読後「おう、さすがだなあ」と満腹気分でいたら、あにはからずやアマゾンのレビューじゃ大炎上。
なんでも「将棋マンガじゃない」「ストーリーがいっこも進んでない」「あいつらを出したりするのは同人誌でやれ」とか。
そういうのはそれこそ2巻3巻からそうじゃなかったか?
桐山くんって天才棋士の孤独の魂がさすらう将棋マンガ。
もう彼は「幸せ」になった。美人3姉妹の愛にまみれたために彼は幸せになった。でも、彼の孤独を考えるとこれがやっとスタート地点だったんだよね。で、ここからいろいろとあるんだなと。
彼は守らなければならないものができる。たくさんはげましたりはげまされたりがある。んま、適当な言葉ではないかもしれないけど「しがらみ」ができる。(ネーおくさん、しがらみって「柵」って書くのよ。知ってた?)
それらを得て桐山くんはどうするかと。さりげないけど、魚釣りのシーン。イソメを針につける。3姉妹の誰もできないから平気なふりして無理しながらつける。つまり彼はこれから「こういうこと」をしてあらゆるところでさりげなく守って守られて生きていくをはじめていくわけなんだなと。
そういうふわーっと広がっていくストーリーがゴリゴリのハードな将棋マンガをのぞむ諸兄にはモノ足りないと。
無指向性で広がるストーリーってあるなあと思ったのよ。マイクでもスピーカーでもカメラでもいいんだけど、風船がふくらむイメージでストーリーが展開していく。「このマンガがすごい!」2019のオンナ編で1位だった「メタモルフォーゼの縁側」もそうだけどさ。
広がっていく中でおのおののキャラを描く。彼ら彼女らがなにを考えどう動くか。これって「将棋」だよね?
あと、将棋ネタないっていったけど、後半の将棋職団戦なんてのは全く知らなかったからな。こういうのは広義の上で将棋の話題だしな。へー、ホーと思ってた。
まあ、2行を書いた諸兄の気持ちもわかるけどさ。ガシガシとストーリーをすすめてどうなるもんじゃないしなあ。もう本作は羽海野チカ総力戦みたいな世界だから。まるごとありったけだから。引き出し総ざらいだし。(ネーおくさん、総ざらいのさらいって「浚い」って書くのよ。知ってた?)
14巻読み終えてからの表紙をあらためてみての涙が止まらないのでおれは全肯定。彼女を肯定しろよ。将棋してるのが読みたいならスピンオフの読んでろよ(おれそっちは読んでないけど)。