このマンガがすごい2023のオトコ編1位です。
ここ10年はもうジャンプ無双といえるような状態ですよね。1位は意外にそうでもないと思いますが。今回もベスト10には6作品が集英社ジャンプ系です。おそろしや。
その中にあって1位で非集英社でデビュー連載作です(もっともデビュー連載が1位も多い気はする)。
なにより、書店で「目立つ表紙だな」と記憶して、なおかつ最初の10ページくらいの立ち読み用小冊子をパラパラと読んではいた。
それが1位になるので「あ、あれかあ」と読もうと思ったのでした。
既刊は2巻。
中学生。主人公よしきの親友の光は死んだはずなのに気がついたらそこにいる。それを指摘するとなにかが現れる。そして黙ってくれないと殺すことになると泣きながら懇願される。くわえて親友がいないことに耐えられないのでよしきは受け入れる。
ところがさまざまな怪異がおこりはじめる。
光の中身がちがう。くわえてそれ起因でいろいろと不気味なことが起こってるということ以外はのどかで穏やかでおバカな日々。
全体的にホラータッチのホラー漫画ということがいえますが、あまり人は死んだりしないし大きなことは起こらない。ただ、ずっと不穏な感じはある。でも、それはよくいうお笑いでの「言い方やん」的に「描き方やん」って。
だから、よしきと少しのひと以外にはその変化は伝わってなくて、光は相変わらずバカでひょうきんで人懐っこくてちょっとイケメンの「いいヤツ」で、よしきのことが大好きということになってる。
だが、よしきの動揺が全くおさまらないまま、話はいや〜な方向には動いていく。
光のほうのモノローグもけっこうあるのよね。こういうのセオリーとしては、ジンガイに変わった光は謎の存在としたほうがいろいろと話しが早いんだけど、光は自分がジンガイでありつつも思考パターンは生前の光としている。ただまあ光は自身がジンガイであることでの思考や記憶も同時にあって、そっちのほうはあんまりよくわからないようになってるかな。
そしてよしきのほうもモノローグはある。最近はこういうのがよくあるよな。
ラブコメなんてのはセオリーとしてどっちかの内面はみせすぎないほうが話が盛り上がるんだけどな。
本書もわかると思いますが、よしきと光のBLっぽさはある。たぶん、人気の秘密はそこかなと思いますよ。
作画では手の描画が印象に残りますね。痩せたオトコの筋張った、でも若いからみずみずしい手。2巻に光の手をとり指でなぞるシーンのなんともエロティックなことよ。
ホラー要素として活字で表現している虫の声の音。これが夏感と恐怖感を非常に煽っててタイトル回収感あるか。
いいクリフハンガーで3巻につづくし楽しみではあります