2012年03月31日

STAY TUNE!〜音楽と漫画と人

戸田 誠二¥ 924

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・自身のWEBマンガが話題になりそれをまとめた本で商業デビュー。
・そのときから作風はあまり変わってないような気がする。全部読んだわけではないんだけど、「ショートショートの奇才」なんてオビにも書いてありますね。そして反動で現在は長いのを描いてらっしゃるそうですが。
・WEBで最初にみたときは衝撃があった。PCのモニタ上でのマンガの「正しい」あり方というのを提示させられたような気がした。
・すなわちそれショート。
・今となってはタブレットの台頭や読者のほうの「なれ」もあるけど、PCでマンガを読む、小説を読むということにはなんだか抵抗があった。

[COMPLEX_POOL|Top]

・今でも作品を読むことができますね。つい読みふけってしまった。ネット上に等しくある「おもしろ」。それをマンガで表現するにはショートがいいなと今でも思う。スクロールもページをめくるのもちがう。ネットでマンガの場合は1枚1話が1番効率がいいし、しみる気がする。それは新聞の4コマや1コマみたいなものに近いかもしれない。その場に応じたやり方。ネットとマンガの組み合わせはそれがいいなと。

・たとえばコンサート会場など、たくさんヒトがいる中に佇むと、「ああここにいるヒトたちそれぞれに家族があって知り合いやトモダチや恋人との間に「なにか」があるんだろうな」と思ったりする。ドラマですか。
・戸田氏はそれらをマンガにカット&ペーストされているような作風と思う。

戸田 誠二¥ 780

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・それの「最新作」が同時発売の「東京メイト」ですね。デビュー作であり南伸坊氏が装丁したことが強烈に印象に残っていた「生きるススメ」も「それ」です。

・本書「音楽と漫画と人」はタイトルの通りです。その「ヒト」のドラマを音楽と漫画の「ヒト」に特化しております。基本音楽はロックなのかね。もともとが「音楽と人」という音楽雑誌に毎号2ページで6年間69回(ロック回)連載されていたことですし。

・10代20代には多くのヒトが憧れる職業であると思うんですよね。ミュージシャンとマンガ家。今はまたちがうのかもしれませんけど、おれのときはど真ん中でした。クラスにそれぞれ何人か「志望」がいました。おれもどっちにもなりたかった。ちょっとだけ目指した。ダメだったけどさ。

・そんな彼らの人生の一瞬をスパっと切り取って味付けも最小限にさっと盛りつけた感じ。
・とはいえ、「一瞬」は無限にあるわけで味わいもまたそれに準じるわけです。
・2ページなので「一瞬」で読むことができる。でも「一瞬」の2ページに油断すると涙するわけです。そこいらはなるほど奇才だなと。

・作者自身あとがき対談において、前半と後半と変わったとあるように、前半は音楽家やマンガ家に「なる」ことを目指してる方が多く出演され、後半は「続ける」または「終える」ことを描いておられる気がしました。

・それこそ幅広くいろいろなスタンスの方は登場しております。成功、挫折、ファン、スタッフ、怒り、悲しみ、笑い、苦しみ、それらを2ページで。
・出演された方はいろいろな方です。
・でも、共通点はただひとつ。音楽やマンガへの愛があることですね。

・1番スキな話は「教えて」。
・仕事で彼女との用事を断る。「しょうがないだろおれだけ休むわけにはいかないから」と仕事につく。彼女も電話をきって怒って歩いてる。
・仕事をしている彼氏、街でふと書店に立ち寄る彼女。
そこにモノローグ「人類がいつ風景を 音を美しいと感じるようになったのか そんなムダなことを考えるのを いつやめたんだろう」
・彼女はふと買って読んだマンガに涙し、彼氏は仕事の合間に入ったラーメン屋のテレビでのミュージシャンの演奏に手を止めてみている。

・しみじみとコレだよなと思った。ことあるごとに「卒業」の機会はあった。いまでもたびたびある。また基本的にそうならざるを得ないわけです。家族が増えるとか、金銭的に苦しいとか、「ガキっぽい」からとか、外側から内側から「卒業」を促されます。
・でも、「スキ」なものは止めないんだよな。というか、そういう人生、「止めない人生」を選択し続けているなと思ったよ。
・まさにそういう話もあった。「選択」。たぶんに、おれなんかより、マンガ家になる、ミュージシャンになるという道を選択したヒトは覚悟してるし迷いも多かったし、卒業をつきつけられていることなんだろうな。
・まあ、多くは挫折したりしてるわけですけど、卒業せずにいる方はまだそこで歌ったり描いたりしてるわけです。

・中二病というコトバがあります。思春期の少年少女がかかる自意識過剰な言動をしての造語です。
・この病原菌の多くがマンガや音楽(ロック)から発見されていることは大学の研究機関の調査結果を待たずしても周知の事実として知られております。
・考えると、中2病の重篤な症状は「それを作り出す」、すなわち病原菌の発生源になることですよ。そう、ミュージシャンになりマンガ家になること。そして、世に中2病を蔓延させるんですよ。
・つまり、中2病はその症状の果てに中2病そのものになるわけですよ。
・ただ中2病になってもバイキンマンのように悪さをしてアンパンマンに殴られはひふへほ〜と飛んでいく毎日を送るわけじゃなく(ときおり「そういうこと」があるのが中2病ならではなんでしょうけどね)、毎日悩み、もがき、そして全部放り投げそうになったりもするわけですよ。
・本作内では穴を掘って出た土でほかの穴を埋めるとしてます。それを音楽でしかできない苦しみをグチっておられますね。

・死ぬまで中2病でいいんだし、卒業しなくてもいいと思わせる。この妙な高揚感。
・中2病の発案者とされる伊集院光氏(今は自身が思ってるのとちがう意味なので興味がないそうです)は、ラジオなどでよく「おれら」という3人称を使用されます。同じ学年ですし勝手に親近感を持ったりしておりますが、この「おれら」だけは違和感がいつもあります。伊集院氏の根っこにある体育会系のところが出てますし、仲間やスタッフとの和を重んじておられるところなんだろうなとは思います。おれはそういう団体作業みたいなこととはとんと無縁な人生を送ってきたのでそういうところが弱いのだろうなと思います。

・でもね、今回は使いたいなと。

「おれら」はこのままでいいんだぜ。STAY TUNEでSTAY TUNI(中2)なままでいくだけいくしかねえんだ。
・これからもマンガを読みまくってロックを聞きまくって、耳が聞こえなくなっても目が見えなくなってもそのシーンその音を思い出しながら死んでいくんだ。それはとってもステキなことだ。

・あらためてそういうパワーを本書からいただきました。ありがたい話です。

オススメ
posted by すけきょう at 14:02| Comment(0) | TrackBack(0) | オススメコミック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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