、シチュエーションが良い、斬新な設定、泣ける、笑える。みんなそれ以外だ。
これらは不可分ではある。絵が綺麗でエロい、話がおもしろくてエロい、以下同文と。こういうのも十分に有り得る。
だから、つい、話もおもしろいからマンガとしてもいいよって書き方をする。しがち。したことたくさんあります。
でも、それは本当でもあるけどどこか逃げでもある。
エロマンガにおけるすべてはエロを使役するためだけに必然性が生じるものだからだ。つまり、「エロい」こそが最初にして全てにして最高条件。これはすべてのエロコンテンツに共通していること。
ただここですべてのコンテンツに共通して問題点が生じる。

エロいと感じる感じ方は個々によりちがう

これです。ほかの娯楽作って案外とおもしろさに共通するものがあるしセオリーがあるし、そりゃエロコンテンツにもあるけど、セオリーを守ったら平均点が取れるかというとそうならないのがエロマンガの不思議なんですよ。
わかりやすいのでいうと、巨乳が好きなひとが、貧乳のひとが主演したエロいものをみても、100点は出せないってこと。
巨乳好きと幼女好きだからって巨乳幼女が出る作品でも無理なひとは無理になる。混ぜてもOKなひととダメなひとが出る。
人間の性における感受性って難しいんですよ。

と、ここまではポトチャリコミックでのエロマンガの感想文でもよく書いているんですが、この先ですよ。

じゃあ、とりあえず、趣味に全振りしたチンチンにくる作品をそのまま語ってみるってのはどうだろう?ってことなんですよ。これだとこれはエロいぞってことは伝わりやすいんですよね。少なくとも似た性嗜好のひとには伝わりやすい。たまに、アマゾンやDMMでそっちに特化した神レビュアーがいらっしゃるじゃないですか。そういうひとはそういう特化した趣味の熱量をj語るのに長けてるひとだ。

ただ、これにはひとつ問題があるんですよね。

それは、

恥ずかしい

恥ずかしいんですよね。
自分のストライクゾーンを語ることや知られたりするのは恥ずかしいよ、やっぱり。
この読者などとオフで会うことないと思われますがそれでもな。積み重ねてきたブランドイメージってものがあるじゃないですか(おれに関してはあまりないか)。ネットのおれが恥ずかしいともいえるね。

だから、匿名ダイアリーみたいなところでする推しの話でも固有名詞は隠しがちになるのがわかりますよ。推しについて語る、って、つまり推しに対する性的消費の話でもあるわけだから、「あー、〇〇スキスキ、毎日おかずにしてる」ってのがすなわち「推し活」なわけですから。

推し活=自慰行為

ですから。

でもたまーに、「そんなこと関係ない。おれはこれをみてチンチンが勃ったってモノについて、ただ、存分に語りたい時があるんだ!」ってね。

つまりは、いまが、そういうフェーズになったってことなんです。

最近、そういうのを読んで、チンチンにきてしょうがないよーってことを書きたいなーと。

そんなこと書くのやっぱり恥ずかしいのでダラダラと長い前置きになっているのですね。ガマン汁ってことです(こういう下ネタを恥ずかしがれという話ですが)。
恥ずかしいってのもエロには大事なんですよね。だからこれもプレイの一種かと思いきや、おれはそういうの「ご褒美」って感じはないんですよね。だから恥ずかしいんだよ純粋に。いまでも。これは書いているけど発表できるか現時点ではわからない。でも、書きたいので書いている。かなり純粋な意味での自慰行為です。書くと(マスを)かくとかけてるわけです。

折りたたむわけです。そして具体的な作品を書くわけです。



追記あり
posted by すけきょう sukekyo at 18:20| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月31日

2025 このマンガがすごいに推した5本のマンガのリンク+α

●1位 作品名:(このマンガがすごい内での順位32位)

ひょんなこと ネルノダイスキ アタシ社 : ポトチャリコミック

●2位 作品名:(このマンガがすごい内での順位 4位)

ザ・キンクス 榎本俊二 講談社: ポトチャリコミック

●3位 作品名:(このマンガがすごい内での順位圏外)

ダンジョン飯 九井諒子 エンターブレイン : ポトチャリコミック


●4位 作品名:(このマンガがすごい内での順位圏外)

Lv1魔王とワンルーム勇者 toufu COMIC FUZ: ポトチャリコミック


●5位 作品名:(このマンガがすごい内での順位2位)

ふつうの軽音部 クワハリ 出内テツオ 集英社: ポトチャリコミック


このマンガ〜に書いた文章と同じことはそれぞれに書いてますので参照のほど。

オンナ編で1作推すことができるので(このマンガがすごい内での順位11位)

佐々田は友達/スタニング沢村: ポトチャリコミック



あと、このマンガがすごいに入選していたものでおれが感想文を書いていたもの。

路傍のフジイ 鍋倉夫 小学館: ポトチャリコミック(このマンガがすごい内での順位5位)(3巻までの感想)

[葬送のフリーレン 山田 鐘人/アベ ツカサ 小学館: ポトチャリコミック(このマンガがすごい内での順位12位)(2巻までの感想)

室外機室 ちょめ短編集 ちょめ(アクションコミックス): ポトチャリコミックこのマンガがすごい内での順位13位)

ルリドラゴン 眞藤雅興 集英社: ポトチャリコミック(このマンガがすごい内での順位26位)

マストドンというSNSで書いていた軽い感想未満のもの。さっと書き殴ったものなので参考にもならないと思いますが一応→https://mstdn.jp/@sukekyo

