やっぱりおもしろい。
戦国時代。実名の歴史上の人物がバンバン出ている中レイリというめっぽう剣の腕が立つ少女が活躍する。
なんと4巻サラリとネタバレするけど徳川家康と話してますよ。
岩明均氏のマンガの最大のポイントっていうとわりと意見が別れるところがあると思うんだけど、「岩明マンガ全部」ってつけると実はグググとフォーカスが絞られてくる。
それは、表情だけ置いてあるコマがあること。
4巻。武田家に捨てられた高天神の立てこもり。レイリの命の恩人が指揮を取っている。レイリはすべての命に背いてそこに向かう。もともと死ぬことに恐れがないし、いままでやっていた「それ」も恩人のためにやっていたことだから。
だから向かう。そこに、唯一くらいレイリより剣が立ち、なおかつ恩人から離れてたときレイリの面倒をみていた男が立ちはだかる。
「主命に背けば死罪」
「じゃあ切れば」
と、レイリは男の横を通り過ぎていく。男はそのまま行かせる。
以降17コマ一切の台詞がない。そしてレイリの表情、男の表情ですべてを語る。
こういうシーンに感動を持ってくる。表情だけのコマで感動を喚起する。まあ、凡百のマンガ家がおいそれとできる技じゃないわな。
ところが作画の室井大資氏は100%をこえて応えてる。このガチンコがあとからわーっと効いてくる。
台詞もモノローグもない状態、表情だけでなにを考えてるどうしたいってのが見て取れないとわからないんだよ。それをあらゆるキャラでガッチリやっている。くわえて、悪人を描かせると室井氏はたぶん岩明氏を越えている。悪い顔の「引き出し」が多いんだよね。
本作、徳川家康、織田信長、どちらも悪役なんだよね。食えない家康、ラスボスとしての風格十分の織田信長。どちらもとってもいい「キャラ」だ。
恩人とのやりとりは最高だったな。号泣。