・その内容のほとんどは忘却の彼方であるが、ZERRY藤尾氏を知ったことは、その雑誌の最大の収穫であったし、唯一に近い記憶だ。
・たしか「天才現れる」なんてありました。もちろんそれ以降ファンですよ。新装版以外は持ってると思います。少年サンデーで連載していたギャグマンガを同人でだしたやつも持ってます。全部天才の作品と思います。
・今Googleデスクトップで軽く調べたら、けっこうな作品の感想を前のサイトで書いてましたよ。そうとう「お熱」だったのがそこからもわかる。
・そのZERRY氏の変名が本作。非成年コミックです。
・少年リントとユカイな仲間が織りなす日常マンガです。宇宙人とか山の神とか腐れオタクの兄とかオッパイが大きいお姉さんとかも出るよ!
・さて、三つ子の魂なんちゃらといいますが、ZERRY氏の芸風は本作でもいかんなく発揮されていると思います。
「すかし」
・格闘ゲームなんかの用語になりますかね。敵の攻撃をバックステップなどでかわすことを「すかす」なんていいます。そのニュアンスです。
・1話。リントが息を切らして山頂にたどり着くファーストシーン。
・3ページかけてたどり着いて、元気な少年が活躍するマンガかと思いきや、トモダチは電動自転車でスイっとくる。そしてさらに別のトモダチはタクシーでくる。
・そいでとどめにヒロインキャラが、リントの兄の運転でバイクの2ケツでくる。
・で、ここでキャラがそろって少年たちの冒険がはじまるのかと思うと、画面が変わり、バイクとタクシーの峠バトルがはじまる。
・なんじゃそりゃと思ってたら、少年たちにフォーカスが合う。合ったかと思ったら、超でかいクルミが転がっていて、「なんだこりゃ」と思うもスルーしてしまう。その後、また兄のほうにフォーカスが合ったりする。峠バトルをしたタクシー運ちゃんとの友情が芽生えている。
・かようにスカしてスカしてスカしまくるわけですよ。実際問題、以降の話も主人公よりまわりが発言し、行動し、活躍してます。
・そのスカしのパターンで、公園に宇宙人がいたり、山の神がふいっと少年たちの前に現れたり、「妖怪ハンター」のヒトがきたりするわけです。
・マンガ内のすべてがスカされます。物語を正面から進行させているのも当然スカしております。でも、横道に流れまくるのもスカしているので、じわっと本道のストーリーも進行したりします。それでアンチクライマックスのままそれでも少しづつじわじわと物語が進行します。このパターンは実は最近の主流なのかもしれません。たとえば「かんなぎ」とかもそうだし。
・ただ、本作、そのスカし具合がすべてを破壊してるくらいにインパクトがあるのです。
・そして破壊してそうでその実、きっちり押さえるところは押さえていて大まかなストーリーは進行していっているんですが、その大まかなストーリーもどこまで進行するかはわからないのがZERRYマジックというか。天才というか。だいたいのマンガはスカすことがその後の本編を際立たせる引き立て役のためなんだけど、それすら飲み込むくらいスカしてますからね。
・だから、先がどうなるのかまったくわからない。
・すべてがスカした後にそこにあるのが「日常」というのはすごく興味深い現象だね。宇宙人の少女も、腐れオタクの兄も、山の神も、みんな日常として認識され溶け込んでいく。
・藤子不二雄氏を筆頭とするキャラが居候する話は「日常」だよ。
・そこいら顕著なのは、のび太のママの「ドラちゃん」という愛称な。あの青いおかしなものは家族の一員として日常にとけ込んでいるわけです。それがどこであれ、いつであれ、あんなものが動いてしゃべっていたら絶対にビックリするぞ。屋根でメスネコと愛を語らっていたら恐怖だよ。
・でも、彼はそこにいるし、普通に道を歩いているし、のび太のママにときおり買い物をたのまれたり、のび太の同級生の入浴シーンをのび太といっしょにヤニさがった顔して眺めていたりするのです。
・本作は居候マンガのそういういつの間にか「日常」というのもすかしているのです。まったくすべてのものに反発してるので、ラピュタのように浮かんでいるのです。
・すなわちこれ天才の所業。
・TAGRO氏や小田扉氏とかスキな方はとくにお試しください。
オススメ
BONUS TRACKです。
前記のZERRY藤尾作品への文を集めてみました。
Google デスクトップのおかげです。
あえて校正抜きで。アフィはつけるけど!
「なかよし」
・ぐあ!天才ZERRY藤尾氏の最新作でやんすよ。そら、オシャレなファッションビル内の本屋で、店員が推定20代前半のねーちゃんで、ボーズアタマのトッツアンボウヤ状態でもイケイケゴーゴーだよ。ちなみに、昔、TOGでレビューしたこともあり。あ、また、念のためいっておくけど「成年コミック」な。
・ちなみに、前作前々作はタイトルが、「FUN!FUN!FUN!」で「SMILE」だ。このタイトルでピンときた人はエライが、実はビーチボーイズのアルバムタイトルなんだよ。そいで、今度が「なかよし」だ。ふーん、王様風に直訳で来たのかな?それとも飽きた?ちなみに、「フレンズ」というアルバムはある。「パッシング・バイ」ぐらいかな、無理に有名な曲をひねりだすと。
・本書に話を戻すと、前作前々作よりは多少落ちる。ギミックがルーティンになっている感じ。
・イキオイで読ませる「必ズ殺スマン」(あ、言い忘れたけど短編集よ)、「発作」、「セイギノミカタ」。天才の余裕で作ったような叙情モノ「家に帰る道」などがいいかな。ベストは「必ズ殺スマン」。スバラシイっすよ。これだけでもなんとかがんばって読んでみてくれ。
[Amazon.co.jp: なかよし (カルト・コミックス): ZERRY 藤尾: 本]
「ひまわり」ZERRY藤尾(笹倉出版)成
・買ったのけっこう前だし、読んだもやや前なんだけど、取り上げるの忘れてました。9月から未読がいっこうに減らないのはどうした現象か?
