1巻は正直「まあまあ」って感じでした。
30歳の半引きこもりフリーターオタク女がタイムスリップってか中1の自分に戻るリプレイものです。
1巻では死んだばあちゃんが生きていた「うれしい」。若くて身体が動く「うれしい」。自分の黒歴史発見「うわー」。みたいな感じでしたが、それと同様にあちこちにまいていた種がいっせいに芽吹いた2巻だったのです。
1巻のラストで主人公はこの先の中学生ライフを思い出すのです。テストの赤点の束が親にみつかって暗黒期になった「マンガ禁止令」が起こる。だから先手を打って、というか、もうぶっちゃけようと、「私は実は30歳です」とカミングアウトします。その1巻のクライマックスがどうなったのかというと、「なにバカなこといってんの」と軽く流されるのです。
でも、マンガ禁止令は回避されるのです。なぜかというと、30歳の中身で中学生。引きこもりの反社会的日々を送りつつも、フリーターやって家で穀を潰している手前、家事も手伝うし、「親の都合」なんてのもよくわかるので、風呂を掃除したり、庭の草むしり、ごはんを作る手伝い、風呂に入れなどの急かされることに素直に反応するわけですよ。それが功を奏した。こういうミクロなところを丁寧に描いた点に唸ったのです。
中学生男子なんか子供にしかみえないし、恋人いない歴年齢だとしても30にもなるとそこそこの応対ができるようになっているというので「男あしらい」ってことでも発揮されるけど、それはまあかつてのリプレイモノでもあるわな。憧れの女教師と思っていたけど、40のおっさんからみるとただの狭量な小娘だったとか谷口ジロー先生のマンガでもあったわ。
でも、中学生の時の無闇に親のいうことに逆らったり、「風呂に入る」という行為が死ぬほどめんどくさかったり、今人生で1番大事な時間(アニメをみてる)なのに邪魔するから殺すって感じになるのとか、丁寧に描写して、1巻からの伏線も活かしているのが素晴らしい。
おれは時間モノ、リプレイやタイムスリップモノが大好きなのでわりと手にとって読む方なんですが、こういう流れはみたことないなあと。
あとよかったのは、これまでのリプレイのファンが自分だけだったのが徐々にまわり、たとえば友達と遊ぶことの異様なくらいのありがたい時間を実感したりするシーンもなあ。
「また明日」といってくれる友達がいるってな。
佐野元春さんの歌にもあったね。「また明日」。いい言葉をチョイスしたなあと。
まあでもぶっちゃけると上記の「素晴らしい」ところがあまり描かれないわけもわかるのよね。それはあまり「おもしろい」につながらないからね。どうせ、中学生に戻るんだからもっとドーンっていろいろやれよってことにはなるからね。
そのラインでも動きがあります。そういうときに中学生ってのが効いてくるんだよね。いろいろと「やる」可能性がみえるけど中学生でできることには限りがあるわけよ。その不都合がキモになっている。
それが味わいだけど、それだと話も進まないしなあ。痛し痒し。かといって2巻のヒキみたいな大きなハラハラにはあまり期待しないんだよなあ。どうしたもんじゃろな。
ただまあ2巻はすごく良かった。