2018年03月06日

ひなつば 昌原 光一(リイド社)

ひなつば
Posted with Amakuri at 2018.3.1
昌原 光一
リイド社

「まげもん」「人情幕の内」の方による江戸マンガ。長編。1巻完結だけど厚いし読み応え抜群。
今回「おおっ」と思ったのは女性が主役で「かわいい」を押し出しているところかな。

江戸末期。剣術道場の先生の一人娘すずさんの話。

男勝りで剣の腕も上々でいつしか道場の外にはファンの女の子が集まっている状態。そんなとき門弟の伊庭にプロポーズされる。自分の中に「女」はないものと思っていたすずのココロに異変が起こる。

ほがらかな道場エロコメかなと思ったりして読んでました。伊庭が好きだって抱きしめてはお尻をもんでぶん殴られたりしてるし。

ところがそこは江戸マンガのベテラン、ひとすじなわではいかない。後半、夜鷹との出会い、夜鷹を襲う辻斬り、と、話が動いていくとけっこうなうねりが起こり、それに「大政奉還」というイベントまでぶっ込んでくる。そう、江戸が終わるわけです。
江戸の終わりと、女性の立場の変化、双方の変化をうまくシンクロしてくるわけです。

登場人物がみんな気持ちのいい人ばかりでなあ。それぞれの後日談、つまり、江戸が終わって、どうなったかってのも含めてとっても気持ちがいい。

とくに実在の女剣士をモデルにした琴さんがとってもいい。もはや自分の涙に信頼性はまったくないんですが、彼女のエピローグには涙が止まらないんだなあこれが。


posted by すけきょう at 18:23| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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