・最新作品集。また、ビーチボーイズアルバムタイトルに戻ったのね。っていうか、前作「扉をコジ開けて」は特別だったのね。今回は「サンフラワー」っすね。今回今までで一番買いにくい表紙です。ジャケだけだとロリ系かと思うような感じ。
・これまでの作品集同様完成度は高い。ただ、これまでのとのちがいは、幕の内的ななんでもありってのから、得意なパターンの純度をより高める方式に切り替わったような。ニーズに応えているというかね。
・ハイテンションなヒーローがむちゃくちゃする「ラブラブバスター中村!」。
・じじいが公園のベンチに座りエロエロ鬼畜な妄想にふけっている(回顧してる?)「我が人生に悔い無し」。読み終えた後、ああ、タイトルに偽り無しと納得する。
・個人的には大好きな、小学生の男子女子がエロ場面をのぞき見してぎくしゃくする「ご近所探検隊」。
・「バンディッドQ」をホーフツする神様がオチをあんまりなものにする「悪魔ッ娘」。
・これもアホらしくて好きだなあ、クルマの精と自縛霊との闘いと、エロエロが動じ展開する「10A」
・ショートショートな味わいの「赤い糸」「エイリアン交差点」「黄金の七厘」
・ここでギャグ入れるかー!の「Beautiful Boy」。
・ラストの余韻が深い「地には平和を」
・で、ボーナストラック。という布陣です。思わずみんな紹介してしまいました。やっぱりZERRY藤尾はいいね。エロシーンもエロくなってきたしねー。(2001/10/20)
[Amazon.co.jp: ひまわり (カルト・コミックス): ZERRY藤尾: 本]
「扉をコジあけて」ZERRY藤尾(笠倉出版)成
・「fun,fun,fun」で「SMILE」で「なかよし(フレンズ)」とビーチボーイズアルバムつながりできてたのに、ここにきて止まったねえの、天才ZERRY藤尾氏の最新作は、長編大作だ。
・テーマは「調教」(またかよ)だ。生徒会長の村松が、生徒会副会長の菱見さんをあの手この手でいたぶって、みごとな調教女の出来上がりといった長編大作。あ、成年コミックですよ奥さん。遅いっすね。
・特筆すべきは、真っ正面にエロに向き合っていることだな。今までの作品はどこかスカしたエロだった。それはたとえば、体調20mの水着女性が海から上陸してアヘアヘするとか、なにか+エロで、その「なにか」のほうが天才だったワケなんすよ。で、その「なにか」をもエロにしたのが本作なワケです。つまり、エロ+エロってワケなんすね。だから、エロいす。表紙も、そういわれてみれば、はじめて内容と関連があるものです。
・そして、恐ろしいことはエロと、これまでのZERRY藤尾風味がちゃんと同居していることですね。これはスゴイことです。ラストとあとがきがわりの小説まで含めて、非常に「らしい」です。そして「いやらしい」のですよ。
・そう、いやらしいといえば、絵柄も変わりましたね。前のどっかで見たことあるようなステレオタイプなやつからの逸脱を試みている感じです。まだ、完成形ではないような気もしますが。
・タイトルもそういわれれば意味がありますね。村松が菱見さんの扉をコジあけるという話しなのですね。いいすよ。オススメ。買いにくいけど、ガマンして買う価値はある。(2000/09/27)
[Amazon.co.jp: 扉をコジあけて (晋遊舎コミックス): ZERRY藤尾: 本]
「定本焼肉定食+α」山田X
・えー、成年コミック界の鬼才(こういう定型句はラクでええな)ZERRY藤尾氏がサンデー系の雑誌に連載していたショートギャグを1冊にしたもの。つーことでエロはなし(サービスカット的なものは多いけど)。そいでもって、商業誌連載モノってことで、同人誌にありがちなウチワなマニアな手抜きなってのもない。これはラッキー。とはいえ1500円ってのはちょっと。同人誌は高いくせに薄い(すべてにわたり)からイヤや。
・内容は4文字単語の後、コマのギャグという、はて?どこかでみたようなカタチ…って、「花鳥風月紆余曲折/佐佐木勝彦」じゃねーか!ま、ネタも方向性もちがうけどね。ただ、タイトルのあとゴニョゴニョ書くのは「傷だらけの天使/喜国雅彦」やね。ま、「X−ペケー/新井理恵」もやってるか。
・同人誌だけに気軽にオススメもできんけど、まー、ZERRY藤尾って名前は覚えておきましょう。(2000/08/28)
このたび漫画に関するブログを立ち上げましたので、
よろしければ遊びにいらしてください。
好きなマンガは少年漫画〜青年向けコミックまで幅広いので、
自分が気に入った作品はどんどん取り上げていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
サラリーマンのおすすめ漫画レビュー
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