シリーズひさしぶりでしたが最終巻とのことです。短編2編収録。
読み書きのできないおばあちゃんと少年の交流「サリバン先生」。男子高校生の目から通してみた在りし日の村の風景「山の花嫁」。
「ここだけのふたり!!」や最初の「少年アシベ」のときにあったトゲトゲした人間関係はすっかりなくなったのだけど、その分、熟成された甘みの中の苦味が非常に効果的な昨今の作品。
「いいひと」をストレートにいい人に描く。本作も裏がない「いいひと」が多い。「サリバン先生」の読み書きできないおばあちゃんの小動物のような愛くるしさ。「山の花嫁」に出てくる不細工な男に嫁いだ美人妻、少年が憧れた先輩。どちらも気持ちのいいくらいに裏表のないストレートな美人。昨今のマンガよりマンガ的な欠点がない美人。だけど非常に苦い展開が待ち受けている。なんだこの感じ?
さきほども書いたけど初期のトゲのあるひねったキャラ。「少年アシベ」だったか「ここだけのふたり」だったか忘れたけど、可愛くて清楚っぽい乙女が庭で草木に水をあげてるのを不細工な少年が木の陰でぽーっと見とれてる。その後ろから、あの子が水をあげてるのは大麻よって。それが好きではあるのでいまだに妙な違和感があるんだけど「これでいいんだ」と。それが森下先生が選んだ作風や道だしなあ。
少年の憧れた先輩と高校にいったら映画を一緒に行こうとバスで約束するシーンなんてしびれる。しびれはするしおもしろく読ませていただいたのです。
ただ、なんていうか、おれとはいろいろと合わなくなっている。その気持は残る。
「なのなフォトごろー」は好きだったけど、コママンガは合わない感じが強い。