2013年09月26日

まぐれ当たり〜おじょじょじょ

おじょじょじょ1 (バンブーコミックス)
クール教信者
竹書房 (2013-09-06)


・マンガの情報をあまり仕入れずに、本屋にいっては適当にみつくろって買うのが好きです。
・一期一会といいますか、書店で「出会った」本を、直感のままにレジに持っていき、そして家で読む。この一連の「儀式」は大事です。このときの直感を積み重ねるのはイコール「自分」を積み重ねることと同じであるとは思います。「買う」ってのがワリと重要。直感を研磨するための砥石代としての金銭。「身銭を切る」なんてのはいいフレーズですよ。
・本作もそういうことで出会いました。そういうことなので事前の情報はないです。
・表紙の絵はあんまりアテにならないで、こういうときに重要なのは、帯だったりする。おれ的には5:5くらいかな。
2010年代
4コマ漫画の大本命
遂に刊行!

・これですよ。大きく出たじゃないですか。2010年代はあと7年ありますよ。それでもかまわないくらいの大本命ってことです。
だいたいが、こういうコピーはもっと早め、2010年2011年とかに出るのはよくみかけます。見切り発車的にOKになるんですよね。吉田戦車氏の歴史的名著「伝染るんです。」なんかは前の年代を書くという大ボケがありましたね。1990年刊行にもかかわらず「75年は吉田の時代だ!」とかね。(参照:[伝染るんです。 - Wikipedia]
・それを2013年にですからね。よほどの自信作って帯のコピーを考えたヒトも思ったのだろうなあと。
・それ以外には表紙の感じ(装丁も絵も)も「今」の芳文社4コマの装丁だよなあ。

「おじょじょじょ」は転校してきたお嬢様とそのとなりの席になった変人とのココロの交流を描いた4コマです。
・1巻かけて徐々に気持ちを育んでいって、とりあえず1巻内に告白なんてイベントまであります。
・お金持ちのお嬢様というほとんどのマンガで登場するキャラの、ベタなところもメタなところも利用し、完全に前面に押し出して展開というのは、実はありそうでなかった設定と思われます。
「けいおん!」におけるバンド、「らき☆すた」におけるオタク、「恋愛ラボ」におけるテレ顔に値するところに「お金持ちのお嬢様」が該当するわけです。
・ベタなところでいうと「**ですわ」「なんですの?」「うぬぼれないことね」っていういかにもなお嬢様の言葉づかい。
・メタなところでいうと、お嬢様が気になる男の子の家に遊びにいったときに家に入る前に「"これが家?犬小屋みたい"な台詞は?」ってツッコミを要求されたりな。

・でもって、赤点すれすれの男の子に勉強して、「ありがとう地獄巡(←って名前なのよ)」って名前をよばれたことに真っ赤っ赤になってテレたりするという、スレてないカワイイお嬢様を愛でるという構造。

・いつごろかは特定しにくいですが、4コママンガは「カワイイ」を愛でるというジャンルになりました。笑いは完全にそれに使役している格好になっております。
・4コマ読んで腹が痛くなるほど笑うというのはもうかなりの少数派。むしろ異端。あるいは、ネットに流れていきましたね。
・時代の流れではありますし、それに異を唱えるつもりはありません。「おもしろい4コママンガ」ではお金にならないってことです。これが全て。純喫茶が廃れたのと理屈は似ているような気はします。

[なんか最近日常系の疲れないアニメしかみれないんだけど : わんこーる速報!]

・その問題の一助となるのはこのまとめスレですかね。
内容がしっかりしてるものをみるのが面倒なんだよ
溜まってからみようみようって結局見ない
日常アニメはぼーっと見てられるからすごく心地いい
-----------
ごちゃごちゃした設定とかウザくてかなわんわ
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あれ?前回のここどうだったっけ?(伏線とか新キャラの設定とか諸々)
ってなっちゃうと、もうすげぇめんどくさくなって切っちゃう

・毎週やってるアニメですらそれだと、ヘタすれば年に1冊のマンガなんかどうなる?って話ですもんね。
・本作もそういう意味じゃばっちり日常系としてのフォーマットには則ってます。

