待望の2巻。また一段とすごいところに到達し、多分、その最終着地点はとてつもないところになるのではないか。そしてそれは作者自身もきっちり読みきれてないというところがスゴイ。
佐村河内守氏は「聞こえているのか?」ということではじまった難聴者の世界をマンガにするという壮大なココロミは2巻にして急転直下。「聞こえてるのか」という問題は根深く厄介ということを丁寧に解き明かしていく。これはミステリーもかくやのスリリングな展開。
そしてホラー。まったく無音じゃない世界に生きる難聴者は、無音の世界より怖い。言葉の分からない国に置いてきぼりされた気持ちになる。他言語ならばその気になれば習得し理解できるが難聴者にとっては一生わかることがない。つまり、永遠に言葉が通じない国に「ひとり」なわけだ。最強の疎外感を味わっているわけだ。これはそのまま映画になりそうな題材ですよ。
で、当初の課題。「聞こえているのか?」ではなくて「どのように聞こえているのか?」になるんだよな。ただ、そういう「こと」と別に、相変わらず冷静沈着な「カメラ」をお持ちの吉本氏は同情の姿勢をみせつつもシビアに佐村河内氏を観察している。
医者への話が多い巻。みなすごく真摯に「先」を考えておられて感服する。