2019年03月11日

ビールの時間 六月柿 光 日本文芸社


ジャケ買いですらないんだよな。書影みていただけるとわかるけど、中の絵もよくわからないようになってるもんね。だからなんで買ったのだろう。ほんとカンなんだよね。でも、このカンがよかった。まずは自分を褒めたい。そしてこの本と出会えた幸運に対してありがとうといいたい。おいてあった富山市の精文館書店大沢野店にも感謝。

ビール専門店の「BEER CAT」そこに訪れた客にぴったりのビールと奇跡が降ってくる話。1話完結。

全9話。世界各国のおいしいビールの紹介、客のワケあり事情。そして奇跡。
起承転結がきっかりできてることに驚く。その物語の完成度と濃密さ。1ページで今回の登場する世界各国の名ビール情報もある。そいでもってそのビールの特徴がストーリーにからんでいるし、その奇跡も手放しのハッピーエンドばかりでもない、ビールだけに苦いのもある。

ギネスビールを飲めない男。10年前1ヶ月だけ同棲した彼女に飲み方を教えてもらうも彼女は突然行方をくらませる。理由が全くわからない。ショックでギネスは飲めなくなる。その理由が明らかになる「ドラフトギネス」からはじまる。

離婚する夫婦が最後に1パイやろうと店に訪れる。そこで飲む、世界で1番ビールを飲む国のものをたのむ。それが「ブドヴァイゼル・ブドヴァル」。それで終わる。

寡黙なマスターはビールをオススメするだけ。表紙のビールの中に泳いでいるウエイトレス3人娘もビール紹介ページ以外ではおとなしくしてる。

だからストーリーはおもに客と別の客がまわしてるんだよね。それもまた変わってる。

ひきの真二さんに親しい絵柄。なんらか関係があるんでしょうか。親しみやすくも細部はきっちりリアル。

最近はTwitterで部品のような4pマンガをよくみてる(それが悪いわけではないので念のため)のですが、それらになれてたので1話1話がかなりずっしりとくる、1ページ1コマも疎かにできない、構築されて完成されたずっしりとした読み応え。かなり満足。ビールも飲みたくなるわ。飲めないのに。



posted by すけきょう at 19:21| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]