2018年03月08日

鬼滅の刃 10 吾峠 呼世晴(集英社ジャンプコミックス)


「ワールドトリガー」が好きなお嬢様がネットで「じゃあコレも気にいるかもよ」とオススメされたのが本作で、3巻まで買って読んでおもしろかったので残り9巻までいっきに買って、おれも追従して読んだらとまらなくて10巻はおれが買うなんてことになったのでした。

舞台は大正時代。家族を鬼に惨殺され、唯一残った妹は鬼になっていた。妹を鬼から戻すために鬼を討伐する非合法の組織に入隊する。あとは鬼一味とバトルバトルと。
んま、ポトチャリコミック名物のざっくりあらすじだとこんな感じ。

3巻までがもうセンスの塊でね。以降もすごいんだけど、絵やらネームやら構成やら全部の「若い」ところを有り余る独特のセンスで押さえつけて疾走してるのにやられてね。
ややこしいアクションなんかもわかりやすく描くという才能も配慮もあるけどそれよりも炸裂するセンスが大きい。

それは10巻のいまでも健在ではあるけど、それまでにほかの「若い」ところがどんどん成熟されてきて、何度かのターニングポイントはあるけど、8巻で現在形になって、10巻では吉原遊郭を舞台に花魁に扮してた鬼とバトってる状態です。

8巻からの基本は主人公は2人の同期と3バカ状態で活躍し、組織のトップの戦いをアシストって感じで展開してます。しばらくはこうなる気がします。って予想外に誰かが死ぬかもしれないですが、まあ、もう味方は殺せないだろうとは思うんだけどな。一気に読めば10巻まであっという間ではありますが、たとえば吉原遊郭編にしてもバトるまでのお膳立てがちょっとかったるいところがありますし、突然過去がインサートされたりそこでそのモノローグや展開はちょっと強引じゃないか?と思ったりしますが、それはONE PIECEもそうだからいいのか。

3巻まで。6巻まで、8巻までって、買われていくといいかなと思います。

そいで伊之助だよ。最高だあいつ。山でイノシシに育てられた男でイノシシの顔をいつもかぶってるけど、素顔は美少女と見紛う美少年。ただ、頭の中はゲットワイルド&タフ。8巻は最高の活躍を見せてくれたわ。彼の涙と一緒くらい泣いたわ。
彼のキャラの発想もとはなんだろうなあ。あの刀の意味もわからないし。

メンバー3人とも素でバカなのがまたいいよなあ。主人公なのにだいぶネジがはずれてるし伊之助と同じで山から降りてきた田舎者だからな。もうひとりも女と保身しか考えられないバカだし。それでいて3人とも少年漫画にふさわしい「いいやつ」なんだもんな。

ということで10巻はこれまでの集大成たるおもしろさがありましたね。前記のように3巻くらいまでのセンスですべてを押し切ろうとする感じからはだいぶ離れた、良くも悪くも「ジャンプの看板」的な作品になりかかってます。

ただまあ、ちょっとしたアラとしてなら強さのインフレ化というかバランスの調整が微妙になってきましたね。
鬼のボスがいて圧倒的に強い。その直下の子分があっさり殺されてしまうので恐怖に恐れおののいてそれで支配下においているという設定。
退治するほうはトップがその鬼の直下のボスと五分くらいの腕前。やや負けるくらい?
その差異を埋めるのがバトルマンガの主人公特有の未知のパワーを秘めているかもしれない出生の秘密って感じ。

このインフレ具合に9巻からはアマゾンレビューで「ファンタジー化」したという意見があったわ。全面的に賛成はともかく言い分はわからなくもない。そこいらに関してのちゃんとした解釈も用意しているとは思うんだけどさ。

ただ、おれは本作の「おもしろい」をバトルばかりから得てるわけじゃないしな。だから「殺したか!?」「いいやまだだ」みたいのが続くのは正直かったるい。それもう4回目くらいだし。主人公のピンチに討伐隊のトップが助けに駆けつけるパターンも続いてるしな。それが燃えるのもわかるスーパー黄金パターンってのは重々わかってるけど、作者ならそれを超えるなんか作り出せそうな気もする。11巻以降期待。伊之助は殺さんでくれ。



posted by すけきょう at 19:34| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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