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世界初(?)のピンボールラブコメ!!
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・高校卒業を機に告白しました。彼女は意外にもOKしました。でも条件をだしてきました。ピンボールのハイスコアを塗り替えること。そうして彼はピンボールをはじめるのです。
・というあらすじより、1ページ目にあるカギカッコの単語2個。これがこの物語のすべてですよ。
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「普通」「変化」
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・主人公は「普通」から「変化」を試みた。その結果記録が1冊のマンガになったわけです。「ピンボール」も「彼女」も「ラブコメ」もとっぱらってみよう。
・彼の思惑では、彼女に「告白」するという意味で「変化」でした。フラれようと、受け入れられようと、それは「変化」です。
・ところが、彼女によって、ちがう「変化」になりました。それが「ピンボール」ですね。
「ピンボール」は代替可能です。なんでもいいと思います。なんでも物語の構造上は成立します。
・すなわち、「なにかにがむしゃらに打ち込んでみる」。彼の場合、それがピンボールだったのです。情熱をかたむける対象が非人間というのがミソなんですね。
「普通(の彼)」と「対象にがむしゃらに打ち込む」の化学反応の観察記録です。そう、化学反応ですね。
・さて、本作と前作「ラブロマ」は導入部がいっしょだったりします。「告白」からはじまっています。そして、受け入れられたのが「ラブロマ」です。
「ラブロマ」の場合、男と女の化学反応の観察記録だったわけです。
・だから作者は「それ」ができたんですよ。つまり、「ラブロマ」の2人とはちがう2人を作ってまた化学反応させると、また「ラブロマ」的なヒットや流れは見込めたはずです。
・それは本作の設定でもできたはずです。本作のあらすじをそのまま使い、オビにあるコピーどおりの「世界初(?)のピンボールラブコメ!!」にもできたはずです。
・本作が1巻で終わりというのは、悪意をもってみるとしたらそういうことにもとれます。ピンボールのところはともかくラブコメ分は少なすぎると思います。
・男と女の化学反応は永遠不滅におもしろい最高の旨味です。ありとあらゆる人が歴史がはじまってから延々と飽きもせず男と女が化学反応する話を作ってます。
・だけど、本作、対象は彼女ではありません。むしろ彼女を忘れることを至高としてます。
・淡々とピンボールのハイスコアを目指していると、音が聞こえなくなり、ピンボールと自分だけの世界が現れてきます。はい116pのみひらきですね。本作最大の見せ場です。彼女の「ステキですよ」の声援すら耳に届いてないのです。
・たかがゲーム、たかがピンボール、その「たかが」をココロの底から楽しむ尊さすばらしさをきっちり描いてます。
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本気でやってる
人間は それだけで
人を魅きつける
んです!!
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・すばらしいメッセージをいただきました。なんかいろいろがんばろうと思いました。
・それはそれとして、ピンボールとの「バトル」シーンの迫力もスゴイと思ったよ。前作より、絵のキレは増してるよね。
・これを2作目に1巻完結で出す作者がなによりスゴイ。それに震えたね。作者、とよ田みのる氏にはこれからも楽しませてもらえるって。大流行のギャグでいうと「まちがいない」。
オススメ
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