2017年02月05日

フイチン再見! 9 村上 もとか (小学館 ビッグコミックス)


マンガ家上田としこさんの生涯を描いた作品。9巻ってけっこうな大河連載になってますね。次で完結だそうですが。
「フイチンさん」で戦後の少女たちを楽しませてって話ですが9巻になるとマンガも大改革の時期が訪れております。
雑誌の週刊化、新人漫画家、とくにトキワ荘の面々の台頭など。少年たちは劇画に夢中で、そんな殺伐としたマンガはいけないといっていた上田としこさんのマンガがPTAに不純異性交遊が描かれててけしからんとやり玉に上がったりと滑稽なような恐ろしいようなマッチポンプなエピソードが非常に象徴的でマンガを取り巻く環境が目まぐるしく変化している。
こうやって今しみじみと思うとおれのモノゴコロついた時期は、マンガの整地がすっかり終わっていよいよF1のようなマシンが週刊雑誌でドーンと走り出す黄金期へむけてのジャストなタイミングだったんだなあと。そしてその前の時代がこれだったわけだ。
しかも、たとえば「まんが道」のように追いかける立場でイケイケドンドンじゃなくて、後続の猛追に煽られてくるしみもがいてるのは新鮮です。水木しげるさんはどこか他人事でしたしね。

個人的には上田としこさんのマンガは「影響を受けた」とされている高野文子さんのマンガを仲介として知識として知っているだけですが、彼女に影響を受けた、水野英子氏や萩尾望都氏、名前だけですが、ちばてつや氏、石森章太郎氏など、レジェンドがリンクしてくる感じはすごくワクワクしてきます。水木しげる先生の貸本マンガとはちがった世界のマンガ家の生き様ということで非常に興味深いです。

村上もとかさんのどうなってるんだ?ってくらいの美麗な絵や安定したストーリー展開もすばらしいものです。この方すごく長いキャリアで最初から「絵がうまい」って感じだったのに近年もどんどん進化していってるよ。

正直なところ上田さんの書籍を読みたいってほどのものではないですが(小学館からフイチンさん完全版上下で5000円とかあります)、土田トシコさんの「フイチンさん」の絵も古びないエヴァーグリーンな魅力があります。




posted by すけきょう at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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