雷雷雷 ヨシアキ
(このマンガがすごい内での順位7位)
https://mstdn.jp/@sukekyo/112353859749214905

ねずみの初恋(このマンガがすごい内での順位9位)
https://mstdn.jp/@sukekyo/112117084994493908
https://mstdn.jp/@sukekyo/112626169621384465
https://mstdn.jp/@sukekyo/113108014771718706

これ描いて死ね(このマンガがすごい内での順位22位)
https://mstdn.jp/@sukekyo/111905995731012077
https://mstdn.jp/@sukekyo/112925233626394997

恋とか夢とかてんてんてん 世良田波波(マガジンハウス)(このマンガがすごい内での順位オンナ編2位)
https://mstdn.jp/@sukekyo/112087693129481853

いつか死ぬなら絵を売ってから(このマンガがすごい内での順位オンナ編14位)
https://mstdn.jp/@sukekyo/112721281087614983

・失敗したなあと思ったこと。
・3巻の時点で「ふつうの軽音部」はおれが投票しなくても入選することはわかっていたので、それなら5位にいれようか最後まで悩んだのが、

偉人画報 三峯徹 稀見理都 金平守人 少年画報社: ポトチャリコミック

でした。こっちだった。こっちのほうも確実に上位に入ると思ってたんだよな。あまりそういうことは考えないですが、M-1の審査員的には、決勝3組からの選択みたいなノリでついいろいろと迷ってしまいました。そこで純粋に読み直した順で決めました。偉人画報は情報量がエグいので再読って点ではどうしても弱くなるのよね。

では、2025年もよろしくお願いします。



posted by すけきょう sukekyo at 16:45| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ALL THAT ダンジョン飯

【全巻】ダンジョン飯 1-14巻セット (ハルタコミックス) [ 九井 諒子 ] - 楽天ブックス
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ダンジョン飯 Blu-ray BOX 1《マルシル 1/7スケールフィギュア付き完全数量限定版》【Blu-ray】 [ 九井諒子 ] - 楽天ブックス
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この文章のまとめ。

ダンジョン飯最高。原作を読みましょう。アニメを見ましょう。

これでAI要らずですね。

以下はそういうことを長々と書いてあります。

ネタバレありで後半をやりたいのでそこから折りたたむ段取りでよろしくおねがいします。

ダンジョン飯は2014年2月15日 - 2023年9月15日に連載されて全14巻です。2024年1月から連続2クールで6月までTVアニメ化されました。アニメ1期の方は8巻に到達したところでしょうか。

最終巻14巻も2024年に発売。くわえて「ダンジョン飯 ワールドガイド冒・険・者バイブル完全版」と「デイドリーム・アワー」という公式副読本が2種発売されました。

これら全てどうかしてるくらいデキが良いです。非常に困る。毎週やっているアニメをみるたび、「このあとどうなったっけ?」とそこから最後まで原作を読む。原作やアニメやガイドに対してのSNSの声をずんだもん他に読み上げてもらうYouTubeのまとめをみては、アニメや原作やガイドを読み返している。止まらない。それらが毎回いちいちとてつもなく楽しいのです。
アニメが終わってもまだ終わってない。ロスになってない。相変わらず、原作読んで、(サブスクで)アニメ見て、SNSのファンアートとセルフのファンアート(らくがき本)を眺めて回るサイクルが続いている。
作者の本は商業本(同人を出されてるかは知らない)に関しては全部リアタイかそれに近いタイミングで買って読んでいます。好きな作者ですし読む瞬間はワクワクしてます。
ただ、「好き」や「熱」に関しては間違いなく今が最高です。「ダンジョン飯」が終わり、アニメも終わって(早く2期やって)、2024年ことあるたびに思い出したりしてますし、なんなら読み返したりもしています。読まずじまいで10年20年って本もたくさんあるというのに。

あらすじ
RPGな中世ファンタジーの世界。妹がダンジョン深くドラゴン戦で食べられてしまう。妹は最後の力を振り絞ってパーティーを地上に転送する。
兄のライオスは協力してくれる仲間とともに再びダンジョンに挑む。ただし着の身着のままで転送されたもので金も装備も心もとない。だから、道中の魔物を食べながら食費や時間を節約して進もうとする。

このあらすじを軸に進行していくことになります。

その基調となるあらすじは4巻までで収拾されるのですが、そこからも物語は続いていきます。そういう冒険物語です。

1巻からリアルタイムで発売のたびに買っていたのですが、14巻で終わり、アニメをみたらとってもいいもんだと、評価がさらに上がりました。なぜそうなったのかということを以下ネタバラシもなんもかんもで書いていきます。全14巻読んだひと+公式ファンブック2冊の内容も含めて書いていきますので、ネタバレされると怒りの熱で空に浮かんでいくタイプのかたは注意してください(足に重り等)。

追記より続きます

ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX) - 九井 諒子
ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX) - 九井 諒子
アークライト モンスターイーター 〜ダンジョン飯 ボードゲーム〜 (2-5人用 45分 10才以上向け) ボードゲーム
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ダンジョン飯 Blu-ray BOX 1《通常版》 [Blu-ray] - 宮島善博, 熊谷健太郎, 千本木彩花, 泊 明日菜, 中 博史
ダンジョン飯 Blu-ray BOX 1《通常版》 [Blu-ray] - 宮島善博, 熊谷健太郎, 千本木彩花, 泊 明日菜, 中 博史


追記あり
posted by すけきょう sukekyo at 15:26| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする