2024年03月26日

SPY×FAMILY 13 遠藤達哉 (ジャンプコミックス)

スパイファミリー 全巻 1-13巻 最新刊 セット 遠藤 達哉 集英社 ジャンプコミックス コミック 全巻セット SPY FAMILY SPY×FAMILY スパイ ファミリー クリスマス プレゼント 贈り物 ギフト 【新品 / あす楽対応 / 送料無料 / ラッピング可】 - MCK
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13巻を読んだ。ちょっと異様なくらいおもしろかった。
なんていうかな、「覚悟を決めた」おもしろさというか。
なんの覚悟かというと、居続ける覚悟というかな。

マンガっていくつかのレベルがあると思う。「バクマン。」ってマンガでは、マンが家における成功の証として自著がアニメ化することってあった。でも、SPYxFAMILYはさらにその先にむかっているような気がする。
より売れることってのもあるけど、ワールドワイドに認知され、たとえば、作者名やキャラの名前が一発変換されたり(いま、竈門炭治郎とか竈門禰豆子って一発変換できるがアニメ4話くらいまではできなかった)、ありとあらゆるグッズ展開され、老若男女にキャラが認知され、みんなにモノマネされ、パロディのネタにされ、って「大事な共有のもの」として認知される感じ。
アーニャのモノマネをして似てるかどうかみんなわかる。この領域。

そして知名度に沿った風格が備わり、さらに一段レベルが上ったおもしろさが備わった。
過去にもいわゆる「国民的人気」って称号がついたものはそうなっていると思う。
アンチも増えると思うけど、それはもう宿命だよね。おもしろいからムカつく、人気あるからムカつくって人種はいつも一定数いるからね。

売れること知られることによって「おもしろいマンガを描かねば」って常人には想像もできないようなプレッシャーがかかるだろうし、それで押しつぶされるひともいるんだろうけど、打ち勝った場合、さらにおもしろくなる。

前置き長かったけど、最新13巻がえらくおもしろかったと。そういうことをいいたかったわけです。

夜帷の覚醒パンチの目も覚めるようなアクションからはじまり、夜帷へのご褒美シーン、ロイドのシリアスからのヨルさんオチ。
そいでアーニャとダミアンの甘いのもいれつつの、新キャラ登場からの婦人会の一件がまたいいんだ。終戦直後のピリついた感覚を描いている。これ、時代劇なんだよね。ちびまる子ちゃんやサザエさんより昔って考えるとおもしろいよな。
新キャラの老夫婦も曲者っぽいしな。緩急もテンポもバッチリだわ。

ここにきて何回目かのピークがきているような圧倒的な完成度。貫禄がぐっとついてきた感じ。
(こういうことがあるから売れているもの=悪って決めつけるのは危険だし、損なんだよね)

SPY×FAMILY 13 (ジャンプコミックスDIGITAL) - 遠藤達哉
SPY×FAMILY 13 (ジャンプコミックスDIGITAL) - 遠藤達哉
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2024年03月25日

フラッシュ・ポイント 今井新(同人誌)

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フラッシュ・ポイント|Flash Point|paperbook - arataimai - BOOTH https://booth.pm/ja/items/4984090

今井新「フラッシュ・ポイント」 https://shikaku-online.shop-pro.jp/?pid=177399076

今井新「フラッシュ・ポイント」 - タコシェオンラインショップ https://taco.shop-pro.jp/?pid=176677393

同人誌です。知ったきっかけは忘れました。おもしろいと聞いたのでよっしゃ!って勢いで。
230Pの大作です。おれも届いたあと「うわーお」って(まだ、同人誌の相場がよくわからないの)。

いろいろあって無職のイマイ君。主夫のようなことをしている。ある時、妻が仕事に行ってから、妻の妹のJKが遊びに来るようになる。JKもいろいろあって学校に行ってない。そのうち昼夜問わず遊ぶようになり、彼女が戯れに撮った動画が世界中でバズるようになる。
そして、どうなる?やるのか?と思いながら読んでいたら、急に「ここの」世界とリンクする。コレが衝撃で、以降、話がどう転ぶのかさっぱりわからなくなった。けど、その衝撃をさらに上回る衝撃展開で衝撃的に終わる衝撃マンガ。

