からかい上手の高木さん 1 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
posted with amazlet at 14.06.21
山本 崇一朗
小学館 (2014-06-12)
小学館 (2014-06-12)
・気がつくと、「14歳の恋」「富士山は思春期」などと、中学生恋愛モノが増えてきているような気がするのですがこれもそうです。
・席がとなりの高木さんはいつも西片くんをからかってきます。西片くんはそのたびに恥ずかしい思いをしたりドギマギしたりムキになって大声を出して先生に叱られたりしてます。そのたびに「今度は高木さんを恥ずかしがらせるぞ」とココロに誓うのです。
・そういう甘酸っぱいショート。
・上記の引き合いにだしたマンガとちがってふたりはつきあってもないしトモダチと呼べる間柄ですらないです。
・その湯加減が最高にいいのです。
・だって、そもそも中学生で女子とつきあうなんてファンタジーマンガじゃん。日常的に魔法をつかって、ドラゴンの背に乗って旅をするような世界の話と同じじゃない。
「もし西片が勝ったら私のファーストキスあげるよ」
・帰り道(いつもいっしょに帰ってやがる)に自販機のゴミ箱に空き缶を投げ入れる対決になり、西片くんがなげるときに高木さんがボソッといったセリフです。
・もちろん、西片くんは動揺してはずします。そして、そのことで高木さんにずるいぞと責めようとしますが、「ファーストキス」なんてエロスなコトバをどうしてもクチにすることができずに「ん?何?」とニヤニヤみている高木さんに赤面しつつ「なんでもない」としか応えることができないのですよ。この感じ。
ふだつきのキョーコちゃん 2 (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
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山本 崇一朗
小学館 (2014-06-12)
小学館 (2014-06-12)
・同時期にこの作品も発売されておりますし、おれはこれから作者のことを知ったのです。
・妹がいろいろとワケありなために日夜奮闘するシスコンの兄の苦悩を描いております。
・この両作品に共通するのは「丁寧」ということですね。
・作画もそうですけど、それよりなによりも物語が。丁寧に導入して丁寧に盛り上げて丁寧に収束していく。
・本作はとくに登場人物が高木さんと西片くんのふたりだけといえるので丁寧に丁寧にふたりの機微を描いております。とくに、ココロの声がわからない高木さんがなにを考えているのかが表情や行動でよくわかるのがいいです。
・高木さんは「リャンメン待ち」なところがありますね。麻雀用語です。どっちがきてもアガリになるってことです。
・上記のファーストキスのくだりでも、入ってファーストキスになってもよし(そうなってもテレて西片くんはようしてこないことも計算済み)、入らなくてもからかえるってことで。だから、けしてからかわれて赤面することはないんですよね。彼女のからかいはそういう「覚悟」と「本気」とちょっとした「計算」が入ってるんですね。
・だからすごくかわいいし西片くんがうらやましいってことになるんですよ。
・だいたいが中学生、まあ、高校生もそうかね、同級生の女子に「こういうこと」でかなうわけがないんだよ。
・それが高校生あたりからできる男子が攻略法を見出して徐々につきあいはじめるんだけどね。それもおれにはファンタジーだけどどうもそうみたいよ。
ホテルやデートに誘うときに、男に付いていく「言い訳」を与える、というテクニックがある。
"からかい"のスキルはその源流にあたる。
表情や仕草で、あなたのことを良く思っている、というポーズを示しつつ、
しゃべる内容で、相手にストレスを与える。恥ずかしい気分にさせる。
悪気があるわけではないのだ、という思い、場の雰囲気がシールになって、その気分を彼女自身の中に閉じ込めて、膨らませる。
これが長い間知らなかった(そして多くの人が知らないだろうと思われる)、飛躍的に仲を推し進める技術の骨子だ。
このスキルを使えない人は、相手との関係構築に時間をかける必要がある。
また、このスキルを無自覚に濫用する人は、いわゆる”女ったらし”になる。
なおこれを用いる際は、シールに気を配ること。単なる人格批判や攻撃のようになっては逆効果だ。
[学校で教えて欲しかった恋愛]
・からかい、からかわれるってのは本当いい感じに育みますね。
・本作はからかい、からかわれることで、バックグラウンド上でものすごいイキオイで親密度が上がっているんですよ。くっそうらやましい。
・さきほども引き合いに出したのですが「14歳の恋」やら「富士山は思春期」とちがい、接触やビジュアルのエロスがほぼないってのがまたいいですよね。
・これもおれにとってはリアルなんだけど、中学生高校生のとき隣の席に本物の女子中学生女子高校生が座っていてもそれがどうした?ってことでさ。
・だから、なんていうか、同級生のおっぱい大きいとか足が白くてキレイとかはあんまりなかったんだよなあ。いやマジであんまり。そういうこととはちがったことで好きになっていた気がする。
・そしてそれをよく描いていると思う。
・本作はネタ出しが大変だろうなあと思いました。このいい湯加減を保ち続けるのは相当難しいだろう。二人の仲やストーリーや年齢を進行させても後退させても新キャラ導入で波乱を起こしてもちがってくるもんな。だから、非常に短い時間のありがたい幸せだったってことなんだよなと思うのです。
・恋愛のかけひきではなく、からかいからかわれ、仲を育んでいくのは本当に人生の一瞬なんだなと。



