2019年05月24日

彼女と彼氏の明るい未来 1 谷口 菜津子 KADOKAWA


前作「彼女は宇宙一」が今は亡き「このマンガがすごいWEB」のマンスリー(復活希望)でランクイン(5位)した作者による長編。
ちょっと未来。理想の恋人が現れた。幸せの絶頂の主人公。だけどこれまで女運他が壊滅的に悪かった主人公。彼女をどうも信用できない。だからVRで過去をのぞき見できる装置を使用して彼女がヤリマンだったかどうかを確かめに行くのでした。

前作ゆずりのSF〜ファンタジーの流れにありながらもキモは男女間のココロの動きってのは同じで、ちょっと先の未来道具がバシバシ登場するけど、結局、彼女がヤリマンかどうかチェックするって展開はおもしろいな。

ただ1巻のほぼ終わりになってやっとVRをかぶって潜入するってどうなのよ?どういうペースなのよ? なんとなれば星新一氏が今もご健在だったらショートショート30枚くらいでチョチョイのチョイとなんかやっつけそうな気がするでもないんだよな。

ま、ショートショートならね。

それに収まらないと思ったから、もっと具体的にいうなら「勝算」があるから長編にしたわけだもんな(作者と編集は)。それに期待して読みます。あとたぶん同じものがあったらおれも確認してたかもしれないなあと。そうじゃなかったら知らないころの奥さんとか。

細かい未来描写が楽しい。画面が浮かび上がって宙空にフリックする感じはいいよな。



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シネマこんぷれっくす! 3 ビリー (KADOKAWA )



映画バカ3人娘と彼女らに振り回される映画バカ見習いとの映画バカのためのバカマンガ。
アナーキーなようでいて、非常に丁寧に、映画ウンチクと映画あるあると映画バカの奇行を織り交ぜて構築している。
まあ、だからなのか、宿命なのかわからんけど、シネマ部の面々も「映像研には手を出すな」の面々も設定だと、学園のお騒がせ一味って感じなのが、普通に部活動に熱心な感心な方々ってことになってるんだよな。こいつらもわりに映画をみた感想を部室で喋ってるだけ感。

ただ、娘さんたちの懐かないネコ3匹(とちょっとツンデレ1匹)な感じがかわいらしいなあ。巻を追うごとに娘さんたちがどんどんかわいくなってくるのがずるい。普通に萌えマンガになっている。
とりあえず作者イチオシの映画「ガタカ」はみなきゃなと思いつつ10年くらい経ってる(作者にすすめられるより前から気になっている)。


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レイリ(第6巻)岩明均/室井大資 (秋田書店)


6巻で終わり?なんて思ったけど、コレは文句なしにキレイな終わりではあるだろうなと(アレはどうなったというところもあるけどまあ)。
そして終わってみれば6巻、ずっと素晴らしいママだった。
レイリという少女の数奇な人生を描いてます。たぶんコレ以上は蛇足なんだろうなあ。「あずみ」なんて永遠に終わらない(終わった?)作品を考えるといけないのですが、これは必要十分の活躍だよなあ。少女として、少年として、天才剣士として、ひとりの女として、母として、いろいろなレイリを描いていた。

しかし、本作は表情だな。マンガは表情だね。適時正解の表情を描くことができるならば文は要らない。それをかなり実践されたマンガ。それは原作者である岩明氏ゆずりであるが、本作のほうがすごみを増していたな。とくに勝頼と明智光秀のあの表情。すべて事情と感情を描いてる。絶品。あとラストな。あのレイリの表情。

表情で泣き笑いできるすごさを堪能したよ。

(岩明氏があとがきで書いておられたマンガ担当のもうひとりの候補もちょっと気になるなあ)



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水は海に向かって流れる(1)田島 列島 (講談社)


前作「子供はわかってあげない」はとてもインパクトが有りました。その年のNo.1に選んですよ。

[決勝戦 ギガントマキア 対 子供はわかってあげない: ポトチャリコミック]

5年前ですよ。5年前のおれいい文章書くな。

そして田島列島氏は5年後の本作もとてもすばらしかったです。

おじさんのいるアパートに住まうことになった少年。駅まで迎えにきてくれたOLさん。彼女の母と少年の父はW不倫をした仲だった。

前作ゆずりのユルユルとしたキャラのやりとりでありながら重々しい内容で展開する1巻でした。

あ!かなり変速展開の「めぞん一刻」になるんかな。少年とOLさんはつきあったり恋に落ちるのか?うーむ。

そういうわかりやすく収まるところに収まることを期待するものではないような気はしますと、思いつつ、前作はすごくきれいに収まるところに収まったからなあ。

オビや他所の感想をみると、セリフのやりとりがすごいとありますが、スゴイのはそれもこれも含めて、マンガとして成立していることかと。
マンガはその絵の中にキャラが呼吸をして過ごすことができる空間であることがもっとも上等。視点を変えると、読者にとってキャラがいきいきと活躍している場がマンガの中の世界に成立しているかどうかこそが命。

たとえば本作のヒロインの得意料理ポトラッチ丼。これがすばらしい。食べたくもあるし、この料理ができる背景を考える。そしてこんな奇天烈な料理を実践するからこそ、後半にあんなことができるんだなとか。そういう積み重ねも含めての、この漫画におけるこのセリフこのキャラこのストーリーの描画がジャストってことが大事なのよ。
それに関してはやっぱり天才といっても過言ではないな。本作の描画とキャラのやりとりと話はすべてがこの絵でジャスト。
これができないプロのマンガ家もけっこういるよ。
ほしい絵に合わせると画力は変化していくんだよね。でも、逆に、この絵に合う話を作るって方向の方もいらっしゃる。どっちが正解ということはない。そして田島列島氏は後者というわけでもない。ただ、いまはジャストフィット。だからこそすべてが決まっている。



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あげものブルース 本 秀康 (亜紀書房)



新作はほぼ1作描き下ろしの作品でしたよ。
カーネーションの直枝氏のツイートで紹介してあり即購入。そしてたぶんそうじゃなかったら手に入れることができなかった可能性大。最近ぶっちゃけるとマイナー出版社のマンガはあからさまに実書店にこなくなっている。ま、余談。

「あげもの」をメインとした1冊。からあげ、天ぷら、とんかつの「あげものメドレー」からはじまり、中編「かりんとう」ときて、さらにまた「続あげものメドレー」でしめるというかっこいい構成。かりんとうも揚げた菓子だもんな。

からあげ、天ぷら、とんかつにまつわる小品が「かりんとう」につながりさらに後日談の「続あげものメドレー」でしめます。
メインは前記のように「かりんとう」です。父との別れを描いてます。これが刺さるんだ。おれも(の「も」はあとがきの作者もの「も」よ)父親とはうまく別れられなかった。というか先に逝った身内3人ともうまくいかなかったなあと思ったり。場数はこなしてるけどうまくいかないもんだねえと。

しかし、その「かりんとう」にしてもストレートに感動作にいかないのが作者の持ち味だな。このずらし方はやっぱり独自。そしてやっぱり素敵だ。

あとがきによるとマンガ版「ホワイトアルバム」を作りたいとのことですが、前記のとおり、かなりなトータルコンセプトアルバムといった感じですが、これまたどうしてホワイトアルバムとなったのかは本書を読み、あとがきを読んでみてください。

よかった。


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モキュメンタリーズ 2 百名 哲 (KADOKAWA)



コミックエッセイの手法でうその秘話を話そうというモキュメンタリーズの2巻です。作者・百名哲のドキュメンタリーでモキュメンタリーってことです。はじめて知ったわ。そして最終巻なのね。

最大長編になる3話からなる「有明の月」。流れ流れて「何でも屋」をやっていたときの片桐さんの話。「もしも自分の描いたマンガがひとを殺したとしたらどうす?」ではじまる話よ。

同棲をしてみたいとのことで同じサークルのかわいこちゃんとセックスレス同棲をした「愛なき巣」(いま、書いてて気がついたけど、愛なき巣→愛なキスのアナグラム?)

いよいよ食い詰めた作者がテレビでやってた催眠術師になろう!って話「五円玉の行方」

1巻からの後日談になる「止めろメロス」

うむ。こんな感想どうかと思うけどエモいな。ちょっとドキュメンタリーという枠で考えるとエモすぎねえか?って感じがしないでもない。

ただあとがきを読んでちょっと意見がかわったんだよな。「五円玉の行方」と「止めろメロス」にはある事実がインスパイヤ元というかスタート地点としてリンクされている。具体的にうと実在の人物的なひとがからんでいる。その後の話もまったくちがうしまったく架空のひととしてもいいんだけど。
ただその面々がその後、ちょっとこのマンガよりエモくてリアルで、その昔悪趣味ブームって流行ってたときにある雑誌で多用されていたフレーズであるテイストレスだった。現実はなんともはや現実だ。
そう考えると、モキュメンタリーなんだし、エモくてもいいよなあと。

安心してエモに浸ることができるヨロコビを逆に感じる。有明の月や止めろメロスはエモエモで最高だった。

エラそうぶることもないけど、提案。作者はこのさき10年続く代表作を描いてアニメ化と映画化とされすっかり大漫画家になって代表作の連載の合間にモキュメンタリーズの3巻を描いてほしいなあと。たぶん、それは最高傑作になるんじゃないかなあと。
本作、エモいけど、話の奥行きはちょっと浅い。それを表現するにはもっとページ数が必要だったのかもしれないけど。
ただ、「有明の月」における餓死に至る思考回路ってのはリアルでよかったな。


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幸せカナコの殺し屋生活 1 若林 稔弥 (星海社)


ブラック企業につとめるカナコさんが転職で殺し屋になる話です。

かなこさん普通にバンバン殺し屋家業をマンキツしてます。どうも殺人の天才だったようで初ターゲットが前職のクソ上司といった具合にわりかし気軽にどんどん知り合いも含めてターゲットを殺していってます。

死語になりかかってるブラックユーモアというワードを想起。彼女は悩んだり迷ったりしながらも前向きに「仕事」に取り組んでます。仕事の後の焼き肉最高とかいってます。

コレ別に1980年代、うーん、1990年代くらいまでは「普通」でとくだんギャグ漫画としても普通な感じですが、現代基準ではかなりどうなのよ?って思ったりする。ただ「これ」が非常に効果的でもあるなと。たとえるなら、カミナリの漫才での本気のドツキあいが新鮮でショックなのといっしょかな。

あと表紙のカナコさんの後ろのアレ。アレがまた脱力でなあ。あのセンスはなんなんだ?

さらに展開が。まあ、ラブロマンス的な? そんなことになるの?

ということで妙に目が離せません。ハマるとくせになる味わい。



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映像研には手を出すな!(4)大童 澄瞳 (小学館)


4巻を読むまでは1巻2巻3巻で、起承転結の起承転までいったから、いったんの結になるのかと思ってた。まあ、感想文はそういう感じでしめようと思いつつ読んでいたのよね。

あ、3人娘がアニメを作る部活をやってるマンガっす。アニメ化決定で沸きに沸いてる日本列島です。

その起承転結の結は、起承転までに提示された設定語りマンガかなと思っていた。でも、ちがってたんだよな。

設定を考えるのが好きな主人公が「こういう世界を作りたい」ってことでその手法のためにアニメを作る。仲間もできる。そして開眼する。ストーリーが大事って。もっとちゃんと作りたいって。え、そうなんですか?って思ったわ。

設定語りマンガってジャンルかと思ってたけど、作者も登場キャラも「そんなつもりはないんですが」ってことになる。そして全員(作者もキャラも)が有言実行。すげえな。あっけにとられてしまった。

つまり、「起承転」の次が「起」になってたの。ステージが上がった「起」。次がそのステージの「承」なのかどうかもわからないという。恐ろしい話だ。

そして、マンガ内で作られたアニメ「タヌキのエルドラド」がまたいい。これもきっちりアニメでみたい。おお、それは本作のアニメ化で果たせるかもしれないのね。

うむ。次巻が楽しみだ。これまでは改善点ばかりだった浅草氏もさすがに満足するわけだ。



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