ということでオビにビックリマークが3つもつくわけですよ。
The Princess OF The Hell
・これが海外版のタイトルというか、表紙にあります。すなわち、「地獄のお姫様」で、「ぢごぷり」ですね。
・18歳で母親になり、子育てをしている双子の姉妹の話です。くわしいことはおいおい明かされるようになってます。1巻では少しわかります。並列展開していくようです。
・ポイントはおっぱいにあり。
・本作、「げんしけん」と比較しても明らかに「あっち」によっている絵柄です。
・赤髪の少女が母親で、双子の妹はゴスロリファッションで青髪。そして、双方目は青色。
・かなりの「萌え」色の強いキャラ描画にありますが、「地獄のお姫様」だけは「こっち」なんですよ。
・そしておっぱいです。
・月亭可朝氏の「嘆きのボイン」という昭和のヒット曲があります。
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「ボインはぁ〜赤ちゃんが吸うためにあるんやでぇ〜、お父ちゃんのもんとちがうのんやでぇ〜」
嘆きのボイン 月亭可朝 歌詞情報 - goo 音楽
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・そう彼女がマンガ上で最初に披露するボインははっていて静脈が浮き出ています。そして乳首の先に母乳が出ています。
・そして、披露した2コマ目にはもう「お姫様」がそれを「本来」の目的として使用しています。
・さらに、双子の妹が出産により大きくなったおっぱいをうらやましがります。
・この2つの視点で、何度もおっぱいは登場します。ほぼ毎回くらい。毎回、その2つの視点を用意してあるわけです。それこそ、上記の「嘆きのボイン」といっしょですね。子どものために、お父さんのために、ボインは機能します。
・この場合の「お父さん」は読者のあなたです。
・夜なくお姫様のために食料としてのおっぱい。妹が味見するおっぱいと、同じおっぱいが2通りの視点で存在するわけです。そう妹はそういった意味じゃすごく「お父さん」の代理になっております。
・そして、ファーストおっぱいの静脈のはった、母乳がフライングしているサマは、地獄のお姫様が、双子姉妹を地獄へと引き入れるための暗示ではあるわけです。
「あっち」側の2人が、おっぱいを皮切りに、どんどんと「こっち」側にひきずりこまれていきます。
・夜でも昼でもおかまいなく泣く。そのたびにおっぱいをあげ、オムツを取替え、体調の変化に一喜一憂する。まあ、体感では一喜1000憂くらいでしょうがね。
・そいで、地獄は、彼女らの顔を変えてます。物理的に変わってるのは、意図的なものか、作画がこなれているのか、わかりませんが、描きこんである目の下のクマは、彼女らのファーストシーンの目の大きさを半分にしてますよ。
・そうなんですよ。お気づきでしょうか。「地獄」とは、「こっち」とは、現実社会のことだったのです。今、あなたのいる世界です。ぼくらは生まれながらに地獄にいたわけです。そしてクソにまみれながらはいつくばって生きているんです。
・そんな中での希望はおっぱいです。いや真剣に。こういうツライツライマンガを読ませるモチベーションになっているのはおっぱいだったりします。
・どんなときでもおっぱいはおっぱいです。いいものです。そういうことが逆説的に浮かび上がってくるのです。
・お姫様にはエサが出てくる袋にしかみえないものも、双子の妹視線や、ボクらの卓越した「おっぱEYE」によって、「いいもの」に昇華されるのです。
・また、このリアルと虚構の架け橋たるおっぱい描画がすばらしいと思います。
・不自然に大きくて丸いという「あっち」側の描写になってますが、「あっち」のおっぱいなのに、お姫様に強引に「こっち」のものにされているって感じがすごくこうリアルな非リアルって感じでいいんですよ。夢があるというか、あ、そういや、お姫様の名前は夢子だね。
・女性にはどう映るか知りません。というか、あえて軽視されているようにお見受けしてます。女性にはまだ生ぬるいかもしれませんし、逆に大げさかもしれませんし、蔑視的かもしれません。
・ひいき目にみても女性読者の介入する余地がないとは思います。だから、万年ネタ切れの邦画はまちがっても本作を実写映画化しようとか思わないほうがいいぞ。絶対にどこかからブーイングがくるはずだろうし。
・つまり、すごくざっくりまとめると、童貞に母乳フェチの属性をつけようとしているマンガじゃないかなと。
・確信してますが、これで母乳にヘンな感情を持つことになる男子は少なくない数いるでしょう。すごく正直に書くと、読み返すとおれもクチの中に母乳の味を思い出したりしますし。
・そう、最初にことわったほうがよかったでしょうが、おれはここいらをいちおう「あがり」ました。いちおう「通り」ました。
・1巻での最初の地獄のときは奥さん実家だったからいませんでしたが、そのあとはけっこう地獄をみましたので、姉妹どっちの立場も、「薄く」ですが理解できます。ま、ここいらは無責任に思われるかもしれませんがしゃあねえよな。ひどいことをした記憶もあり、いまさらのように反省したりもします。
・そういうツライ思い出を蘇らせるマンガだけど、それでもおっぱいに救われるわけです。まったくもっておっぱいは偉大ですね。
・そして、カバーめくったおまけが木尾士目氏の本質なのかもしれないよなあ。本編読んでからめくられるとおもしろいかと存じます。たぶん、このオマケがここの文章を裏打ちしてくれていると思うんだよな。
・本作、このあとどうなるかわかりませんし(あとがきでもそうかかれてますし)、木尾士目氏の後世の評価がどうなるかわかりませんけど、「げんしけん」で一発当てたあとの「野心作」ってあたりに落ち着きそうだとは思います。
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