異星人がアタリマエのようにいる世界。ゴハンを食べないというクミカさん。空気を吸うだけで栄養が摂取できるから。だから地球にきてはじめて食事するようになる。成人女性なのに口にする物がはじめてというそういうグルメマンガ。
「ビックリハウス」という雑誌がかつてあった。全編ラジオの深夜番組の投稿コーナーのような感じで構成されていて、その中のひとつに「変態よゐこ新聞」という糸井重里氏が手がけておられるコーナーがあった。
その中の人気コーナー「気持ち悪いものとは」というところに、「炊きたてご飯に鼻血1滴」というのがあり、何十年経っても忘れられない。
ほんのすこしのことで台無しになるということですよね。
そう、本作には「鼻血」があった。
クミカさんのトモダチの別種族の異星人が乗っているクルマ。これの描写がかなりアレだった。アレはないよなあと思うくらいアレだった。そう思ったとたん、背景、小物の描写のアラが急にみえるようになってきてかなり色あせてみえるようになる。
話としては3巻にきてグルメよりもそれぞれのキャラにシフトして、クミカさんも同僚の憎からず思ってる人との距離感を縮めてみたり、他の異星人との交流とか(女性が異星人なんだよね基本)も深まって世界は広がってる、深みを増している。
でも、あのクルマはねえよなあー。
以前、今も活躍されてるマンガ家さんのギター描写にもそう思うことがあった。楽器はとくに多いですね。「けいおん!」とかもそうかな。
これが精緻ならいいってことじゃないんだよね。そのマンガの中で「嘘」じゃなかったらいい。だけど、3巻のクルマは嘘だとおれは思った。そう考えると、クミカさんの部屋にみんなで家具を手作りで作るとかもなんか「描きやすいように直線を多用したものなのか?」と思ったりなあ。
マンガなんて所詮、紙にペンで描かれた「絵」です。それなのに魔法がかけられていて、人物は動き話しそれらに笑ったり泣いたりできる。こんなすばらしい魔法ってない。それはでもデリケートなものだからほんのちょっとしたことで壊れる。嘘に気がつくってそういうこと。
ムー。
「妄想テレパシー」でも書いた「3巻の魔」。昨今有象無象出現しているグルメマンガにおいては、「3巻でもはやあまりグルメ関係なくなる」ってのはあるあるなのかもしれないな。「ダンジョン飯」でもそうだったし。
本作は「外星人」の生態や考え方や人間との異種間交流のほうにシフトしつつあります。その交流に「食事」が重要な要素を持っているということで。
うむ。「ダンジョン飯」同様、4巻でドカーンってのを期待しております。
【3月の「このマンガがすごい!」ランキング オトコ編】押切蓮介の自伝……ではなく母伝!? オトコ編第1位は…… | このマンガがすごい!WEB
蛇足ながら念のため。
「このマンガがすごい!WEB」の2016年3月度のランキングに入っている「クミカのミカク」1巻の投票はしておりますので。4巻ほんと期待してるから。
また魔法をかけてください。