今度映画もやる「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」の作者による最新作。
おされデザイナーで独身50代の渋井直人さんのあまりシブくないかっこ悪い日々を描いた作品。
おされで女の子が抱かれたいってうるさいから今度パーティーきてよっていそいそといったら同じカッコしてる野郎ばかりがいて愕然としたり。
デザインをパクったのがバレて、もめてたら擁護をしてくれる人(これはオマージュです的な)がTwitterでいて黙って応援してたらボッコボコになってアカウント削除になってしおしおになったり。
乃木坂46にハマって写真集を手に取ってるところを悪からず思ってた仕事先の女性にみつかって、開き直れってすげえカミングアウトして余計に傷口広げたりとか。
うん、つまり、失敗のマンガなんだよ。ネットでたまにみかけるマンガやドラマで失敗する場面をみると痛みを覚えるって種族にはキツイかもしれない。そしておれは本作でその気持ちがちょっとわかった。
都内でおされデザイナーなんて「かっこいい」のカタマリじゃない。DJも趣味でやってるんだよ?それがほんとしょうもないことくだらないことで悩んで失敗して凹んでるってオチのマンガが延々と続くのよ。
構造としては「孤独のグルメ」の原作者久住昌之氏と泉晴紀氏のユニット泉昌之氏の「食の軍師」の本郷をはじめて失敗するキャラが出てくるマンガを鬼のように手がけられておるけど、その派生とはいえます。ただ、その舞台がかぎりなくオサレなデザイナーやら出版やらDJやら音楽業界やらだということです。
これがおもいのほか重く感じる。
いまさらそういうことにコンプレックスやら嫉妬や羨望を感じるということではないけど、有名デザイナーってのはたどり着いたオシャレ族のかなりな上層部と思えるのよね。そういう方のせせこましい考えとかかっこ悪い失敗とかはなんかとってももにょる。
そして気がつく。失敗したことは確かだけど、前提がオシャレだと。インスタで知り合った20代の女性とデートとか、DJで自分の好きな音楽に食いついてくる可愛い子とか、ジャケットをデザインしたアーティストのインストアライブのあとに楽屋に呼んでもらえるとかな。
嗚呼それなのにそれなのにと。
後半彼女もできるしな。
とにかく複雑な気分になるマンガだわ。