2017年07月21日

かぐや様は告らせたい 6 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ 赤坂 アカ (集英社 ヤングジャンプコミックス)


オビがすばらしい。

「"エロ"に頼らぬ大偉業!! ヤングジャンプラブコメ史上最速・・・100万部達成」

そうなんですよ。本作はエロに頼ってない。それでいて100万部突破がアタリマエといえるくらいのぶっちぎりのおもしろさを内包している。
ここんところラブコメといえばウチとこだってくらい小学館がラブコメで猛追撃している。小学館内サンデー内で共食いしているような乱戦状態のなかで(ちょっとした蠱毒だよな。ラブコメ蠱毒)、どれくらいなものかわからんけどトップクラスではあると思うんだ。

そして5巻でかなりのピークと思っていたのがこれ以上をみせてくれたのが6巻という。5巻は通過点に過ぎなかった!

学園生徒会ラブコメ。生徒会長と副会長はお互いに好き合ってるけど、なんとかむこうから告白させようと小細工を練るというワンアイデアから派生してきて、6巻ではかなりカオスになっているかと思いきや、わりとその初期設定をうまく保ち続けているんだよね。まあほぼ有名無実ではある設定だけど。

このマンガが他のラブコメより抜きん出てすばらしいところは1点。ジャストでベストなことです。

ラブコメのみならずすべてのマンガにとって「おもしろい」と「絵が上手い」ってのは同義語ではあります。おもしろいから絵が上手いし、絵が上手いからおもしろい。
そして「絵が上手い」とは、ジャストでベストなことです。マンガにおいては絶対的な解です。
本作はジャストでベストです。だから絵が上手いしおもしろいということです。だからこの熾烈なラブコメ戦国時代に覇者として名を挙げているのです。

その場面には、そのキャラがその顔をしてそのセリフをいう。

これがジャストでベストの正体です。

本作6巻での一例を挙げましょう。この巻のベストともいえる回56話「白銀御行は見上げたい」。

生徒会のメンバーでお月見をしよう。そんなときでもかぐや様(ヒロインの名ね)は恋愛大作戦を仕掛けてこようとする。寒いといって上着を貸そうかどうしようかドギマギする様を楽しもうとしたけど、主人公は星を前にして純真な気持ちになっているからあっさり上着を貸す。そのほかの仕掛けもキレイにのってあまつさえも抱きかかえながらねころがって星をみはじめる。

そのときのかぐや様のリアクションが「は・・・はれえー??」です。天丼でこれを重ねてきます。「あれー?」でも「えー!」でも「!?」でもないです。ここの絶対の正解は「は・・・はれえー??」しかありえません。表情もこれしかないって顔をされてます。そしてさらにいうと編集(オビを考えたのもそうでしょう)がかなり有能で、フォントとか字の大きさもジャストです。少しずつ「はれえー??」が大きくなります。憎い演出すぎます。(編集のワークスで秀逸なのは54話のかぐや様の思考がまとまらない場面でも見受けられます。まあ、編集なのか写植の人が優秀なのかわかりませんが)

「はれえー??」です。これをぶっこむことができるかどうかって差は非常に大きいです。「はれえー??」はそもそも日本語じゃないですからね。でも、これです。読んだ方には納得していただけると思います。この言葉はここに置かれるべきでした。そして置かれました。これがジャストでベストです。
伊集院光氏がラジオでよくおっしゃってるホームランの感触。なにもチカラもかけてないし当たったインパクトも感じないそうです。それに似たような高みが「はれえー??」です。作者他にそれはちがうっていわれたら「はれえー??」って応えるまでです。

しかも、5巻では1話として独立していましたがこの回にはシリアスシーンもぶっこんできます。それすらも飲み込んで「うわ、たまんねー」状態にしてしまうんですよ。

ギャグのキレもいい感じで増してるしなあ。60話でのかぐや様が未来の生徒会を考えてるときのアングルが最高だった。

まあ、弱点といえば、表紙の後ろの男と泣いてる女誰?ってことくらいかなー。あとカバーめくったいらすとやあしらいのギャグもちょっとすべってたかな。

それも含めていい。作者は上記の意味とはちがいもっと一般的なざっくりした意味で絵が上手くなっているな。画力が上がるみたいな意味で。これはわりに諸刃の剣的な意味も生まれてくるので気をつけてほしいなあとは思う。画力に甘んじてギャグ漫画家を廃業した人とかいるじゃない。
今の絵が今の話にはジャストでベストだよ。

posted by すけきょう at 14:35| Comment(0) | TrackBack(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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