アニメ化記念ってことで。
2015年から2019年までTwitterからのWEBサイトで連載されてました。コミックは全8巻。
とはいえ、存在は知っていたものの読んだのはわりと最近でまとめて読みました。おれ的には最近のあるあるの電書でセールだったからです。
そういうことで本作もアニメ化前後でセールになる可能性が高いからチェックされておくことをおすすめします。これまた最近のあるあるですが電子書籍用の特典もありますし。
トモちゃんという男勝りな女の子が幼なじみの男に惚れてますが、男は幼い頃からライバルとして親友として切磋琢磨(おもに空手で)してきたので、むこうはかけがえのないものと思ってますがその質がずいぶんちがうというラブコメでおなじみのやつです。
1ページをワイド画面の4コマで区切って展開するというパターンです。高校生ですね。学園ラブコメ。
本作の最大の特徴は、昭和からある男勝りの女の子とニブチン(死語か)の男の子のすれちがいラブコメってベタ中のベタであり、なおかつかなりミニマリズムな内容、それなのにこんなに時間が経ったのにアニメ化になることも納得の高品質ということなんですよね。
ラブコメとは、
突き詰めるとキャラは2人でいいんですよね。それになにを加えたら独自性が出せる?もっとおもしろくなる?ということでキャラが増えていったりシチュエーションが複雑になっていきます。
そしてラブコメのストーリーのゴールは両思いになりばいい。ストーリーもキャラも目的も実に明確です。ただ、現実の「複雑」をいかに盛り込むかで味わいが変わるという。ま、ここまで極端なことをいいだすとみんな同じになりますかね。バトルマンガスポーツマンガは戦って勝てばいい、ギャグマンガはいかなる手段を使っても笑えることができればいい(だから1番好きなのかもしれない)。
本作はすごくシンプルでミニマムなんですよね。必要最低限といえるくらいストイックに展開する。それは連載媒体が4コマというのも関係しているし、Twitter連載というのも関係しているのかもしれない。
ただ、それでいて最大限のおもしろさを引き出していることに驚く。それぞれこれでもかって少数のキャラを立たせながら最大限の活躍をする。
やっぱなんのかんのいってキャラクターよ。とくにマンガはそれ。
本作は学園マンガであるわりには、学生より、それぞれの親や各キャラの過去にフォーカスし展開していくところが特徴。
親を描写することでどうやって彼女らのキャラが形成されたかの説得力をもたせてるし、「幼なじみ」の幼いころを丁寧に描くことでよりキャラに愛着が湧くから。だから主要キャラは両親を描いてる。これ実はなかなかできないこと。だって老け顔を描けないプロのマンガ家って多いもの。極端なこというと女の子しか描けない人も多い。
作者は老若男女見事に描き分けておられます。カバーをめくったあとのおまけ絵には毎回ニヤニヤするよ(電書でもみられる)。
主要キャラがそれぞれとても強い(物理でも精神でもキャラでも)ので凡百の同級生先輩後輩じゃ太刀打ちできないというところもあるんだろうかな。
この少ないキャラを磨きに磨いて立体的に「存在」させる手法がすごい。
エピソードそれぞれも的確でシンプル。はじめてのデートとか、親友とのいざこざとか。基本エピソード毎に「原点復帰」なポジションに戻るけど、その後少しづつ気持ちが進展していく。これもまた王道ですが効果的。
つまりは、
今頃アニメ化が決定するには遅すぎてもったいないくらいよくできたラブコメではあるのよね。ラブコメとするより各キャラの成長物語ってのもこれまたベタではあるが、それも大成功ですし。8巻にわたってきちんとベストのところに着地して大団円です。
そしてふと思い出すとシンプルに「いいマンガだったな」で終わる。最高の読後感です。
アニメをみてからでも遅くないですが、「いいマンガ」だったということを頭の片隅にでも置いておいてください。
あとひとつ書くことがあるとするなら、脇役のキャロルとみすずはなかなかみないグッドキャラで彼女らの存在や言動がかなりマンガをおもしろくしていたし、アニメでも双方の中の人の演技や作画を期待されるところですね。







