宮原るりは憎たらしい。
「そつがない」って微妙にホメ言葉にはならないかもしれないけど、これまで読んだ限りじゃ、そつがないことにかけては最上級を進呈してもいいんじゃないかと思うよ。ソツナシストってか。
画力ストーリーキャラ全てにまったく欠点がない。ギャグセンスは個人差があるから人それぞれだけどそれすらも大掛かりなネタの一部に組み込む技術の高さはすごいよ。
そう、「そつがない」の最上級はつまり「そつがない」という批評に対しての答えも用意してあるんだよ。9巻はそれが爆発してしまった。雑誌で読んでなかったので虚をつかれるというもんじゃなかった。
河合荘に住んでいるユカイな面々を描く。最年少の高校生は1コ上の女子高生に恋をしています。でも、告白もできないし、むこうも妙に気にしたりしつつも距離があいてって、「おなじみ」の寸止めラブコメです。
後半の爆弾投入にamazonのレビュー(画像クリックでリンクしてあるので読めますよ)もすごいことになってましたが、おれは前半の「仕込み編」であったヒロインとその恋敵だった人の「友情」がとってもいい感じだったしいい流れと思った。
それすらもいつもの「イメトレ」妄想パターンのギャグのあいだに滑り込ませているし。
すべてがつながっていて、この先もすべてがつながっていく感じ。あらゆるところに散りばめられているパーツのいっこいっこが全部機能しているという恐ろしさ。
そうみると9巻だけでも前半部の麻弓さん(もっといえば8巻の麻弓さんたち)のギャグも、前記の友情の流れを差し込むところも、花火大会の「いつもの」にみえる盛り上げようも、途中のベタすぎる怪談回での「元通り」感も全部周到に周到に計算されて配置し、作動させていることがわかる。
本当の神はそういうのすらまったく感じさせないんだろうけど、神ではないので分かってしまう。そしてそれでもかなり肉薄しており、その巧さに舌を巻かざるをえないわけですよ。
あー憎たらしい。