2019年03月11日

猫が西向きゃ(1)漆原 友紀 (講談社)


「蟲師」の作者の最新作。おれはそれをちゃんと読んでないので上下巻であった「水域」のほうが馴染み深い。

フローという現象が起こる世界。不可思議な現象を総称してフロー。そしてそれを調査する会社「広田フロー」の活躍を描くのが本編。

それらがたいがい自然現象ってのがすばらしい。三叉路だったのが七叉路になってたり、表紙にもなっているあわせ鏡の奥に行くことができる。そとの看板がすべて鏡文字になっている等。
それを別に解決しない。不思議だなあ、おもしろいなあってスタンスで迷ったりドタバタする。そのゆるさがたまらない。風景を愛でるマンガ。
自力で問題を見出して解決する物語進行のアクティブさはない。読者にはなんとも不利だしものたりないって方もいるかもしれないけどおれにはそれが思いのほか心地いい。

日常で起こってる、(おれが住んでいるこっちの)日常ではありえない、リアルな「変」。ちょっとした間違い探しのよううなリアルな変。この感じ。なんで起こってるのかどうやったら元に戻るのかもよくわからない。でも、天変地異ってそんなもんだしな。

あとがきまんがにあるように、現代風景の、ガードレールのサビとかそういうことにイノチをかけてる感じが伝わってきて、細部にこそ神が宿る感じあるわー。長く、その空気を楽しませてください。そんな気持ちにはなるね。



posted by すけきょう at 19:42| Comment(0) | コミック感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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