「千代に八千代に」という短編集がよかったのでまた買ってみたのでした。出版社はちがいますが。
連作短編集。テーマは家族愛。そしてスターシステム的にこの話のサブキャラが次の回の主役だったりと各話はうっすらとリンクしている。そのリンクはまた意味がある。ただ、うっすらとしてるので無視してもかまわない仕様にもなっている。そこいらは親切設計。
「千代に八千代に」よりもあらゆるものをかなぐり捨てて「泣かせ」にきている。いろいろなところをすっ飛ばして、親の愛、恋人への愛、そういうものを突き詰め、煮詰め、ダイレクトに涙腺を絞り込んでくる。大げさな話は少なく、幸せの青い鳥よろしく、本当の幸せは日常の些細な1日にある的な、親の愛は永遠不滅的な、こうやって茶化さないとやってられないほどベタにストレートに確実に泣かせにくるんだよ。
定年退職した親を祝いに久しぶりに家族がそろう「その後、」が個人的には格別。こういう日がくると思ってたから。