2019年03月07日

まどいのよそじー惑いの四十路ー 2 小坂 俊史 (小学館)


40代の男女の「惑い」をテーマとしての読み切りオムニバスショートコミック。2巻。


小坂俊史さんのツイート: "単行本「まどいのよそじ」第2集からもう一編試し読みを。ラストに収録した「クリスマス」8ページ。結婚10年子供なしでクリスマスとの向き合い方が難しくなってきたきよみさん、聖夜にスマホの出会い系で…という話です。… " https://twitter.com/kosaka_s/status/1101450759479058432

最近流行りのマンガ家さん自らのダイレクトマーケティングで貼り付けておられるので堂々と貼ります。

40代の男女が惑うんですよ。小坂マンガらしいあまりみたことない「小事」に惑う。少なくとも黄昏流星群げな「事」ではない。そいでもって大か小かっていったら小かね。

たとえば、上記リンクしたクリスマス。子なしで10年クリスマスを過ごすとどうにもマンネリでネタ不足になる。ケーキもチキンもお互いのプレゼントもトゥーマッチでさ。だから彼女は出会い系に手を出す。そしてどうなったか。


たとえば「初めての雪」。ずっと南国に住んでいて機会がなかったので生まれてはじめてのつもった雪にはしゃぐ。会社の屋上で飛んで走り回って。挙げ句にかまくらを作ったりしたら女性社員にみつかってしまう。

かとおもったら「もう結婚しない」と見切っておひとりさま用のマンションを買ってしまう女性の話なんかも、非常に小坂マンガ的なラインに落ち着く。

40代ってのがみそなんですよ。10代から30代までの無茶を「がんばれ」ばやることができる。でも、やるとあちこちに無理が生じたり断念したり「なーんちゃって」って笑いになってしまう。
ぶっちゃけると30代からあっちの惑う事情なんてカネか健康か家庭や職場の人間関係しかないし。だから、小事に惑う最後の機会かもねえと。

もう長いとは思われますが、小坂氏の商業誌デビューから知ってるものとしては、「まどいのよそじ」での夫婦で行動する感じに変化と年月を感じる。元祖「おひとりさま」というくらい、ひとりで行動するマンガを描いておられる。また登場人物が小学生でも個人主義というのが芯にあるんじゃないかと思うくらいなんだかが、本作の夫婦で話が進行していくのは新鮮でもあるし、年月の変化や小坂氏の家庭などを伺わせるよなあと。

参照:[新婚よそじのメシ事情 小坂 俊史(竹書房 バンブーコミックス): ポトチャリコミック]

2巻での最高傑作は「心霊写真」かもしれない。これぞ「小坂俊史」ってあらゆるエッセンスがキレイに収まっている。オチも含めて。


40代のこだわりやソレに対する試行錯誤がもはや懐かしいと思うようになるとはなあ。自身の年齢と老いを感じるわけです。はい。




posted by すけきょう at 23:00| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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