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・人を拒絶ぎみのつぐみりんこさんが「居場所」を求めて美術大学をめざしての予備校時代の第1章と、美大生になってから第2章とで構成されてます。
・彼女はあるマイナーアーティストを熱愛しており、いつかCDジャケットのデザインがしたいという理由、そのアーティストがインタビューで中高と居場所がなかったけど大学に入ったらラクになったことなどを読んで、その気になったのです。アーティストが美大出身らしいって理由もあるそうです。
・予備校時代から徐々に人との関わりが増えてきており、彼女も徐々に変わっていきます。そして恋も。
・ケータイで連載されており、1コマ1枚で16コマで1話。コマはケータイのサイズで4枚、1ページ4コマで展開しております。こういうのもストーリー4コマっていうんでしょうかね。
・シンプルな線ながら上手なかき分けと、丁寧な描写。間や流れを大事にした静かなトーンで物語は展開していきます。
・いろいろとトートツで浅い印象もあります(彼女がココロを閉ざした理由とか)。
・ただ、美大の予備校や美大の雰囲気、登場するキャラクターのそれぞれにやさしい感じなど、世界に浸りつつ楽しむことができるし、りんこさんの幸せをいっしょによろこんでいくことができますね。
・とくに1章での拒絶しているりんこさんの頑なな雰囲気がとってもいじらしい。他者に自意識過剰でから回ってる感じとかたまりませんね。コミュニケーション障害はこうなるんだよなあと。
その、りんこさん、好きなアーティストを知ってるっていったらモーレツなイキオイでからんでくる。その感じもまたよくわかる。からんでいくのもわかるし、こられるのもまたうれしいよね。
・そして、唯一にして最大の謎。
・つぐみりんこさんは巨乳なんですよね。
・女性描写の記号としてのそれじゃなくて、ことあるごとに巨乳であることを強調するエピソードが挿入される。
・それでいて、なにがあるわけでもないんだよな。胸元を露出する服を着るでなし、水着や、入浴シーンがあるでなし、手が触れたで赤くなるようなプラトニックなマンガなので、「そういう」シーンもない。ただただ、りんこさんは巨乳であると。たまに、大きい胸でいいわねーと、揶揄されたり、うらやましいといわれるくらい。
・この感じがなつかしいというか思い出されます。
・それは少年マンガのヒロイン。
・脱ぎ要員でない彼女の胸の膨らみのほうが、バカンバカン脱ぐマンガのそれより気になっていたなあとか。
・あと、わかりやすいのは「風の谷のナウシカ」でしょうか。ナウシカの豊満な胸はそういうシーンは皆無でしたけどなんつか色々と悩ましかったですよね。
・でも、本作は前に書いたとおり、シンプルな線で描かれており、「気になる」のかというとちがうんですよね。劣情を催すことはないです。
・それでいてリアル巨乳の描写ですからね。重たそうな感じ。本人にはとりまわしがめんどうくさそうな感じ。
・だから、本当、謎巨乳。
・この謎がまた本作の魅力のひとつではありますね。