2019年03月31日

初恋ゾンビ(15)峰浪 りょう (小学館)


正直なところgdgdしてきたから止めようかなと思ってたらこれが非常におもしろい。すでに連載は終了したらしい。それなら話が変わるのよ。

男性の頭上に初恋の女性が浮かんでるのがみえる男性と、みえるようになった転校生の女性と、幼馴染の三角関係ラブコメと。

当初は、そのみえるようになった「初恋ゾンビ」(初恋の相手がいつまでも死なずに漂ってるサマから)で、同級生とかの悩みを解決させるって流れとともに自分らはどうなんだ?って同時進行だったのが、いつのまにか本人同士でガンガンと進行していくようになり、あ、いや、進行してないんだよな。わりにグネグネしはじめて、クオリティが下がるわけでもないし、ラブコメの宿命ではあるのですが、先に進まないのにループしない感じのラブコメにちょっとじれったくなってたのよね。

15巻ではもう波乱波乱の展開でさー、あれがこうなったりそうなったりとかで。本命同士が急接近したり大喧嘩したりとかなりピントがはっきりした状態でガシガシと最終回に向けて展開してて目が離せない。

最後までつきあいます。



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天国大魔境(2)石黒 正数 (講談社)


このマンガがすごい!2019年版のオトコ編1位。うむ。そこで2巻。
ギミックがいろいろありつつ、ちゃんと王道で突き進んでますよね。それとも気が付かない仕掛けが着々と進行してるのかしら。

今よりいくらか先の世界。荒廃した時代でモンスター退治しながら探しものをしているふたり。隔絶されたドーム内で育てられている異能の力をもった子どもたち。この2つの話が同時展開していきます。

アクションあり、ギャグあり、SFあり、エロあり、設定語りあり、ストーリーあり。(この「設定語り」ってジャンルとして確立しつつあるよな)

盛りだくさん。手堅い技術を交えつつベテランの本気の新境地。とくに女性描写になんつか、「ちゃんとかわいい美女を描く」ってのがあっていいよなあ。そこらへん、元ネタの多くの割合をしめる「AKIRA」のケイの描写を連想させたり。1位かどうかはまだわからないけど1位にしたことに異存はないなあとは。



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チェイサー 6 コージィ 城倉 (小学館)


最高の最終巻だった。ここしばらくでみたことないくらいのさわやかな読後感。あーと、「それでも町は廻っている」とか。その最終巻に匹敵する。マンガってちゃんと終わらないほうが多いからね。貴重貴重。

手塚治虫に嫉妬し追跡して対抗し対決する漫画家の生涯を描く。漫画家人生=手塚治虫の歴史って感じよ。だからチェイサー。

6巻は個人的におれのリアルタイムの手塚治虫に追いついてるんだよな。具体的にいうと70年代後半。虫プロ倒産、そしてブラックジャックや三つ目がとおるで少年誌であざやかな復活をする。
おれはその奇跡のカムバック時代に普通に物心ついてみていた。ブラックジャックも三つ目がとおるも人気漫画としてそこに連載していた。ただマンガをよみはじめたころでリアルタイムのときはただ「おもしろい」と読んでいたわけよ。あと、マンガにもあるように、図書館にはのらくろと鉄腕アトムだけおいてあるし、そのあと講談社による手塚治虫全集、なおかつとどめとばかり藤子不二雄A氏による「まんが道」がスタート(それぞれ前後はあやふやだけど)。あれは手塚教の経典だからなあ。

ブラックジャックがチャンピオン。ここからチャンピオンは怒涛の追い上げをみせてくる。ドカベンとがきデカがくるからな。そして、三つ目がとおるはマガジン。これも王者の勢いが衰えてない。そこで主人公はサンデーで連載することになる。
主人公はブラックジャックと三つ目がとおるに「キャラ」をみるわけよ。子供ら(全員とってもかわいい→手塚作品のエロいのを読んで興奮したりする)に影響を受けて。そこでサンデーではじめる連載って展開が最高。「これだ」と。「これ」はギャグめかしてはいる、パロディもたっぷり含まれている。けどあらゆるところに現在にも通じるヒントや情報が詰まっている。非常に深いものがある。わりにみんなそうか。それをマジでやったのが前記の「まんが道」であり足塚茂道名義でだした「UTOPIA」だったりするんだからな。

そしてそのままクライマックスから最終回へ。ここいらもすばらしく清々しい。もちろん、手塚の死も描くわけだけどさ。巨人中の巨人に対してのドン・キホーテのように挑む主人公はかっこいいし、きちんと報われるラストではあったと思うよ。

