2020年02月06日

鬼滅の刃 19 吾峠 呼世晴 (集英社)



とにかく売れてるよね。2019年はすごかったし、今のところそのすごさは持続している。2020年2月初頭、マスクと鬼滅の刃のコミックが全世界的に不足してますよ。

まわりにいる普段ほとんどマンガをみないようなひとすら話題に出てます。書店では「1人1冊」という張り紙とともに独立したコーナーを用意されてる。そして全部そろってる売り場はない。すごいことだよなあ。個人的に過去10年以上こういう特別扱いされたマンガをみたことないわ。ONEPIECEやドラゴンボールの全盛期ってどうだったんでしょうかね。覚えてないです。ともかくそれと並ぶほどの売れ方をしているわけですね。

で、そんな売れ方をしてるマンガとは思えないようほどの凄惨な戦いが繰り広げられている最新巻です。というか、ここんところずっとそうですね。というか最初からそうですね。鬼のように強い鬼と血みどろの命のとったとられたの戦い。19巻でも誰にも「平等」に手心をくわえてない戦いをしてますよね。すぐにあちこちの身体の部位を切られたり欠損したりしてます。

正直なところ、物語の途中には、もう二度と読みたくないくらいの冗長なところもあります。具体的には遊郭の戦いでしょうか。くどいっちゅーねんって感じで。それが嘘のように展開早いですね。まあ、主人公が今巻で3コマ4コマくらいしか映ってませんしね。急いで進行させているのでしょうか。

とはいえ、それまでに丁寧に描いていた他キャラが縦横無尽に活躍している。まったくもって最高の読み応えです。
ほぼはじめて戦うようなキャラがたぶん人生で1番難易度の戦いをものすごいスピードで行われてるってのがすごいよなあ。あ、このキャラはじめて戦ってるんじゃないか? の2コマ後、腕を切断される。マジか!みたいな。

それでいて、無駄な前フリなしで、敵も味方も最初からアクセル全開で戦ってるのもすごい。バトルマンガ全般的な様式美ではあるとおもうけど、初バトルでは敵も味方も多少の「プロレス」があるじゃない? 攻撃をして受けて、その上をいく攻撃をしてそれを避けてみたいな流れ。それがものすごい早くて、なおかつ、どちらもすごさがちゃんと伝わる。このプロレスの最大の効果は戦ってるひとが「強い」ことを表現することだから。

19巻の後半3/5ほどを占める上弦の壱の戦いはすばらしいテンポと戦いで、作者のバトルマンガ描画のピークなんじゃないか?と思いましたわ。








posted by すけきょう at 17:04| Comment(2) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Dr.STONE 14 Boichi/稲垣 理一郎 (集英社)




なんだこのおもしろさ。14巻も最高じゃないか。
なぜか人が石化した世界。科学で謎をとき敵を倒し世界を元に戻そうという話。
意図的に石化することのできる敵と戦っております。
この「戦い」がいいんだよな。
たとえば14巻でも様々な「戦い」が起こる。「なんでそうなったか?」ってのをイチから説明してると長くなるしネタバレになるから省略するけど、
石化した味方をこちらに持ってくる戦い。
石化した味方を海から引き上げるために酸素ボンベを作り潜り引き上げる戦い。
ドローンを作る戦い。
敵の謎を命がけで探る戦い。
1番の敵を交渉で寝返させる戦い。

通常の敵と技術やチカラで武器を持って倒す「戦い」ではないものばかり。だけど、その興奮度、達成感、勝利のすばらしさは同じ。そこが本当にすばらしいんだよな。
これらどれが特別ということじゃなくて、たくさんの味方の命をかけ能力のギリギリでなんとか引っ張り出した「勝利」なんですよ。そら、あんた涙も出るし「うっ」ってちょっと声も出るってもんじゃないですか。

個人的に14巻ではこれまでそんなでもなかった龍水というキャラがとりわけかっこよくてな。見直したわ。そして2期が決まってるアニメ。たぶん、そこじゃたぶん登場しないので3期で登場するだろう彼がアニメで活躍するのがみたくてたまらない。

