2013年02月09日

鉄の掟に従って〜犬神もっこす

[西餅 - Wikipedia]
犬神もっこす(3) (モーニング KC)
犬神もっこす(3) (モーニング KC)西餅

講談社 2013-01-23
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「ますます快調」なのかどうかはよくわからないけど3巻です。
・3巻には、おれが購入する決め手となった「劇研もっこす」が収録されています。
・これをWEBで読んで声を出して笑ったので、こりゃあいいとばかりにすでに出ている1巻を買って、すぐに2巻も買ったのです。
・鉄の掟がおれにはあります。それは、「声を出して笑ったマンガは最後まで買う」です。本作品はそれなのです。
・おれはマンガにくわしい専門家だからそんじょのことじゃ笑わねえぜ! ってことはなく、むしろ逆の「ゲラ」だと思うのですよね。笑いのハードルが低い。だから、掟にしたがって「しょうがなく」マンガを買い続けているのです。まあ、笑ったマンガばかり買ってるわけでもないんですけど。

[西餅『劇研もっこす』]

・おお、ありがたい話ですね。コミックに収録されても現在(2013年2月9日)まだ読むことができます。
・おれが笑ったのは最後の犬神くんの初舞台の有様です。

・そうだ、まだどんなマンガか説明してない。
・熊本が舞台の大学演劇サークルの演劇マンガです。犬神くんといういろいろとファニーな主人公がもたらすドタバタギャグ。
・という、あらすじがまったくあてにならないマンガです。

「迷走」してるっていうのが本作の売りになっていますね。
・上記のあらすじをまったく無視するかのように3巻のメインは犬神くんが東京の演劇スクールからそのまま夏休みに実家に帰省する話です。村で行わる奇祭に同行した演劇サークルの先輩も巻き込まれるという。
・そのあとも演劇サークルにいかずに、かけもちで入ってるミス研に顔を出したり。美人が登場したり。
・こう、淡々と季節の移り変わり、その際のイベントに応じた演劇サークルネタをぶっこんでいくギャグマンガにもできるところを、読者の大半に「は?」と思わせるほどのダイナミックな展開になっております。
・そもそもが、先ほども書いた「劇研もっこす」のつづきとしてはじまるのが1巻なのに、肝心の「劇研もっこす」が3巻になってはじめて収録されてるって構成からしてアナーキーすぎます。1巻からはじめて読んだヒトのことを考えてない。こういう後編からはじまるものはちょっとねえよなあ。(あ!スターウォーズがあるか)

・迷走できるマンガにはいくつかの資格があると思うのです。
・最大の資格は「許されること」ですよね。この理屈だとなんでもあてはめることができますが、「犬神もっこす」は「迷走」することが許されているようです。担当編集にも読者にも。
・連載に穴を開けても許されるマンガ。休んでるマンガ。ページの半分以上に作者が出てくるマンガ。欄外にモーレツに落書きがしてあるマンガ。コマごとに作画が適当なマンガ。みんなある種の「芸」として許されています。同時に求められてもいますね。
・あとは「必要」とされるお約束が少ないことでしょうかね。
・たとえばお色気マンガにはお色気を描かないとボツになりますよね。ストーリーマンガはストーリーを。キャラマンガには相応の萌えを。
「犬神もっこす」に必要なものはただひとつ。「おもしろい」ことです。あと、迷走も期待され必要とされているかもしれませんね。そのほかになにもないんじゃないかな。
・このマンガ、一瞬先も予想できないところがあります。そしてそれらの「なぜ?」にあまり答えがなくて投げっぱなしです。だからどこをどう書いたらネタバレになるのかもよくわかりません。
・そして、そのぶっ飛び具合がいつもおもしろいわけでもないです。むしろけっこうはずしてるような。でも、「スベリ芸」といえるような味も出てます。それこそが一瞬先も予想できない所以であります。必ず「おもしろい」を目指しているのであれば、一瞬先が「おもしろい」ってことの正解はいくつかに狭められるわけですよ。黄金はそこいらには埋まってません。だけど、かまわずにフルスロットルでぶっこんできます。だから一瞬先が想像できない。これはホメてるんですよ。そしてすごいことと思います。
・すべってるのに迷走してる。軌道を修正してもとの演劇ギャグに戻れよって思いつつも一方で「悪ノリ」で片付けられないようなケモノすら通らないようなところをひた走ってる迷走っぷりに「すげー」と圧倒されるのです。
・3巻はとくにすごいかもしれないです。

・ンー、だから、いい意味でも悪い意味でもつかみどころがないです。「シュール」ですらないような。でも、デタラメでもない。ナンセンスでもない。つまり、「ナンバーワンになれなくていいもともと特別なオンリーワン」ってやつですね。
・このスタイルは大変だろうなあとは思います。普通の感想ですけど。毎回ガチみたいですから。手抜きが故にそうなっているわけじゃなくて真剣に「おもしろ」を追求した結果こうなったって。
・カバーめくったあとの近況マンガのトイレで気絶してるみたいなことは冗談じゃないんだろうなあ。

・こういうのなにが大変かって、ある日突然、読者とかにそっぽを向かれる可能性がいつでもあることですよ。
・えーと、すごくわかりやすい例で、江頭2:50さん。彼で2時間ワンマンライブってなると「途中で飽きないか?」って懸念するでしょ。それですよ。

・そしてそれでも「犬神もっこす」は演劇マンガだなあって思います。
・なぜ?って、スポーツマンガでいう試合にあたるところ、すなわち、演劇の本番が1番おもしろいから。ここが実に1番すごいところです。
「劇研もっこす」から通して1巻でも2巻でも3巻でも演劇の本番が1番面白い。試合が1番おもしろいスポーツマンガと同じ現象です。しかも、その「おもしろ」が毎回味わいがあってな。
・上記の掟でいうなら本番は今のところ笑率10割ですね。3巻では冒頭にありました。

・あと、3巻の絵と「劇研もっこす」時の絵のギャップもそこそこ笑えると思います。ナツメさんってサークルの部長が「かわいいけどこんなオンナはイヤ」ってさじ加減が絶妙。またこれが描画力向上もあいまっていよいよ絶妙になってきてます。新キャラの美人の蔵前さんもステキ。

・ということで重ねてもうしあげますが、つづきが楽しみなのです。
posted by すけきょう at 14:35| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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