いやよかった。読み返したい。そして架空の主人公の描いた作品を読んでみたい。

*本記事では作品にちなんで手塚と呼び捨てにしてみましたわ。



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上野さんは不器用 6 tugeneko (白泉社)


アニメも好評のまま終了したタイミングでの6巻でございます。
なんつーか、1巻2巻であったノリが変わってとっても正統的な女の子図鑑になりつつありますよね。6巻ではまたさらにキャラが増えましたね。
すごく正直なところもうすでにキャラは把握できてません。それぞれがダメってことではないんだけど、なんていうかな、「にぎやかし」以上の存在ではないような気がするのよね。基本は理科室で3人で展開してますし。
くわえて5巻(4巻だっけ?)からの巻末の過去編もはじまっていて、なんていうか、安定感がマシてるなあと。

当初の「なんじゃこりゃ」がないのは残念ではあるがいつまでも新鮮というのも難しいのかな。


追記あり
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2019年03月23日

かぐや様は告らせたい 14 ?天才たちの恋愛頭脳戦? 赤坂 アカ (集英社)



2019年1月のアニメ放映に合わせての13巻発売時にもすげえと思ってましたが、あのあと14巻発売までに、実写映画が決まり、スピンオフ2種が同時発売になり、おまけにアニメの主題歌を歌う鈴木雅之氏まで話題になり、シリーズ累計500万部を突破するという押しも押されぬ一枚看板になりました。
そしてそれらは同時に想像を絶するプレッシャーとなって作者に襲いかかっているわけです。とくに自身の作品のスピンオフってどういう気持ちになるんでしょうかね。

うん、恐ろしいわ。それを200%で応えて、14巻見事にクライマックスだもん。このまま最終巻でもすばらしいマンガだったといえる。

ネタバレ上等で書かせてもらうと14巻はタイトルだったのです。そしてタイトルを超えた瞬間にもっとも感じ入ってしまった。

「俺にはお前に告らせるより/お前と付き合うより/切実で重大な願いがある」


これっす。ややとってつけたことですがこれは本当にそうだったし予想を超えてきたなあと。

そしてそして!

「親切なご案内 この次のページからしばらく続いたシリアスの揺り戻しで だいぶ頭の悪い展開が続きます」


ですよ!

実に、14巻では半分がシリアスで残りがこれまでで最大の頭の悪い展開です。しかもそれがその「シリアス」から地続きなのですよ。全部「これまで」が関係あってなおかつそれが「この先」にもつづいていきます。すごい!

お笑い専門用語で、同じことを繰り返すのを「テンドン」といいます。天丼ですね。調べたら天丼の海老天はだいたい2本あるのが語源だそうです。

本作のシリアスからの頭悪いの揺り戻しの天丼は多いです。5巻の花火大会回の初シリアスからはじまっての頭悪いに戻してまた通常営業という感じ。

今回はそのボリュームといい内容といい特上で特盛の天丼ではありました。単行本3巻つかってのシリアスと頭悪いでしたからね。最長最大で最高です。

そうなると「この先」ってあるのかと。あるんだろうなあ。そこに対しての不安はあまりないんですけど。それもまた天丼な感じになるんだろうけど、その天丼をおれは楽しむことはできるのかなあと。そっちの不安はある。


おまけー


追記あり
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2019年03月22日

チェンソーマン 1 藤本 タツキ (集英社)


「ファイアパンチ」の鬼才の2作目ですよ。週刊少年ジャンプに連載だそうで。

[『チェンソーマン』|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト]

1話を読むことがデキますどうぞ。
前作「ファイヤパンチ」もそうでしたが1話のインパクトは同様に大きかったです。

父親の借金を返すべくデンジは相棒のポチタといっしょにデビルハンター業に精を出してますがヤクザに騙されてピンはねされてるのでお金がたまりません。
腕のあるデンジはデビルにとってはじゃまになってヤクザに裏切られてデビルに殺されてしまいます。そこでポチタはデンジの心臓となり、めでたくチェンソーマンが誕生するのです。

登場人物が全員バカのジョジョシリーズ、あるいはHUNTERXHUNTERシリーズ。この2作は異能力を持つひとたちの知力と能力を活かした殺し合いですが、本作ではバカが無軌道と本能に従った行動をとる。それでいてバカなりに残虐、バカだから騙される、バカだから殺される、バカだけど殺すと、すべてのバカがバカなりに殺し合うという展開になっております。

思い返してみれば前作の主人公も無敵のバカだった。バカのジャンルがちがうけどバカだった。共通点は愛されバカということで。

その後も敵味方という概念もあやふやになるくらいバカが登場する。敵のデビルはバカだし、デンジくんはじめセリフのある登場人物もバカ。天才なのにバカ、インテリなのにバカ、賢者なのにバカと。

すごいスケールで卓越した描画能力のわりに、低予算の日本ホラーみたいなな質感の背景や世界観。前作もそんなところあったな。今回のほうがより日本ホラーっぽさある。すごい描画力で日本のスプラッタグログロ低予算ホラーを描き込んでいる感じ。ウエットなのかな。

バカが唐突に出てきてバカをするのでリビドーの赴くままに描いておられると勘違いしがちですごく精密に展開している。

と、ここで懸念すべきは後半まったく覚えてない「ファイヤパンチ」です。本作はスケールがインフレしたしなんだかいろいろと宇宙規模のクライシスにまで達したきがして「うへえ、70年代80年代のダイナミックプロかよ」って感じになって飽きたんすよね。針のふりきった極限はありきたりになる。このパターン。

今回もそのパターンがあるのかないのかわかりませんがとりあえずまだおっかなびっくり様子見してる感じではあります。1巻は120%楽しかったし、なんとなれば前作の1巻は超えてるんですけどね。



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2019年03月21日

古見さんは、コミュ症です。(12)オダ トモヒト (小学館)


信者にとって聖典みたいなもので褒めるしかないですが12巻はちょっといろいろ冒険巻。

古見さんという容姿端麗眉目秀麗なのにコミュ症なJKとその愉快な仲間がおりなすギャグマンガ。

2年の夏休み編突入。1年と2年ではどうちがった夏休みになるかというのが見どころっす。

2回めってのはけっこう大きくてさ。いろいろな行事で2回めをなぞるのは難しい。省略したり別の行事をぶっこんでもいいんだけど、学園モノにおいて、夏休みはどうあがいても省略しにくい間になるからねー。そうじゃなくても美味しいから絶対に利用したいところだし。

で、今回の夏は1巻からいる長名なじみさんを封印しがちという冒険をまず。

コミュ症の彼女との好対照でコミュ力の化物でなおかつトラブルメーカーなので、ひとりいると物語が動くし間が持つ。だからあらゆるイベントに混じってきてる。ところが今回は彼女を抜いて海に行くという大冒険イベントが発動するわけです。それ以外にも13巻でのなじみの出番はかなり抑えてあったように思える。(んま、作者はバランスのひとだから、別のところで帳尻を合わせる感じで、ラストに大活躍するところもあるけどさ)

この海での序盤の盛り上がらなさがまた画期的。この夏は全体的に静かな夏な感じがする。はっぴいえんどの「夏なんです」的な。顕著なのがTwitterで作者が1番気に入ってるというトマトを育てるというネタ。古見さんがひとりでトマトの世話をするというだけの話。お母さん以外に登場人物もいない。

ほかにもラジオ体操に参加するというネタもあった。

これらは、古見さんの成長も物語ってはいえるんだよな。植物を育てたりラジオ体操に行くって、小中学のときにできることではあるんだけど、彼女はずっとコミュ症でそんなことはできなかったんだよな。とくにラジオ体操。だから積年の想いがあるだろうなと。それをはじめてできた。それも1年から只野くんをはじめ友達が彼女に自信をつけて後押ししてきたんだからと。

とはいえ、ここいら地味だしあまり笑いもないのでものたりなくはあるんだけどさ。とくに「あずまんが大王」の功績であり罪である、細かいネタを織り交ぜても読者はついてきてこれるよね的なのがある(きっちりフォローしてきてはいるんだけどさ)。

今回は「静的な夏」を後押しするかのように、山井恋などのクレイジーなノリにするキャラや展開がないのも特徴。
なんというか地味なグループが静かに夏を過ごしている感。そしてたぶんおのおののキャラもおのおので過ごしてるんだろうなあと。

なおかつそこにきてニューキャラ。これも毎巻のことではあるが後半に出てきた小2の知り合いの子。古見さんと同じ家に寝泊まりするという新展開。これを推しすぎの気もする。あざとさがある。ただ彼女は次巻も引き継ぎだから判断は微妙なのよね。そう、今回、次も夏休みだからいろいろと判断保留のところもあるんだよな。あらゆることが前フリとはいえる。