マンガと画力は密接なつながりがある。描いた絵で描ける話が決まるといっていい。だから逆にいうと画力によって描くことができるマンガは自ずと決まっていく。
いわゆる「絵がうまい」からといってなんでも描くことができるわけではない。逆もまたしかり。たとえば、大友克洋氏は蛭子能収氏のマンガを描くことができない。逆も。そこに手塚治虫氏が混ざっても同じ。それこそ浦沢直樹氏の「PLUTO」のように「描き方」が必要か。

本作はそういった意味で彼の画でしか描くことができない内容だったとい思うし、他の誰が描いても100のインパクトは与えられないだろう。One and Onlyとはこのことだと思ったり。

そしてこれは雑誌媒体じゃ難しいよなあ。そこにあったのを一気に読むからこその衝撃のような気がするし、読み終えたあとの狐につままれたような感慨もある。不思議な読後体験ができます。
posted by すけきょう at 19:04| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月24日

異世界サムライ 斎藤勁吾(メディアファクトリー)

異世界サムライ 3 (MFC) [ 齋藤 勁吾 ] - 楽天ブックス
異世界サムライ 3 (MFC) [ 齋藤 勁吾 ] - 楽天ブックス
異世界転生ものもゲーが出るほどあって、あらゆるバリエーションが作られているゴールドラッシュの真っ只中で飽和通り越したと思ってるのに、その飽和の泡の中から新しい「なにか」が生まれてきているのがすごいです。

日本のサムライが異世界転生するなんてベタ中のベタかと思いつつ、まず、作画の鮮烈さに心を撃ち抜かれる。まあほれぼれと見とれるばかり画だね。1巻はほぼ画のイキオイにあっけにとられたまま読了だったな。

武士道を貫いてるという女性主人公。次にこれが効いてくる。ジャパニーズクレイジーブシドーです。武士として生きるために自ら顔に刀傷を作り、最後の稽古として父親と真剣試合をして父を殺し、関が原に死地を求めて乗り込むも、気絶してる間に合戦が終わり、辻斬りのよな真似をして腕自慢と果たし合いを100連勝し、仏門に帰依するも許しを請わず、ずっと敵を切り刻みたいと仏の前に祈るような、ハリウッドザコシショウのネタ的に誇張しすぎた武士なんですよね(あるいは戦国時代はそうだったのかもしれないが)。
そのキャラに異世界のひとびとは畏怖するのです。なぜなら、異世界はvs魔獣魔族という人類の天敵がいるのでひと同士で殺し合ってる場合じゃないのです。だから、人斬りに1mmも躊躇しない主人公はもう魔族くらい怖いのです。この設定よく考えてあるし、よく描けています。

しかし、異世界の作り込みも複雑にならなすぎるように苦心されてますが、なかなか複雑に積み上げられていきます。

余談。この作者ってことではないのだけど、異世界を描くのを好むひとはわりに「設定」を組み立てるのが好きじゃないかなあと。
もちろんこれまでの「有り物」に全乗っかりしているひとも多いし、それでおもしろいものが作ることができるなら問題はないんだけど、考えた設定を「全部描きたい」って欲は、創作、とくに異世界モノを描くひとに多いし、それを要求する読者(熱心な読者って層ね)も多いけど、危険だと思っております。

異世界のキャラも魔界のほうもいい感じです。
ジョーカーのような強さの主人公に負けてないキャラたちだし、これらの魅力はまた絵に返ってきます。
血なまぐさいがポップ。それでいて迫力も十分だし、それぞれオリジナリティがある。

最近のマンガのトレンドのテンポ(個人的にそう思ってるやつ)で速いですが、3巻でドカドカ新キャラ投入してテンポが落ちてきてるかな。それも今風ではあるけど、NOTFORMEではある。(これが前記の「危険」の要因)
個人的には新展開より新キャラ投入を慎重にしたほうがいいとは常々思ってます。おれがマンガのキャラでさえも人見知りする体質だからかもとは思いますが。

