・なんでだろう?
[「3.11東日本大震災 君と見た風景」平井寿信(ぶんか社): ポトチャリコミック]
・このマンガを買ったときからなんとはなしにそう決めている。
・もちろん、「絶対」にとかは思ってないし、雑誌に載ってた、や、言及してたとかはとくにいいんだけど、コミックというカタチで商業出版されたものをみかけたら手にとろうかなとは思っている。
・カッコつけるとするなら、震災のことを思い出すため忘れないため。
・ゲスいこというなら、「こんなおもしろいこと」をマンガにしてるので、つまらない確率が低いからね。コレまで読んだ数々はきっちりおもしろかったです。例外がなく。果たして本作も名作でした。
・震災直後、pixivにラフ画としてアップされました。そして話題になりました。今、調べたら、未だに「お気に入り」にブックマークしてましたし、書店でみたときは「あれか」と思いましたし、実際のところ「最初に」みた震災マンガと思います。
[「震災7日間」/「槻月 沙江」の漫画 [pixiv]]
・これを読んだときに最初に思ったのが、「これがモトだな」と。作者にもうしわけないですが本作品を、今後描かれる震災マンガの平均点として設定しようと思いました。
・仙台で被災されたマンガ家さん。直後の様子、まわりの様子、近所との会話、家での避難生活、サバイバルノウハウなど、短いページ数にきっちり必要なことをおさめてキレイに終わってるなと。
・もちろん本作はpixivとちがいペンが入っている「完成版」になっております。
・これがpixivの絵と比べると趣き深いですね。
・ふくやまけいこ氏のエッセイにラフのイキオイをペンが入ることで消えてしまうって「あの絵で?」って思うような悩みを吐露されておられることがわかったり、逆に、ペンが入ることでわかる表現とかあるなあとか。
・本作より、おれとしては、後日談にあたる「震災一ヶ月」がしみたな。
・4月7日の地震について書いてます。もう全国区で騒がれてませんけど、11日の地震から、ようやっと平常運転への足がかりになったころに「前よりややマシ」な体感のものがドンときて、作者のココロが折れる感じ。この描写にキたね。
・地震のあとずっと揺れてるような感じがあるなんて症状の方が多かったそうですが、東北の方はリアルにまだ揺れてるんですからね。地震に怯え、福島原発の放射能に怯え、それでもとりあえずはそこに立って生きていくという事実に震えたし、シンプルに「すげえ」と思った。
・くわえてもうひとつのお楽しみ。実はページ数でいえばメインになる、作者の「まんが道」がこれまたおもしろい。
・すごくぶっちゃけた感じでいうなら、職業「マンガ家」として仙台でやっていくまでが描かれているのです。新聞社のカット、企業のパンフレットなどをこなす感じ。
・市役所にマンガ家として「開業届」を出すと、もうプロになれるんですね。そのあと専門学校で講師をなさったり、いろいろと興味深かったです。
・1300円は高いです。これが弱点です。けっこう大きい弱点と思います。
![]() | 槻月 沙江¥ 1,365 ![]() |