「ジャンプ」といえば、有名な「友情・努力・勝利」ですよね。この3要素を入れるってやつ。
・本作がおもしろいのは、この「勝利」が入っているところだと思うのですよ。
・マンガ家を目指すマンガは前記の「まんが道」をはじめとしてたくさんあります。
・それらと本作の1番のちがいは「勝利」があることです。
・話を作る男が、絵が上手いけど、マンガを描きたがらない主人公に手を組もうと誘うところから物語ははじまります。
・彼は叔父がマンガ家で多少の成功を収めつつも自殺のようなカタチで死んだことにビビっております。
・それを説得させるために「勝利」を持ち込むのです。
・ここでちょいと「友情・努力・勝利」について説明。
・少年ジャンプにおける人気が出るための3要素なんていわれておりまして、これらを盛り込むとマンガが売れるなんてね。
・この3つはマンガの構成でよくいわれる「起承転結」にあてはめることができると思います。
・友情は「起」です。友と出会うことで物語がはじまります。
「承」は、努力です。友情を高めつつ努力をします。
・そして、勝利はというと、「結」になるのです。結というより「ゴール」といいかえたほうがわかりやすいかな。友情をはぐんで努力して勝利する。それをゴールとして全てを進行させる。キレイな流れです。
「転」に関してはマンガによって様々なものがあてはめられますが、「結」へと導く前の盛り上げというところです。
・本作は「マンガ家になる」という漠然としたものではなくかなりガッチリした「ゴール」が設定されているのが画期的です。しかも、1話目でそれは提示されてます。
・1話目だし、多少のネタバレになるかと思いますが書きます。
・主人公は同じクラスのスキな女の子に告白します。女の子は声優志望です。そして、お互いに約束するのですよ。
・主人公らは自分のマンガをアニメ化すること。女の子は声優になってその作品に出演すること。
・声優になるのは早いうちからなれることが多いけど、マンガ家が自分の作品がアニメ化するのは並大抵のことじゃない。そして、早くアニメ化しないと、彼女は男のイケメン声優に食われて心変わりしてしまうから急がないと!
・これがゴールです。
・マンガにとってのゴールがアニメ化というのには、いろいろとイヤミな感じが漂いますが、そこにラブや期限をかませると話は別になります。
・すごく鮮やかで上手い着地点だし、主人公へのモチベーションが続くゴールと思いますよ。
・それはそもそも「マンガ家になる」という目標がすごく曖昧としてるから余計にそう感じるのです。
・WEBでアップしても、同人誌でだしても、月刊雑誌にカットが載っても、それぞれ「マンガ家」を名乗ることはできるわけでね。
・だからいわば勝ち組の「マンガ家」としての明確なルールを提示しているともいえるのです。アニメ化したらマンガ家として勝ちって。これが原作も作画も双方達成しているからね。
・とにもかくにも、この設定だけでおれにはバッチリだよ。しかも、それをあの「ジャンプ」でやるってのがスゴイ。というか、逆に「ジャンプ」でやる「まんが道」としては、これくらいかまさないと成立しないのかなと。
・と、1話目だけで相当にしびれたのです。
・2話目以降は、おれが途中で挫折した「デスノート」ばりの、展開せずに話ししてばかりでだらだら進む病にかかりそうになってるのと、「デスノート」のときはあまり感じませんでしたが、彼らがイマドキの中学生に思えないところとか(とくにセリフまわし)がやや心配ですが、彼女の母親が出てきたりとか、意外なところに転ぶのと、おれが大好きな「マンガ」が題材なのでいけます。
・引き合いにだした「デスノート」に比べると、「デスノート」という新しい「ルール」を1から説明していたのに比べると、今回は「1から」が少ない分たいそうスムーズです。
・1巻では主人公らの打ち合わせ(会話)が多いですが、彼らはちゃんと「努力」してもいますね。
・あと作画の小畑氏もいよいよすげえな。個人的には「ヒカルの碁」のころのほうがスキでしたが。
・中3の絵の天才が「これじゃまだダメだ」と自らダメ出しする絵。
・死んだ叔父の「あまり上手くない」とされているプロの絵。
・同い年で「負けた」といわしめる「ジャンプ」に入選した絵。
・これらを描き分けるの並大抵のことじゃないぞ。つまり単に「美麗」オンリーじゃないってことです。
・こういう意味のある描き分けができるヒトが真に絵が上手いっていいえるヒトじゃないかなと。
・2巻も楽しみです。
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参照(「バクマン。」に「。」がついている理由か?)
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