2013年07月23日

頑な〜名探偵マーニー〜



・探偵業の父親を手伝ったり独自に仕事をしたりの女子高生探偵マーニーさんの事件簿。決め台詞は「マーニーにおまかせを」。
・1話完結の読み切り。

・さて、木々津克久さんといえば「フランケン・ふらん」を思い出すおれです。これも1話完結でおもしろいままはじまりおもしろいまま終わりました。あ、「これも」って書いてしまった。
・名探偵マーニー「も」、4巻をすぎてなお、あいも変わらずおもしろいままです。
(参照:[404 Blog Not Found:わたしの、最高の一作 - 画評 - フランケン・ふらん]

・3巻の発売時に書こうと思ってましたが、次巻予告に「あいつがあらわれる」とあり、レギュラーキャラが増えるのかと思い待ってました。
・4巻からマーニーの宿敵が登場。彼女の過去にヒドイ深い爪痕を残しております。彼がまた出没しはじめたと。
・と、これからそれとのバトル巨編になるのかと思ったら、いい感じに話のスパイスとして登場するだけで、相変わらず1話完結のショートストーリーになっております。完成度も高いままです。

・あまり詳しくないんですけど海外ドラマ。
・海外ドラマっていうとたいていアメリカですね。まれにイギリスか。中国韓国はアジアドラマ(韓流とか)みたいになってますもんね。
[MONK/名探偵モンク]
・1話完結の長期ドラマシリーズのような巧みさがあるなと思います。1話で話はすっきり終了するけど、謎や目的が底にあって物語全体をひっぱるという作り。日本だとさらにくわしくないですけど「相棒」とか。

・毎話殺人事件があるでなし。というか、むしろ事件ですらなかったって話が多いのですが、「謎」は生じますし、それをマーニーが鮮やかに解決しております。引き合いに出したモンクは毎話殺人事件ですけどね。

・4巻file30「迷子」。
・マーニーが道で老婆に話しかけられる。小学3年生くらいの息子を探してるそうだ。しばらく探すけど見当たらない。見つからなかったことを告げに行ったらもう居ない。
・次の日、同じ老婆がまだ迷子を探している。中2の息子を探しているという。と、毎日のように探していて、探している息子は徐々に成長している。
・老婆は誰を探している?そしてどうして徐々に成長している? こういう「謎」です。

・4巻file32「少年探偵」。
・小学生の名探偵。テレビとかでちょいやらせで探偵役をやってすっかりそのつもりになっている。
・とはいえ本人はいたってナイスボーイでみんなに人気もあるし友達もいる。
・ただ、ここんところ、みんなが自分に「なにか」を隠している。素直に問いただすのも探偵として気が引ける。さりとてわからない。だからマーニーに依頼する。マーニーは彼に隠しマイクや隠しカメラをとりつけることで謎を解明する。
「小学生時代は1回くらい生でみたいとおもうもの」「探偵にみつかってはマズイもの」
・さてそれはなんでしょう? こういう「謎」です。

・ショートストーリーで謎解きだとすべてがネタバレになってしまうのでうかつなことを書くことができなくてとてもむずかしいのですが、さしあたって4巻までまったくはずれなしのマーニーのあざやかな名推理ですよ。
・マーニー自体も。当初は「ブラックジャック」のように、お金にしっかりして、髪の毛がかたすぎてブラシが通らなくていつもボサボサ頭のちょっとサエないJKってキャラがついていたけど(名前がそもそもそれ起因)、それらを奥にひっこめて、「いい話」にフォーカスを絞ったのが功を奏しています。多分、足りない(と作者が感じている)「アクセント」は4巻からのニューキャラがいい具合に「機能」するんじゃないかな。
・ただ、キャラとしてのマーニーさんもなかなかで、親友が電話口でエロい声を出したときの赤面っぷりとかはとてもカワイイです。

・どうしても代表作である「フランケン・ふらん」と比較してしまうのですが、本作は、前記のように一見超常現象という謎もすべて理由があります。まったく逆なんですよね。「フランケン・ふらん」はすべて超常現象がオチという感じでした。
・マーニーを読んでいるとその奇想天外さや痛快さを求めてしまう自分を発見します。
・物足りない。正直そう感じるときもあります。とくに1巻や2巻のときはそう思っていました。
・同じような感想はamazonのレビューでもみうけられました。ああおれだけじゃないんだと。
・なおかつ、前記のように、マーニーさんは「語り部」としての役割が強く、キャラを全面に押し出している感じも少ない(でも丁寧に描かれてはいる)。
・だから、本作は徹底的な物語の完成度で勝負をかけているわけです。前作「フランケン・ふらん」を払拭するくらいのイキオイで。
・マンガ家も役者も芸人もみんなそうだけど、1発当たると、「次」がすごくプレッシャーとなってのしかかってきます。あらゆる方法で打破しようとされますし、多分、それは1発当たるまでの比じゃないとは思うけど、生き残っている人ってつまりそれを打破してきた人ですからねえ。
・本作は、打破のための1手段「当たった前作と同じことはやらない」って方針をとっておられるようです。
・その静かながらも強くて熱い気概がじんわりと沁みていき、ゆっくりとしびれていきます。4巻ともなるとおれはマーニーさんの大ファンですけどね。前作よりスキかもしれない。

・だから4巻から登場のメカニックさんはマーニーさんをあまりいじめないでほしいわん。もう彼女は年齢にしてはたくさんの「いろいろ」をみてきたんだしな。

・今のところトータルの完成度は2巻かな。未読の方はまずは1巻2巻と2冊買ってみてください。とくに2巻のfile14がすごい。マーニーのルールで「フランケン・ふらん」をやってるすごさがあるなあ。
posted by すけきょう at 08:02| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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