2020年12月05日

鬼滅の刃 23 吾峠 呼世晴 集英社


鬼滅の刃が終わった。23巻最高だった。書店でアホみたいに売ってたけどあれはすぐに売り切れるな。感動をありがとう。

って、Twitterか!

ということで、文字を読むのがめんどくさいTwitter以降の世代は上記感想で。では、以降はテキストサイト以前向けに。

正直なところ、トータルでマンガのデキはそこそこという感じではある。特大のまぐれ当たりとも思う。話も構成もキャラもときおりどうなのよこれ?って思う描画も(デフォルメやモブのテキトーさとか)。
ただ、最終巻がとっても最終巻だった。これで文句のない終わり方だった。そこが1番新しい。最終巻を読んだひとの多くが「これできちんとケリがついた」と感じただろう。それでも続編をみたいと思うひともいるだろうが、多くは納得して「いい最終巻だった」と納得いくことができるような気がする。おれはここしばらくで最高最上の長編マンガの最終巻だったと思う。

あ、今回、あらすじとか省略してますよ。いいでしょ? 2020年を日本で生きていたひとにとって、「鬼滅の刃」とはそんな存在だし。読んでいるひとはとっくにわかってるし、タイトルを知ってるにも関わらず興味を持たないひとは、そもそもこの文章を読まないだろうし。

と、推測してさらにネタバレ上等となります。全23冊読んできてください。

上記のようにマンガとしては「そこそこ」のデキです。ただ、作者の魂の削りぐあいが半端ない。それは「ONE PIECE」でも感じられる。ありったけを放出してる。いまできるスキルの105%を常に出して週刊連載に臨んでいる。1球入魂というよく耳にするフレーズをあらためて感じ入る。週刊少年ジャプという世界最高のマンガ誌においてトップを走るにはそれくらいは「アタリマエ」なのだろうね。

そこそこのデキだけど丁寧に丁寧に想いを込めた魂にはみんなに届いていた。それこそが小学生を中心にココロをつかんだのではないかと。その事実に胸アツです。これだけ選択肢がある様々な娯楽のなかにあって21世紀生まれにも紙にペン(かはわからんけど)で描かれたのですよ。

まあ、もうちょっと現実的なこというとアニメの鬼のような完成度が前提としてあるんですけどね。アニメはいまも込みでテレビで放映されたものとしてはS級のエンターテイメントです。映画も。これがたぶん日本映画で1位になんの遜色もないです(みました)。うん、信者みたいですね。
好きになりすぎると信者になるのでそこらへんの客観的な判断って難しいですよね。でもまあ信者でもいいです。実際、23冊読んでみろと。

そして最終巻です。これで吾峠呼世晴の全放出という感じはありました。話としては「みんなで協力してラスボスをやっつけた」です。これが完膚なきまでに「ちゃんと」やっつけたわけです。
ラスボスは形態変化ありますし、死んだと思ったけど実は、、、って展開もあります。登場キャラ全員が、それこそ敵全員も、モブも全員が全力を出してます。そういうのがみんな伝わるのでこの最終決戦。とくに最終巻は異様なグルーヴと盛り上がりがあります。それを1冊で畳み掛けます。すごい畳み掛けです。

実をいうと、22巻までは「さほど」でもなかったんですよね。やっぱアニメがすごいから人気になったんだろうなと。アニメは本当凄まじいデキと思う。毎週一瞬も気を抜かずにみてたもんな。だから「それ」なのかなと。

でもちがうよな。最終巻の畳み掛けと、これでもかこれでもかのダメ押し。それは本作連載分もそうだけど、オビにある「描き下ろし39p」もそう。これが正真正銘の全力39pだという。えーと、2020年初頭にあった「100日後に死ぬワニ」がdisられる原因となった「描き下ろし」のダメダメなやつと真逆の。あれで評判を下げたのと真逆でこれでかなり評判を上げるんじゃないかしら。

それで後日談というか子孫たちによる現代編がまた。ここで実は鬼舞辻無惨が生きていたなんで平成までの悪い悪習もなくスパッと終わったし(ま、現在はね)。この潔さが令和って感じよ。

本作できちんとささった小学生は幸せだと思う。ちゃんと「おもしろい」をばっちり受信できたわけだしと。これを最良と受け止めると、ムダに長続きするマンガ、各キャラが信号機のように死んだり生き返ったりするとかな。こういうのは「おもしろい」から外れるものとして認識されるわけだ。すごくいいことだと思う。

スタンスを告げるためにもあらためて断言しておこう。「長いマンガ」はダメ。少なくとも「1番おもしろい」ではない。それを小学生以下、いろいろひとが思い知ったことがとにかく痛快。これまでのマンガのセオリーである「人気があったらできるだけ続けよう」が誰にも文句をつけられない状態でぶち壊されてるのがいいんだよね。すごくパンクや。誰にってことでもないけどざまーみろっては思う。
(とはいえ、現状では少数派ではあるんだけどね。だけど世間に知らしめた功績は計り知れない)

もうひとつふと気がついたこと。最初からチェックしたわけでもないんだけど、本作、少なくとも手元にある19巻からはそうだけど、本作、タイトル以外、本編に見開きっていっさいないなと。
これもまた、電書に向けての配慮なのか、そういうスタイルなのかわからんけど、ちょうど見開きがガンガン使用されはじめた1970年代後半からマンガを読んでいるものとしては趣深い。
いろいろと変革のタイミングだったのかなと。やりすぎ都市伝説の関暁夫さんみたいなこと書いてますが。
見開きの効果というのはいろいろありますが、定番の効果としてはここで決めるってシーンで使われますよね。でも、そういうのがなくても迫力があるし脳内で補完ができますもんね。
なんたって映画よりマンガのほうが迫力があるという意見もみかけたくらいで。
文字だけの小説とちがい想像する余地がないからとマンガは軽んじられてきた。小説→挿絵入り→絵物語→絵本→マンガですかね。その理屈でいうと、すべて見開きのマンガを描くと迫力100倍ではないかと思ってましたが、そうはなってません。似たようなマンガはありましたしいま具体的なタイトルをあげようともしましたが単純に知名度も低くなったと思われるので省略します。毎回100p連載とかいって2ページおきに見開きを描いてたので急速に飽きられました。100pあるのに5分で読み終え内容がかけらもアタマに残らないシロモノでした。
本作のみならず見開きの効果はまだかなり有効ではあるかと思われますが、鬼滅の刃の効果で以後どうなるかとも。
最終巻は、最終決戦は、全ページ見開きでもおかしくないくらい見せ場が続いてますが、それで長引かせることを「是」としない作者の心意気はしびれますわ。

しみじみと空前絶後のマンガだと思います。マンガ史に残る「まぐれ当たり」だと思います。本作くらい魂を削っているマンガは過去たくさんあります。1球入魂で燃え尽きたマンガ家もたくさんいます。
何回も同じこと書きますが、その削った魂が100%、あるいは1000%でも100000%でもいいけど届いた読者がたくさんいたことです。これが「まぐれ当たり」ってことです。ここまでみんなに「おもしろい」ってしっかり万人に「同時に」受け止めてもらえたマンガということでは空前絶後です。それのほぼすべての評価は「魂の削り具合」ですよ。そこそこのデキを魂を込めて1000000%にしてるってことです。そういう結論にします。トータルで空前絶後になるかはわかりません。それはこの先歴史とアニメのデキが決めることじゃないかしら。

あと、小学生のココロをつかんだっていってるけど、小学生の数って減ってるんですよ?少子化ってやつです。聞いたことあるでしょ? 小学生が火付け役ってことじゃいろいろと解せない現象ではあります。
つまり、小学生と小学生のハートを持ってるひとが飛びついたと。がっちり受け止めたと。しかも男女とも。

と、まあ、素直にマンガをストレートにおもしろがって受け止めてもらえているって感じがするマンガであることがうれしいんですよね。しかも、あらゆる点で特異なところがあります。作者の長編デビューってのも功を奏しているところが多いかと。ベテランはこういうマンガをこういう描き方できないでしょう。それはONE PIECEの作者もいっしょですが、もっと「うまく」やってのけました。この「うまさ」は本当いろいろな解釈がありますが、うまくやりました。もちろんONE PIECEのほうでうまいところも多いですし、ジャンプ(だけじゃなく他)の各人気マンガのほうがうまいし、結果的には正解ではありますし、セオリーではあります。でも、それをぶっ飛ばしてこれです。

この先、最終回がアニメ化されるまではつきあいたいなとは思ってます。まあ、アニメのクオリティが落ちなければってことですが。

(あと最終巻で甘露寺さんのファンになりました。彼女よかったわ)

鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックス) - 吾峠 呼世晴
鬼滅の刃 23 (ジャンプコミックス) - 吾峠 呼世晴
posted by すけきょう at 18:33| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする