2010年07月09日

マンガ2巻読破〜「このこここのこ」、「カンペキな彼女」、「マコちゃん絵日記」

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・先日、「お試し」ということで、イレギュラーで買ってみた1巻がおもしろくて、次の日、あわてて2巻を買い求めて読んだところ「あれ?」ということが2回続きました。

前提として。
・この2冊は「おもしろい」です。タイトルのネタ元であるところの「マンガ一巻読破」のノリでいうなら、3巻はまちがいなく発売日に買います。ただ、だからこそ、1巻と2巻との落差が気になったワケです。
(参照: [マンガ一巻読破])
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「このこここのこ」
・突然親が再婚することになる。そしてソッコーで夫婦で海外赴任してしまう(2人きりでイチャイチャしたいから)。かくして5人の子供たちが残されて「家族」するために模索するという話。
・1巻では、ドタバタをまじえ、波乱また波乱とテンポよく展開していきます。
「引き」が上手いんですよね。

・1巻1話目、親に一泡吹かされたことを知り、「仕方ない」ということでドタバタと荷造りを終え、ひといきついたところ、主人公(男子高校生)が、無造作に開けたドアの先には着替えしてた同級生女子がいるというお約束。主人公はあやまり女子も受け入れて許してくれる。自分の部屋で和気あいあいとしたあと、「おやすみ」と出て行く。主人公がいいわすれたことがあり追いかけるようにドアを開けると、部屋に向かいファックユーのポーズをしていた女子が。で、「いい機会だわ。もっとお話しましょ」と再び部屋に2人きりになる。そして終わる。

・1巻の終わりには、女子がはいろうとしていた「家政部」になぜか主人公がいて(2人が姉弟ということは学校ではないしょになってる)、なおかつ、チャラ男に告られて終わるという。

・そして問題の2巻は、いきなり家政部の面々を軸にキャラがすごく増えて、おれは置いていかれ気味になり、なおかつ、そのキャラたちを使って「遊び」はじめるという、んまあ、こういう書き方すると偏見になるかもしれないですが、女性作家に多い、キャラ大増量&大活躍祭りがはじまるんですよね。
・もう2巻にして、キャラ人気投票ができるイキオイです。

・じっくり読みとくと考えぬかれておるのですが、おれは距離をもってしまったんですよね。
・1巻では、主人公の「家族」をていねいに描写しており、学校のクラスメイトなどは必要最小限にとどめておいたのが功を奏していたし、末っ子の小学生女子の病気イベントにうまい具合に各キャラの立ち位置を描いたおかげでキャラはすんなり把握できたし、なおかつ、基本ベースは主人公と同級生女子とのやりとりでしたから楽しむことができました。

・そのいい流れが2巻の1話目からけっこうグズグズになったように思いました。きちんと設定して、描き分けもできてますので、実は見失ってないし、キライなキャラもいないのですが、ドヤドヤとたくさん現れたために、おれの中の人見知りが「イヤだこわい」ってなったのかなと思うんですよね。
・2巻ラストの運動会は、作者の遊びすぎなところが気になるというか。ここまでで各キャラにハマった方にはサイコーだったとは思いますけどさ。応援合戦で各キャラのコスプレがみられたりとかな。それにやや鼻白んでいたので、運動会の活躍で主人公にときめく姉なんてシーンも、ちょっとでした。

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「カンペキな彼女」
[コミックハイ!公式サイト 》 WEBコミック]
・本作はWEBコミックで、1話と単行本未収録分を読むことが可能です。

・容姿端麗、学業優秀、性格温厚の、各学校に1人はいそうでいなくて、そのわりに各学園マンガには1人いるという、カンペキな彼女が主人公。
・そんな彼女だもんで、みんな一目も二目もおいていて、やや孤立気味。ところが、前の席の鈍感なオトコはそんなことおかまいなしになれなれしく話しかけてくる。それが「なれなれしい」とイラっとしていた彼女ですが、オトコのゲームをあやまって踏みつけて弁償するってイベントで大間違いをかまして「かわいいところもあるんだな」といわれてフラグが立ってしまいホレてしまう。さりとて、カンペキという自負もあるものだから自分から告白するのもおもしろくない。と、なんとかむこうから告白させてラブラブになりたいと涙ぐましい努力をするという片思いラブコメ。

・この主人公がかわいらしいんだよね。それがほぼすべてかと思うような。
・中学生ということもあるのか、基本プラトニックで、甘酸っぱい感じで展開していくのですが、それが2巻になるとバリエーションが乏しくなる感じかな。
・実に、「絵」のヒトで、主人公のグッとくる表情が随所にあり、値千金ですが、その分、展開の変化などがものたりない。鈍感なオトコはああいう1ジャンルの中にいるステレオタイプな感じだからしょうがないとはいえ、ワキキャラにもうひとつインパクトがない。もうすぐ発売される3巻では新キャラでテコ入れをしてるようですが(7/12発売)。

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・マンガにおいての「成功」というのはひとつです。

「(読者に)キャラを好きにさせる」

・これができた時点で成功です。そして、これがないマンガで成功したものはただのひとつもありません。
・究極的にマンガを読む目的とはマンガのキャラを好きになることです。他のすべての要素はそれに使役します。

・好きになるには、第一にキャラを覚えてもらうことです。まずは容姿。つづいて、性格、能力、名前など。覚えることが多くなるほどキャラは生きてきます。

・だから、1巻では当然のことながら主人公を覚えてもらいます。そして主人公に関わる重要人物も覚えてもらう必要ができます。彼らとのからみにおいて、主人公がどんな魅力的な人物であるか読者にアピールします。

・できれば、1話目(1エピソード内)で、どんな顔でどんな性格かを把握してもらえれば最高です。
・そして2話目以降ではひたすら好きになってもらいます。主人公、そしてそれをとりまく環境を気に入ってもらうために費やします。

・で、1巻までに最低でも主人公を完全に覚えてもらう。これが「1巻」での必須と思います。

・そして「成功」を受けて2巻ではさらなる主人公の活躍をみせる必要が生まれます。これが難しい。
「このこここのこ」「カンペキな彼女」、この2編とも、1巻では完全に成功です。だって、おれ、次の日に2巻を求めて本屋に出向いたもの。確実に主人公と主人公に関わる重要人物をスキになっています。

・1巻には、「インパクト」というほかにはない強みがあります。いつまで経ってもニンゲンは「本能」レベルまでで、「新しい」を求めております。1巻には、もっといえば1話目には、それがあります。自分がこれまでに読んだことのない「新しい」が存在します。そしてその推進力で読ませることもあります。
・それが証拠に単行本は1巻が1番売れます。

・不思議なもので、新しくスキになったものが、1番スキなものと、カンチガイすることもしばしば起こります。それくらい「新しい」の魔力は抗えないものがあります。

・これだから、レビューや感想をするという点で1巻、あるいはデビュー作を絶賛するのはすごく危険なんですよね。前記したとおり、すべての人が新鮮と思っているので、絶賛するほうも、それを受け取るほうも、「すばらしい」と思うことが多いんだけど、そのノリが2巻まで続かないことが多い。
・んまあ、少ない例を除いて、2巻では「新鮮」フィーが落ちる分、絶対的な「おもしろ」は減ります。

・だから、ポイントは1巻までに主人公を完全にスキになってもらい、2巻で「確定」してもらうことです。
・そうすると、3巻以降は逆にラクになります。完全に相思相愛の状態ですから。この巻数は個人差があるとは思いますが、長くつづいているマンガはすべて読者とキャラの間に夫婦カンケイが結ばれているといっていいでしょう。だから、両津勘吉は多くの読者の「嫁」になっているわけです。

・ということを踏まえ、再び前記2冊にもどります。

・この2冊は、おれにとって1巻でスキになってもらいすぎたために2巻が逆に落ちたような感じもあります。期待値が高すぎたために落差が大きかった。「落差」というトゲのあるコトバを使うのはもうしわけないんですが、なんだか入り込めなかったんですよね。1巻でこれだけ気に入ってたキャラたちが遠く感じた。
・こんなはずじゃなかったのにと思った。

「このこここのこ」は展開が速すぎて、増えたキャラを把握しないままドタバタと過ぎていった感じ。
「カンペキな彼女」は逆で展開がのっぺりしすぎに思った。

・と、両方、悪い意味で安定してる感じがしたんだな。ここで「確定」するのはもったいないんじゃない?って。

・まあ、難しいもんだよなあと。「それでも」おもしろかったんですけどね。3巻にはすごく期待してる2冊なのです。

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[Amazon.co.jp: マコちゃん絵日記 2 (FLOW COMICS): うさくん: 本]


「マコちゃん絵日記」

・と、以上、いいがかりをつらつら書いたのも、この「2巻」が最高だったからですね。
・本作、うさくん氏にとっての「最良」の作品と思います。

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・本作のちょっと前にいろいろな作品をあつめた短編集が出てましたが、こっちのほうが断然いいんですね。

・マコちゃんという元気でいろいろネジが取れてる少女が大活躍するマンガです。
・掲載誌がロリ系の成年コミック雑誌ですが、本作はド健全であり、その立ち位置もすばらしいんですが、そんな裏事情を知らなくとも大丈夫です。
・これまでの「しあわせももりんご」と、ロリ系にあった成年コミックなマンガ、一般誌のギャグマンガなどの、すべての中から、1番のバランスで描かれた最良の作品が本作と思います。これこそがうさくん氏が描くマンガなのです。

・それは1巻を経て2巻ではさらに加速度をまして、もしかしてピークと思えるくらい最高なのです。
・笑えて、泣けて、かわいくて、そしてトータルで愛おしいと思う。スーパーの店長や、売れないぬいぐるみを作ってはすぐにすねる父親まで愛しいと思う。マンガ内の線の1本ですら愛しい。

・なかでも2巻で初登場したマコちゃんの学校の副担任のメカボーグ先生のかわいさが大発明と思えるくらいだったのですね。

・メカボーグ先生は小さい女教師。小さいから子供になめられるってことで授業のときはいつでもキリっと無表情のロボめいた顔で武装している。でも、野望として、生徒たちに慕われて抱きつきにきてもらいたい。
・後半、いろいろとフライングしてるメカボーグセンセイに、生徒らが察して、抱きつきにくるけど、小さいもんだから生徒に埋もれて潰されてしまう。それを振り払いつつ、つい油断して、ゆるいカワイイ顔に戻ってしまうところが最高なんですよね。この2コマだけに相当な価値があります。
・ほかにも、セイラちゃんの母親のメガトンフリル秘話、多美ちゃんの初恋など、宝石のような話がいっぱいですよ。
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・ああ、そういえば、上記の2冊の2巻には1巻でのいいシーンに匹敵するのもなかったかもしれないなあ。それはどっちかというと「カンペキな彼女」のほうに。「このこここのこ」は胸があたるヘッドロックシーンとかごちそうサマでしたが。

・名前が重要かもしれない。あえて、上記2冊はキャラの名前を書いてません。これを書くためになんども読んでいるうちに名前は覚えましたが、通常の感じだと、2巻を終えた状態で、2冊とも、主要メンバーの名前を覚えてません。そして、なにもみない状態でそれぞれどんなキャラか説明するのも難しいです。
・そして、「マコちゃん絵日記」はワキに出てきた、手々焼の神様に似たオッサンのことも説明できます。

・つまりそういうこと。

・とはいえ、3巻で落ちる場合、3巻から盛り返す場合、いろいろあります。問題は、「次買おう」と思うかどうかですわな。今回は3冊とも次はまちがいなく買うのですよ。

・3冊とも2巻を上回る3巻に期待するのです。
posted by すけきょう at 19:34| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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