2018年02月27日

あんたさぁ、 ルネッサンス吉田(小学館 ビッグコミックススペシャル)


はじめての方です。前情報も知りません。いま、調べたら2005年デビューの方なんですね。ベテランさんです。
会社勤めの弟と、マンガ家の姉の二人暮らし。姉はココロの病で、お金をもらってセックスしたりもしてます。
タイトルは弟が姉をそう呼んでいるところからかな。つまりはそんな姉弟の距離感ってことなんだろうなあ。

本作、姉の感覚や感情に入り込ませるチカラがハンパなくてすごいわ。飲み込まれて姉に強制シンクロしていくような感じ。
姉はちょいちょいとエロいことしてますけど、「好きな人とはセックスできない」という感覚の持ち主。そのわけも生い立ちから語ってる。だから、最愛の弟とはセックスしなくていいから大好きと。そういう位置づけ。
だから、セックスのあいだはずっと「こういうこといったら怒られるかな?」「こうしたほうが怒られないだろう」という思考で動いている。これがリアルなのかどうかはわからないけど、前記のように「飲み込まれ」るのですよ。
布団から出られない、トイレから立ち上がれない、自殺しそうな気持ちを薬を飲むことで必死で抑える。この感じとか。
それを「わかる」っていうとおこがましいし単純に錯覚なんだろうけど、たしかにこう考えてそうだなあと。

読んでいて姉になっていき限りなく不安になっていく。そして頻繁に登場するボートのシーン。姉弟でボートに乗りオールを漕ぐ。ふたりで乗っていられるうちはグラグラの不安定なボートでもそれは「幸せ」ってことなんだろうなと。でも、気がつくと岸辺にどっちかが降りて泣いていたりとか。その恐怖とかな。

セックスをしながら「男が何を考えてるのかわからないからこわい」と思い続けているってシーンがとりわけこわいわ。「早く終われ」なんて思いながらみずからそういうことをしている感じが。

愛のあるセックスがしたいなと思いました(なんだよその結論)。


posted by すけきょう at 20:04| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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