2018年01月13日

恋文-山本崇一朗短編集- (ゲッサン少年サンデーコミックス)&ロマンチック-山本崇一朗(裏)短編集- (ゲッサン少年サンデーコミックス) 山本 崇一朗(小学館)





「からかい上手の高木さん」がアニメ化になり、関連スピンオフが2つはじまってて、新連載もはじまった押しも押されもせぬ大看板の作者の短編集2冊同時発売。
と、この2冊読んでもったいないなあと思った。この2冊の短編がいちいちおもしろいんだもん。でも、いま、忙しくて短編描くヒマないでしょ。もったいない。
「ロマンチック」のほうが初期短編集。そいで「恋文」のほうが最近。
当然のことながら絵の完成度、「高木さん」度は「恋文」のほうが上。じゃあ「ロマンチック」がおもしろくないのかというとこれがまた非常に興味深い。

たとえばロマンチック収録「この夏」。デブでダメな兄と小学生弟。両方ともそれぞれ好きになった女性がいるのでがんばって身体を鍛えて(兄はダイエット)プロポーズしようって話。これ、「からかい上手の高木さん」がこのラストだったら暴動が起こるような。
表題作である「ロマンチック」もいろいろな要素がからまって入っててかなりどうかしてる話。
「スズキと大山」という話の妙にもってまわった展開とか。
それでものちの「ふだつきのキョーコちゃん」における非常に丁寧に丁寧に紡がれる物語の萌芽がみてとれるので最後まで楽しむことができる。また女性が可愛いのはもうそのころからだし。

そして「恋文」では、その「ふだつきのキョーコちゃん」のプロトタイプとなる「まちにまったおとなりさん」がある。
そしてなんていうか自身が資質を見極めて覚悟が決まった感じがするのが「恋文」なんだよね。
表題作では、少年が今日も渡せない恋文を抱えてたらその好きな相手に「**にこれ渡して」ってラブレターを託される話。これベタっちゃベタな話なんだけど、これも「からかい上手の高木さん」の2人のプロトタイプのようなキャラ(中身はだいぶちがう)なので、神山さんの可愛さでいっきに寄り切るという「絵力」が結実するという。
そして2冊の中でももっともどうかしている「ネコのオッサン」という話も、「ロマンチック」のときよりどうかしてるし、いろいろな要素は内包されているんだけどスッキリしてる。

そう。この2冊ロマンチックから恋文と通して読むと、新人漫画家が「からかい上手の高木さん」を描いて大成功に至るまでの道がみえてくるんだよね。ここが最大の特徴よ。とくにマンガ家志望は読み込みまくるといいと思う。
ものすごいイキオイで取捨選択され洗練され、氏が自分の武器(可愛い女子他)に開眼してその武器を最大限に効果を発する話をずいずいと描いていく。そして完成度もずいずい上がっていく。そして現時点での「完成形」として「からかい上手の高木さん」へとつながっていく。
ちょいとゲスい表現させてもらうと「売れる」マンガを書くための洗練具合を研究するのにこれ以上ないテキスト2冊ですよ。本気でそう思います。この2冊を教科書としてマンガ学科の教授やってもいいくらいよ。それくらいいろいろなものを得られると思うよ。いろいろなことを語ることができると思うよ。
なおかつもう1回書くけど、初期の「ロマンチック」もおもしろいんだよ。

そして1番おもしろいのは「ロマンチック」の最後にあるらくがきおまけまんがなのよ。だからお忙しいのにムチ打つようなこというのなんだけど、短編もまた描いてほしー。


posted by すけきょう at 21:18| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする