2018年01月16日

二本松兄妹と木造渓谷の冒険 水上悟志(少年画報社 ヤングキングコミックス)


ザッツ・エンタテインメント。ジャスト・エンタテイメント。
タイトルがすべて。二本松兄妹が木造峡谷で冒険する話。
二本松兄妹は拝み屋。借金のために安い賃金で退魔している。あるとき少女を拾う。彼女を故郷の木造峡谷まで送り届けることになる。そしてはじまる大活劇と。

読み終えて最初に思ったことは「全1巻」流行るな!って。全1巻か上下巻な。それで本作のようなドタバタ活劇とか息も詰まるサスペンスな。これは流行るぞ。どうしてかというと、これほどアニメ化、劇場アニメ化、実写映画化にむいたボリュームはないからだ。
長編漫画をあれこれ削って無残なメディアミックスにするくらいなら最初から勝負できる作者に全1巻を描いてもらえばいいんだよ。
水上悟志氏はピッタリだよ。そして、これは劇場アニメにするには100点満点だよ。
水上氏でいうなら「惑星のさみだれ」とか「戦国妖狐」なんかのコクのありすぎる長編のほうが有名だしガツンとくるファンも多いだろうけど、それぞれ全10巻、全17巻よ。これ、2時間3時間にまとめたアニメでみてみたいか? あるいはつづきつづきだとしても10年くらいのスパンでみたいか?それはテレビアニメ化にしたってそうだろうや。

なら、最初から「水上悟志」のエキスがたっぷりつまった「それ」だろうよ。作者や編集が意図したものかは知らないけど、本作、おあつらえむきオブジイヤーだよ。むしろ、架空の劇場アニメのコミカライズといってもいいくらいだよ。良コミカライズって感じになるよ。どんだけねじくれまがった感覚なのかわからんけど(読んだ方にしかわからないけど木造峡谷とかけております)。

泣いて笑ってアクションがあって愛すべきキャラが多数いて壮大なスケールでかわいいキャラもたくさんいて、おっぱいで。およそ最近の劇場アニメに必要なものは全部盛り込まれている。実際、敵の手下のスズメらはすでにグッズ化が決まってるしな。

こういうのバンバンやっていこう!そしてアニメ屋さんもそれからずいずいアニメ化していこうよ。そうすると「道」ができる。

そう思ってみるとさらに最の高でございますよ本作。同時発売の短編集に収録されている「虚無をゆく」よりこっちでしょ。ジブリ、細田守監督、新海誠監督、湯浅政明監督、などの劇場大作のノリを連想させつつ、それらにないモノもたくさんある。すなわち、「戦うことができる」作品だなと、読んでいて興奮しっぱなしでした。おれが野望プロデューサーなら少年画報社に電話かけてるね。

「我らコンタクティ 森田 るい(講談社アフタヌーンKC)」「どこか遠くの話をしよう 須藤 真澄(KADOKAWA ビームコミックス)」とか近々でも手頃なのいっぱいあるよ。そういう劇場アニメ原作プレゼンがしやすい枠を定着させていくといいんじゃないかと思うわ。
レビュワーや読者も「もっと長く読みたかった」みたいなことばかりいわないようにね。もうそれは「古い」感覚だよ。長いのは長いのに合ったモノがある。本作これが3巻4巻になったのみたいか?それなら作者がカバーめくった表紙にあるように兄妹の別の冒険のほうがいいやろ。


posted by すけきょう at 19:02| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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