1巻は新書風のジャケットだったけど2巻はいきなり「いつもの」感じになっている。
しかし、しみじみ良くできているマンガだなあと思うのです。
本編とはちがう、ちょっと大きめな話からはじめさせてください。
エッセイコミックを描くことで1番必要なのはなにか?
コレに関してはわりと唯一解があると思うんですよ。
「観察眼」ね。
コレのない人でこのジャンル成功している人はただのひとりもいない。
「観察眼」はけっこう広義にわたるぼんやりした言葉であるけど、それもそのはずで、どこをどうみてるかってそれぞれちがうし、それをどう描くかってのもまたちがう。
極端な例でいうと手塚治虫氏の逸話を描いた「ブラックジャック創作秘話」でおなじみの吉本浩二氏のエッセイコミックなんかは「正確」という点ですごい観察眼。
正確に映しとるのは大事だけど、それをどう切り取るかってことで、えげつないほど正確にちゃんと描くのが吉本浩二氏。
エッセイコミックなのかどうかの論議もあるとは思いますが、「ど根性ガエルの娘」。1巻1話の話が実は全然ちがう視点で描かれたというので話題になったじゃないですか。あれをみると人がみえたこと、どう描くかってのは様々ってのがわかりますよね。
そういう中、すごいのって「あ、そうだった」と気づかせる思い出させるところですよ。
で、本作ですよ。いつまでも「モテナイ」という自身の気質が痛いほどよく分かるんですよね。いろいろと思い出させる。
おれも奥さんラブでありつつも、奥さんがこっちを好きなことにずっと懐疑的だったので、実家に帰って戻ってくるとホッとするし、遊びで喧嘩みたいなことをしてたときについ押し倒したらそこにまったくもって自分好みの人妻がいることにドキリとするとかまったくもって新鮮でありながらも同時にあるあるなんですよね。
ここいらができてないエッセイコミックってアホほどある。そして誤魔化すために自分を道化としておもしろおかしくだけを強調するというクソ寒いの。
いちいち具体例を挙げてもキリはない。そしてそういうのもけっこう「あるある」として重宝されてる方が多いし、そういう方を無駄に挑発してもいいことはないしな。
これらは本作に限ったことでもない福満マンガの特色ではあるんだけど、本作には、各話終了後に「中国嫁日記」のように奥さんからのひとことがあっていい。それがまたいちいち嘘がない「らしさ」があってさ。
奥さんカワイイなあホント。愛が溢れまくり。