4巻ではそれらの新キャラが忘れられずにバシッとした活躍しますようにと。

異世界サムライ 3 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 3 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 2 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 2 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 1 (MFC) - 齋藤 勁吾
異世界サムライ 1 (MFC) - 齋藤 勁吾
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2024年03月23日

旅は愛いもの甘いもの ももしろ/三月トモコ(文藝春秋)

旅は愛いもの甘いもの 1 [ ももしろ ] - 楽天ブックス
旅は愛いもの甘いもの 1 [ ももしろ ] - 楽天ブックス

献本。
30の派遣社員。社員に二股で本命とちゃんとつきあうからって理由でフラレる。
そいで傷心旅行。そこで謎めいた年下イケメンと出会う。
旅先で出会い宿まで一緒で晩ごはんをいっしょに。そいで「時間があったら旅につきあってくれませんか」とお願いされる。男は小説家で彼女と行動をともにしたらネタになりそうだからってことで。

と、こういうシステムやパターンが出来上がってるのに、そのレールにあまり乗らねえなってのが1点。
やろうと思えば毎話読み切りのスタイルであちこちいって名所名物押さえて彼氏とキャッキャウフフかドキドキ要素入れて1パッケージにすることは可能だよね。
本作ではシステムになかなか入らずにそれぞれの事情や日常を取り入れつつ1巻では結局旅行は2箇所。
きちんとロケハンつけて背景もしっかり描写してるけど、それ以上に各キャラの身辺もえらいしっかり描写している。
そのほうがリアルだけどね。毎週週末にどこか旅行に行くのは大変だよな。

もう1点は主人公をふった二股男。彼の回想とか出演シーンが多い。これがまた合法クズというかひどいやつだけど断罪するほどじゃないギリをついてる絶妙ないやなやつ。後半はちゃんと嫌なやつになり逆に惜しいと思ったくらい。いやなやつだけど法的にはもちろんだしモラルや一般常識からも大きくは逸脱していない。でもいやなやつ。
彼を回想も今もしっかりと描写している。なんとなればそいつの今カノも描写している。そんな絡める理由があるのか?と。
タイトルの通りラブストーリーにかかっているからなんでしょうかね。それとも他書出して恐縮ですが「凪のお暇」みたいな感じにするのかしら?

作画の方のあとがきに出不精とあったけどそれっていいのかな?ともちょっと思いましたけど、孤独のグルメの谷口ジロー氏もモデルになった店には行ってないそうなんで問題はないのか。



旅は愛いもの甘いもの 1 (Seasons) - ももしろ, 三月トモコ
旅は愛いもの甘いもの 1 (Seasons) - ももしろ, 三月トモコ
posted by すけきょう at 13:33| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月22日

黒ギャルさんが来る! いつむ(ドラゴンコミックエイジ)


既巻4巻。
落ち込んでいるサラリーマン。黒ギャルが話しかける。落ち込んでるの?おっぱいさわってみる?ってオープニング。
その手の密着ギャグとか、エロハプニングありの、正当なギャルエロコメな感じだなと思ったら、巻がすすむにつれて普通にラブ要素が強くなっていくのがおもしろい。ラブコメのラブが進むとエロが引っ込むのね。そういわれてみればこの現象あるよね。
1巻で満員電車で密着してしまう。胸がギューってなる。サラリーマンがドギマギする。定番ネタですよね。ところが4巻になり恋してるって黒ギャルが意識してからの満員電車シチュでは耐えられなくなりドギマギするという。

ベタでマンガらしいリアリティの薄い(すなわち、こんなやつぁいねえよ!)、ちょっと昔ながらのラブコメ体裁ではあるのだけど、最初サラリーマン男だったのに、陽キャ100%でスタイル神なのに恋に対して免疫がなくて純情な黒ギャルさんのほうに心情をフォーカスして描写していくのが不思議だなと。(それもきっちり厳格にルールは決めてない緩さがこの作品には合ってる)

黒ギャルさんはツンデレがないキャラで、ツンはもともとないんだけど、デレも長く続かないのでどうなってても素に戻るのよね。そこがおもしろい。だから、サラリーマンを好きだと自覚しても紆余曲折は多少はあったけど変わらないのよね。その描き方が興味深い。まあ、そこらも含めてわりと適当説もある。
そうなんだよね、本作はいろいろ適当なんだと思う。本来ならないはずのサラリーマンとJKの接点はなにか?っていうと、住んでるところが近いから偶然よく会うってパターンが様式美になってる。田舎でも都会でもそんなよく会わねえだろって(だから学校ってシステムが便利なんだよね)。
ただ、それもまたよしと思わせるマンガ全体から漂う「愛嬌」のようなものでたいして気にはならないんだよね。なんか安心して誰にも感情移入したり入れ込まないでみてられるなあと。
黒ギャルさんはかわいいしな。それでいいじゃないって。

でただこうなるとサラリーマンがおもしろくないんだよな、マンガのキャラとして。たいてい、高嶺の花(JKってだけで、ギャルってだけで、巨乳ってだけで、高嶺の花になるのは現実でも虚構でも決まりになってます)から惚れられるってのはそれなりに「なにか」ないとダメってなってるじゃん。虚構のほうではとくに。それこそ、幼馴染、全方位に優しい、真面目、たまに男らしくて頼れる、一生懸命、一途、などなど。ここいらでいうと、真面目キャラではあるんだけどちょっと弱いかな。
だけど、真面目であるがゆえに、ちゃんと黒ギャルとおつきあいを考えてるのがおもしろいのでそこらへん5巻ではどうなるかって。
まあ、現実だと3年経つとJKって高嶺の花要素が1個なくなるし、JK時代からつきあって卒業したら結婚ってあることだからなあ。

昨今のラブコメの流行りであるセックスしてもつづくってのじゃないほうがこのマンガには合ってるなとは思う。



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2024年03月21日

おしかけ!爆乳ギャルハーレム性活 ひし形とまる (同人誌)成年コミック

「オタクに優しいギャルはいない!?」ってマンガがギャルの出てくるマンガで1番健全なマンガだと思ったのでその真逆のマンガってなんだろうなあと即頭にうかんだのがこれでした。真逆なので成年コミックになるのは致し方ないことなんです。



[オタクに優しいギャルはいない のりしろちゃん魚住さかな\(ゼノンコミックス\): ポトチャリコミック](http://sukekyo.seesaa.net/article/502730460.html)




追記あり
posted by すけきょう at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月20日

オタクに優しいギャルはいない⁉ のりしろちゃん魚住さかな(ゼノンコミックス)


タイパを考えると残り少ない人生正直になったほうがトクなのだがおれはギャルが好きだ。
エロいものもそうじゃないものもギャルものがけっこう割合を占めてきている。あんまり意図して読んでいたわけではないが結果そうなった。成年コミックなものはとくに偶然だが振り返ってみるとお気に入りはギャルモノが多い。

それはともかく,本作。
学校のミスコンテストに1位2位で選ばれるような美少女コンビ(ギャルものはコンビが多いね)がひょんなことからオタクに懐いてくるって夢マンガ。
BUT非常に健全。鬼健全。
でも、キャラ立てがうまいし、話が盤石で悪く言えばベタまであるけど構成がうまくてスキがなく、ベリーベリーピースフル。
なので飽きずにずっとみてられるのよね。

6巻は黒ギャルのほうとケーキ屋でバイト(白ギャルは接客無理だから)。クリスマスにオタクがギャル2人にプレゼントを買うために奮闘するという流れ。
ギャルマンガの鉄の掟で(あんまり例外はない)、カッコはエロ派手でサバサバ性格だけど実は恋愛耐性なくて純情でチョロい。
それは本作も踏襲。純情度はふたりともかなり高い。
エロでも全年齢でも胸元を見せたりパンツはざらにあるけど、本作はない。いっしょにお泊りしたり海やら祭りやら学園祭やら、行事行事でイチャコラしてるけどスーパー健全。