・そして、本作、1番の特徴は抜けがいいってことですね。結論です。これこそが「大本命」の所以ですね。
・台詞と名前のあるキャラが4人くらいしかいなくてわりに「移ろいやすい線」で、背景やキャラ描写は「ふわふわ時間」だし、ネタやキャラ(の性格)も「ブレブレ時間」だけど、ヒロインの絶対的なかわいさからは目が離せません。そして、マンガ自体のスコーンって感じの読みやすさ、再読性の高さは、ちょっとすごいです。
・つまりベタな表現させてもらうと、「荒削りだけど光り輝いて」いるわけです。

「今」の4コマで必要なものはきちんと織り込まれているんだなと思います。その上で頭ひとつ秀でたのが前記の通りの抜けの良さ。
・テンポ、展開、スピードが早めで心地よい。これが「抜けの良さ」を少し分解した感じですかね。
・無駄なものはなく「伝えたいこと」をノイズを少なくして描く。
・実に「今」だ。

ハイスコアガール(4) (ビッグガンガンコミックススーパー)
押切 蓮介
スクウェア・エニックス (2013-06-25)


・実は読了後このマンガを連想したのです。このマンガの方法論とその実践を参考にして踏襲しているような気がするんですよ。「ハイスコアガール」も実に「今」と思う。4コマではないけど。
参照:[わかるよろこび〜ハイスコアガール: ポトチャリコミック]

・両者に共通しているのは前記の「抜け」です。スピードの質が似てますね。サラサラと読むことができる。
・こういうところまでみているようなマンガ好きな方にはわりと意外かもしれませんが、マンガを読むのって時間がかかるんですよ。
・そしてそれは加齢とともに倍率ドンと加算される。
・老眼って問題もあるけど、コマ間を視線移動させるチカラやコマの情報量を受け取るチカラが弱まる。マンガ1コマからの情報量ってスゴイからな。まだ、それらが順序立てて同じテンポで入力される活字を追うほうが楽ってなるんだよ。
・それが4コマだとさらにドンドン。
・4コマの単行本は通常、ページが薄くて値段が高くても許されている風潮、それでも受け取る「満足感」が普通の単行本と同量ってこと、すなわち情報の圧縮が高いということなんですよ。
・ま、圧縮率が高ければいいってもんじゃないけどさ。

・そういうなか、抜けがよく、再読性が高く、すなわち「読みやすい」というのかなり強力な武器だし、それが2010年代の大本命となるのもわからないでもないんですよね。



・そう考えると2008年発売の泣く子も黙るこの4コマは「抜け」でいうところの元祖とはいいませんが、現在にいたるひな形とはなったんじゃないかなと思ったりもするんですよ。
・恐ろしいほどの「ノイズ除去」で高校の軽音部が舞台のマンガで演奏シーンがほとんどないという画期的で超異端のようでいて、現在もなおバンドマンガとしての代表となってますからね。

・すべては「カワイイ」のために。

・ただ、エロもそうだけど萌えもまた個人差が激しい分野なので、かなりの「好み」が入ってるの可能性も否めないのです。
・まちがいなくいえるのは「おれは好き」ってことですね。そういうところも「今」と思う。万人にウケる「カワイイ」というのはもはや無くなったから。国民的アイドルがいなくなって久しいのと同じでさ。
・だから、本作、正直なところ、万人受けする「上手さ」はない。伸るか反るかがはっきりしてるとは思う。そういうところも「ハイスコアガール」に似ているかもしれない。

・こういうことがあるので書店で「出会う」のはやめられないんだよな。
・ネットでいろいろと情報を仕入れてレビューの☆の数を鑑みて買うのに比べると非常に効率が悪いけどね。
・これが何十年も続けていてもそんな精度が上がるわけでもない。まあ、「それなり」のものをそれなりに楽しむ術というのは手に入れてますけど。
・それでも続けているのは、やっぱり、今回の本のようにまぐれ当たりがあるからですね。面白い本を手に入れることができてすごくラッキーです。

・また、当たるかもしれない。そう思いおれは書店にノーガードで行くのです。これがおれのギャンブルなのかもしれません。すっかり依存症気味です。


posted by すけきょう at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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