2015年10月04日

9月に読んだマンガ その4

[孤独のグルメ2]

・18年ぶりの2巻。大物アーティストの幻のセカンド・アルバムみたいやね。
・その貫禄はありあり。この18年でずいぶんと時代は変わり、ゴローさんもハードボイルド風味が相当薄れてダジャレ連発のオッサンになったけどやっぱり食後の一服はやるし、相変わらずの健啖家でよく食べる食べる。食べるのは1巻よりも増したね。ただ、食べ過ぎて残すのも多くなった。
・あと1巻にあったネタのセルフパロディみたいのも増えたけど、それはそれお約束みたいなもんでな。久しぶりのセカンド・アルバムもファースト的なサービス曲が入ってるもんだし。なんなら1stのカバーもあってもいいくらいで。
・横綱相撲ではあります。なんやかやケチのつけようがないという。

[奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール]

・名作だ。これはぼくらの「さくらの唄」だなんてあったけど言い得て妙。
・タイトル通りの内容。超オサレ雑誌編集に編入した奥田民生大好き35歳(ボーイではないね)が、仕事で、出会う男すべて狂わせるガールと出会い狂ってしまう。そしてほかの狂った男たちとモメてドガチャカになるという。
・1990年代までの「こういう」芸風の絵の方は、ここまで精緻な話を組み立てないって最初に思った。自分の絵がいわゆるヘタウマ系統ということを利用してファンタジーだったりぶっとんだりした内容を描いたり、スーパーナチュラル系だったり、シュールだったり、ギャグだったりするけど、この マンガは極めて理知的に丁寧に物語を積み重ねていく。
・たとえば、「シティライツ」「音楽と漫画」の大橋裕之氏。「耳かき仕事人サミュエル 」の堀道広氏なんかのヘタウマ系列のマンガとくらべてもより作りこみがしっかりしてるとは思う。その分、絵との違和感があるのだけど後半は気にならなくなる。むしろこの絵だからできるシリアス時や状況に応じての「マンガ的」な描き分けが効いてる。
・すべての要素がガチッとハマったクライマックスはスゴイ。反面後日談的なところはもうちょっとなんとかなりそうな気はするけど、あそこらへんの浅さで抑えるのがいいのかなーとか。
・そしてこの本1冊が奥田民生氏へのラブレターになり評論になってるのがまたスゴイ。
・俄然、別の本も読みたくなってくる。

[3月のライオン 11 (ジェッツコミックス)]
・amazonのレビューで賛否両論だったのが不思議なくらいの長いブランクをものともしてない1冊。
・11巻でわかったけど、このマンガ、勝ち負けがあからさまにはっきりしている将棋の世界を描いておきながら、実は、そういう白黒はっきりする勝ち負けは二の次三の次なんだよね。このマンガはぼんやりとしたでもはっきりとそういうのとはちがう「バトル」を描くのを主眼においている。
・誤解を恐れずに書くなら「女のバトル」だよ。以前のイジメ問題も、今回の父親との戦いも、どちらもそう。だから、男のバトルをするだろう人間は入院させておくわけだ。
・勝ち負けで重要なのが「負けない」ってのは女性のがんばれーソングに多用されてるフレーズなわけで、「負けない」ことが必ずしも「勝つ」ことではないんだと思い知らされる内容。父親がどうなるわけでもないもんね。この前のイジメ問題も煮え切らないけどひとまず解決みたいなノリだったし。
・それをしてamazonのレビューで否なのかもなあと。だってすっきりはしないもの。有耶無耶解決ってノリ。
・しかし、この父親のクズ具合。これを描ききるのがスゴイわなあ。クズでマンガ的でありながらこのリアリティ。

[誰でもないところからの眺め]
・帯にある最高傑作というのがふかしではない。ただまあ「Sink」からのホラー部門での最高傑作かね。「I(アイ)」がホラーなのかは微妙ではあるけど、その路線だとしても本作のほうがブレがないし「こわい」ね。
・ちょっと前にネットで話題になった哲学的ゾンビをもっともっと手の込んだリアリティのある方法でやってのけたのかね。認知症の人間は生きているのかって疑問と東北の地震と遊動民という要素が合わさり、こわいモトがなにもないホラーマンガが成立しましたよ。これはこわいよ。具体的なこわいモトや現象がないんだから。




posted by すけきょう at 17:11| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする