最高の最終巻だった。ここしばらくでみたことないくらいのさわやかな読後感。あーと、「それでも町は廻っている」とか。その最終巻に匹敵する。マンガってちゃんと終わらないほうが多いからね。貴重貴重。
手塚治虫に嫉妬し追跡して対抗し対決する漫画家の生涯を描く。漫画家人生=手塚治虫の歴史って感じよ。だからチェイサー。
6巻は個人的におれのリアルタイムの手塚治虫に追いついてるんだよな。具体的にいうと70年代後半。虫プロ倒産、そしてブラックジャックや三つ目がとおるで少年誌であざやかな復活をする。
おれはその奇跡のカムバック時代に普通に物心ついてみていた。ブラックジャックも三つ目がとおるも人気漫画としてそこに連載していた。ただマンガをよみはじめたころでリアルタイムのときはただ「おもしろい」と読んでいたわけよ。あと、マンガにもあるように、図書館にはのらくろと鉄腕アトムだけおいてあるし、そのあと講談社による手塚治虫全集、なおかつとどめとばかり藤子不二雄A氏による「まんが道」がスタート(それぞれ前後はあやふやだけど)。あれは手塚教の経典だからなあ。
ブラックジャックがチャンピオン。ここからチャンピオンは怒涛の追い上げをみせてくる。ドカベンとがきデカがくるからな。そして、三つ目がとおるはマガジン。これも王者の勢いが衰えてない。そこで主人公はサンデーで連載することになる。
主人公はブラックジャックと三つ目がとおるに「キャラ」をみるわけよ。子供ら(全員とってもかわいい→手塚作品のエロいのを読んで興奮したりする)に影響を受けて。そこでサンデーではじめる連載って展開が最高。「これだ」と。「これ」はギャグめかしてはいる、パロディもたっぷり含まれている。けどあらゆるところに現在にも通じるヒントや情報が詰まっている。非常に深いものがある。わりにみんなそうか。それをマジでやったのが前記の「まんが道」であり足塚茂道名義でだした「UTOPIA」だったりするんだからな。
そしてそのままクライマックスから最終回へ。ここいらもすばらしく清々しい。もちろん、手塚の死も描くわけだけどさ。巨人中の巨人に対してのドン・キホーテのように挑む主人公はかっこいいし、きちんと報われるラストではあったと思うよ。
いやよかった。読み返したい。そして架空の主人公の描いた作品を読んでみたい。
*本記事では作品にちなんで手塚と呼び捨てにしてみましたわ。