2013年09月15日

本格でホラーでバディでアーッな〜棺探偵D&W

棺探偵D&W 1 (ヤングキングコミックス)
光永 康則
少年画報社 (2013-08-16)


「怪物王女」のヒトが手がけた本格推理モノったらやっぱりねえ、期待するよねえ。

[頑な〜名探偵マーニー〜: ポトチャリコミック]

・どうしてもおれは「フランケン・ふらん」を描いていた作者が描いた推理モノとしての「名探偵マーニー」的に考えてしまうのです。
・そもそも、おれの中はでは本作の光永康則氏も木々津克久氏も「同じ」フォルダに入っております。「いつだって新刊を楽しみにしてる」フォルダね。
・比較するのもなんですが、そういうことで同じフォルダの中なんですよ。しかも、ファイルも相当ご近所さん。だから、「フランケン・ふらん」の作者の「名探偵マーニー」がおもしろかったように、「怪物王女」の「棺探偵D&W」、本作もおもしろかったのは想定の範囲内ってやつですよ。
(正直なところを書くと光永氏はチアガールのとかちょっとやらかしてる作品もあるんですけどね)

・すごくモトもコもない概要を書かせてもらいますが、主人公はヴァンパイアです。お金持ちのヴァンパイア。これがシャーロック役の安楽椅子探偵。
・そいで相棒が狼男。事件を「みつける」能力を持っている。
・相棒がみつけた事件を主人公が解決する。そういう図式で1話読み切りで4話。
・どれもこれも「本格」です。人間が考えて人間が実行する、猟奇(風)な事件を解決する。
・おれが買っているのだと西岸良平氏の「鎌倉ものがたり」とかは、人間がモノノケがからむ事件を解決するので、奇想天外なトリックがデフォルトになっておりますがその逆ですね。
・きちんとした人間が考え実行したトリックや動機を、きちんと筋道や手順を追って解決していくという。
・じゃあ、ヴァンパイアや狼男なのは?ってのは読んでのお楽しみということにしておきます。

・2話(case.2)の子供がどんどん死んでいく村。
・3話(case.3)のなにげない雑談から超おぞましい事件が露見する話。

・やっぱり「マーニー」のときもそうですけど、作者の「これまで」の持ち味を感じつつ、「お、これは新しい」ってのがあるのがいいのです。
・ホラー風味でいて本格。オチや動機やトリックにゾクっとする感じは新味です。
・新味といえば今回は主人公も相棒も男です。どっちもイケメンですね。これがまたいい感じ。肉体労働と頭脳労働でいいコンビですね。どっちもイケメンだしカッコイイです。
・そして友情ですよ。これがまた熱いし、しびれる。
・一応「お色気」も有りますし、ああそういわれてみれば乳首描写ってはじめてみるかなあと思ったりもしましたけど、それは瑣末なところですね。(ちなみに下記で紹介する「南Q阿伝」でもあった)
・巻末の作者のセルフ解説でもありましたけど、スピンオフ的に、「怪物王女」の吸血鬼と人狼のコンビにしなかった意味がわかる。これは男同士にすべきだよなあ絶対に。それは怪物王女が王子じゃなかったのと同じで絶対だね。
・彼らのアーッならみてもいいかな。でも、彼らの距離感がまたいいんだよね。吸血鬼の彼の書斎で話は進みますけど、近づいて机越し。3話にいたっては電話での会話のみという。

南Q阿伝(3) (シリウスコミックス)
光永 康則
講談社 (2013-09-09)


本線の方も絶好調。「怪物王女」の派生のようで、よりエンターテインメントに、それぞれを「大きく」して派手に展開しておられます。
「祭り」に活躍される感じが「和」でいいですね。湖のお祭りや、屋台を引っ張るお祭りのは派手でした。

・くわえてもうひとつ余談。余談にしちゃ長いので折りたたみます。



・最近折りたたんだあとにエロネタになるんですけど、今回ちがいます。残念でした。

・ポイントはあとがきです。

本作を企画立案するにあたり、僕にとっては量産が難しい漫画を催促なしの不定期連載という形で進める事に応じてくださった月刊ヤングキング編集部(現・アワーズGH編集部)に感謝すると共に、もう少しコンスタントに発表できないものかと自分を戒めつつ、第2巻で再び読者諸兄にお会いできる日を楽しみに精進してまいる所存です。


・これはいいですよね。「催促なしの不定期連載」。
・締め切りがないと漫画を描くことができないって方もいらっしゃいますけど、こういう形だと、たとえばほかに連載を持っていても描くことができる他のマンガ家さんもでてきそうな気がするんですよね。
・まあ、そこそこの知名度があって安定したクオリティがないとできないでしょうけど、こういうカタチでもみてみたいマンガ家さんっているよなあ。
・ま、これを描くヒマでドージンのほうをやられてるマンガ家さんも多いのかしらね。
・ただ、ドージンをやらないけど創作意欲が湧いておられるマンガ家さんも多いんじゃないかな。普段の連載で手一杯でほかの連載を持つヒマはないけど、「別」のことを描きたい方も多いだろうし、そういう機会がもっとあるといいよなあ。

・そういうことで2巻がいつになるかわかりませんけど、じっくりコトコト煮込んだ風な、濃い目のやつを待っております。

・しかし光永氏の女性キャラの眼の上の処理はなんだろう? たぶん二重まぶたってことなんだろうけどさ。

posted by すけきょう at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック