1巻はあんまりだったんだ。各所で絶賛だったり「このマンガがすごい!」ほかでも入賞(オトコ編で4位)しまくってたけど正直マジでか?と思ってたんだ。
それこそ2巻のオビにある糸井重里さんのコメントの通りなんだよ(裏のほうね)。
『小学生だか中学生に大人びたセリフをしゃべられて、なんだか小癪なマンガだと思って読みはじめたのだけど、』
これ。まさにこれ。ずっと阿部氏のマンガは買ってる。ノータイムで買ってるので商業出版のもの(同人があるか知らない)は全部持っているはずだけど、それらのこれまでのパターンにあてはめるなら、そういう文学少女の独白で進行する演劇をマンガ化したような感じなのかなと思ってたんだ。
それにしては異様な背景(実写取り込みの精緻なのを経由してのフリーハンド的な、かなりめんどくさいことされてる様子)の書き込みや、やたらとキラキラしてる描写がむしろ不穏ななにかを醸してて、むむむ?これはどっち(のパターン)だ? とは思っていたのよね。
それが2巻で全部吹き飛ばされた。2巻はわりに序盤からずっと涙が止まらないまま最後まで気持ちのいいところに連れて行ってもらえたわ。どっちのパターンでもなかったんだよ。それが最高だった。ココロの底から晴れやかな「おもしろいもの読んだ」というよろこびでいっぱいだ。それがなによりうれしい。
著者の最高傑作で代表作になる。この先、どんな作品を描いてもおれはこれが1位。全2冊なんだし買え&読め。
あ、あらすじいってないな。クラスのそこそこリア充の中1の主人公。物静かな同級生男子とひょんなことで夜の学校で会う。そして月曜の夜に会うことになる話。
あとごめん。ネタバラシになるかな。関係ない話になるかな。よくわからないから折りたたむ。
最近、マンガ原作の劇場アニメ化ということをよく考える。商売めいたことも考えるけど、それも含めて、作品におけるひとつのゴールだと思うようになってきた。アニメ化。しかも劇場アニメ。
昨今はおあつらえのパターンや型みたいなものもかなり出来上がってきている感触。
それは当然のことだけどジブリの作品が大きい。というか劇場アニメの雛形のなってるのはそれでまちがいないな。映画の雛形がハリウッドのそれになっているのと同じで(余談だけどピクサーやディズニーのCGアニメはこっちのほうをベースに話を組み立てているような気がして日本のそれとはちょっとだけちがうような気がする。気がするとつつましやかに書いたのはさほどアニメ詳しくないので)。
おもしろいことにマンガが劇場アニメの「型」のようなものに準じて短めでまとめてくるようになっているのが傾向があるとは思う。んま、おれがつかんだのがたまたまそうだという割合が高くなっている。そしてその構成や影響は前記の劇場アニメからフィードバックされてそうな。
本作も「このマンガがすごい!」のインタビューにあったように「耳をすませば」の影響が大きいそうで、なるほど、ストーリーの流れは同じだなあと。
「この世界の片隅に」は劇場アニメになることでびっくりするくらい多くの人に知られることになった。それを目の当たりにしてからだいぶ意見が変わった。どんだけ「いいマンガだ」といってもみない人は絶対にみない。
「メイドインアビス」の作者の母も自身のマンガは「読み方がわからない」といってみようとしなかったけど、アニメになったとたん3回も4回もみて最終回で泣いているそうだ。
そういうことを考えるとさー。やっぱすばらしいものは沢山の人に知ってみてもらいたいなと素直に思うようになってきてさ。
本作も強くそう思ったよ。だから劇場アニメになってほしいなと。1巻だけだと地味だけど2巻なら「スクリーン映え」するシーンも随所にあるだろうしな。
参照:[【インタビュー】阿部共実『月曜日の友達』ネームを完成させるまでに1年! 描きたかった思春期の中学生男女と“大友克洋的SF”、そして憧れの“自転車2人乗り” | このマンガがすごい!WEB]