・やってくれたよ。
・痔のマンガ。初ではないとは思うけど、(痔持ちの)ボーイ・ミーツ・(痔持ちの)ガールというパターンは初じゃないか。痔持ち自体は永井豪先生のイボ痔小五郎ほかいろいろといますもんね。
・痔は女性もけっこう多いんだってね。最近はCMでもそこいらがあけすけになってきています。痔持ち女性キャラってのを前に押し出したのはけっこうな英断ですよね。
・痔を隠していた少年がかつての痔持ち少女にみつかって、手術までのあいだに「正しい痔との生き方」を学ぶ「痔友人(じゆうじん)」となるお話。
・少年が密かに思い焦がれていたマドンナも実は痔持ちという、痔持ちの美少女2人というさらに珍しいことになりつつもカオスになることなくきれいな着地&完結。
・基本ドタバタギャグの体裁で、かつ痔知識もたっぷりと入り、後半、2巻以降はラブコメにシフトしていくという作りです。
・ファーストシーンが!
・よく映画マンガその他にあるじゃないですか。クライマックスのいいところからはじまって、そこからさかのぼって話が本格的になるっての。本作はこのパターン。
・ふたりきりの部屋、少女がパンツを脱いで約束したでしょと、自分の患部に薬を塗ってくれと迫るシーン。
・まさかこれが予想だにしない展開でなおかつすばらしくいいシーンになっていくとはなあ。
・実はおれはこの「つかみはOK」パターンがキライなんですよ。構成を変則的にしたら読みづらくなる。だから、それに見合った効果が得られない限りやるべきではないです。そして、最大効果を出すにはクライマックスに持っていくのがけっこう鉄則なのに、某ぐうたらら〜マンガは最悪の使い方をしてますからね。
・本作はその点激動のラストシーンにむけての最高の口開けにつながるのです。
・あとがきによると、もともと2巻完結という予定で進行していたそうで、そういうところがビシッと決まるのも当然といえば当然ですがそれでもすごくキレイにきまった。
・同時期に同じく2巻完結したこの作品のほうはなんだかドタバタしてましたが、「どうせ終わるなら、ネタをできるだけぶっこんでやれ」的なヤケクソさがあってこれはこれでおもしろかったですが、まとまりにかけては「キスマイアス」に軍配があがりますね。(そもそも比較すべきではないんですが。ジャンルからちがうし)
・あと思ったのは。
・本作のヒロインと、大見氏の代表作である「月刊哀川編集長」のヒロインとダブること。「カワイイ」の手法といいますか。
・テンションがあがると転がるところとか。「まったくまったくまったくもう」っていいかたとか。ひとりで妄想をふくらませて暴走したりとかな。
・まあ、大見先生における「カワイイ」金脈がそこなのだなとも思いますが。
・かつて、いしかわじゅん氏と吾妻ひでお氏のプロレスなケンカのときも、吾妻氏が、(いしかわ氏は)1パターンしか女の子がないけど、おれは、ななことミャアちゃんと阿素湖素子と3つあるなんて自慢されてました。
・それぞれのマンガ家さんは「カワイイ女性」を描くという点で、いくつかのタイプに別れると思います。あだち充先生みたいにだいたい1つで頑張られてる方もいらっしゃいます。
・その中でも大見先生はいろいろな引き出しをもっておられる方だとは思います。毎回読み切りの実体験告白(風)読み切りエロマンガなどでは相当なバリエーションの女性が登場しますし。
・でも、頭ひとつふたつ、この「哀川編集長」パターンが抜きん出てますね。本作、もうひとりの非哀川ヒロインがちょっと霞むくらいですもの。とくに2巻ではあっさり添え物になってるしなあ。
・まあ別にダブろうがなんだろうが両作品ともかわいかったしまったくもってイナフではあるんですが次の作品ではどうなるんだろうかなあという興味は残りました。
・しかしながら。
・闘病マンガでありながらラブコメ、で、実用性も高いという実はわりに新機軸(初ではないだろうけど)。
・このパターンはつづいてもいいんじゃないか? ほかにどんな病気が適当かはわからんけどさ。
・そういうイミでも痔ってのはすばらしいんだよね。当人はキツイだろうし、痔瘻なんて凄惨そのものの病気ですが、軽度のそれならどことなく笑えるものでもあるからね。
・いいマンガを読むと、「監督として映画化してえ病」が久しぶりにフツフツと。
・これは映画としても新機軸だからいいっすよ。少なくともぐ〜たらら〜なマンガを3部作にしてやるよりも絶対にいい。
・その際にはテーマソングはぜひ「穴の中で僕たち」という曲がいいなと思いサブタイトルにさせていただきました。
woo
でたいような
でたくないような
どっちでも
どうでもいいような
眩しいとこだけど
淋しいよりはいい
なんて思って
ゆれるゆれるゆれる
ケラ作詞 松尾清憲作曲
・あと、おれもちょっと裂痔の方を(正直に)。
体調悪いとたまに。