と、いろいろと挑戦されておられる。でも、そろそろ古見さんもコミュ症っぽさはだいぶ失われて、美人だけど超おとなしいくらいになってきている。友達も多くなったし、まわりのキャラもだいぶ古見さんを把握するようになってきているからな。そうなるとキャラとしてはどうしても弱くなるという弱点がなあ。
今回は、只野くんとの萌え展開みたいのはなかった。10巻から恒例の万場木さんと只野くんの萌えシーンはがっちりあるんだけどね。

あと、おまけー。
(折りたたむよ)




追記あり
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2019年03月17日

Change!(4)曽田 正人/冨山 玖呂 (講談社 )


女子高生2人がラップバトルに青春をぶつけるマンガ2巻。マンが家は超ベテランの曽田正人氏。掲載誌は月刊少年マガジン。おれが人生でもっとも長い間定期購読していた雑誌だ。おれが購読してたときは曽田氏は「カペタ」というカートレースマンガ(後にF-1になったんだっけ?)を連載していた。
コミック自体はそれ以前のサンデーに連載してた「め組の大吾」から読んではいた。

4巻では親バレ回。そういう問題をクリアしつつ、お嬢様高校に親経由でラップでの活動を認めさせ、いよいよ高校生ラップ選手権の出場がはじまるという。

すごく少年誌スポーツ漫画のテンポで進行してます。ラップバトルが文字通りのバトル。見事にバトルとなっている描画。しかもラップの言葉が刺さってくるんだよね。本職にラップ監修しておるのもあるけど、超ベテランの描画力と、8小節のバトルでのラップを「ひと吹き出し(たまに2吹き出し)」に1小節で8つ。その魅せ方が本当にかっこいい。カメラアングルやラップのフォントの大小での強弱をつける感じとか。なるほどバトルマンガとして成立しているな。

ラップマンガ自体はけっこう最近ある印象。1ジャンルとして隆盛を極めるまでいかないけどかなり盛り上がってきてる。
ラップでゾンビが蔓延した世界をいきていくのから、「デトロイト・メタル・シティ」の作者によるものとか、まだほかにもあったかな。あー流行ってるんだという感じで、本作も書店の売り場の視界の片隅にはあった。
それをヒプノシスマイク経由でラップにハマっている上のお嬢様にすすめられて読んだところおもしろいとそういった経緯。

久しぶりに読みやすい少年誌のスポーツ&バトルのハイテンションで高スピードのものを読んだ。大ゴマがバチバチ決まりつつ、ストーリーも描画も細かいところまで手を抜かずぶっこむ。

ONE PIECEやHUNTERXHUNTERあたりからの細かく情報を詰め込んでいく高密度圧縮の作法ではない。そこがどうでるか。端的に飽きが早くまわってくるのではないかと。1回1巻ごとの満足度は高い。でも、1回性がつよいというのもある。それは少年誌のマンガの宿命でもある。

あと、主人公の父親まで含めて男性キャラは抜群なんだよな。とくに敵役とまではいわないが、野心をもってガツンとくるタイプのひとクセふたクセありつつも、いまどきのナリのキャラがすごく良くできている。4巻でも主人公ラッパーのライバルであり、その先、ラブロマンスまでいくであろう、男性キャラの噛ませ犬役で登場したのが抜群にいい。
それに引き換え、美人でもあるし可愛くもあるけど女性キャラの魅力は1枚2枚落ちる。絵に過不足はない。ただ、女性キャラってのは過剰なくらいでもOKな世界だからな。ジャストだと物足りないくらいの世界。彼女らはもうちょっと掘り下げて描く価値はあったんじゃないかい? なんとなくラップに心奪われる。そこに強烈なエピソードをかませられなかったというか。

アニメというか実写化したのを切にみたい。この刺さってくるラップも実際にきいてみたいし。

高校生ラップ選手権自体、NHKでやったのを上記のようなにわかヒップホップファンの上のお嬢様とみたことある。もうあのレベルはマンガじゃ超えてるんだけど、その最初の頃のなれてないラップからどんどん進化して本線で戦えるレベルになる進化もわかってとても達者。

上のお嬢様が買う限りはおれも読ませていただきますよ。おもしろかったし。サクサク読むこともできるし。




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2019年03月11日

猫が西向きゃ(1)漆原 友紀 (講談社)


「蟲師」の作者の最新作。おれはそれをちゃんと読んでないので上下巻であった「水域」のほうが馴染み深い。

フローという現象が起こる世界。不可思議な現象を総称してフロー。そしてそれを調査する会社「広田フロー」の活躍を描くのが本編。

それらがたいがい自然現象ってのがすばらしい。三叉路だったのが七叉路になってたり、表紙にもなっているあわせ鏡の奥に行くことができる。そとの看板がすべて鏡文字になっている等。
それを別に解決しない。不思議だなあ、おもしろいなあってスタンスで迷ったりドタバタする。そのゆるさがたまらない。風景を愛でるマンガ。
自力で問題を見出して解決する物語進行のアクティブさはない。読者にはなんとも不利だしものたりないって方もいるかもしれないけどおれにはそれが思いのほか心地いい。

日常で起こってる、(おれが住んでいるこっちの)日常ではありえない、リアルな「変」。ちょっとした間違い探しのよううなリアルな変。この感じ。なんで起こってるのかどうやったら元に戻るのかもよくわからない。でも、天変地異ってそんなもんだしな。

あとがきまんがにあるように、現代風景の、ガードレールのサビとかそういうことにイノチをかけてる感じが伝わってきて、細部にこそ神が宿る感じあるわー。長く、その空気を楽しませてください。そんな気持ちにはなるね。



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なんでここに先生が!?(6)蘇募 ロウ (講談社)


毎巻登場キャラがちがえど女教師と生徒という図式は変わらないシリーズ6巻。
今回はホラータッチの不気味で陰キャな女教師が主役。当然のことながらパイオツは相変わらずフニャンフニャンにやわらかく大きいし、エロいです。ここが1番の売りだからなあ。
あとまあかなりぶっ飛んだキャラ設定な分、舞台も学校をほとんど描かないという荒業に。生徒の方も登校拒否気味という設定に。
で、バイト先でエロエロな目に遭ったり、修学旅行で遅れてふたりクルマで合流しようとがんばったり。

でもまあさすがに反則気味だし、これからアニメ化するのになんだけど、そろそろ限界だわなこの設定。なんかちがうの考えたらどうよ?

さきほども書いたけど、1番の売りは大福をレンジでチンしたときのようなやわやわのおっぱい描写だから、そこがあれならわりと設定がどうあれ問題ないんじゃないか。そして逆をいうならアニメ化でそれを描けるのか?って問題もあるなあと。

描き下ろしだろう最後のエピソードはいいのか?ほぼ成年コミックだぞ。つーか、コンビニで成年誌を置くのやめようとかいってるのに「青年」コミックはどんどんエロがゆるくなってる感じあるよな。つーか、いま、「青年」が青年誌読んでないんじゃないか?と思ったりもする。


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ウォーキング・キャット(1)北岡 朋 (双葉社)


ゾンビマンガです。
映画もテレビもマンガもゲームも飽きがくるってレベルじゃ語れないほどありきたりのジャンルです。マンガにかぎるなら、グルメ、異世界に匹敵するほどありきたりです。
なぜ買ったのかというと、男と猫のコンビでのゾンビ世界のサバイバルマンガとあったから。なるほど飛び道具。でもまあそういうのしか興味はなくなるわな。

この飛び道具への冒険はかなり成功だった。

猫といっしょに離れ離れになった妻を探す旅。猫は共闘しない。猫は守らない。猫はエサをねだる。猫はまっさきに逃げる。
そんなのといっしょにゾンビの世界で四苦八苦している。

ギャグマンガっぽくはあるが、あくまで現実に即したリアルな描写。ゾンビはいろいろなバリエーションがいるわけでもないし(1巻時点では)、ゾンビ自体の行動原理や世界についてはすっかり説明が終わっているので謎はない。ただ、妻がいるらしい目的地の島がどんなところかという謎くらいか。

つまり「なにか」が必要なんだなと思う。とくにこんな地獄のような世界で生き抜くために必要なもの。ひとり暮らしが猫を飼う理由をかなり極端な環境で思い知るというかな。そのテーマがいいんだよね。

そして1巻ラスト。これは、かなり、すごい。

2巻が楽しみ。


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ビールの時間 六月柿 光 日本文芸社


ジャケ買いですらないんだよな。書影みていただけるとわかるけど、中の絵もよくわからないようになってるもんね。だからなんで買ったのだろう。ほんとカンなんだよね。でも、このカンがよかった。まずは自分を褒めたい。そしてこの本と出会えた幸運に対してありがとうといいたい。おいてあった富山市の精文館書店大沢野店にも感謝。

ビール専門店の「BEER CAT」そこに訪れた客にぴったりのビールと奇跡が降ってくる話。1話完結。

全9話。世界各国のおいしいビールの紹介、客のワケあり事情。そして奇跡。
起承転結がきっかりできてることに驚く。その物語の完成度と濃密さ。1ページで今回の登場する世界各国の名ビール情報もある。そいでもってそのビールの特徴がストーリーにからんでいるし、その奇跡も手放しのハッピーエンドばかりでもない、ビールだけに苦いのもある。

ギネスビールを飲めない男。10年前1ヶ月だけ同棲した彼女に飲み方を教えてもらうも彼女は突然行方をくらませる。理由が全くわからない。ショックでギネスは飲めなくなる。その理由が明らかになる「ドラフトギネス」からはじまる。

離婚する夫婦が最後に1パイやろうと店に訪れる。そこで飲む、世界で1番ビールを飲む国のものをたのむ。それが「ブドヴァイゼル・ブドヴァル」。それで終わる。

寡黙なマスターはビールをオススメするだけ。表紙のビールの中に泳いでいるウエイトレス3人娘もビール紹介ページ以外ではおとなしくしてる。

だからストーリーはおもに客と別の客がまわしてるんだよね。それもまた変わってる。

ひきの真二さんに親しい絵柄。なんらか関係があるんでしょうか。親しみやすくも細部はきっちりリアル。

最近はTwitterで部品のような4pマンガをよくみてる(それが悪いわけではないので念のため)のですが、それらになれてたので1話1話がかなりずっしりとくる、1ページ1コマも疎かにできない、構築されて完成されたずっしりとした読み応え。かなり満足。ビールも飲みたくなるわ。飲めないのに。



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2019年03月07日

惰性67パーセント 5 紙魚丸 (集英社)



エロくないんだ本作。
NOTリア充の美大生男女2人づつのダラダラライフ。それぞれ、とくにつきあうでなく。ほどよい距離感で。
これまではシモネタがすごく多かったけど、本作は驚くほどその手のが少なかった。

ハラが贅肉だけじゃないてのを証明するためにさわってみろ、あ、いや、男に触らせるわけにはいかない、感触だけでわかれ、ってことでディルドの先に棒をつけてハラをつつけってくらいかな。
酔っ払ったイキオイでラブホに行ったり、カネに目がくらんでコスプレやったりとかもありますが、それらに「エロ」がないんだよな。バカやってる学生ノリが全面に出てエロが薄まるというか。

根本のネタ自体はエロでバカなんだけど、描写にエロさがあまりないと。そしてそれはお上の規制がこわいっていうよりそこをどぎつくする必要がないからかなと。

それがいいんだ。おれはどうも本格的に枯れてきた感じで、マンガのエロがトゥーマッチに感じるようになってきている。ラブコメみたいのは相変わらず好きなんだけど。あれだ、おっさんが、エロDVDよりグラドルのイメージDVDのほうがいいっていってるわけが身にしみてわかった。おっさん、余裕をもってそういってるわけじゃなくてココロからそうだったんだなと。

これからはどうなるんでしょうかね。このままのバランスでいくか、ラブコメのほうにシフトするか、エロ再帰するか。まあどちらでも受け入れるとは思うんですけど。そう、彼らに愛着が湧いているからね。「キャラ惚れ」してるから。

吉澤と西田はやって恋人になってからもそれなりにおもしろくつづけられるような気はするけど、ムリかやっぱり。




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サイケまたしても(15)福地 翼 (小学館)


最終巻。
異能力者同士のバトルマンガです。それぞれ特殊能力がちがうってよくあるタイプの。
カバー折返しのあいさつにあったように、本作自体は14巻できれいに完結してるんですよね。だから長めの最終回その後を1巻まるごとやった感じ。
最終回でウソみたいな大きなミッション、まあ書いてもいいかな、地球を滅亡から救う。1巻で。
これまで登場した各キャラや主要キャラのあれやこれをキレイにゆっくりとほぐしていき、最終決戦に備えるという。

いい最終巻でしたし、通していい作品ではあったなと。ほどよい長さでもあると思いますし。正直、これ以上長かったらリタイヤしていたなとも。だからネパール編からここまでのはもうちょっと磨けたのかなとか。とくにアライグマ(どういうシーンかはいわんけど)がでてきたときは本当に止めようかと思ってた。

ただ、トータルで最終的な感想としてはおもしろかった。次回作も期待しております。



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まどいのよそじー惑いの四十路ー 2 小坂 俊史 (小学館)


40代の男女の「惑い」をテーマとしての読み切りオムニバスショートコミック。2巻。


小坂俊史さんのツイート: "単行本「まどいのよそじ」第2集からもう一編試し読みを。ラストに収録した「クリスマス」8ページ。結婚10年子供なしでクリスマスとの向き合い方が難しくなってきたきよみさん、聖夜にスマホの出会い系で…という話です。… " https://twitter.com/kosaka_s/status/1101450759479058432