同日に社会現象にまでなった「鬼滅の刃」の19巻とともに発売しました。こっちも文句なしにおもしろかったです。そしてこの2つが連載されている「週刊少年ジャンプ」というマンガの恐ろしさをしみじみと思うのです。こんなに「おもしろい」が偏っていていいのか?と。(いや、他にもおもしろいはあるのでいいのですが)

世界は「おもしろい」で満ちていてありがたい。







posted by すけきょう at 13:36| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

近所の最果て 澤江ポンプ短編集 澤江ポンプ(リイド社)



「パンダ探偵」の澤江ポンプ氏の初短編集。

[パンダ探偵社 1 澤江ポンプ(リイド社 torch comics): ポトチャリコミック]

作者は直腸がんになり療養しつつということで(本作のあとがきマンガにありました)、パンダ探偵はどうなるのかわかりませんが、これまでの短編集が出ました。

これがとてもおもしろい短編集です。10年という歳月で描かれており、なおかつ、商業誌掲載のものから、Twitterに発表した身辺雑記的なものと、雑多という意味では恐ろしい幅があります。川といいつつ黄河とかナイル川ってくらいの幅です。絵柄もかなりな幅。というか、全作品ちがう気がするな(日々試行錯誤されてるような)。ジャンルもSFからコメディ、ホラー、アクション、ガロ的なのや、ナンセンスギャグ、感動巨編(短編集だから巨はねえか)などなど。


ただひとつすごい狭い幅があります。前記の通り「おもしろい」ことですね。「おもしろい」以外の評価の幅がない。みんな「おもしろい」んだ。

「あー、これおもしろい」「これいいなあおもしろい」「いや、すげえいいなあ」「お、これもかなり」みたいにおもしろがっているうちに終わってしまうという。

ただ、メリハリはある。

妻が裸族の話「ハダカヨメ」からはじまり、不思議少女がやってくる「夜明けの未来ちゃん」、プロレスアクション巨編「レッツインテリ」、ガロに載っててもおかしくない「煙街」、本来はパンダ探偵に載せる予定の「はっぱの人」。

そして、ラストはやっぱりこれになるだろうなあって「サイコンクエスト」で終わる。

うんおもしろいおもしろいおもしろい。いつでもどこからどう読んでもおもしろい。すごいおもしろい。

と、おもしろいがたくさんつまった短編集です。2020マンガ短編集でもトップになると思います。このレベルの短編集は今年はもうないだろう。気が早いですが。


posted by すけきょう at 12:25| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

田島列島短編集 ごあいさつ 田島列島(講談社)



「子供はわかってあげない」の実写映画化が決まり、「水は海に向かって流れる」の2巻が発売されてーの短編集。すごいね。

「子供はわかってあげない」のコミックが出たときに「すごいものが出た」と大騒ぎしてましたが、そのとき、どこかに「作者は短編もおもしろい」と読んで、すごく気になっていたのですよ。なんんとなれば「子供はわかってあげない」よりおもしろいまであったから。

本作は2014年から2017年まで描かれた読み切り7編に1pマンガやイラストをいれたもの。

不倫をしている姉のもとに不倫相手の妻が日参してくる「ごあいさつ」
(今連載中の水は海に向かって流れるは親が不倫していた同士がひとつ屋根の下のアパートに住むというマンガや)

会社内の女性社員に「おっぱいを吸わせてください」とお願いする「おっぱいありがとう」
(お願いするのも女性)

初対面の女性に「じゃんけんしよう。私に勝ったら30万円あげる」といわれる「お金のある風景」
(オチがステキ)

などなど。
のんきムード充満の作風はずっとそうなので、これは作者にしかない生体リズムだなと思わせつつも、ソリッドにさっくりあっさり仕上げる手法は短編のほうがいいですね。あっさりふっくら仕立てなのに人間関係の「ひっかかり」みたいなものがそのまま物語全体の余韻として残る。人間関係って魚の小骨みたいなもんなんすね。

しかし「Not found」の生殺し感はすごい残るな。男視点だと「どうしろと?」と途方にくれる感じが多い。
田島作品に登場する女性はかわいいし愛らしいけどなんだか難しいひとが多い。
かんたんに感情移入させてあげない、好きにさせてあげないって一筋縄でいかない感じ。
それこそ「子供はわかってあげない」「水は海に向かって流れる」のヒロインにも通じるところがある。


posted by すけきょう at 10:53| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする