「ハチミツとクローバー」の作者の将棋マンガです。おれは「ハチクロ」読んでませんし、アニメも映画もドラマもわかりません。メガネの男が憎たらしいって情報を巡回しているブログでチラリとみたくらいかな。それが誰かはもちろんわかりません。
・いつか読んでやろうと思っていたら完結してしまい、じゃあってんでタイミングがあった本書を手にとったのです。
・これが1巻と2巻読んだ感想はあんまりいいものではありませんでした。なんだろう、メリはあるけどハリがない、コシはあるけどキレがないって感じでしたか。今となっては「過去」の感想なのでだいぶ忘れてしまいましたが。
・キャラクターは魅力的ですが、ストーリーを牽引するものとそのひっぱった先の目的地がイマイチみえないので、おもしろいんだけど、なんだかふわふわもやもやしてるなあと思ったのです。1話1話もいつの間にかはじまって終わってって感じで、なんだかキツネにつままれたような感じも記憶しております。
・それはそれでいいのかなと思い、1巻2巻と買っては、猫がカワイーとか、あんなかわいらしい絵なのにあちこちエロスだなあと思ったりして読んでいたのです。3巻もそれまでと同じだろうに「おれには」ガンときたのです。そうなると1巻と2巻も急につながり評価が高まりはじめるのです。圏外から赤マル急上昇状態になるわけです。
・ときおりそういう現象が起こります。逆は非常によくあります。1巻がおもしろくて2巻3巻とガックシっての。
・もちろん3巻までずっと買って読み続けていたわけだし、ある程度のおもしろさはおれ内にあったのはまちがいないのですが、これまでの感想をひっくり返して、「超おもしれー!」と窓を開けて田んぼに向かって叫びたくなるようなコーフンを覚えたのは久しぶりです。
・将棋の対戦がガーンときました。これが呼び水になったことはまちがいありません。
・主人公は史上最年少現役中学生でプロ棋士になりました。家も出て、自分には将棋(で勝ち進む)しかないとまわりを遮断気味に将棋にまい進しておりました。そして宿敵に挑む機会にたどり着きましたが、その前のノーチェックの棋士に「アタマをかち割られる」ワケです。
・そこいらの流れにずーっとココロが震えまくりです。身体のどこかにマナーモードにしたケータイをいれてそれがずっと鳴っているのかと思うくらいジーンときているわけですね。
・遮断気味の主人公がまわりの「おせっかい」に徐々にココロを開いていくのもステキなんですね。いろいろな意味で「井の中の蛙」が井戸から這い出てくるんですよ。この成長の過程がとてもラブなんですよ。
・日本語でいうと「情」でしょうかね。
参照: [3月のライオンの舞台へ 六月町編 - hachimitu blog]
・舞台が東京の下町をベースにしているのも「情」が健在というところがあるからなんでしょうね。
・主人公がまたプロ級の「かわいがられ」で、美人3姉妹やら、担任の先生やら、将棋のライバルやらに、たっぷりとかわいがられてます。「うらやましい」という感情もあるんだけど、ああ、これならおれもかわいがるよなあと思わせるような魔性っぷりも実は奥に潜めているのだと思います。
・こう、主人公の境遇を「かわいそう」と思うからかわいがるんじゃなくて、もうかわいがらずにいられないなにかを秘めているような。ホストクラブにいくとNo.1にはなれないけど、No.3あたりをずーっとキープしそうな感じがあるよね。
・さ、恒例の「ちょっとなにいってるかわからない」状態になってきてますのでそろそろ切り上げます。
・こういうこともあるので、マンガを連載途中で見切るのはmottainaiと思うのですよね。まあ、割合でいうとすごく少ないですが。
オススメ
・機会をみつけて「ハチクロ」もガーンといってみようかしらと画策中です。
・あ、あと、「ヒカルの碁」などと同様、将棋のルールわからなくても大丈夫でありながらも将棋コラムありってことになってますが、まあ、おれには将棋あんまりカンケイのないマンガではあるね。囲碁でもチェスでもペタンクでもおもしろさはいっしょだとは思う。
[ペタンク - Wikipedia]
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