最近流行りのマンガ家さん自らのダイレクトマーケティングで貼り付けておられるので堂々と貼ります。

40代の男女が惑うんですよ。小坂マンガらしいあまりみたことない「小事」に惑う。少なくとも黄昏流星群げな「事」ではない。そいでもって大か小かっていったら小かね。

たとえば、上記リンクしたクリスマス。子なしで10年クリスマスを過ごすとどうにもマンネリでネタ不足になる。ケーキもチキンもお互いのプレゼントもトゥーマッチでさ。だから彼女は出会い系に手を出す。そしてどうなったか。


たとえば「初めての雪」。ずっと南国に住んでいて機会がなかったので生まれてはじめてのつもった雪にはしゃぐ。会社の屋上で飛んで走り回って。挙げ句にかまくらを作ったりしたら女性社員にみつかってしまう。

かとおもったら「もう結婚しない」と見切っておひとりさま用のマンションを買ってしまう女性の話なんかも、非常に小坂マンガ的なラインに落ち着く。

40代ってのがみそなんですよ。10代から30代までの無茶を「がんばれ」ばやることができる。でも、やるとあちこちに無理が生じたり断念したり「なーんちゃって」って笑いになってしまう。
ぶっちゃけると30代からあっちの惑う事情なんてカネか健康か家庭や職場の人間関係しかないし。だから、小事に惑う最後の機会かもねえと。

もう長いとは思われますが、小坂氏の商業誌デビューから知ってるものとしては、「まどいのよそじ」での夫婦で行動する感じに変化と年月を感じる。元祖「おひとりさま」というくらい、ひとりで行動するマンガを描いておられる。また登場人物が小学生でも個人主義というのが芯にあるんじゃないかと思うくらいなんだかが、本作の夫婦で話が進行していくのは新鮮でもあるし、年月の変化や小坂氏の家庭などを伺わせるよなあと。

参照:[新婚よそじのメシ事情 小坂 俊史(竹書房 バンブーコミックス): ポトチャリコミック]

2巻での最高傑作は「心霊写真」かもしれない。これぞ「小坂俊史」ってあらゆるエッセンスがキレイに収まっている。オチも含めて。


40代のこだわりやソレに対する試行錯誤がもはや懐かしいと思うようになるとはなあ。自身の年齢と老いを感じるわけです。はい。




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事情を知らない転校生がグイグイくる。(2)川村拓 (スクウェア・エニックス)



2巻にしてタイトルがずれてくるよな。だってもはや転校生じゃないじゃん。
死神って陰キャでじと目の女の子に転校生のピュアストレート少年が「死神って超かっこいいあだ名」って慕ってグイグイくる話。あと死神のコもどんどんデレデレで死神の形無し状態。2巻ではクーデレのクーは完全霧消。

2巻は夏休み。プールでの水着と、陰キャのコの墓参りの話のダブルクライマックス。

夏休みに学校のプールで泳ぐのにスクール水着じゃダメって乙女心が新鮮。学校指定じゃまわりから浮くけど、かわいすぎると逆にからかわれる。このライン。そしてまんまとその冒険は成功するわけよ。よかったよね。

そのあとのがまたいいんだ。「死神」ってあだ名は母親が死んだコにはとっても残酷なあだ名じゃないかって転校生が気がついてしまうんだよね。だから距離をおいてしまう。ここいらの感じと、その処理がいい。というか最終回のノリだよな。

この2つともうひとつ思ったこと。
グイグイくるコの親友にタンクトップの天然男子がいる。わりと3人で遊ぶシーンが多いけど、女の子とタンクトップと2人のときの距離感がすごくよく描けているなと思う。友達はそれぞれみんな同じだけ仲がいいわけではない。それぞれの距離がある。それを描けてるなと。タンクトップと女の子は友達ではあるけど親友ではないと。

さて、問題は3巻だよな。次はどうなるんだろうなあ。



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2019年03月04日

おひとり様物語(8)谷川 史子 (講談社)


読み切りオムニバスで「おひとりさま」の女性を描くわけです。8巻にもなりました。
でも、毎巻1巻のように新鮮。彼氏と別れてひとり、もともとひとり、遠距離恋愛でひとり。などの女性を主人公に据えて1話読み切りでね。

