エホバの証人の王国を信じる母親とともに宗教活動を続けていた子供が描いた実録マンガ。
というと、「カルト村で生まれました」というのを思い出しますが、こっちのほうが閉塞感は強い。どこか呑気でいてまだ全然「抜け」てない「カルト村〜」の作者に比べるとかなり重い。
ずっと「これはおかしいのではないか?」という気持ちを抱えたために、抜け出したあとに今やってる「サタンの行為」とのギャップでおかしくなるとかはやっぱりそうなるよなあとは思う。
抜群のエピソードとしては、ツバメ。奉仕の日(つまりはタイトル通りの宗教勧誘をする日)ちょっと遅れ気味だったのでいそいでクルマで行こうとしたらフロントガラスにツバメがぶつかる。主人公は「まだ生きてるかもしれないから助けよう」という母親は遅れることを気にするが泣いている我が子のために舌打ちしつつも戻ろうとはする。そこに通りがかったおじさんがツバメを拾う。母親はこれ幸いと「あの人が助けてくれるからもう大丈夫」といってしまう。おじさんは横目であいつがやったのかと睨んでいる。それをずっと覚えているということだよな。
(一応書いておくとエホバは人間のための救済にだけ働く宗教で畜生は関係ないってスタンスらしいのでこういうのはどうでもいいらしいです)
あと、邪な心をが入った子供を「正す」ための「やり方」を母親たちが話すシーンもなあ。ベルトがいいとかゴルフのグリップが1番いうこと聞くとか。
争い事を避けるので運動会の応援練習などはなにもできない。選挙も白紙で出す。
そしておじいちゃんの葬式。行くけど焼香も合唱もしないでただ座っている。
そういうことの「おかしい」はやっぱりずっと蓄積されておぼえているんだなあ。そしてそれは一般人といっしょに暮らしてるから余計に際立つことで、そう考えると「カルト村〜」の人は田舎に「こっち側」の人間とばかり暮らしてるからそういうことはなかなか思わないので、ああいうちょっとした選民思想的なことがまだ抜けないんだろうかなあと思ったり。
んまあ、人とは、政治と宗教と好きなひいきのスポーツチームと仕事と給料の話をするなってのがよくわかるね。宗教がとくにタブー中のタブーだね。
このマンガの全部が全部そのままではないけど部分部分で思い当たるところはヤマのようにあります。うむ。こわいこわい。