それでいて「おもしろさ」が保たれているのがすごくおもしろいんだよね。メイン3人も他キャラも丁寧に描いてるし、いい絡み具合で味が出ている。

主人公キャラもオタクで頭も良くないしスポーツもデキないしイケメンでもない。だけどこういうときは誰にでも優しいとかここぞってときに男気を見せるって定番のやつ。
ちょっと変わってるのは、ポケモンを元にしたようなモノのオタクで、白ギャルも隠れオタクで、そこが縁でつながっていくところかな。うまく話にからんできいきます。とくに学校外で徐々に接触が増えていく段階がうまい。しかも上げ止まりせずに6巻でもまだ展開している。

これ現実とちがうのは、ギャルでかわいかったらなにがどうあろうとつきまとうヤンキー男キャラが出ることだよな。本作はそこいらはさすがにご都合なところもあるけど、一応対策や事情もあってそこいらもちゃんと練っているよなあと感心。
ギャル=男女問わず人気者だけどオタクとうまくいい感じでいい夢を見ていられる。

つまりは丁寧なんだよなあ。原作が別にあるのももちろんだけど、作画も非常に丁寧で愛がある。





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2024年03月19日

ひょんなこと ネルノダイスキ アタシ社


ネルノダイスキ氏の3作目。
「ひょうひょう」「いえめぐり」ときて本作は300ページオーバーの大作。アタシ社から取り寄せて届いたのを封筒から出したとき「でかっ!重っ!」と思いましたよ。

【豪華特典付】ネルノダイスキ『ひょんなこと』 | 夫婦出版社アタシ社 WEB SHOP https://kamitoatashi.fashionstore.jp/items/80232578

いきなり「はなしは変わるけど」ですが、アタシ社から買うとほんと豪華特典付きなのでオススメですよ。「いえめぐり」の本書に収録されてない小冊子がついている。送料はかかるけどこっちのほうがオススメ。

また「はなしは変わるけど」。

300ページオーバーで14本の短編集。何度か読んでひらめいた。ネルノダイスキ氏の作品はミュージシャンのアルバムみたいだなと。
「ひょうひょう」はデビューアルバム。メタリックジャケット。業界震撼の歴史に残る1st。
「いえめぐり」は2ndアルバムにしてコンセプトアルバム。家を内見するというコンセプト・アルバム。星新一氏のノックの音から始まる連作短編集を連想。メジャー・デビュー感ある。
そして本作「ひょんなこと」は3ndにして驚愕の2枚組大作です。デビューアルバムのように短編集でありながらも「流れ」を感じさせる堂々としたゴージャスでおなかいっぱいになる読後感。それでいて代表作たる完成度も備わっている。

ひとり暮らしの主人公が仕事帰り豆腐と大根買ったけど、忘れてそのままにして寝てしまったら、翌朝、豆腐と大根がフュージョンして謎の生物が生まれるという「T&D」。ポップでキャッチーなオープニングナンバー。
続いて「NecoとTaco」。これがキラーチューンかしらね。シングルカット。疾走感がありつつもスケールが大きいキャッチーな作品。
以降も水木しげる&諸星大二郎みたいな不思議な世界の「きんき」、益虫の蜘蛛がエスカレートしてお手伝いさんみたいになる「夏の騒動」、迫力&インパクトの「M1」、ロードムービーな「鯰を助けた猫」、いつもの猫キャラ以外の「ガール・ミーツ・石」なんかは、アルバム内にゲストボーカルを招いた、Featuringってなノリですな。
そして「T&D」と同じひとり暮らしの主人公が帰宅してはじまるラストナンバー「MELTRIP」。本作を締めくくるにふさわしい壮大な作品。

充実した読み応え。相変わらずどうやって描いているのか想像もつかない絵。ページ単価もカロリーも非常に高い。安易に精緻ってのとちがうんだよな。いまや写真を取り込んでPCでちょいちょいと加工したら「精緻」はできるからな。1コマに大量の時間を費やして一本一本線を引いて描いているだろうなあと。

ネルノダイスキ作品で1番好きなのは全作「マンガ」なことです。マンガの定義もますますよくわからなくなっている昨今ですが、その中にあって堂々とマンガと言い切れるど真ん中を貫く王道のマンガ。しかも、ジャンルに幅があって、それなのに独自の味があって、完成度が高くて、おもしろい。

ペンネームのネルノダイスキのネルは寝ると練るにかかってるそうで。
なるほどどんな手間をかけて作ったのか、どう練ったのか、いつ寝たのか、想像もつかないものになっているなあと。
河原の土手が舞台によく登場しますが、斜面の草を1本づつ丁寧に描いているんですよね。フローリングの床の木目、電車の座席の線なんてのも描いてある。1本づつ。なんでもボールペンでフリーハンドで描いているって話ですが、ちょっと途方もなくて信じられません。
それがちゃんと真似のできない味につながっているのもまたすごいですし。

まだ今年も長いけど、2024年の1位って思っています。こういう各種の賞レースに合ってるような合ってないのかよくわからないところもまたおもしろいですね。本当唯一無二。こんな新しいのに電書でないのもまたおもしろくて唯一無二。
手元にあって良かったと思う1冊です。あなたにもそうであってほしいと思う1冊です。


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2024年03月18日

ニセモノの錬金術師 杉浦 次郎/うめ丸 KADOKAWA




Kindleに原作者による、ネーム版のようなものがある。正確には【ラフ版まとめ】。それをベースとした清書版(うめ丸作画版)というか。無料です。

前編:鏡の世界 ニセモノの錬金術師:第一部【ラフ版まとめ】 https://amzn.asia/d/hiQey4k #Amazon @Amazonより
中編:宇宙編 ニセモノの錬金術師:第一部【ラフ版まとめ】 https://amzn.asia/d/4MUAlRb #Amazon @Amazonより
後編:たいせつなもの ニセモノの錬金術師:第一部【ラフ版まとめ】 https://amzn.asia/d/6KvQ93Y #Amazon @Amazonより
(第一部とあるのは以降も続いてますし、外伝など派生作もおおくあるそうですが、清書版はさしあたり一部をコミカライズするということで)

ラフ版まとめは上中下ってあって、なんだ、たったの3巻かと思ったらトータルで1500ページ以上あって驚いた。
しかも、黒い。これは「見た目」のことで、シンプルにいっぱい文字が書いてある。

そいで清書版というかMFC版は、2巻までで、ラフ版まとめ上巻の半分くらいですね。

プリングルズくらい止まらなくなる先の読めない展開で、どうしたってラフまとめ版を読みたくなるし、読んでもいいんだけど、できればMFC版で読まれると本当に楽しむことができますよ。

ということで以降はMFC版準拠で語っていきます。

異世界に転生してきた青年パラケルススが奴隷商からふたりの奴隷を買いました。ひとりは褐色の少女ノラ。ひとりは手足がなく目耳口も切り取られてるエルフ。
パラケルススは転生時に神からチート能力を2つもらう。ひとつは天地万物のレシピ。小さいタブレットのようなものにこの世の全てのレシピを書き出すことができる。その通り材料を集めて作ればなんであろうと完璧なものを作ることができる。それでいろいろなものを作り売って生計を立てている。ただ怪しまれないように当たり障りのないものを作っている。これでタイトルは回収しましたね。
その助手として奴隷を買ったわけです。
ところがノラさんにもエルフにも秘密があり、もうひとつのギフトも秘密があった。この世界にも。

こんなあらすじ。ここまででMFC版だとラフ版1巻の60ページあたり。どんどん加速がついて目まぐるしい展開になっていきます。
読みたくなる以降のネタバラシをちらっとしようかな?
2巻のクライマックスに、パラケルススにギフトを与えた神が家に訪れます。なぜ?って思うでしょ。これがまた波乱万丈の予想外の出来事の末に到達するのです。

わりに性悪説のひとばかりの殺伐とした異世界において知恵と機転とノラさんとの絆で切り抜けていきます。そういう活劇異世界冒険劇です。ただ、パラケルススもノラさんも腕っぷしが弱いのでバトル大戦ということにはならないので余計にハラハラドキドキがあります。

特筆すべきはノラさんがとてもかわいいこと。褐色のやせっぽっちの少女なんですが、如才なく慎重に大胆にパラケルススを助けます。それでいてツンデレで、パラケルススを叱咤激励しつつもあふれんばかりの愛情で、共に難敵との戦いを切り抜けていきます。
MFC版をおすすめする大きな理由はノラさんのかわいさを堪能してほしいからです。ラフでもカワイイんですけど、せめて1巻くらいは先に清書版(うめ丸作画版)のノラさんを堪能してほしいです。