1作気になったのがあった。
54話。アラサーのOL。おひとりさまになれて毎日スーパーで惣菜や弁当を買って食べる毎日。スーパーで元彼に会う。ただ、「もう関係ないから」っていろいろと話しかけてくる元彼に邪険に対応する。
それが喉に魚の骨みたいに引っかかり、弁当を食べるのを止めてついカレーをつくりはじめる。着地点としてはつきあってたときによく作ってたカレーよ的な? ただ、OLさんは不注意でカレーを床にぶちまけてしまう。
ここからが谷川節の真骨頂なんですが(彼女の作品評でもっとも似合わなそうなフレーズやな)、彼女はイライラと絶望の中、カレーを片付けはじめる。そして明け方になるまで断捨離をはじめてしまい、あれこれ捨てたり大掃除。そして「手放せるからいいんだ」になり、断捨離見事に大成功の巻と終わるのです。

「片付けたい」「リセットしたい」という欲望はありますよね。おれも干支が龍の年とかって周期でそういう心境になります。ただ、これは吹っ切れたことにはならないよなあ。でも、彼女はスッキリしてると。掃除という単純作業によって気持ちが落ち着いたのだろうとは思う。
なるほど、家人が後先考えず身内の気持ち(おれのことです)も考えずに強制的に部屋を掃除するから私物を撤去しろ(した)って感じを思い出します。「そうしたい」んですね。だから「そうした」。おひとりさまだといいわな。だから本作ではさわやかないい話できれいに終わるけど、これがたまに断捨離を履き違えて家族にそれを強制させるときがあるんだよな。えーと、いまの家人だけじゃなくて、これで4人に「そういう目」に遭わされて、なんていうかな、本作ではないようなどす黒い気持ちが生まれています。

「憎いと思うより 手放せるほうがいい」

彼女は掃除後にそう思うわけです。いいセリフです。ただ、その「手放せる」ってのはヒトへの想いでもあるなあと。たしかに、強制断捨離食らうたびに家人に対してとっても冷たい気持ちにはなります。おれはそういうのどうにも捨てられないタチだから。でも、そういう強制断捨離食らうたびに「どうでもいいや」って文字通りの捨て鉢な気持ちにもなります。ゴミとともに人間関係にも断捨離の気持ちが芽生えるなと。

うん、おれはなにを書いているんだろう。

57話もよかったです。売れない作家さん。これはシリーズで2話収録されてます。最初は家の鍵をなくした話。57話では年末に後先考えずフィンランド製の錫でできたクリスマスツリーを買ったために年内文無しになる話。こっちはコメディタッチでなんというか安心して感動できる話。

基本は読みくち爽やかなよいモノですがこの断捨離ネタだけちょっと引っかかったなと。



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2019年03月02日

火事場のバカIQ 申 榎本 俊二 (小学館)


伝説のマンガ雑誌「IKKI」に連載してた作品。雑誌休刊から5年経って最終巻が発売されるという伝説の雑誌に連載されてそうな伝説的なエピソードじゃないですか。
IKKIはインパクトあった雑誌だった。最初の1年くらいは買っていた記憶はある。なんだろう、この雑誌が続いていたことが「コミックビーム」や「アックス」などが続いていたくらいのミステリーがあった。そこに榎本俊二氏が連載するのも違和感はないかな。

あるミュージシャン。ハードロックを基本とするバンドではあるがアルバムのたびにいろいろな表現や手法を流行りやそのときの影響により変化させる。テクノだったりラップだったりギター1本だったり全曲提供曲だったり。ファンがついたり離れたりするもそのスタンスは変わらず変え続ける。
そんなミュージシャンがなんの脈絡もなく原点回帰のハードロックアルバムを出す。本作はそんなシリーズのように思える。

榎本俊二氏のモーニング時代というべきか、ゴールデンラッキーからのえの素あたりの作品群を今の経験値と技術と感性で再現してみました。リファインでもリメイクでもカバーでもなくてあくまでオリジナル。

エロ、グロ、シュール、そしてギャグ。どれも「懐かしく」「新しい」。

と、IQ61から様子がちがってくるのがおもしろい。打ち切りが決まって、これまでにあまりみたことのない種類のぶっちゃけ話がはじまるのよね。

なおかつIQ65から描き下ろしがはじまる。破壊衝動とシュールとギャグをぶつけたあとIQ71からの真の最終回というかCDだと1分2分のブランクのあとにはじまる「もあみはよそもの」がシークレットトラックのようにはじまる。それにしては大作だけどな。人を殺さなくなるワクチンをめぐるシリアスSF短編。非常によくできている。

本作とはいわんけど1回くらいテレビアニメ化しないんかなあ。読み切りであった「ジャッキーグー」的なのとか。あるいは、ちょいとぬる目だけど一迅社や芳文社的な女の子ばかりで批判性の弱くてなおかつ持ち味出したやつとかどうでしょう。



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