近年は4コマ王子というよりショートコミック王子となりつつありますが、本作は、限りなく実話に近い、マンガ家夫婦(どっちも現役マンガ家)の四十路の新婚さんのご飯エッセイ風コミック(フェイクも混ぜてあるとのことで)。
いやこれがもう素晴らしくてな。奥さん最高だ! 旦那さん羨ましい!ってのが「少なめ」なのがスゴイんだよ。
なに?と思われるかもしれないけど、この夫婦にジェラシーとかそういうのはあまり抱かない。でも、「結婚っていいなあ」というメッセージはガッツリ伝わる。
カゼをひいたときは結婚してよかったって超ベタじゃん?そこが出だしだけど、作者はここで懸念材料があるのよ。おかゆがとても苦手なんだって。ドロドロ系がダメだそうで。
だから、奥さんが何か作ってるのが心配。でも、奥さんが作ったのは雑炊。これはセーフ!って。で、たずねたら口に出してはいってなかったけどどうも苦手そうだから止めておいたって。
こういうところよ!
小坂マンガの多くは何度も書いているけど「(自分を)わかってほしい」というキャラが多数登場する。本作の奥さんはすごく分かってくれる。そこがもう本当に! あー結婚してーって。結婚っていいなってメッセージが伝わるところよ。してみれば結婚生活とはお互いを分かってもらえる人との共同生活なのかと。
そういうのが満載のマンガ。奥さんと2人なら、お互いがひとりじゃ絶対に行けない店に行けるとか。奥さんといたらお祭りの夜店の屋台のやきそばをその場でしゃがんで食べていてもなんかセーフとか。
とうぜん、食べ物云々のネタもありますが、これを読んで、以前出していた「わびれもの」のような旅マンガにほとんど食の描写がないわけがまたよくわかる。基本いろいろな点で「雑食(雑な食事環境でこれまで過ごしていた)」なんだね。ナルホド。