2018年12月31日

ルーザーズ~日本初の週刊青年誌の誕生~(2) 吉本 浩二(双葉社 アクションコミックス)


富山県出身ということもあるし単行本は全部ノータイム買いの作者ではあるんだけど、本作は1巻は買うには買ったけどけっこう寝かせていた。
正直に言うと手塚治虫秘話あたりからの実録シリーズにちょっと飽きがまわってきてたんだな。
ただ、本作はこれまでとはちがう。頭ひとつ突き抜けていた。作者は新しい地平に立っているような快作になっている。

漫画アクションの誕生秘話です。

双葉社が舞台。清水文人氏がモンキー・パンチ氏を見出し、「新しさ」を感じる。そういう時代の移り変わりに合っていると。

2巻ではバロン吉元氏が登場。マンガもそうだけど本人がまた破天荒でおもしろい。
そしていよいよ漫画アクションが始動しはじめるというところ。

本作がこれまでの実録モノと一線を画してるところは、実録でありながら、伝え聞きで描くというより完全なる物語として進行していることだね。現在から振り返っているのではなく各キャラと一緒に時代を歩んでいる。
1966年。藤子不二雄A氏の「まんが道」とはちがう大きな大きな流れ。もっといえば、「まんが道」をカウンターとしての「新しい」を生み出そうとあがいてる人たちの奮闘ですよ。

2巻、バロン吉元氏登場。彼はベレー帽によれよれのカッコに紙袋に原稿をさげた冴えない従来のマンガ家とはちがうというところをみせようと「イキって」ダブルのスーツにサングラス。アタッシュケースに入れた原稿を開いて「さあみてくれ」と渡す。
これまでの編集はその中にあるアメコミを基調とした「新しい」がわからずに突っ返す。それで意気消沈していたけど双葉社の清水氏は「あ、これだな」と。そのシーンに素直に涙が出る。なぜなら評伝でありながらきちんとドラマになってるから。

その後も「アクション」という名付けた意味とか、各編集の熱さとか、キャラが全員イチイチ立っている。全員かっこいい。「新しいものを作る」という情熱で一丸となっている。
それがすごく素直に伝わる。

とくに副編集長がしびれる。

熱いよ。



posted by すけきょう at 01:05| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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