あと正直に。
HUNTER×HUNTERなおもしろさだよなと。設定と理屈と謀略と世界観と。コマから文字があふれるタイプ。詰将棋的な。
GI編がずっと続く感じといえば。そういうの大好物のひとは最高OF最高です。おれは実はそうでもないです。くだんのGI編も流し読みしてました。
ただしおもしろかった。すべては「おもしろい」に使役すべき派なんだけど、本作の絵面が黒くなるほどの設定や説明はおもしろいを阻害することはないです。



https://blog.with2.net/link/?id=2114775
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2024年03月11日

ウィッチウォッチ 篠原健太 (集英社)



神が作り給うた作品ってあるじゃない。
たとえば、ビートルズ。4人がギターやベースを演奏して録音して作ったのではなく、「ハイ」って天から指さしたら煙がボワンとしてもうそれはそこにある感じでCD屋の棚に収まっている。
そんな感じしない?もうあたりまえみたいによくできていて完璧で「そういうもの」としてそこに収まっている。

本作がそうだというと、大げさだし風呂敷が大きすぎるけど、最新刊の展開がすごすぎて、というか、全ての収まりが良すぎて、ひとりのマンガ家が考えたというより、実際にあったことをマンガに書き起こしただけじゃないのか?って思ったりするくらい良くできてる。まさに人智を超えたという。

魔女のニコ。千年に一度といわれる魔女で、1年以内に災厄が訪れる彼女のお守りとして代々鬼が引き継ぐ。それが幼馴染の守仁。ひとつ屋根の下に住むことになったと思ったら天狗、吸血鬼、狼男と増えて、結局シェアハウスみたいなことになる。
その設定の割に基本はギャグマンガでおもしろおかしく(声出して笑うレベルでガチのギャグマンガ)アハハと笑っていると油断した瞬間にシリアス回をぶっこんで篠原流の緊張と緩和するわーとなりながら、最終決戦がありうそうだと匂わせた10巻から、いよいよバトルが13巻ではじまり、決着がついたのが15巻。

ギャグもキレキレだがシリアスも超一級で迫力の画力に各キャラを活かしてきっちり見せ場に活躍させておき、状況も舞台もコロコロも変わりつつ、なお、ジャンプ王道バトルでバシッと決めた。
うわ、すげえ!って思う以外ない。

そして、次???

「次」がはじまった。最終決戦のあとの「次」。こんな展開考えつくか?しかも、いま、上記が何巻からはじまったかざっと読み返したら6巻にすでに伏線があった。そして次。15巻後半の展開が驚愕すぎる。

これなにがいいって収まりの良さこそは驚異的だけど、ギャグマンガにはおなじみの展開ではあるんだよね(ジャンプの有名作品でもある。ひょっとしたらそれのおまーじゅかもしれない)。そして、あれだけド級のバトルのあとにギャグ展開なんだよな。それもまたきっちりおもしろい。

なんだこの漏れのない淀みのない完璧な流れ。1話からこうなる予定でしたよとのばかりの流れ。
神が作ったのかわからないけども、そういうことを考えたのです。
ただ、前記のビートルズにせよ、正規のアルバム以外のいろいろな音源を聴くと試行錯誤の過程がわかります。本作もそうです。14巻には1話分のネーム、設計図みたいなものが掲載されていました。
これは神様が作ったものじゃなくて、作者が書いていると。

そこがすごいのです。

ただ、15巻で終わるはずが、アニメ化が決まったとかで「もうちょっとだけつづくんじゃぞい」ってことになるのかもなあとか。

YouTubeにはボイスコミックって声優が声を当てて展開するのがあるからもう各キャラの声は決まっているようなもんだしな。

(98) 【コント】(CV:小松未可子、松岡禎丞、福島潤、花守ゆみり)カンシの10倍速生活〜前篇〜【ウィッチウォッチ/ボイスコミック】 - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=wByHXRfWu-Q
posted by すけきょう at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする