2019年09月26日

バビロンまでは何光年? 道満晴明 (秋田書店)



鬼才道満晴明先生の新作。
チリになった地球で宇宙人に拾われた少年。彼は記憶を失っていた。そして地球人の種を絶やさぬために宇宙のあちこちで交雑し子孫を残そうとする1回6pのショートエロギャグ。

2回めに記憶は戻るし、7回目に別に種を残すだけなら性転換すればいいんじゃない?って女になったりもするし。その後1回交代で男になったり女になったりするし、半分を過ぎたあたりからは全然ちがう顔がみえはじめてくるし。

読んでて「あれ、これって、アレじゃ?」という疑問を持ったらその答えはカバーをめくったらばっちり「うしし、これがいいたいんでしょ?」って見透かされたのがでてきたので悔しいので言及しない。

ラストあたりの壮大な感じはかなりすごい。ハードSFだよね。

それでいて6pショートという軽さとエロとギャグは忘れないし。ありていに「いつもの」道満晴明の良作のひとつやなと。というか、そうか、男が主人公のマンガってかなり久しぶりじゃないか?だからエロやギャグに勢いがあるのかな。

アニメ化してもいいくらいきっちりとした作品。ただアニメ化したら「彼方のアストラ」みたいに偏狭な方にみつかっていろいろいわれるのかな。

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というかそもそもこういうセリフがある以上、OVAでも難しそうではあるよね。しかも絶対に省略できない超重要なシーンでこれだからなあ。

いつものようにとてもよかった。定期的に長くずっとすごくてすごいひとだ。

追記
Twitterで情報をいただきました。タイトルは「バビロンまでは何マイル?」というマザーグースのひとつからとってるようです。同タイトルの川原泉さんのマンガもありましたね。なるほど。

How many miles to Babylon?
Three score miles and ten.
Can I get there by candle-light?
Yes, and back again..
If your heels are nimble and your toes are light,
You may get there by candle-light.



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2019年09月14日

僕の心のヤバイやつ(2)桜井のりお (秋田書店)






2巻ですね。「みつどもえ」の作者による中学生ラブコメ。

陰キャな男子中学生が、同じクラスのモデルをやっている超スタイルの超美人さんとなぜか毎日放課後図書館で出会ってお菓子を食べたりするようになるヤーツ(もうハライチのひとも長いことこのフレーズを使ってなさそうではあるよな)。

よくあり、ずっとブーム中のシチュエーションラブコメのような「ガワ」でありながら、そことは一線を画しているのが本作。彼と彼女と両方とも駆け引きをしてないし、たまになにかをしようとしても失敗していること。

これ、性別のどっちかが「被ドキドキ」で、どっちかが「加ドキドキ」ってのがセオリーなんですね。

「からかい上手の高木さん」では高木さんにより西片が「被ドキドキ」。「事情を知らない転校生がグイグイくる」では転校生にグイグイこられて西村さんは「被ドキドキ」。


駆け引きをしているというと夢はないんだけど、そういうシステムで展開してはいるしそれだからこそ読者は安心してみていられるし、それだからこそぎゃくにいうと量産できるし、その結果さいきんちょっと飽和気味に感じる(おれ調べ)のですし。

本作は、どちらもウブで、歩み寄ろうとしたり警戒したりの、一定の距離感を保ってる感じがいい。もうちょっとくだけていうと男子も女子も中学生特有の間抜けさと下手さを兼ね備えてるのがいい。いちおう男のほうがオロオロ度合いが高いのだけど、相手の美少女も中身がけっこうポンコツなのがいい。自身の美貌をあまり自覚したり武器として使おうと思ってない感じがいい。そこがとてもいい。

2巻では、クライマックスに、主人公が、その子を肉欲でみてて本当に好きじゃないのではないかと。好きな女子を自慰のオカズにできない話ですね。これの解決法はエモかった。お互いの好意がぶつかりあってるけど不器用な世界。

なかでも個人的に好きなのはファストフード店で偶然出くわす話。男側のあるあるがせつないくらい。ああいうことするよね。そして自意識ほかが邪魔をして先に進めなくなる感じ。実はいまだに不得意だわ。

この中学生特有の不器用さと青臭さとお互い様感がとてもいい。ちょっと「次」を感じる。そういや、「2019年次にくるマンガ大賞5位」っすわ。

僕の心のヤバイやつ https://twitter.com/i/moments/1123142178996228096

Twitterで頻繁にコミックに収録してるのしてないのを更新しており、非常になじみがあるなかに、満を持して発売された2巻で、見飽きた感じになるのかと思ったけどそうでもなかった。



posted by すけきょう at 21:46| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月07日

Dr.STONE 12 Boichi/稲垣 理一郎 (集英社)





アニメ化が好調ですね。12巻。
おれの立ち位置は、アニメになる前に漫画喫茶でスマホを作るエピソードの手前までたどりつき、アニメがはじまってバコンとハマった娘さんが一気に揃えたのを読んで、なおかつ12巻ということです。

あるとき謎の石化現象が起こり、人間は石化してしまいます。そして3700年のときを経て、ひとりの天才が復活します。主人公です。科学のあらゆる知識を吸収した少年センクウ。本作の主人公です。

そして「科学のチカラ」で仲間を作ります。敵も作り出してしまいます。

と、丁々発止のやり取りの末に、センクウはたくさんの仲間とともに平和を取り戻します。そして科学のチカラで大発展を目指すところ、作り出した「スマホ」から謎のメッセージを受信。受信先は海の向こう。じゃあ、海を渡る大きな船を作ろうじゃないかと。

12巻では船出をします。目的地は宝箱のある宝島です。無人島のはずなのにひとがいます。そして、、、

最大の敵との決着がついて、造船編は「**が足りない→**を作った」の繰り返しで、なるほど、科学は地道な継続にあるというのがわかる。だけど、まあ、一気に読んだのもあって飽きてきたなあこの流れと思ってたけど船出したらすげえことになったのよ。おお、おもしろい。やっぱりおもしろい。


ところでこのまっすぐ科学を抱きしめながら困難を乗り越えて前に進むってマンガを21世紀の、令和に生きる少年がみるのが圧倒的に正しくてエモい。
おれはこれを読んで胸を熱くしている現在の小学生に対して「あなたは絶対に正しい」と胸が熱くなる。




で、このマンガよ。「生理ちゃん」でブレイクされた小山健氏のマンガに熱くなる少年を世代ごとに描いてるマンガです。この令和の少年がKindleで読んでるのこそDr.STONEというのがもうこの作者は本当にタダモノじゃないなと。

いや、すばらしいマンガ。正しく「少年ジャンプ」で少年が読むべきマンガ。まあ、「ゆらぎ荘の幽奈さん」も正しいんだけど。

そして半世紀少年のおれが読んでも胸アツ。四半世紀少女のマイドーターも胸アツでみてる。アニメも胸アツ。OPも買おうか思うくらい。

ほんと、「滾るぜ」。少年も無意味に大学受験でも出てこない漢字を読めるし書けるようになってしまうよなあ。

また、これがジャンルとしてSFであることもしびれる。かなり純然としたSF。「彼方のアストラ」もそうだけどSFがまた復権の兆しがあるよなあ。そこも胸アツ。

作画のBoichi氏もSFを描くことができててうれしいと、なんどもカバー見返しのあいさつに書いてるとおり、本当にうれしそうに描いてる。絵がのびのびされてる。

いやあ幸せなマンガじゃ。

(えーといっきに11冊読んでの12巻ではあるのでちょっとキャラが混線しかかってるが、なに、鬼滅の刃よりはわかるか)



posted by すけきょう at 02:41| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする